日本帝国 彼の地にて斯く戦えり   作:神倉棐

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今回は台本形式でお送りします。


【Ⅴ】第1回織音会開催

〈6〉

 

さて、別に番外編という訳でもないが現在この国に放り込まれた転移者、転生者諸君の話をしよう。これは大陸発見の報から派遣艦隊出航までの3日間の間のとある昼下がりに行われたとある会合の話である。

 

 

♦︎ー♢-♦︎-♢ー♦︎

 

 

某日、首都近郊にあるとあるファミレス店にて

 

天城(以下天)「え?ファミレス?ファミレスなの?」

深雪(以下深)「はい、某有名チェーン店のファミレスです」

 

特に特徴がない事が特徴である窓際の6人掛けのテーブル席に座るのは天城と深雪を合わせて4人、つまり隣同士で座る天城と深雪の前には(くだん)の2人が座っているのである。

 

??1「確かにまさか……ファミレス集合とは思わなかったな」

⁇2「そうですね、想像では何処ぞの料亭にご案内……とか考えていましたが違いましたね」

 

この苦笑しつつテーブルに置かれたドリンクバーから持って来たコーヒーと麦茶を飲む2人の男、この2人もまたあの(駄)神の被害者なのだ。

 

天「さて、気を改めて自己紹介をしましょう。この極東帝国の皇帝、天城刀夜です」

深「その補佐官をしています。桐咲深雪です」

??1「俺は東堂 祐也(とうどう ゆうや)、アッチ側ではFPSの世界大会で優勝とかしてたガンナー兼平社員だな。あ、ブラックではなかったぞ」

??2「自分は千早郡像(ちはや ぐんぞう)です。アチラ側では某大学の一年生でした。所謂軍オタって所ですね」

天「東堂さんに千早さんですか、……ご不運でしたね……」

東堂(以下東)「あははは……だな、俺もパソコンでやってたFPSで寝落ちしたらこれだからな」

千早(以下千)「私……俺は寝る前に漫画を読んでいたらですよ。寝たらいきなり出てきて主人公の容姿と能力やるから行ってこいですからね」

天「手口が悪辣過ぎね?」

東「同意」

千「激しく同意」

 

同じあの(駄)神に転移させられた者同士同じような感じでここに放り込まれた事を理解して3人は絆を深める。

 

絶対あの(駄)神にまたいつか会ったら一発殴る

 

これがこの3人の共通認識である。なお、こんな感じで放り込まれる被害者がこれからも増え続ける事をこの3人はまだ予想できていない。

 

東「ところで天城の特典っていうのはこの帝国の事なんだよな?それってこの中で1番凄い奴だよな?」

千「確かに、特典が国ってなんですかそれ?」

天「その分仕事が多いんだよ……深雪補佐官と千早補佐官の2人が大半をさばいてくれても書類が山程ある……具体的には毎日5㎝位」

東・千「うわぁ……それはご愁傷様です」

天「ありがとう……本当深雪補佐官と千冬補佐官にはお世話になりっぱなしで……はあ」

深「大丈夫ですよ陛下、私達は陛下に頼られる(を補佐する)のが仕事ですから」

天「ありがとうございます、深雪補佐官」

深「はい」

東・千「なんか違う気もするけど羨ましい(?)気がする。あと甘いな……」

 

東堂と千早は見てて口の中がしゃりしゃりしてくる目の前の君主と補佐官という主従(どっちかというと鈍い彼氏と甘い彼女)関係に密やかに1度ブラックコーヒーを取りに席を立つ。暫しして、

 

天「さて、話戻しまして……本題に入りますが良いですか?」

 

天城の声にブラックコーヒーを飲み終えた2人は頷く。

 

天「おふたりには帝国軍に所属していただきたいのです」

東「……つまり俺達に戦場に立てと?」

天「いつかはそうなるでしょう。それでも所属してもらうだけでも身の回りの護衛は格段にしやすくなります。この世界にて我々の持つ特典は多大な力となりますから」

東・千「…………」

 

天城の特典『国家』は勿論の事、東堂の『FPSでの装備一式及びその扱い方』も千早の『千早群像の容姿、能力』もまた強力な軍事力となる。故に国外に流出されては困るし死なれたりすれば大問題となる為、今の内にそんな人物を国内に止め管轄下に置く為の前例(モデルケース)を作っておきたいのだ。

 

東「……分かった。軍に所属する」

千「東堂さん……なら俺も所属します」

天「ありがとうございます。なら東堂さんは陸軍に、千早さんは海軍に所属してもらいます。階級は追って決定しますが要望はありますか?」

東「確か……大陸が見つかったんだよな?」

天「ええ、数日後派遣艦隊が大陸に向け出航します」

東「なら俺もその中に入れてくれ、軍属に入るとはいえ早めに現場の雰囲気は理解しておきたい。ここがFPS(ゲーム)とは違う事を理解する為に」

 

東堂は手の平に目を落とし、そのあと手を握る。遠からずここがFPS(ゲーム)でなく現実(リアル)だと理解する、理解させられる日が必ず来る。ならばそれは手遅れならないよう早めに済ませた方が良い。

 

天「深雪補佐官、できる?」

深「不可能ではありませんね……、しかし編成に一部変更が必要です。そうですね……司令部付きの副官とすれば問題ないかと」

天「できるそうです」

東「ありがとう」

千「俺は……潜水艦に乗せて下さい。俺が持っている知識は潜水艦のものが多いですから」

天「なら派遣艦隊に同行して西方海域調査艦隊に所属している伊-401に乗艦してもらうのが良いかな?」

深「はい、こちらから連絡を入れれば問題ないかと。司令官が軍学校の同期なのでおそらく了承してくれます」

 

深雪が問題無いと判断した為この後色々あった話し合いもスムーズに進む。こうして第1回織音会は無事終わりを迎えたのだった。

 

なお、全くの余談であるが次回からの織音会開催場所はちゃんと雰囲気を出す為に首都郊外にある趣ある料亭になった事を一応ここに明記しておく。

 

 

♦︎ー♢-♦︎-♢ー♦︎

 

 

織音会(しおんかい)

別名(駄)神被害者の会

天城の補佐官である深雪により転移者、転生者が集められ結成された組織。のちに科学者や発明家、魔法使い等が増え知識、技術等あらゆる面(性格とかも含む)で色々突き抜けてる人間が多くなった為会の存在自体が特SSS級の国家最高機密とされている。転移者、転生者なら入会自由。

 

 




シリアスだけなんて無理だったよ……


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