◇5 とある魔術と科学にお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

49 / 105
話し合い

 さて珱嗄達はその後、無事にミサカ妹を回収した。競技場に辿り着いた時には既に競技も終わっており、何者かに何かしらの攻撃を受けたらしく、倒れていたミサカ妹を回収したのだ。今は食蜂の伝手で別の場所へ保護されている。後々御坂美琴に眼を付けられそうだが、まぁそこは力づくでどうにか出来るだろう。何せ、御坂美琴が勝てなかった一方通行に加えて珱嗄、麦野、食蜂までもがいるのだ。まぁ勝てないだろう。ちなみに、あだ名で言うとセロリ、麦米、しいたけとなり、全て食品という奇跡のメンバーなのだが、読者の言うバーベキューをするには肉が足りない。この先出てくるのかは分からない。

 それはさておき、だ。珱嗄達はその後、なんか食べに行こうという話になった。そこで入ったのは、一つのファミレス的な場所。周囲は込み合っており、随分と周囲の喧騒がうざかった。

 

 だが、そこである意味一番煩い少女に出会った。そう、御坂美琴だ。珱嗄達を見て、何故かつまらなそうに、というか寂しそうにしていたその表情を驚きに染めている。

 まぁ寂しそうにしていた理由は、珱嗄達と擦れ違いで出て行った上条当麻がいなくなったことが原因なのだが、そんなことは珱嗄の知ったことではない。先程まで上条当麻やインデックス、上条夫妻が座っていた席に全員が席に付いた。

 

「あ、アンタ達!? なんで、その、意味分かんない!」

「俺的にはお前の語彙力の無さが意味分かんない」

「うっさい! なんでアンタ達みたいなのが集まってんのよ!?」

「あら、美琴ちゃん。お友達?」

「んん? そちらみこっちゃんのお母様で? これはどうも、そちらのお子さんにはいつも挨拶代わりに殺人電流叩き込まれる程仲良くさせていただいております~」

「美琴ちゃん、ちょっと話があるんだけど」

 

 珱嗄は美琴の前に座っていた御坂美琴の母親、御坂美鈴を見てそう話しかけた。外堀から潰して行く様だ。一方通行達はそのやり取りを見ながら各々注文を始めていた。御坂美琴とかどうでもいいわーとばかりに無反応だ。食蜂は美琴に話し掛けられたら対応しようと無視を決め込んでいた。

 

「待ってママ! そいつの言うことを信じないでよ!?」

「見て下さいこの痕……みこっちゃんの電流で焼け焦げたんです」

「美琴ちゃん………」

「嘘吐くなアンタ! 私の電流なんてそもそも効かないでしょ!?」

「………は? 何言ってんの? 人が電流流されて効かないとか……それはもうファンタジーの世界だよ?」

「この野郎!!」

 

 珱嗄のきょとんとしたシラ切り顔に美琴は苛立ち、バチッと電流を生み出し、威嚇する。だが、この状況において、その行動が美鈴に珱嗄の話の信憑性を与える。

 

「美琴ちゃん……貴女そんなことしてたのね……」

「ママ!?」

「美琴ちゃんがこの学園都市でもトップクラスの能力者だって知って、ママ嬉しかったんだけどな……その能力で人を傷つけてたなんて……」

「………それは……!」

 

 御坂美琴は思い当たる節が幾つもあった。珱嗄だけでは無い、まず最初に思い浮かんだのは散々電気をぶつけて来た上条当麻、次に白井黒子、効かないが珱嗄や一方通行にも向けたし、突っかかって来る不良も黒焦げに焼いた。更に言えば、能力を使って脅しや脅迫染みたことも行なったことだってある。

 否定材料が全くないことに気がついた。というか、超電磁砲バカバカ撃っていたので、結局否定できる筈が無い。

 

「……ママ……ごめんなさい」

「……」

「はーいしいたけ、面倒になってきたから記憶改竄よろしく」

「……貴方って本当外道よねぇ……全く」

 

 ぽちっとリモコンのボタンを押して美鈴の記憶を改竄する食蜂操祈。珱嗄は美琴を放置しながら席に付いた。そして、丁度やってきた店員にまとめて注文をする。

 

「それにしても、みこっちゃん二世はどうな訳? 正直な所」

「まぁそこまで重い状態ではないようだけどぉ……まぁ良い医者に見せれば何とかなるんじゃない?」

「つゥと、あのカエル顔の医者とかか……」

 

 珱嗄の問いから、レベル5は話し合う。御坂妹の件は医者に任せればいいとして、それから先を話し合う。まず、御坂妹を襲った奴は誰なのか? どんな組織なのか、それを知らなければならない。そうなると、一番この件に関わりがありそうな学園都市の闇を暴かなければならない。

 

「つーか私あの第三位のクローンに付いて全く知らないまま付いて行ったけどさぁ……正直状況掴めてないんだけど」

「第四位さんは途中参加だったしねぇ?」

「うるせぇしいたけ」

「貴方まで私をしいたけ呼ばわりするの? ねぇ麦米さん」

「やるかコラ? その年不相応な胸に風穴空けてやろうか?」

「なんなら脳みそいじくり回してあげるけどぉ☆」

 

 何故か対立している二人のレベル5がうるさいが、珱嗄は特に気にしない。というより、大体の見当は付いているのだ。

 御坂妹はそもそも、御坂美琴と遺伝子レベルで同一の容姿をしている。つまり、御坂美琴の敵が御坂妹の敵になる可能性は十分にある。御坂美琴という最高の実験素材の情報を手に入れようと迫る科学者やそれが依頼した組織等々、御坂美琴が襲われる理由がそのまま御坂妹が襲われる理由となる。

 また他の可能性としては、御坂妹を、ひいてはクローンの存在を知っている者の犯行。つまりはあの実験を行っていた科学者か、それに近い場所にいた科学者や能力者達。だが麦野がこの犯行に付いて知らない、ということは少なくとも実験に関わる所で依頼を受けた組織は、この件に関わっていない、ということになる。つまり、クローンを作った者、実験を提案した者、実験を進めていた者が可能性としてはあり得るだろう。

 

 此処まで来れば、かなり絞られてくる。可能性として一番大きいのは、あの実験を行っていた科学者の上層部にいた人物、またはクローンか御坂美琴の実験価値を見出した科学者だ。

 

 そして、この場にはその当事者である御坂美琴、暗部の珱嗄、麦野、そして実験の最重要人物、一方通行がいる。更に言えば情報収集において最も確実かつ幅広い手を持つ食蜂操祈がいるのだ。組んで動けばこれ以上なくあっさりと、圧倒的に、黒幕を潰すことが可能だ。能力を封じられたとしても、珱嗄には原石としての能力があるし、身体能力的にみても敗北要素は皆無なのだから。

 

「あれ? ミサカは? ってミサカはミサカはここで初めて口を挟んでみたり」

「お前なんかの役に立つの?」

「ミサカネットワークを使えば人海戦術でどうこう出来ると思うよ! ってミサカはミサカは自分の有用性を提示してみたり!」

「……てか襲われたみこっちゃん二世の記憶共有しろよ。手っ取り早いだろその方が」

「…………あ!」

「役に立たねェな……クソガキ」

「orz」

 

 一方通行の言葉で、打ち止めは机に突っ伏したのだった。

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。