チョイワルビッキーと一途な393   作:数多 命

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あけましておめでとうございます!!(遅)
今年もチョイワルビッキーをよろしくお願いします!!


身構えてもどうしようもない時はどうしようもない

「――――正直、『反射』だけではなんとも言えないわ」

 

風鳴機関、内部。

バルベルデ文書解読の為に出向していた了子は、受けた連絡に対してまずはそう返事した。

 

「何が由来かも予測がつかないし、情報が少なすぎる」

『そうか・・・・いや、分かった。済まないな、職務中に』

「構わないわよ、そのための知恵袋(わたし)なのだから」

 

と、外部組織の彼女を見張っていた職員の目が、細くなった。

これ以上は危なさそうだと感じた了子は、一言断って通信を終わらせる。

 

「申し訳ないわね、本職をおろそかにするわけにもいかないの」

 

肩をすくめて謝罪を口にすると、仕方ないと言いたげに鼻を鳴らす職員。

諮問機関と言えど、流石に無愛想すぎないかと。

了子は顔に浮かべないよう気を付けながら苦笑した。

一方で、新たな手札を見せたイヨについて考察する。

 

(そもそもとして、あいつには謎が多すぎる)

 

彼女から感じて仕方がない異質さは、サンジェルマン達とは違う和装であるからだけではない。

他の二人に、邪険にされているらしいと言うのも違うだろう。

――――ところで。

今更特筆することでもないだろうが、了子の本名はフィーネと言う。

神々と近しかった先史文明時代から、転生を繰り返してきた古代の巫女である。

人類の転換期には必ずと言っていいほど寄り添ってきた、歴史の生き証人なのだ。

つまり、どういうことかと言えば。

 

(あの子から聞いていた人物像と、あの『イヨ』がどうもあてはまらないのよねぇ・・・・)

 

日本最古の統治者である『卑弥呼』と、直接対面したことがあったのだった。

かつて大陸の国の呪術師として仕えていたフィーネは、使節団の一員として邪馬台国を訪問した。

その際、同じく呪い(まじない)を生業とするものとして、卑弥呼とは仲良くさせてもらっていたのである。

女王と崇められながらも、好奇心を始めとした人間らしさを忘れなかった卑弥呼は。

当時の己が持っていた知識を、目を輝かせながら学んでいたものだと。

一瞬、懐かしい気持ちになる了子(フィーネ)

帰国後も、交流は文通という形で続いた。

やりとりの中で、教え子であるというイヨに関する記述は覚えがあったが。

『心根が清く、他人を慈しむことができる』『一の事柄に十の疑問をぶつけて、理解を深める知性がある』と、卑弥呼がべた褒めしていたイヨの人物像は。

現在S.O.N.G.が対峙している『イヨ』とは、全くかけ離れていた。

 

(まあ、私も直接会ったわけじゃないし、卑弥呼(あの子)の親バカならぬ師匠バカも否めないか・・・・)

 

思考をひと段落させたところで、そういえばと思い出したことがあった。

『アレクサンドリア号事件』。

イヨならびにパヴァリア光明結社と初めて遭遇した事件だ。

その後の警察とのやり取りにおいて、全員で首を傾げた情報があった。

 

(何で彼女、未来ちゃんの遺伝子で、(デコイ)用のホムンクルスを作ったのかしら・・・・?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どーもいらっしゃい!!全日本おまぬけさん選手権大会の会場はここだよーッ!!

なんて、やけくそテンションで失礼します。

いやぁ、流石にさっきのは迂闊すぎたよね!

たんこぶ程度で済んだからよかったものの、あすこでとどめ刺されてたらアウトだったよ。

下手したらクリスちゃんや翼さんも危なかったわけだし、反省反省・・・・。

それにしても、イヨさんリフレクター持ちかぁ。

今後はそれを見越した戦い方しないと、二の舞になっちゃう。

風鳴機関には了子さんだっているし、これ以上の敗北は許されない。

・・・・ところで、あのリフレクターってどこまでが効果範囲なんだろう?

今回返して見せたのはわたしの拳とか、翼さんの斬撃とか、クリスちゃんの爆撃。

どれも『物理』にカテゴライズされる攻撃だ。

となると、ビーム系とかはどうなんだろう?

そりゃあ、効果は物理的なものだけど、攻撃そのものは実体が無いものだ。

もしかすると、ワンチャン狙えるかもしれない。

そうと決まれば善は急げ、マリアさん・・・・は、あのおばあちゃんを避難所に送ってる最中だから。

まずはクリスちゃんに相談してみよっと。

 

「・・・・あ」

 

いざ往かん!と踏み出したところで、ふと思いついた。

いや、リフレクター、つまりは反射だから。

未来も頑張ればできそうだなって。

ほら、『鏡』のギアである『神獣鏡』の装者だから。

もしかしたら、ゲームとかで『テニス』なんて呼称されるカウンター合戦が出来ちゃったりするかもしれない。

・・・・うん、ふざけちゃいけないのは分かっているんだけども。

それは、それで。

見てみたい・・・・!!

絶対白熱しそう。

 

「いやいやいや、集中集中・・・・」

 

溢れる好奇心を頭を振って抑えてから、改めて歩き出した。

 

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

夜になっても警戒態勢は続いている。

聞いてはいたけど、やっぱり数日かかっちゃうものなんだな。

バルベルデ文書、おそるべし・・・・。

一筋縄ではいかないのは十分に分かったから、後は一時でも早く終わることを祈るのみ。

一般の人たちへ、災害でも何でもないのに『立ち退いてください』なんて無理言って、避難所に押し込めているわけだからね。

『はよ帰せや』って募らせた不満が、とんでもない速度でピークに達することだろうくらい。

簡単に想像できる。

なんて、勝手に世知辛い気分になりつつ。

支給された懐中電灯をせわしなく動かして、夜闇を隅々までチェック。

こういう、『二つのことを同時にやる』みたいなことがこなせるようになってくると。

何か、プロに近づいた気がしてテンション上がらない?

あ、うんにゃ。

こんなこと考えてるうちはまだ未熟者だろうな。

さっき『油断大敵!』ってなったばっかりなのに、これはよろしくない。

カット!カァット!

 

『響ちゃん、聞こえる!?』

 

改めて気を引き締めたところへ聞こえたのは、作戦本部からの通信。

 

『風鳴機関直近にて、アルカノイズの反応を確認!』

『そのうちの数グループが、避難所へ向かっています!』

 

そおーら、おいでなすった!!

何て、某宇宙王蛇に肖ったトーンで踵を返す。

目指すはアルカノイズが現れたというポイントだ。

ガングニールを纏いつつ駆けつけてみれば、案の定ひしめく団体様。

避難所に向かっている方は、マリアさん達が対処し始めたらしい。

その中には、当然未来もいる。

 

「・・・・ッ」

 

侮っているわけじゃないけど、やっぱりLiNKER無しなんて危険すぎる。

だから速攻で片づけて、援護に向かわないと・・・・!

施設を壊さない様気を付けつつ暴れている横で、翼さんとクリスちゃんが合流したのも確認できた。

構っている暇が惜しいので、イグナイトを起動。

高出力で蹂躙にかかる。

今のところ、アルカノイズ(こいつら)との初対面時みたいに、『あ、新機能追加しときましたー』みたいなのもないみたいだし。

こうなったら、他に考えるべきは。

 

「ッおい、あそこ!!」

 

クリスちゃんが銃口で指した先。

施設の一角、その屋根の上。

サンジェルマンさん達が、月を背負って立っている。

雑魚をすっかり片付けてから、わたしと翼さんも倣って見上げた。

 

「・・・・バルベルデ以来ね、立花響」

「名乗ってもいない名前を知られてるのはこの際どうでも良いんで、このまま帰ってもらうことって出来ませんかね?」

「あっはは!面白いことを言うわねー!・・・・帰してごらんなさいな?」

「さっき『ハウス』された人がなんか言ってる」

 

三人同時に構えたので、別にわたしの返しに怒ったわけじゃないんだろう。

いや、それにしたって一瞬見せたあの顔はすごかったけど。

 

「舌の根がよく潤っているワケだ」

「もーっ!ぎゃふんと言わせてやるんだからッ!!」

 

やれやれとばかりに肩をすくめたサンジェルマンさんと共に、懐やらぬいぐるみやら胸元やら。

三者三様に取り出したのは、これまたそれぞれデザインが違うアイテム。

共通点と言えば、真っ赤に輝く宝石が埋め込まれていることだろうか。

シンフォギアの聖詠の様な掛け声もなく、発動したそれは。

 

「ファウスト、ローブ・・・・!」

 

銃に、でっかいけん玉。

カリオストロさんのは、ナックルかな?

武器らしい武器は見当たらない。

仮にあったとしても、油断なんて出来ないけどね。

さっき痛い目みたばっかりだもん。

・・・・だけど、なんだろう、この。

キンッキンに冷えた水を背筋にかけつつ、指でなぞられているような悪寒がする。

あれ、もしかしなくてもやばいやつじゃな?

 

「徳と味わうワケだ!!」

「ッ舐めるな!!」

 

無意識に体を強張らせたわたしとは対照的に、飛んできたけん玉の玉へ突っ込んでいく翼さん。

 

「――――かかったワケだ、マヌケ」

 

金属同士がぶつかったものとは別に、何か歌うような音が響き渡って。

 

「があああッ!?」

 

気付いた時には、翼さんが吹っ飛ばされていた。

・・・・・!?

なんだ、何が起こった!?

 

「せ、先輩!?」

「隙だらけ♪」

 

思わず振り向いた隙を逃さず、カリオストロさんが急接近。

また歌うような音が聞こえて、今度はクリスちゃんが地に伏す。

残るは、わたし一人。

 

「――――ッ!!」

 

即効で刃を両手に持って投擲。

接近してきていた三人に投げて距離を確保する。

翼さんもクリスちゃんも至近距離で受けて倒れていたので、一抹の望みをかけての行動だ。

 

「ふふふっ、一転してガゼルになった気分はどうかしら?」

「さぁて、どっこいラーテルかもしれませんよ?」

 

焦りは、後ろで戦っている未来達を意識することで沈める。

まったく、イヨさんに続いてトンデモが出てきたもんだ。

 

「試運転はこれからだ、付き合ってもらうぞシンフォギア」

「上等だファウストローブ、精々噛まれないようにしな」

 

向けられた銃口へ、刃を向け返すことで対抗した。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあぁッ!!」

 

一方その頃。

避難所へ向かう群れを対処していたマリア達。

LiNKERを使わない運用の上、負担が増すイグナイトを使ってもなお、ノイズが減る気配はない。

それに加えて、響達の苦戦も知らされた。

純粋な適合者である彼らがやられてしまうのは、非常にまずい。

 

「・・・・ッ」

 

歌唱の途中、奥歯を軽く噛んで思考を区切ったマリア。

周囲を薙ぎ払い、声を張り上げた。

 

「翼達の救助に向かう!未来は私と!調と切歌はここを食い止めて!」

「了解!」

「デース!」

「分かりましたッ!」

 

調と切歌はお得意のユニゾンを始め、少し離れていた未来は駆け寄ってくる。

彼女達を横目に、マリアも駆け出そうとして。

 

「ッ危ない!!!」

 

未来が上空の何かに気付くのと、マリアが飛びのくのは同時だった。

立て直して前を見れば、昼間こちらを圧倒したイヨが佇んでいる。

 

「・・・・簡単には通さない、ということね」

「邪魔をしないで下さい!あなたにかまっている暇はないの!!」

 

響が危機にさらされていることもあってか、未来が珍しく声を荒げた。

対するイヨは、気迫に保っていた気配を一瞬揺らがせた。

マリアが感じ取れた感情は、苛立ち。

 

「・・・・他人を気にする余裕がない分際で、よくもほざく」

 

予想通りの、とげとげしい声。

刹那。

腕を振るったと思うと、二桁はある錬金術の陣を発動させた。

二手に分かれて飛びのくマリアと未来。

石礫や氷柱が混じった暴風を回避しながら、まずはマリアがイヨへ肉薄。

反射を警戒した斬撃を、胡蝶の様な体捌きで避けられてしまう。

更に、踏み込んだ足元に土の陣を張り、巨大な刺をいくつも錬成。

ステップの度に現れる凶器を前に、マリアは懐から離れることを余儀なくされる。

ちなみにこの間、未来が放つ援護射撃を一瞥せずに防ぎ続けている。

強さを再認識している間に、今度はイヨが突っ込んできた。

咲く花の様に開いた刺の間を駆け、ひらめく布面が当たる距離まで接近。

 

「ぐあ・・・・!?」

 

回し蹴りを叩き込まれ、マリアはふらついてしまった。

硬直した隙を見逃さず、イヨは両手を素早く動かして何かの印を結ぶ。

 

「――――縛」

 

そして、刀に見立てた指を鋭く向けて。

 

「マリア・カデンツァヴナ・イヴ」

「ッ!?」

 

次の瞬間、マリアの体がまるで石にでもなった様に硬直してしまった。

駆け出そうとした前のめりの体勢なのに、声を出すことすらままなっていない。

 

「マリアさん!?」

 

マリアに降りかかった異常に対し、未来が目を見開く間に。

イヨはあっという間に方向転換。

風の錬金術でブーストを駆けながら、まばたきの内に迫った。

 

「・・・・ッ!」

 

振るわれた鉄扇を、錬金術でこしらえた即席の棍を手に迎え撃つ。

両端に炎と刃が付け加えられたことで、未来の警戒は跳ね上がった。

 

「進め恋心 まっすぐに君の下へ・・・・!」

 

歌を紡ぎながら、扇を展開。

同時に反射板も射出しつつ、向かってくるイヨへ構える。

乱反射するレーザーを避けるどころか、時に反射板を利用し返してカウンターを仕掛けてきた。

 

「ッ世界の感情 全部揺さぶって!」

 

降り注ぐレーザーを掻い潜り、鉄扇を一振りして反射板を収めた未来。

自らの攻撃に牙を剥かれては溜まったものではない。

いくらダインスレイフの搭載により、凶暴性が抑えられたとはいえ。

一撃一撃は、聖遺物すらをもそぎ落とす威力を孕んでいるのだ。

重い音を響かせて、イヨの棍を受け止める。

ギリギリと首元を狙ってくる刃。

じっとり汗をかきながら、それでも決して諦める様子を見せない未来。

鍔迫り合いの中、舌を打つような息遣いが聞こえた。

 

「ッ・・・・ぁ、が・・・・!」

 

そんな状況に一石を投じたのは、動きを封じられたマリアだった。

負けてなるものかと闘志を燃やし、手始めに喉を震わせて。

少しずつ、少しずつ声と体を取り戻していく。

 

「ぉ・・・・ぉおお・・・・!」

 

イヨが気づいたのは、マリアが青い光を纏い始めてから。

 

「ッ!?、そんな・・・・!?」

「マリアさ、うあッ!!」

 

未来を弾き飛ばして振り向くのと、マリアが拘束を脱するのはほぼ同時だった。

さっきのお返しだとばかりに再び懐へ飛び込んだマリアは、雄叫びと共に一閃。

回避が叶わなかった切っ先が、布面を引っ掛ける。

びりっ、と甲高い音を立てて大きく避けた布面。

全て引きはがすことは出来なかったが、口元と片目をさらけ出すことに成功した。

 

「――――」

 

まっさらな髪に、赤い瞳。

知らないはずなのに、あまりにもデジャヴを覚えるそれに。

マリアは息を吞む。

 

「――――貴女、何処かで」

 

問いただそうとした声は、不自然に明るくなった夜空に遮られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――評価を、上方修正しましょ」

「同意するワケだ」

 

――――滝の様に流れた汗が、地面に小さな水溜りを作った。

 

「足手まとい二人とも庇いながら、ここまで奮戦するなんてね。さっきの悪口チャラにしてあげたいくらいだわ」

「ラピス・フィロソフィカス・・・・虎の子を相手にこれだけやられては、称賛を口にするのも当然というワケだ」

「はぁッ・・・・はあ・・・・は・・・・!」

 

何度、あの歌の様な音を聞いただろうか。

聞こえる度に活力を取り上げられ、意識を強制的にシャットダウンされかかったけど。

お陰で少しずつ分かってきた。

まず、あれは。

イグナイトの、ダインスレイフの敵だ。

神獣鏡とはまた違った、厄払いの力。

だけど同じくらい凶暴な威力の何かを使っている。

ラピス・フィロソフィカス・・・・聞き覚えはない。

どこかの伝承に伝わっているのか?

あるいは、ガングニールとグングニルみたいに、呼び方が違うものなのか?

 

「ファフニールの名前は、伊達などではなかったということね」

 

ああ、ダメだ。

頭が、もう。

回らない・・・・!

少し意識を飛ばしたと思ったら、次に目を開けた時には地面に倒れていた。

ああ、もう。

言い訳できないほどに、大ピンチだ・・・・!

 

「・・・・立花響」

 

こらえきれない悔しさを、何とか抑え込もうとしていると。

サンジェルマンさんが歩み寄ってきた。

見下ろしてきた瞳には、攻撃の意志は感じ取れない。

 

「・・・・お前は、何故戦う?」

 

二呼吸くらい置いた後、そんなことを聞いてきた。

 

「お前を追い詰めたのは人間だ、歩まなくてもいい血肉の道を強いたのは人間だ・・・・何故、守るために戦える?」

 

・・・・いつか、聞かせてもらうと言っていたのはこれのこと?

 

「・・・・ぐ」

 

・・・・わたしが戦う理由。

わたしが、未来以外の人達も守る理由。

 

「・・・・?」

 

少しでも時間を稼ごうと、口を開きかけて。

ふと、上空に何かいるのに気づいた。

サンジェルマンさん達もわたしの視線を追いかけたことで気づいたらしい。

一緒に、上空を見上げて。

 

「統制局長・・・・!?」

 

心底驚いた声を上げていた。

・・・・寝そべっているせいで、よく見えないんだけど。

あれが、サンジェルマンさん達のボス・・・・?

とかなんとか考えていたら、急に上空の人の服が脱げた。

・・・・・・・お、おまわりさーん!!!!!!!

 

「あれは・・・・まずい!!」

 

突然のキャストオフにびっくりしている目の前で、太陽と間違えそうな火球が現れた。

・・・・まずい。

あんなものが落ちてきたら、ひとたまりもない!!

 

「ッ二人とも!!退避!!イヨも離脱なさい!!」

 

クソ、しまった。

早く立ち上がらないと・・・・!!

腕は何とか動かせる。

立て、立て、立ち上がれ。

翼さんとクリスちゃんだけでも逃がすんだ!!!

 

「ぐ、おおおおお・・・・!」

 

ああああああああ!体が重たい!!

何をしている、この愚図!!!役立たず!!!

動け!!動けったら動け!!

ここで何も果たせないのなら、お前は何のために生きてきたんだ・・・・!

腕や足が擦りむけようが、お構いなしに動く。

・・・・死ねない、死ねない!!

 

(――――死ヌわけニは、イカナイ!!)

 

――――よぎった雑音(ノイズ)に、何もかもが停止する。

 

 

肝心な時に硬直した視界に、見えたのは。

 

 

 

 

 

(了子さん・・・・!!)

 

 

 

 

 

・・・・手を伸ばす間もなく、声を出す間もなく。

膨大な熱量と燐光に、残っていた全ての意識を刈り取られた。




イヨさんに呪術師っぽい戦い方をさせられて満足。

また、今回もう一度楽曲コードを使用。
「ツバサ・クロニクル」というアニメの劇中歌であります、「aikoi」という曲です。
チョイワルワールドの未来さんならこれくらい歌ってくれると信じています(笑)

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