紫炎.2の短編集   作:紫炎.2

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あらすじ
ノベロン星人の攻撃によって地球は未曾有の危機に陥っていた。誰もが絶望する中、たった一人立ち上がる者がいた。人々の希望を一心に背負い、敵をなぎ倒していく姿を見て彼らは彼のことをこう呼んだ……。
救世主……と。
これはノベロン星人と戦う救世主、「ところ天の助」とその仲間達の勇姿を描いた壮大な物語である。







「いや、そんな物語じゃないからね!?」



バカの進化形はハジケリスト3

第三話:これってデジャブ? ならば出陣じゃー!

 

 

「やばいよボボ美! この娘、死んじゃったんじゃないの!?」

「そうよ、きっとそうよ!?」

「落ち着きな、パチ美、天子」

「「だって!」」

 

ビームの直撃を喰らって横たわる明久の近くでボーボボとパチ美、天子はなぜかスケ番スタイルになって話し合っていた。

 

「このことは3人だけの秘密だよ。バラしたらアンタらもタダじゃおかないからね」

「でも……やっぱり駄目よ!」

「そうよ、天子の言う通りよ! 警察に自首しましょう!」

「アタシに意見するんじゃないわよ」

 

自首を促すパチ美と天子だったが、ボボ美は聞く耳を持たず逆に剣玉を構えて脅してきた。

 

関東スケ番連合の頂点に立つスケ番グループ『昇天天使(エクスタシー)』のヘッド、ボボ子。そんなボボ子のやり方に付いていけなくなっている自分に苛立ちを感じるパチ美と天子であった……。

 

その夜、二人はパチ美の家に集まり今日のことを話し合っていた。

 

「不味いことになったわよね、パチ美」

「そうよね……あの娘の霊とか出ないかしら……心配だわ」

 

二人は今日の昼のことを話し合っていた。やはり気になっているらしい。

 

プルルル、プルルル。

 

とそこにパチ美の携帯が鳴った。

 

「誰から?」

「ちょっと待ってね……ボボ子からだわ。(集会の誘いかしら?)」

 

何気なく携帯を手に取り、もしもしと電話に出る。

 

「パチ美助けて!! 助け……ぎゃあああああああ……ブツン!」

「ボボ子!? どうしたのボボ子!!?」

 

電話に出るとボボ子の悲鳴が響き、突如として切れる。パチ美は安否を確認しようとしたが電話は通じず静寂だけが残る。

 

「どうしたのパチ美!? まさか……!」

「はわわ……」

 

天子も悲鳴に驚いてパチ美に尋ねるが、パチ美にも何が何だか分からずにいた。

 

「まさか……あの娘の幽霊が……!」

「ウソ……どうしよう、天子!」

 

夜の部屋に響く二人の困惑とした声。

 

ガチャ!

 

「「誰!?」」

 

急に開いたドアの方に二人が振り向くとそこには大型の豆電球がいた。

 

「オ・ハ・ヨ・ウ・ゴ・ザ・イ・マ・ス」

「「いやぁぁぁぁぁぁ!! 体が光っているぅ!!」」

 

ガシャーーーン!!

 

「エナジーバスター!」

 

突然窓からロボットが現れて豆電球を破壊した。パチ美と天子はそのロボットを見て驚く。

 

「大丈夫? パチ美、天子?」

「あんたはボボ子!?」

「あんた、ロボットだったの!?」

 

そう、何を隠そうロボットは自分たちのリーダー、ボボ子だったのだ。だが二人には驚いている時間はない。

 

「説明は後よ。ギャラット軍が攻めてくるわ」

 

そう、この3人はこれから始まる壮大な宇宙大戦に巻き込まれたばかりなのである……

 

次回、エナジーバスター。第二話「星の声」

君は宇宙を体験する……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何やっているの?」

 

まぁ、新しい番組が始まるわけもなく、明久はすでに目を覚ましていた。大層な攻撃の割には怪我一つない状態であるが。

 

「よぉ明久、目を覚ましたか。自分の額見てみ?」

「額? 何があるって言うのさ……」

 

そう言われて明久は鏡を探し、天の助が鏡代わりになるのでそれを利用して、額を見る。そこには敗者の刻印がごとく『肉』ならぬ『抜』の一文字が浮き出ていた。

 

「うそぉ!? 何コレ!?」

「天の助先生! この症状は一体なんでしょうか?」

「うむ、首領パッチ君。これはじゃな……アクマイト光線じゃ」

「なわきゃねーだろ!」

「ぶへぇ! ふっといてそれはねぇだろ!?」

「どうしよう! 拭いても取れない!」

 

首領パッチとところ天の助の小芝居を無視して額の文字を消そうとするが、拭いても拭いても取れない。困惑する明久を見て、ボーボボはこの現象に覚えがあった。

 

「これはまさか!」

「その通りだボーボボ」

「き、貴様は……!」

 

突如、声がしてその方向を見るとそこには紫色の肌をして、とがった耳のハゲがいた。彼の名は……

 

「「「大谷先輩!!」」」

 

……ではなく、毛狩り隊Cブロック所属ゲチャッピである。

 

「それは毛抜きビーム。これを食らった者は後10時間で全ての髪の毛が抜け落ちる……その女は出しゃばりすぎたな」

「えっ……!?」

 

そう言われて明久は即座にハゲになった自分を想像した。

 

想像

『アッハッハッハッハッハッハ!?』

「おい明久!? な、何だその劇的ビフォーアフターは!?」

「は、腹が……腹が……!?」

「出家でものかのぉ!?」

「あ、明久君……プッ。あ、す、すみま……ププッ!」

「あ、アキ……あんた……アッハッハッハ!」

『アッハッハッハッハッハッハ!』

想像終わり

 

「嫌だぁああああああああ!!」

「状況を理解したようだな! 次は貴様だボーボボ!」

 

混乱する明久を余所に、ゲチャッピは毛抜きビームをボーボボに向かって放つ。ボーボボは混乱する明久を宥めようとしていてそれに気づかない。

 

「危ないボーボボ、吉井!」

「「うおぉ!?」」

「GU☆WA!?」

「「首領パッチ!?」」

 

ボーボボと明久を庇って首領パッチがビームの直撃をくらう。ビームの直撃をくらった首領パッチはそのまま倒れてしまう。

 

「首領パッチ! 大丈夫か!?」

「うそ……僕たちを庇って……!」

「おい、しっかりしろ! 首領パッチ!」

「ちっ、また避けられたか!」

 

倒れた首領パッチに駆け寄る三人。ゲッチャッピも本命のボーボボに当たらず悔しそうにしている。そして毛抜けビームの効果で額に文字が浮き出てきた。

 

『チューナー ☆3』

 

「「遊戯王!?」」

「よし! 後は任せろ首領パッチ!」

「いけ、ボ星!」

「あぁ、クロの助!」

 

驚くゲチャッピと明久を余所にボーボボと天の助は意気揚々とデュエルの用意をしていた。そしてボーボボの反撃が始まる。

 

「俺は手札から『濡れた雑巾☆2』を召喚! 更に『濡れた雑巾』の効果により『水の入ったバケツ☆3』を特殊召喚する!」

「何一つ期待できない素材だ!?」

「☆の合計は8つ! まさかボ星、ここでアレを召喚するのか!?」

「な、何が出てくるんだ!?」

「チューナーモンスター、首領パッチ(☆3)に雑巾(☆2)とバケツ(☆3)をチューニング!」

 

ボーボボの言葉と共に首領パッチは3つの光の輪に変化する。そこに雑巾とバケツが入り込む。

 

「集いし願いが、新たに輝く星となる! 光射す道となれ! シンクロ召喚! 飛翔せよ! スターダスト・ドラゴン!」

「スゴイの召喚した!?」

 

ボーボボの言葉と共に雑巾とバケツが光り、その姿を別のものに変化していく。光が収まるとそこには胸と肩に水晶体が付いた白と水色を基調とした銀色の竜が登場した。

 

「響け! シューティング・ソニック!」

「ぎゃあああああああ!!」

(うわぁ~、開幕ブッパだ……ていうか、完全にパクリじゃん……)

 

現れた竜の一撃により、ゲチャッピは倒れた。ゲチャッピが倒れると銀色の竜もいなくなった。

 

「あれ、首領パッチはどうなるの?」

「呼んだか?」

「あれ!? 君、シンクロ召喚の素材になったんじゃなかったの!?」

「あぁ、俺って墓地に行ったらフィールドに特殊召喚できるのよ」

「何その不死身……下手したらずっと生きていられるじゃん……」

 

墓地に行ったハズの首領パッチは自身の効果によって蘇ったらしい。まぁ、普通に考えてこいつが死ぬとは考えられないが。

 

「でも、どうしよう……額の文字が消えない……」

「その毛抜けビームには、確か解毒剤があったはずだ。それさえあれば治るのだが……」

「別にいいんじゃねーの? ただ禿げるだけだろ」

「あぁ?」

「ごめんなさい」

 

首領パッチの言い方に明久が半キレで睨みつけると、首領パッチはすぐに謝った。どうやら本能的に恐怖を感じたらしい。

 

「つーか、何で毛狩り隊がいるんだよ?」

「恐らく残党かなにかだろう。まだ根絶やしにしてないからな」

「素で恐ろしいこと言わないでよ」

「おい! コイツ、何かのメモもっているぜ!?」

 

ボーボボと天の助で話し合っていると、首領パッチがゲチャッピの懐からメモ帳みたいなものを取り出していた。どうやら追いはぎ的なことをしていたらしい。

 

「何が書いているんだ?」

「えーと……お、これとか結構重要じゃね?」

「どれどれ……」

 

ペラペラとページをめくっていると、首領パッチが何か見つけたらしく、そのページで止める。僕たちも気になって覗いてみるとそこにはこんなことが書いてあった。

 

にんじん 5本

キャベツ 1玉

牛乳 1本

ゲームソフト 何か

 

「ただのお使いのリストじゃん……ってあれ? 下の方に……」

 

新Cブロック基地 ここらへん

 

(……どこらへんだよ)

「なるほど、なるほど……分かるかぁ!」

「ぶへぇ!?」

 

意味が分からず、ボーボボは近くにいた天の助に八つ当たりした。天の助にしてみれば、ただ迷惑なだけである。

 

「おい、お前ら! こっちを見ろ!」

「何だよ……今考えているから」

「駅名に『新Cブロック基地』って書いてあるぞ!」

「うそぉ!?」

 

首領パッチの発言に驚いて、明久は思わず近くの駅で駅名を確認する。すると確かに“新Cブロック基地前駅”と書かれていた。

 

(電車で行けるのかよ……)

「でかした、首領パッチ! すぐに乗るぞ!」

「おうよ! 俺が人数分の切符を買うから、お前らは改札口の前にいろ!」

「わ、わかったよ!」

 

首領パッチの指示に従い、明久と天の助、ボーボボは改札口で首領パッチを待つ。少しすると首領パッチが人数分の切手を持って、こちらに来る。

 

「切符を買ったぞ!」

「よし、すぐに乗るぞ!」

 

切符を受け取り、四人はすぐさまホームに駆け込み、電車に向かう。

 

『まもなく電車が出発します。ご乗車のお客様はお急ぎください』

「まずいよ! もう電車が出ちゃう!」

「飛び乗れ!」

 

ボーボボの指示に従い、四人は電車に飛び乗った。間一髪、間に合い、電車に乗車することが出来た。

 

「はぁ~、危なかった」

『駆け込み乗車はおやめください』

「あはは……まぁ、しょうがないか」

 

電車の中で駆け込み乗車を注意するアナウンスがかかり、まぁ、しょうがないかと僕たち四人は笑って流す。まぁ、これでハゲることもないかなと安堵した。

 

 

『ご乗車いただきありがとうございます。この電車は“ハレルヤランド”、直通でございます』

 

 

「……え?」

 

安堵した瞬間、明久は耳を疑った。“新Cブロック基地”ではなく“ハレルヤランド”。しかも直通という放送に。明久とボーボボ、天の助は首領パッチを慌ててみると、首領パッチはガッツポーズして言い放つ。

 

「お前らも行きたかっただろう?」

 

やけに格好良く決めて首領パッチは言い放った。この態度にイラッときたボーボボと天の助は当然のごとく首領パッチに殴りかかった。

 

「「なにやってんだテメェー!!」」

「ぎゃあああああああああああ!!」

「ハ、ハハ……ハハハ……ふぅ」

 

殴り合いを始める三人を余所に、禿げる未来が確定した明久は現実に耐えかね、ついに意識を手放したのであった。

 

 

 

 

続いたら運命的な感じがする。


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