個性:心を読む程度の能力   作:波土よるり

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僕のヒーローアカデミアにハマりすぎて書いてしまった。アニメ2期も楽しみだー( ゚д゚)


【挿絵表示】

↑No.10から移動しました。主人公の容姿です。

ドヤ顔させてるのは完全に私の趣味です。ドヤ顔のさとりん可愛いよね…(恍惚)
ああああ、さとりん可愛いぃぃい


雄英入学篇
No.1 オリジン(☆)


 ふとした時に思い出したのだ、私には前世があると。

 思い出したとき、私は四歳の女の子だった。

 

 こんなことを他人に言ったら、あいつ頭おかしいんじゃないのかなんて思われるだろう。でも実際にそうなのだからしょうがない。

 ただ、前世があるとはいっても明確には思い出せない。何となくしか覚えていない。

 

 憶えていることは、私が日本で育ったこと、趣味が漫画やアニメを読んだり観たりすること。そのくらい。

 

 性別が男だったのか女だったのか、名前は何だったのかは覚えていない。年齢は……十代?二十代? やはりあやふやだ。

 

 まあ別に前世の自分についてはあまり重要じゃない。そんなことよりも重要なのは、私が今生きているこの世界が超能力の存在する世界だということ。

 

 どうやら今世の私は親のいない孤児の様で、児童養護施設でお世話になっているのだが、前世を思い出した直後のこと、施設の管理人さんが念動力を使って荷物運びをしている姿を目撃した。

 前世を思い出す前も目にしていたはずだが、前世の記憶があるせいか非常にびっくりした。

 

 この世界では、超能力の事を『個性』と呼ぶそうだが、個性が認知されるようになったのはつい最近のことらしい。

 

 事の始まりは中国軽慶(けいけい)市で、発光する赤子が生まれたというニュースだったという。

 

 それ以降、各地で『超常』は発見され、原因も判然としないまま時は流れた。『超常』は『日常』に、『架空(ゆめ)』は『現実』に成り代わっていき、世界人口の約八割が何らかの特異体質を持つ超人社会。それがこの世界。

 

 個性の発生にともない、個性を使った犯罪者、ヴィランが増加し治安が悪化していった。そしてそんな混乱渦巻く世の中で、誰もが一度は空想し憧れた一つの職業が、脚光を浴びている。

 

 

 〝ヒーロー〟

 

 

 ヒーローはヴィランの効果的な対応策と認知され、人気No.1職業である。稼ぎも相当いいらしい。

 

 

 

 ところで、この世界が超能力の存在する世界だということ以外にもう一つ重要なことがある。

 

 それは、私の名前が『古明地さとり』だということ。

 私は赤子の時に施設の玄関に捨てられていたようだが、その時に『古明地さとり』と書かれた紙が一緒についていたらしく、それが私の名前ということらしい。

 

 

 ――古明地さとり

 

 東方Projectという弾幕系シューティングゲームに出てくるキャラクターの一人である彼女。

 私が明確に憶えている数少ない前世の記憶の一つだ。

 

 彼女は『(さとり)』という妖怪で、身体と管のようなものでつながれた『第三の目(サードアイ)』という器官を使って他人の心を読むことが出来る。

 

 名前が一緒なだけならば、まあそんな偶然もあるよね、で軽く流せる。しかし私にもあったのだ。何が? サードアイが。それに、『古明地さとり』よろしく、私にも心を読む力が備わっていた。

 

 読心できるなんて、占い屋とかしたらめっちゃ儲かるんじゃ? 人生イージーモード? 

 

 ……なんてことはなかった。

 読心ができると気が付いてから、周りの人の心の声が無差別に頭の中に流れ込んでくるのだ。読心をオンオフできずに、ひどく苦しんだ。

 

 周囲の人には、サードアイが目を(つぶ)っていれば心の声は聞こえないと嘘をついていたので、人間関係がこじれることはあまりなかったが、めちゃくちゃつらかった。

 

 十歳頃にサードアイの開閉で読心のオンオフができるようになったり、読む対象を限定できるようになったりしたので今はもう良いが、人の心の声を聞きすぎたせいで若干人間不信だ。

 

 

 能力に加えて、私は容姿も東方Projectの古明地さとりによく似ている。

 今現在の私の年齢は十四歳なのだが、非常にかわいらしくて整った顔立ちであり、髪色はピンク色とも紫色ともとれる色。つまるところは、スーパーかわいい超絶美少女なのである。

 ……ただ事実を述べただけであり、自画自賛ではない。

 

 若干の差異はあるけれど、能力や容姿が古明地さとりにとても似ている。私は古明地さとりに憑依したのだろうか。或いは単なる偶然だろうか。まあ、別に真実が分かったところで私は私なのでどうしようもない。気楽にいこう。

 

 

 

 さて、私は今、とある高校の受験会場に来ている。その名も雄英高校。ヒーローになるための学科、ヒーロー科がある高校の中でも一番人気の学校だ。この高校を卒業すると注目されやすく、人気ヒーローになりやすい。

 

 そう、私もヒーロー志望なのである。

 

 なぜって?

 

 ――お金が欲しいから。

 

 本当は、人助けがしたいとか、ヴィランを野放しにはしておけないとか崇高な精神をお持ちの方がヒーローになるべきなんでしょうけど、生憎(あいにく)と私はそんな考えは持っていない。

 

 別に困っている人を見捨てたいってわけじゃあないけど、散々心の中で悪態ついている人をなんの見返りもなしには助けたくない。あの人(・・・)も見返りを求めても良いって言ってたしね。

 ヴィランについても、私と家族(施設の皆)に迷惑かけないならあんまり関心はない。

 

 自己中?

 

 まあそうだけど、いいじゃん。ほら、お金もらえるなら、人助けでもヴィラン退治でもするからさ。やらない善よりやる偽善っていうし。

 

 

 

 

 

 何やら異様にテンションの高い先生が説明していたが、さくっと試験の説明も終わり、今は実技試験会場に来ている。緊張した顔持ちで試験開始の合図を待っている者、余裕なのか周りの人と喋っている者などいろんな人がいる。

 

 まだかなー、と待っていると一瞬、スピーカーから小さなノイズ音が聞こえた。そろそろか?

 

《ハイ、スタート!》

 

 その声と同時に私は走り出した。どうやら他の皆は開始の合図と分からずに出遅れたようだ、ラッキー。

 

 しばらく走っていると『1P』と書かれたロボットが現れた。

 

「標的補足! ブッ殺ス!!」

「殺ス! 殺セ!」

 

 しかも二体だ。てか、物騒過ぎない? このロボット。

 まあいいや、ポイント貰っちゃいましょうか。

 

「本来なら、精神的に苦しめるのが楽なんですけど―― 想起「なんか良い感じに電気で身体強化」」

 

 すると私の右手がバチバチとまるで雷をその手に宿したかのように電気に覆われる。

 

 これは私の個性、心を読む程度の能力を応用した技だ。

 

 東方Projectの古明地さとりはサードアイを使い心を読むことが出来るが、能力の使い方はそれだけではない。ひと工夫することで、相手にトラウマを想い起させ、さらにそのトラウマを再現することが出来る。

 

 私も同じようなことが出来る。

 この世界にゲームのように弾幕を使う人はいないので、弾幕を再現することはできないが、私は相手が苦手とする個性を再現できる。

 

 ただし、再現できる個性は読み取ってから一日経つと、再度相手から読み取らないと使うことが出来ないなどの弱点もある。まあ、それでもかなり強いが。

 

 今使っている電気を手に(まと)う力は、私が住んでいる児童養護施設の管理人さんに協力してもらって(あらかじ)め読み取っておいたもの。

 

 管理人さんにトラウマを思い出させたのかというと、そうではない。私もそこまで人間的に終わっていない。

 

 別にトラウマじゃなくても個性を読み取るには、心に鮮明に思い浮かべてくれればいいのだ。

 管理人さんは以前に、ヒーローとヴィランが戦うところを実際に見たらしくて、その時のヒーローが電気を纏って戦っていたらしい。

 

「さて、ロボットは行動が読めない(・・・・)のでさっさと行動不能になってもらいましょうか」

 

 ロボットの顔にグーで殴り掛かると、その拳は易々とロボットの頭を破壊した。

 本来なら可憐で華奢(きゃしゃ)な私の力では殴ることでロボットを倒すことなど、東京タワーから目薬をさすくらい難しいことだろうが、想起した個性のおかげで簡単に倒すことが出来る。

 

 ふむ、事前にある程度練習しておいたけど、戦闘でもなかなか使い勝手いのいい個性だ。

 

「試験が終わったら管理人さんに改めてお礼を言いましょう。さあ、どんどん行きますよ!」

 

 

 そのあともロボットを見つけ次第、すぐに倒していき、今は69P稼げた。

 

 時間は残り三分ほど。

 あと少し、もうひと踏ん張りだと思ったその刹那、物凄い地揺れが起こった。

 

「うわっと…… まったく、なんですか一体。 ――これは…… なかなかどうして……」

 

 さながら怪獣映画のワンシーンのように建物を破壊しながら現れたそれは、あまりにも大きかった。試験説明の時に言われた0Pのお邪魔虫ロボット。こんなに大きいだなんて聞いてないぞ、おい。

 

「この広大な試験場もそうですけど、雄英はどこからお金持ってくるんですかね…… まあ、取りあえず――」

 

 逃げよう。それしかない。

 頑張れば倒せるかもしれないけど、0Pだし意味のないことはしない。というか面倒くさい。ただ働き、ヤダ、ゼッタイ。

 

「いったぁ……」

 

 ロボットが壊した建物の瓦礫に当たったのか、一人女の子が倒れている。どうやら足を怪我して動けないようだ。ヒーローなら無茶してでも助けるべきなんだろうけど、ごめん、我が身が一番可愛いんだ。せめて大怪我しないように祈ってるね。

 

 他の皆も倒れている女の子に気づいているようだが、我が身可愛さで助けることが出来ないでいる。サードアイで逃げている人を覗いてみても、皆逃げることで頭がいっぱいのようだ。

 

 

 巨大ロボットから距離をとる最中、ふと振り返ると一人の男の子がロボットに立ち向かっていった。何とはなしに、彼に注目していると、彼はおよそ人間の跳躍力とは思えない力で飛び上がり、力の限り拳をふり抜く。

 

「マジですか……」

 

 思わず口に出してしまった。そのくらい衝撃的だった。なんと男の子は拳一つで巨大ロボットを倒してしまった。

 

 

《終了~~!!!!》

 

 

 呆けていると終了の知らせが流れた。

 

 いやはや、それにしてもあの男の子はすごかったな。正義感もあるし、力もある。ああいう人がトップヒーローになるんだろうな。私には無理だ。

 

 結果的に私の最終ポイントは69P。上々の結果だろう。筆記もいい感じにとれてたし、ベストは出し切った感じだ。あとは結果を待つのみ。

 果報は寝て待て。疲れたし、帰ったらすぐ寝よう。

 




主人公の設定

名前:古明地さとり
性別:女
個性:心を読む程度の能力
備考:『心を読む程度の能力』は文字通り、心を読むことができる個性。また、相手のトラウマを再現し、相手のトラウマとなっている個性を使うことができる。ただし、トラウマ→読み取り→再現というように、他人の記憶に依らなければいけない。使えるのは読み取ってから一日以内。



2017/04/03 電気の個性を事前に使ったことがある、という描写の追加
2017/04/15 後書きの備考を追加
2017/08/29 軽微な修正

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