内容は変わりませんが、それはそれで何かと思いましたので。
最後に拙作ひびみくの設定のようなものを乗せております。
フィーネの策略から始まった一連の事件。
受けたダメージは大きいものの、二課のメンバーは一丸となってこの危機を乗り越えることが出来た。
情報操作や、それによるシンフォギア装者の一時的な軟禁と言った目下の困りごとや。
シンフォギアの露見による各国からの追求と言った外交の諸問題があるものの。
彼らは今、束の間の平和を謳歌している。
「ん?」
さて。
軟禁状態と言っても、今二課が滞在している敷地内なら自由に歩きまわれる。
弦十郎を始めとした日本政府のお偉いさん方が、そう手配してくれたらしい。
なので、遠慮なく廊下を歩いていた響と未来だったが。
途中、何やら賑やかな一角を発見した。
「レイズ!三枚!」
「ふむ、ここは手堅く降りておこう」
「あたしはレイズ二枚で、勝負!」
「わたしも二枚賭けるわ」
見てみると、弓美、友里、翼にクリスの四人がテーブルを囲み。
何やらトランプを手にして盛り上がっている。
「何してるんです?これ」
「ポーカーだよ」
「ポーカー?」
「何でまた・・・・」
少し離れた場所で盛り上がる面々を見物していた藤尭に聞いてみれば、そんな返事が返ってきた。
装者が軟禁状態にあるとしても、オペレーターを始めとしたスタッフはその限りではない。
シフトが組まれているものの、外出を許されているメンバーがいるのだ。
そんな彼らは響や未来といった未成年を気遣い、お菓子やらの手土産を持って来てくれるのだが。
今日はどういうわけだか、戻っていたメンバー全員がクッキーを持ち帰ってきたとのこと。
人数もいるため、別に消費に困るわけではない。
だが、ここにいるのは暇をもてあましたうら若き少女達。
大量のクッキーを見た弓美が、これをチップに見立ててポーカーをしようと提案したとのことだった。
「じゃあ、ショウダウンだ」
自信満々にクリスが合図。
それぞれが手札を出す。
「スリーカード!友里さんは?」
「やられたわね、ツーペア」
「ふっふーん、もらったぜ。フルハウスだ!」
「うっそぉー!?」
勝負に出た三人は、相手の役を見て笑ったり唸ったり。
「ちなみに翼さんは?」
「ワンペアです、板場が何やら自信満々でしたので」
「ぐぬぬ・・・・」
つまり、被害を抑えるためにあえて退いたという事だろう。
ついでに顔に出過ぎると言外に指摘され、弓美は苦い顔をした。
「んむあああ!何でみんな強いのさー!?」
興味を持った響と未来がテーブルを覗き込んでみれば。
一番クッキーを確保しているのがクリス、続けて翼、友里と続き。
弓美は大負けしていた。
「戦況を読む訓練って、誰かさんに散々仕込まれてなァ?」
「経験はあまりないが、防人たるもの常に平静でいなければ」
「みんなを的確に誘導するのがオペレーターの務めなので」
「しまったガチ勢ばっかりだッ!!」
前線で、あるいは後方で。
敵を討ち、味方を導く仕事をしているのだ。
判断一つが命に関わる状況を多く経験している人々に、一介の学生が敵うわけもなかった。
と、
「・・・・弓美ちゃん、代わっていい?」
「未来?」
惨敗している弓美を見かねたのか、肩に手を置いて笑いかける未来。
「わたしもやりたくなっちゃった、ダメかな?」
「・・・・ぃよっし!そーゆーことなら!」
やる気満々と言いたげに手を握った未来を見て、弓美は力強く頷く。
「選手交代ってか、上等!」
「ふふ、加減はせんぞ小日向」
手札を引き継ぎながら席に座る未来へ、翼とクリスが自信ありげに話しかける。
「お手柔らかに」
「・・・・」
対する未来は、弓美にディーラーを頼みながら微笑んで。
その様子を、響が『やっちまった』と言わんばかりに見つめていた。
(未来無双、はっじまーるよー)
――――先ほどとは打って変わって、どこか緊張した空気が流れている。
翼は顎に手をあて思案顔、クリスは手札とにらめっこし、友里は難しい顔で黙りこくっている。
余裕を持って微笑んでいるのは、未来だけだ。
弓美から引き継いだ小皿には、山のようなクッキー。
交代前とはえらく違う。
「・・・・勝負だ、最大賭けるぜ」
「最後だ、潔く行かせてもらう」
「降りるわ、ここに来て運が無い・・・・」
翼とクリスが最大数の十枚を賭け、友里は手札を置いて『お手上げ』と降参する。
晒された手札は役の無いブタだった。
「じゃあ、わたしも最大賭けますね」
一方の未来は笑みを崩さないまま、同じく十枚を中央の皿へ。
その様子を翼は注意深く、クリスはどこか恨めしげに見ていた。
「じゃ、ショウダウン!」
弓美の合図で、それぞれが手札を明かす。
「フルハウスだ、雪音は?」
「くらえ、フォーカードだッ!」
翼は、2のワンペアに7のスリーカードのフルハウス。
対するクリスは9が四つのフォーカード。
ではお前は?と注視される中、未来はにっこり笑う。
「ごめんなさい、ロイヤルストレートフラッシュ」
「んなぁッ!?」
「むぅ・・・・」
明かされたのは、スペードの10、J、Q、K、Aが揃った脅威の役。
クリスは素っ頓狂な悲鳴を上げ、翼は目を見開いた。
「すっごいすっごい!未来ってば大逆転じゃない!!」
「本当、意外な特技ね」
弓美は文字通り飛び跳ねながら勝利を祝い、友里は感心した様子で頷いている。
「いやはや、完敗だ」
「くっそう、そりゃねーぜ・・・・」
翼は清々しそうに負けを認め、クリスも悔しそうにしながら大人しく賭けたクッキーを未来に渡していた。
「でもどうせ食べきれないから、みんなで食べようよ」
「そうね。大分開けちゃったし、食べなきゃもったいないわ」
小皿の中身を中央の皿に戻しながら、未来が笑いかければ。
タイミングに差はあれど、翼もクリスも頷いた。
「あ、弓美ちゃんカード直すよ。みんなもちょうだい」
「はーい。ほら、翼さんとクリスちゃんも」
「じゃ、あたしはお茶でも持ってくる!」
弓美や翼達からカードを受け取りながら、未来は何気なくシャッフルしていた。
「本当に凄いな未来ちゃん」
「まあ、未来も守られてばっかりじゃないってことですよ」
一方。
離れたところで勝負を観戦していた藤尭と響。
感心した様子の彼に、響はこともなげに頷いていた。
「わたしが怪我で動けなかったときからかな?ちょくちょくカジノやらで荒稼ぎしてましたし」
「逞しすぎる・・・・」
芯が強いもののか弱いと思っていた未来の思わぬ一面に、藤尭は苦笑いした。
・・・・ところで。
離れた位置から見ていたからこそ、分かることもある。
それは、この二人も例外ではなく。
「・・・・ところで未来ちゃんって」
何かを言いかけた藤尭を、響は首を横に振って制止。
「気付かないみんなが悪いです」
「・・・・そっか」
きっぱり言い放ちながら、未来の手元で増えていくカードを見ていた。
立花響
・良心は残っているものの、基本的にはジェノサイド思考。
モットーは『殴られたら殴り返す、その逆もまた然り』。
・未来大好き。
大好きすぎて行動基準になるくらい。
未来を取られたらメンタルが壊れる。
・五感を始めとした身体機能に異常が見られる。
現在確認されているだけでも『味覚』『痛覚』『寒暖』『視覚(左目)』の喪失と、『異常な低体温』が報告されている。
・上記の理由により、学校には行っていない。
非常勤の公務員であると同時に、未成年就労者でもある。
小日向未来
・原作以上に響にべったり。
心身ともに傷ついた響を癒せるほどの包容力を持つ。
・響大好き。
下手したら原作以上に愛が重たい。
響を失えばメンタルが壊れる。
・響の大怪我を切っ掛けに、自身の生き抜く技としてイカサマを覚える。
時には客として、時にはディーラーとして。
札を自在にコントロールして路銀を稼いでいた。
閑話は時系列順に更新していきます。