鴉か夜叉か   作:鮭愊毘

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友はいつだってここにいる

辰馬が商談をしている裏で蓮蓬に袋叩きにされている銀平。しかし

 

「友のためとあらば星の一つや二つ平気で堕とす夜叉ぜよ」

 

次の瞬間、銀平は自分に被さる民を吹き飛ばし立ち上がる。

 

「このままではこの星も堕ちる。じゃが、手を組めば地球だろうとどこの星だろうと堕としに行ってやろう」

 

ついにライトドラゴンは辰馬に剣先を向ける。

 

[手をくめだと?この星に攻め入った貴様らと?ふざけるな!]

 

「このままでは、お互い無駄に戦力を削るだけ。代金として、地球人が代わりに住む星を提供してくれるなら、そっくりそのまま地球を明け渡して見せる。星なんぞはただの入れ物じゃ。星がおって人が在るじゃなか。人が在って星が在るんじゃ」

 

ーーーー

 

[攘夷志士?そんなものは調査データになかったぞ]

 

こちらは米堕卿。銀平らが戦う所を見て部下に彼らを殲滅するように伝える。

 

[か、閣下!]

 

[後ろ!]

 

米堕の後ろにはエリザベスのような顔をした雲がかかった地球。それが突然笑い、消えていった。そして

 

我が母なる星へ 我が友へ 宇宙より 愛をこめて

 

という言葉が浮かび上がる。

 

 

[どうやら潜り込んでいたのはネズミだけではなかったようだ]

 

すると次の瞬間、米堕の前に一機の頑侍が現れる。

 

[謀ったな]

 

 

「[謀ってなどいないさ あの星に描いた紙芝居こそ スパイでも将軍でも蓮蓬でもない]

 

エリザベスの、最初で最後の偽りのないプラカードだ!」

 

こう言うと江蓮の頑侍は米堕のいる所を右腕で粉砕する。

 

ーーーー

 

[え、江蓮将軍が……裏切り!?]

 

基地内は混乱状態が続く。侍の襲来、そして江蓮の裏切り。彼は「無駄死にするな」とメッセージを残していた。あの桂の乗った頑侍の大爆発も彼が行ったもの。戦艦も次々に爆発する。彼は元凶たる米堕を止めるため、蓮蓬と地球を護るため、この二つを裏切る道を選んだのだ。

 

ーーーー

 

[なるほど]

 

江蓮の頑侍は米堕を貫いた腕を引き抜く。

 

「[将軍の地位になったのも 全てはこのためか]

 

 

江蓮、この程度で、我が首が取れると思ったか」

 

しかし米堕は生きており、口からビームを発射する。

 

「何も変わりはしない!地球の運命も、蓮蓬の運命も!地球でいらないものまで拾ってきたか」

 

お互い一歩も譲らない戦いだが、頑侍の頭部を破壊されてしまう。

 

「たかがメインカメラをやられただけだ!」

 

米堕にチョップを入れる江蓮の頑侍。

 

「笑わせるな!江蓮、死んでいくのは貴様一人だけだ!愛する者のために愛する者を偽り、裏切り続け、地球、そして蓮蓬さえも捨てた!」

 

「ッ!」

 

爆発を逃れた戦艦が江蓮を囲む。

 

「何も護れず変えられず、ただの裏切り者として消えろ!江蓮ッ!」

 

さらにビームを発射する米堕。頑侍が爆発したかと思った次の瞬間、その中から腕が伸び、米堕を握りつぶそうとする。

 

「江蓮!貴様ァァァァ!!」

 

装甲が剥がれたコックピットから江蓮を視認し、彼にビームを撃つ。江蓮は左腕のシールドでそれを防御している。

 

ーー米堕、お前の言うとおりだ。俺は自分を偽り、仲間を裏切り、ついに自分が何者かさえも忘れちまった。例え帰る星が無くなっても、例え自分が何者でも無くなっても、俺は桂さんの友として死ねるならそれでいい!!

 

「ならば死んでゆけェェ!!友など居ぬこの闇の中でェ!」

 

次の瞬間、米堕の額に刀が刺さり、真っ二つに切り裂かれる。

 

「友ならば、ここにいるぞ!どんな闇であろうと、どんな銀河の果てだろうと、お前の背中は俺が護ると言ったはず!」

 

「ヅラ……さん?」

 

「ヅラじゃない桂だ」

 

再開を喜ぶ二人。しかし、遠方からのビームにより、頑侍の左腕が吹き飛ばされ、真っ二つに斬ったはずの米堕が復活する。

 

「こいつ!機械仕掛けか!」

 

「撃てェェェ!!このネズミどもをまとめてチリにしてしまえェェ!!」

 

米堕の一声により、戦艦は一斉にビーム砲を発射する。

 

 

 


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