チョイワルビッキーと一途な393   作:数多 命

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更新がまま成らないにもかかわらず、日間ランキング七位・・・・。
ただただ感謝感謝です(土下座ァ


ボスキャラってでっかくなるの好きだよね

「・・・・リブラ、いや、『後藤理沙』だったか」

「あっはは、何でもお見通しってワケ?その上から目線、ムカツク」

 

言葉で牽制しあう中、ふと、翼はリブラの体に付着したものに気付いた。

暗い色の中でもはっきり分かる、その赤は。

 

「貴様、まさか・・・・!?」

「なぁによ?別にいいじゃない?人の尊厳いたぶって、へーきでいるようなクソじゃない?」

 

煽るためか、リブラが振り回した棍からは数滴の血が飛び散った。

 

「・・・・両手や足の指じゃ足らねぇ数ってことか」

 

『何を』『どうした』とは言わない。

油断無く銃口を向けるクリスは、怒りを押し込めた声を出す。

 

「しでかしたことは、ぜーんぶ自分に返ってくるって聞いたことあるでしょう?この街の奴等も、それに当てはまっただけ」

 

両手を広げたリブラはくるくるステップを踏む。

『だから悲しむ必要は無い』と、欠片も悪びれていない笑みを向けた。

 

「だからとて!完全に関係の無い者まで巻き込むのか!?」

「ちょっと道を聞いたくらいの他人にすら、石を投げるような連中よ?同じ目に遭えばいい」

 

道中には、ノイズ以外の要因で亡くなっている人もいた。

崩れた瓦礫の下で事切れていた親子を想起し、翼が咆えるものの。

リブラは一向に取り合わず、切り捨てるようにきっぱり言い放つ。

 

「ああ、そもそも『善良な市民』を極悪人に変えた元凶がいたわねぇー?だーれだっけー?」

 

そして責める様な視線を向けられて、翼の心がまた揺れた。

 

「あんただけは逃がさない。徹底的に、惨たらしく、殺してやるんだから・・・・!」

「言うじゃねぇか、二人相手によ?」

「当然、ただで倒せるとは思わない・・・・だから」

 

クリスがどこか挑発的に嗤えば、リブラもまた、応える様にいやらしい笑み。

 

「――――最初から、本気で挑むわ」

 

徐に棍を捨てると、ぐ、と体をちぢ込ませる。

力を溜めるように、痛みに耐えるように。

しばらく唸っていると、変化。

めきり、と。

肉体が悲鳴を上げる。

 

「初めはただの家出だったの、でもわけのわからない連中に連れて行かれて、体を薬漬けにされて」

 

胸元に灯るは翡翠の光。

 

「けれど、今はそれでよかったと思っている。妙な女が片付けたマッドには、多少お礼しなきゃ」

 

粘性の液体のようにあふれ出た翡翠は、リブラに纏わりつき、その体を肥大化させる。

 

「・・・・そーいうのアリかよ」

『――――言ったでしょう?本気でいくと』

 

さほど待つことなく終わる『変身』。

二人の目の前に現れたのは、巨大な『龍』。

頭部にあたる部分。

甲殻が花弁のように開き、中から人型の本体が現れる。

 

『『執行者団(パニッシャーズ)』が一人、天秤(リブラ)。正義の味方気取りのお前達に、鉄槌を下してあげるッ!!!』

 

閉じた甲殻は『龍』の顔となり、その鋭利な牙を除かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

両手から刺突刃を出したまま、飛び上がってグルグルルーッ!!

気分は心臓を捧げる最強の兵長。

着地した後もスッパスッパノイズを切り裂き続け、次々片付けていく。

翼さんとクリスちゃん、マリアさんに切歌ちゃんが市内に突入した今。

わたしと調ちゃんはノイズの団体様を相手にしているところだった。

『パニッシャーズ』を倒すのももちろん大事だけど、人命だって大事だもんね。

街全体がノイズに囲まれている今、いい加減逃げ道も確保しとかないと。

というわけで、また次の個体を千切っては投げる次第ー!!

 

「ひゃっはあぁー!」

 

固まっている一団の前に立ち、突撃。

両手の刃を振り回せば、面白いくらいに炭が舞う。

ふははははッ!見ろォ!ノイズがゴミのようだぁッ!

 

「おっと」

 

調ちゃんの背後に迫る固体を発見。

当の本人は前方の群れで手一杯みたいだから、加勢に。

足のジャッキを打ち込んで、一気に跳ぶ。

両手を振り上げて、またジャッキの衝撃で加速して。

 

「イエエエェェェガアアアアァァァッッッ!!」

「・・・・ッ」

 

頭上から急襲すれば、オタマジャクシは薄切りになって散った。

 

「・・・・さっきから、助けられてばかり」

 

だいじょーぶだったかなっと振り返ると、調ちゃんが怪訝な顔でこっちを見ている。

 

「一度、殺して・・・・日が経っていないのに。どうしてそう簡単に・・・・」

 

んー、どうやら前向きに連携してるのを疑問に思われてるっぽい?

まあ、ヤル気満々に伐り刻んだ相手がニコニコ笑って歩み寄ってきたら、驚くよね。

とはいっても、

 

「そういう趣味だから。気色悪いかもだけど、多少は堪えてくださいなー」

「趣味ってそんな・・・・・ッ!」

 

今は敵のど真ん中。

時間が惜しかったので、そうお茶を濁しておく。

調ちゃんは案の定納得いっていない様子だったけど、敵が詰め寄ってきたことで断念しちゃったみたい。

・・・・・度重なるアレコレで風化しちゃったわたしと違って、君と切歌ちゃんの胸に灯った『炎』はまだ健在。

燃え盛っているうちに決着をつけられるよう、大いに悩みたまえー、若人ー。

なーんて、ちょっとセンチな気分になっていると。

 

「・・・・?」

 

耳が音を拾う。

始めは断続的な殴打、それは近づいてくるたびに瓦礫を散らして引きずる音に変わる。

方向は・・・・・ッ!!

 

「ちょっとしつれー!」

「へっ?なっ!?」

 

規模からして巻き込まれかねないと判断して、調ちゃんをホールド。

その場を思いっきり飛びのけば、次の瞬間。

逆さになった視界、地面の上を、巨大な『何か』が通り過ぎる。

体勢を立て直して着地すれば、その大きな尻尾に弾き飛ばされた。

 

「翼さん!?クリスちゃん!?」

 

まるで木の葉のように宙へ放り出された二人は、無抵抗のまま地面に転がった。

ちょっと大丈夫なん!?アレ確実に何本かイってるっしょ!?

 

「・・・・ッ!?」

『――――余計な茶々は入れないで頂戴』

 

調ちゃんを降ろして駆けつけようとした矢先。

邪魔をするなといわんばかりに、あの尻尾が叩きつけられる。

そっちこそ邪魔だと振り向けば、目の前に巨大な『龍』がいた。

警戒するようにちろちろ舌を出していたそいつは、徐に頭を上げる。

すると顎が花びらみたいに開いて、中の人型を露にした。

もはや人のそれではない肌と瞳の、そいつは、

 

「リブラ・・・・!?」

『ふふ、ライブ会場ぶりね』

 

妖艶な笑みを浮かべて、リブラは笑いかけてきた。

・・・・・これは、ちょーっと。

予想外かなぁ・・・・。




AXZ最終話。
訃堂おじじの発言と言い、あの子に盛大に立ったフラグと言い。
いやぁ、五期が待ち遠しいですなぁ!(愉悦)

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