鴉か夜叉か   作:鮭愊毘

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吉原炎上篇
財布は尻ポケット以外に入れても要注意


「「あーっハッハッハァ!!」」

 

ある日のスナックお登勢で二人の笑い声が響く

 

「こ~んなちんちくりんが吉原一の女堕とすって~?」

 

「ガキガ発情シテンジャナイヨ!!」

 

お登勢とキャサリンは銀時が連れてきた少年"晴太"をからかっている

 

「家ニ帰ッテ、母チャンの乳デモ飲ンデナ!」

 

「笑い事じゃないですよ。これ昼間に見てる人いたらどうするんですか」

 

「細かいこと言うなヨ新八。もしかして、ガキに先越されて焦ってるアルか?」

 

「あ、焦ってねーしゅ!」

 

「焦ってねーしゅって何だヨ~?完全に焦ってるだろ噛んでるし」

 

「べ、別に?そんなことないし?ヤろうと思えばいつでもできるし?ヤらないだけだから僕の場合・・・じゃなくて、こんな子供がね?あんな町出入りするなんて」

 

 

「ガキじゃない。晴太だ 童 貞 」

 

 

晴太のこの言葉に新八の何かが壊れる

 

 

「テメェ!!今なんつったァ!!意味わかってんのかコノヤロー!!」

 

 

「落ち着くアル童貞」

 

「童貞なめんなぁ!!30歳まで童貞貫いた男はなぁ!ゴッドハンドと呼ばれ、何かすごいもんに転生できるんだぞぉ!!」

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

この少年・晴太は両親がいない。数年前まで自分の面倒を見てくれていた人も亡くなった。しかし彼はその亡くなった人の言葉

『お前の母は今も闇で輝いている』

で確信した。吉原一の花魁・日輪は自分の母だ と

しかし日輪は晴太が何度呼びかけても叫んでも彼を見ようともしない。だからひと時でもいい、客としてでもいいから会いたい。だからその為に金をスリなどで集めていたらしい

 

「そんなことして母ちゃん喜ぶと思ってんのかい?働きな。ここで。吉原の女買えるだけの金は出しゃしないがね、少しは足しになるだろうさ」

 

お登勢のこの言葉をきっかけに彼女の営むスナックで働くことになった晴太

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういやぁ近頃とんと見かけなくなったな。あの小汚ぇガキはどうしたんだい?」

 

「晴太のことか?」

 

一方吉原では二人の男が最近の晴太について話をしている

 

「そうそう。日輪に会うっつって毎日毎日金持ってきてたガキだよ」

 

「いやどうも最近ちゃんとしたとこで働いてるみてぇでな」

 

「えっ!?あんなガキ雇ってくれるとこあったのかよ!?」

 

「ああ。物好きもいたもんだねぇ。毎日はなくなったが今も週一で金持ってくるよ」

 

「で?いくら貯まった?」

 

「え?」

 

「金だよ。あんなに日輪を文字通り太陽のように拝んで持ってきてたんだ。一緒に茶できるぐらいの額は貯まっただろ」

 

「・・・・」

 

「まさか・・・!」

 

「元々無理だったんだよ。あんなガキが日輪に会うなんぞ。それにあの金、一杯ひっかけるのにちょうどいい額だったんだ」

 

「じゃあ一銭もないってわけか」

 

「そうだな・・・」

 

「「ダーハッハッハァ!!」」

 

男二人が高々と笑った瞬間、一部始終を聞いていた二人の侍が彼らを気絶させる

 

 

「姉ちゃん、いくらだ?」

 

髪の短いほうの侍が女性にこう言う

 

「お代は結構です。スッキリさせてもらったので。ところでお二人さん、晴太と日輪を合わせようとお思いで?」

 

「こっちは晴太に住み着かれてる身でね。身内でも探して引き取ってもらおうかと思って」

 

髪の長いほうの侍がこう言う

 

「金のないやつはどうやって日輪に会えばいい?」

 

こう短髪の侍・銀時が女性に問うとその女性は警告を出し、それを破ったとみなされたのか銀時と長髪の侍・銀平に向かってクナイを投げる。それを倒したものの、曲者として追われる身となる

 

 

 

 

 

その頃、同じように吉原に赴いた新八・神楽・晴太の三人。しかし彼らも突如上からクナイを投げられてしまう。その正体とは、吉原と吉原の法を守る自警団"百華"の"死神太夫"と恐れられる―――

 

月詠(つくよ)でありんす。以後、よしなに!」

 


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