個性:心を読む程度の能力   作:波土よるり

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[壁]д・)ノ 8話目投下。

あっ、待って! 石投げないで!
7話目から間がかなり開いた言い訳はちゃんと後書きでするから待って!


[前回のあらすじ]
対人戦闘訓練の講評も終わって、教室へ戻ろうとしたら、何やらオールマイトの様子がおかしい。後をつけたら、そこにはヒョロヒョロのオールマイト。オールマイトは必死に隠そうとするけれど…

[注意]
ちょっぴり残酷な描写


No.8 ヒーローを目指した日

「――そんな他人行儀にしなくても大丈夫ですよ、オールマイト先生(・・・・・・・・)?」

 

 必死にオールマイトであることを隠そうとするも、古明地少女のその一言で無駄なことだったのだと痛感した。

 

 そもそも古明地少女の個性は『心を読む程度の能力』であり、隠し通すなど土台無理な話だったのだ。

 

 古明地少女と管でつながった大きな目玉――たしか第三の目(サードアイ)だったか――が開いて無ければ心を読めないと聞いていたし、古明地少女は積極的に他人の心を覗こうとしないと聞いていたから楽観視していた。

 

 完全に私のミスだ。

 

 ヒーローを目指す子に悪い子はいない。そんな甘い考えで心を読める彼女のクラスを担当することも了承したが、古明地少女の表情を見ると後悔せざるを得ない。

 

「平和の象徴は過去の戦闘で傷を負い、弱体化していた―― 世間にこのことが広まった(あかつき)にはどうなるんでしょうねぇ。

 ヴィランの増加、活発化。

 平和が崩れ、(おび)えながら日々を送る人々。

 

 ――ああ、なんと悲しいことでしょう」

 

 古明地少女はまるで演劇の様に大げさに悲しむそぶりを見せる。この分だと、ワン・フォー・オール自体もだが、緑谷少年にワン・フォー・オールを渡したことも……

 

 ……! 

 

 不意に第三の目(サードアイ)と目が合った。

 

 

「ああ、なるほど。オールマイトの個性は自らの肉体を強化する『ワン・フォー・オール』。

 シンプルな増強系の個性ですが、その真価は個性を任意の相手に譲渡する事で、力を育てていくこと。

 

 なるほどなるほど。緑谷君のちぐはぐな個性はそういうことでしたか」

 

 やはり読まれた…… シット…!

 頭に思い浮かべたことは直ぐに読まれてしまうか……

 

 古明地少女はなにやら楽しそうであるが、その目に浮かぶのは嗜虐(しぎゃく)的な色。何か良からぬことを企んでいるのは火を見るよりも明らかだ。

 

 

「君は、このことを広めるつもりなのか?」

 

「さあ、どうでしょうか。

 ところで、相手に何かを要求するときは自分も何か差し出さなくてはいけません。ですよね、先生?」

 

「……何が望みだ」

 

 私がそう問うと、ころころと年相応に無邪気に笑う。

 

「望みなんて、大層なものではありませんよ。そんなに怖い顔しないでください。

 

 ただ少し、お願いしたいだけですから――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  せ、先生のサインください!!!」

 

 

 

 

 

「…………はい?」

 

 

「ダメ、ですか……?」

 

 勢いよく腰を90度に折りサインを要求。

 

 まるで意味が分からない。いや、意味は分かる。サインが欲しい、それは分かる。

 しかし、しかしだ。私の弱みを握り、(なぶ)るように脅してきて、そんな要求、するか、普通。

 

 しかも上目遣いで頬を赤らめながら「ダメですか?」なんて余計に意味が分からんぞ!

 

「い、いや。ダメじゃないけどさ……」

 

「やった……!! じゃ、じゃあ、『古明地少女へ』って追加で書いてもらってもいいですか?!」

 

「え、う、うん」

 

 

◇◇◇

 

 

「ありがとうございます、先生!! 家宝、いえ、国宝にします!!」

 

「あー、うん。国宝は難しいかな」

 

 古明地少女がなぜか持っていた色紙にサインを書いてあげると、色紙を胸に抱えてクルクルと回って喜んでいる。

 

 こうしていると普通の少女なのだが、さっきは本当に冷や汗をかいた。

 

 彼女がヒーローを目指す子でよかった。もしも仮にヴィランになっていたらと思うと…… 私の秘密はばらされ、世間は大混乱に陥っていたかもしれない。

 加えて、今日の対人戦闘訓練でも分かったが、彼女のコピーする能力も使い方によっては、私でも手を焼くかもしれないほどかなり凶悪なものになるだろう。

 

「私が『ヴィランになっていたら』危なかったですね、先生」

「…!」

 

 見ると、彼女のサードアイは開いてこちらを見ていた。どうやら今考えたことは彼女に筒抜けのようだ。心臓に悪いよ、もう!

 

「すまない、失礼なことを考えた」

「――先生。実は私、昔人を殺そうとしたことがあって、ヴィランになっていたかもしれないんです」

 

 

「――え?」

 

 

「少し、話をしましょう。

 昔々、とあるところに心を読むことが出来る少女がいました――」

 

 

 

***

 

 

 

 私が小学生の高学年に上がる前は自分の個性が今みたいに制御できていなかった。聞きたくもない、道行く人の悪感情が聞こえてしまう。

 

 苦痛だった。

 

 でも、支えてくれる人がいた。私がお世話になっている児童養護施設の子どもたちや管理人さん。ときどき喧嘩することもあるけれど、みんな心が綺麗な人。彼らと一緒にいると苦痛も幾分か和らいだ。

 

 この世界にいる人全てが、彼らのようだったら良いのに。

 

 

 ある夏の日のことだった。

 

 児童養護施設で一緒に生活しているミカちゃんと二人で近くの公園で遊んだ帰り。子ども特有の冒険心だろうか、普段通ることのない人通りの少ない道を通ることになった。

 

「ウヒャァハッハー! 人の恐怖に沈む顔ってぇーのは最高だなァァア!」

 

 あまりの光景に言葉が出なかった。

 

 狼のような顔をした大男が、細身の男性を壁に叩きつけたり、顔を殴りつけたりしていたのだ。細身の男性は息こそあるものの重傷であり、危険な状態なのは明白だ。

 

「ひっ……!」

 

「あ? なんだガキか……

 

 ――ガキの(おび)えた顔も好きなんだよなぁ」

 

 ミカちゃんが思わず悲鳴をあげると、狼の大男(ヴィラン)はこちらをギョロリと見て、カエルを見つけた蛇のようにニタリと笑った。

 

 

「ッ……! ミカちゃん、逃げるよ…!!」

 

 逃げなくては。

 手を強引に引っ張って怖くて動けないミカちゃんと来た道を急いで戻る。

 

 人の往来のある道まで戻れば、大人たちがなんとかしてくれる!

 

「あっ」

 

 ミカちゃんが転んでしまい、地面に倒れる。

 振り返ってミカちゃんを起こそうとしたが、既に遅かった。

 

「ミカちゃん!!」

 

「いやぁ…… 離して…!」

「グハハハ! 捕まえたぞ。さぁ、お楽しみの時間だ!」

 

 舌舐めずりをすると、大男はミカちゃんを壁に叩きつけ、さらには腹を殴った。

 

 早々にミカちゃんを殺さないためか、細身の男を殴っていた時よりは威力をかなり抑えている。しかし、まだ10歳にも満たない子どもには苦痛すぎるものだ。

 

「ぅあ……ぅぅ…」

 

「ヒャアハハァ! いいね、いいねぇ!!! その顔最高だよ!! さぁ、もっと俺に苦痛に歪む顔を見せてくれよ!!」

 

 

 そのとき、私の中の何かが切れた。

 

 

 ミカちゃんを助けなくちゃ。

 

 家族を、助けなくちゃ。

 

 コイツを殺さなくては。

 コイツを排除しなくては。

 

 私の家族に害をなす者を始末しなくては。

 

 

 殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。殺さなくては。

 

 

「……なれ…」

 

「あぁ?! なんか文句あんのか、ガキ!!」

 

「ミカちゃんから… 離れろぉおお!!!」

 

 私の叫びに呼応するかのように、サードアイが限界までその目を見開く。

 サードアイから血の涙が流れるが、今はそんなことを気にする必要はない。

 

 殺す、ただそれだけを考えれば良い。

 

「……ッ ガキが粋がってんじゃねぇぞ! そんなに俺に甚振(いたぶ)って欲しいか?! あぁ?!」

 

 殺せ、奴を殺せ。

 

 神様がきっとそう言っているからだろう。普段は読めない、心の奥底まで、いや、それよりも更に奥底まで読むことができる。

 

 コイツの心はドブのように汚い。

 読むだけで吐き気がするけど、ミカちゃんが受けた苦痛に比べれば生易しいもの。

 

 殺す。

 

 神の御言の通り、コイツを殺す。

 

 でも、ただ殺すだけじゃダメだ。私の家族に酷いことをしたのだ。地獄に行く方がいいと思うくらい嬲って嬲って嬲り倒さなくてはいけない。

 

 そのためには、コイツの心から最適な個性を想起しなくては。

 

 

 

 

 ……ああ、良い個性をたくさん持っている(・・・・・)

 

 手から生成する大きな(しび)れ針で相手を刺して動けなくする個性。それと、炎を出す個性もあるし、怪力を出せる個性で腕を握り潰すのも良い。

 身体の欠損箇所を再生する個性なんてのもある。これで壊して治して、壊して治してを繰り返そう。

 

 

「ヒャアハハァ! お前も恐怖で顔を歪ませてやるよ!」

 

 大男は強靭な肉体を使い、私を捕まえようとしてくる。

 しかし、私は捕まらない。否、捕まるわけがない。

 

 大男の行動を読んで(・・・)避け、痺れ針の個性を想起して針を突き刺す。

 

「てめぇ……! ……?! なっ、身体が動かない?!」

 

 個性の効果がすぐに出て、大男は立ったまま動けなくなった。

 

 私はゆっくりと近づき、大男を蹴って地面に倒す。

 

「ぐっ…… 舐めた真似してくれるじゃねぇか!」

 

「舐めているのはあなたです! よくも私の家族を傷つけてくれましたね……!

 ……まぁ、あなたが死ぬまで、まだ暫くあります。ゆっくりと懺悔(ざんげ)しながら死になさい」

 

 さぁ、まずは何をしようか。

 

「そうですねぇ… 取り敢えず、その汚らしい目玉をくり抜きましょうか。この針でたこ焼きを作るように、くり抜いてあげますよ」

 

「ま、まて! 俺が悪かった! 待ってくれ!」

 

 痺れ針の個性を使って、目玉をくり抜こう。

 

 手のひらから針を出して、大男の顔にゆっくりと針の先を近づけて行く。

 

「やめろ、やめてくれぇぇ!」

 

「まだ始まったばかりですよ? これから腕を握り潰したり、足をこんがりと焼いたり、色々とすることが残ってるんですから、ちゃんと贖罪(しょくざい)できるまで壊れないでくださいね?」

 

 ゆっくりと、しかし確実に大男の目玉に針を近づける。

 

 大男は(まぶた)を閉じて何とか抗おうとするが、そんなことは無意味だ。針を出していない方の手で無理矢理こじ開ける。

 

 さぁ、お料理(・・・)をはじめましょう。

 

 

 

「そこまでだ、少女」

 

 

 大男の目玉と針があと数センチ、数ミリのところで動かなくなった。右手を見ると筋骨隆々のアメリカンな男に手を掴まれている。

 

 私はこの男を知っている。

 

 オールマイトだ。

 

 平和の象徴オールマイト。

 テレビや雑誌などのメディアでもよく特集が組まれるNo.1ヒーロー。

 

「何を、するんですか?」

「それ以上はダメだ、きっと後悔する。今ならまだ正当防衛で済む」

 

 オールマイトの言う事は正しいのだろう。これ以上すれば過剰防衛、犯罪者になってしまう。

 

 でも、それでも……

 

 

「でも……!! コイツはミカちゃんを! 私の家族を! 殺さなくちゃ! 処分しなきゃ! 苦しませなくちゃ!」

 

 半ば自暴自棄に叫び、針をヴィランに刺そうと力を込めるが、オールマイトの力に勝てるはずもなく、ピクリとも動かない。

 

「少女!」

 

 オールマイトが腕を引っ張り、私をその胸に抱擁する。

 

 一瞬状況が飲み込めなかった。

 

 

「もう大丈夫だ、私が来た!

 

 ヴィランにはしっかりと罰が与えられるし、キミの友人も怪我をしているが、比較的軽いものだ、直ぐに良くなる。

 もうキミがこれ以上手を汚す必要はない。手を汚して友人を悲しませることもない。

 

 ――もう大丈夫、私が来たんだ」

 

 

 オールマイトの言葉は力強く、それでいて優しかった。

 硬い筋肉だし、汗臭いし、抱擁は決して心地よいものではないけれど、とても、 ――とても優しかった。

 

 

 ズルいなぁ……

 

 強いだけじゃなくて、言葉にも力があるんだもん。

 本当にズルい。言葉だけで他人の()まで変えてしまうんだもん。

 

 

「うわあ゛あ゛〜! ぅあ゛〜う〜!」

 

 

 感情が(せき)を切って漏れだす。

 

 安心。不安。喜び。悲しみ。自責。軽蔑。幸福。憧れ。嫌悪。軽蔑。期待。絶望。空虚。殺意。恐怖。欲望。

 

 今感じているものも、今まで心のうちに押しとどめてきたものも、様々な感情が涙と一緒にあふれ出す。

 

 

「よしよし、泣け泣け。泣いて全部吐き出せ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「……お見苦しいところをお見せしました」

 

「はっはっは! キミは随分と大人びているがまだ子供だ、子供は大いに泣いて結構!」

 

 オールマイトの胸で泣いて、気が付いたら随分と時間が経っていたようだ。私が泣いている間にオールマイトが警察と救急車を呼んでいてくれていたみたいで、事件の処理はほとんど終わったらしい。

 

 児童養護施設のお世話になっている管理人さんも来ていたようで、泣きながら私たちの無事に安堵していたようだ。ミカちゃんの怪我は比較的軽いものだそうだが、一応病院での検査があるということで、管理人さんはミカちゃんに付き添って行ったとのこと。

 

 あと、襲われていた細身の男性も命に別状はないらしく、病院での治療を受けている。

 

「ねえ、オールマイト。相談というか、質問してもいいですか?」

 

「……ああ、構わないよ」

 

 テレビで見たりするときは、いつもその風貌にあったアメリカンなリアクションで、大げさに笑っているのに、私の雰囲気を感じ取ってか、今は眉根(まゆね)を寄せて真剣な表情だ。

 

 やっぱりズルい人。

 

「私はあなたのようなヒーローをとても尊敬しています。見ず知らずの人を命を張って守る。とても私にはできません。

 ねえ、オールマイト。助けた人の中には大きな悪感情を持つ人も、犯罪的な思想を持つ人もいたと思います。どうしてあなたはそんな人たちをも助けられるのですか?」

 

「……そうだね。キミの言う通り、助けた人の中にはそういう人もいるだろう。でもね、私はとてもお節介なんだ。理由がなくても、たとえどんな人でも、助けたくなってしまうんだ。

 それに、もしも助けた人が道を(たが)えることがあったなら、私が正しい道へ戻す。それだけの事さ」

 

 はっはっはっと笑ってオールマイトは答える。なんともオールマイトらしい答えだ。だからこそ、私はあなたが(うらや)ましい。

 

「ふふ、オールマイトらしいですね。ヒーローがヴィランを殺してはいけないのも、その『お節介』が理由ですか?」

 

「人間は間違いをしてしまう生き物だからね、道を間違えてしまったヴィランにもやり直す機会をあげなくちゃ。

 それに、殺人は取り返しがつかないことの最たるものなんだ。その人の人生を強制的に終わらせて、その人の希望や未来を奪うし、その人の家族の希望や未来も奪ってしまう。

 だから、ヴィランだって殺してしまうのはダメだ」

 

 殺人は取り返しのつかないことの最たるもの、か。

 私はそれをしようとしてしまった。

 

 家族が危険にさらされた恨みがあるからと言っても、結局私はそういう人間なのだ。ヒーローにはなれない。

 

「やはりオールマイトは凄いですね。……叶うことなら、ヒーローに…あなたみたいになりたかったです」

 

 ついつい愚痴がこぼれてしまう。

 顔をうつむけているからオールマイトには見えないだろうけど、きっと泣きそうな顔になっているのだろう。

 

 つくづく私は弱い人間だ。

 

「そう願うなら、なればいい。ヒーローに」

 

「――え?」

 

 顔を上げてオールマイトへ向く。

 

 いつもテレビで見るような、人々を安心させる屈託のない笑顔だった。

 

「……私には無理なんです。あなたみたいに、見返りを求めずにどんな人でも助けるなんてとてもできない」

 

「いかなる人助けでも、未来や希望を守ることには変わりない。大手を振って歓迎はできないけど、見返りを求めたって、何も悪いことは無い。現に見返りのためにヒーローをやる人だっているしね」

 

「お金のため、でも?」

 

「ああ、そういう人だっている。そのお金で美味しいものを食べたっていい。少女はお金がたくさんあったら何をしたいかな?」

 

「私は――」

 

 たくさんのお金があったなら、何をしたいだろうか。

 

 オールマイトの言うように美味しいものだって気のすむまで食べられるだろうし、欲しいものだって何でも買える。

 お金があれば魅力的なことがたくさんできるけど、私は……

 

「――私は、家族と、施設の皆と一緒にもっともっと楽しいことしたい。どこかへ旅行に行ったり、遊園地にも行ったりしたい。管理人さんにもお礼したい。施設の壊れかけの椅子を新しいのにしたい」

 

 欲しいものは考えればたくさんあるだろう。

 でも、私が一番欲しいのは、やっぱり家族の笑顔だ。

 

 オールマイトは少し驚いたような素振(そぶ)りを見せたが、すぐに優しくて清々しい笑顔に戻る。

 

「そうか、なら、それはもう立派な人助けだ。ヒーローを目指すことに躊躇(ちゅうちょ)することはない。

 まっ! 私的には余裕が出来たら、家族以外の人にもその思いをチョットだけでも分けてくれると嬉しいかな!

 アッハッハッハ!

 

 む?! 応援要請か! すまない少女、急ぎの用事が出来てしまった。縁があったらまた会おう!」

 

 どこかでヴィランが出たのか、応援要請を受けて、オールマイトは目にもとまらぬ速さでどこかへと行ってしまった。

 別れの一言も言わせてくれないなんてちょっと不満だけど、何故だろう、自然と口角が上がってしまう。

 

「……ええ、是非またどこかで」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「そうか、キミはあの時の……」

 

「ふふ、お久しぶりです、オールマイト」

 

 古明地少女と以前どこかで会ったことがあるような気がしていたが、あの時の女の子だったのか。10年以上前の事だからすっかり忘れていた。

 

「さて、サイン(目的のもの)も手に入れましたし、私はそろそろ教室に戻りますね。お大事にしてください、オールマイト先生」

 

「ああ…… あ! 古明地少女、ワン・フォー・オールの事は……!」

 

 忘れてた! ワン・フォー・オールの事を口止めしなくては…!

 

 教室へ戻ろうとする古明地少女を呼び止めると、彼女はクルリとこちらを向いて、若干照れくさそうに笑いながらこう言った。

 

 

「最初から口外するつもりはありませんよ。

 

 なんといっても、私はあなたの大ファンですからね、オールマイト!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私には前世の記憶がある。

 

 なぜ私にそんなものがあるのかは知らないけれど、取り敢えず、ヒーローを目指そうと思う。

 

 

 なぜって?

 

 

 

 ――お金が欲しいから。

 

 




なんか、最終回っぽい終わりかた…? でも残念、もうちっとだけ、続くんじゃ!

シリアスとか書くつもりなかったから、話の整合性を確保するのにすこぶる苦労した(汗
突然の思い付きで話を書いてはいけない(戒め)


(*_ _)んで、遅れた言い訳。

リアルが忙しかったてのもあるんですけど、7話目の後に低評価を連続でもらっちゃって、モチベーションが結構落ち込んじゃったんです。もちろん、評価が作品のすべてじゃないですけど。8話目書いたきっかけも感想でしたしね(イツモ アリガトデス

で、あとスプラトゥーン2とかドラクエ11がとても忙しくてですね。一見極めて明白に仕方がないことだと分かりますね。

あっ、待って! ばくだん岩を投げないで!!


2017/08/18 誤字修正(いつも誤字報告ありがとうございます。スミマセン)

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