翌朝、終の元に銀平からの返事が届く。
Zさん、あなたの思いよく伝わりました。
まずあなたが心配している『いきなり喋ると調子乗ってると思われるかもしれない』という問題ですが、確かに職場にはそう思ったり言う奴はいるでしょう。しかし彼らの言うことなど便と一緒に流してしまえばいいのです。気にすることなんてありません。
このように問題は一つ一つ落ち着いて解決していきましょう。
そして会話の事ですが、相手を見て、相手の話を聞いて、うなずく。これだけでも会話は成立します。そこに笑顔が加わるとさらに印象が変わります。
しかし、これだけでは会話はすぐ終わってしまいます。そのため、周りに被害が出ない程度に何かアクシデントを起こしてみましょう。カレーでいうスパイスです。
最後に、あなたは『自分は一人』と思っているようですが、本当にそうでしょうか?あなたの周りにはきっとあなたを認めてくれている人がいるはずです。もし職場にそういう人が誰もいなかったとしても、あなたのいいところをわかってる人はいますよ。ここに。
あなたは一人じゃない。これを忘れないでください。
「失礼します」
手紙を読み終えた終の部屋に阿腐郎が入り、茶をだす。これは桂の策略の一つであり、この茶には毒が入っているのだ。
そして終は手紙に書いてあることを実践する。それは笑顔である。
しかし彼の笑顔は確かに笑顔なのだが優しい笑顔ではない。殺人鬼のそれである。
(な、何だその笑顔は!?まさか、気づいているのか?!この無味無臭かつ肉眼での視認は不可能なはずの毒に!だがあの笑みは完全に気付いている!!)
桂が動揺を見せる。
終はその笑顔のまま湯呑を手に取る。
(笑顔で正面から受けて立つと!?……いや、あるはずがない!こんな不気味な笑顔があるはずなど!!)
次に終は手紙に書いてあった『アクシデントを起こしてみよう』を実践し、湯呑をテーブルに叩きつける。彼は湯呑の破片が顔に刺さり血だらけに。それでも例の笑顔は続けている。
「ももも、申し訳ありませんお茶熱すぎました淹れ直してきますぅぅぅ!!」
桂は恐怖のあまり逃げ出す。
(柱阿腐郎ってやっぱ桂かァァァ!!)
隠れて一部始終を見ていた銀平が心で叫ぶ。
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その翌朝、銀平の元に終わりからの手紙が届く。
あれから教えられた通りいつも笑顔でいるのですが以前にもまして人が近寄ってこなくなりました。その中には失禁者も現れました。下痢もひどくなりました。私は何か悪いことをしましたか
私のケツの穴が何か悪いことをしかしたか。
お返事ください
公務員のZより
「まぁ……こうなるわな」