辰馬が営む"快援隊"の艦船 快臨丸に搭乗した銀平と桂(エリザベス救助隊)。そこでもう一人の戦友との再会をすることになる。
「……ん?坂本、そこの男はまさか……」
「お?兄者のことか?」
「兄者?……権瓶!あの"攘夷四天王・三羽烏計七人の中で唯一異名といった異名がない志士"こと坂本権瓶か?!」
桂がこう言った瞬間、彼の頭上を銃弾が通過する。
「小太郎……テメェ……」
「今のはじょ、ジョークだ!すまん、お前名前の二文字目の通り
三羽
「「……」」
「アハハハ!!」
桂のジョークは言った本人と辰馬しか笑っておらず、他は地球のニュース番組を閲覧していた。そこには、突然降って来た雨に当たった人たちが次々にエリザベスのような顔になり、プラカードでしか会話ができなくなった光景だった。
「これは……!」
「"種"が芽吹いたんじゃ。奴らの蒔いた種が。このままでは地球は蓮蓬の手に落ちるぜよ」
「え?なんでそんなことを……?」
フミ子が疑問を抱く。
「アハハハ、ハハハ。宇宙を股にかける快援隊じゃ。それぐらいの情報知っちゅうて当然じゃき。
そもそも、あの化け物どもを地球に連れ込んだのはわしじゃき。アハハハ!」
カミングアウトという名の爆弾を投下する辰馬。
何故こうなったのかを快援隊の航海日誌を元に説明する。
~快援隊航海日誌 〇月✕日~
某国要人を快臨丸に迎え入れ、商談。
「……」
辰馬は紙袋の中にビニール袋を入れた嘔吐物用の袋を持ち、ダース〇〇ダーのような要人を前に……
「オロロロロ……」
嘔吐。そして
「……」
「よし、交渉成立じゃき」
「えっ」
一時間余りの無言の会談の中、商談成立。
ーーーー
「おい坂本、大丈夫か?色々と」
「大丈夫じゃ。お互い腹ん中見せあったきに」
「おまんの場合は腹の中というよりは胃の中と言ったほうが正しいぜよ。それより……
あの白いペンギンもどきは何だ」
陸奥は快援隊に運ばれてくる人間大のペンギンを見てこう言う。
「荷じゃ。あれを地球まで運んでほしいと」
「そんな話いつしちょったんじゃ」
「お前が厠に行っとる間に……」
辰馬は地球にバツ印がつけられた絵が描いてあるプラカードを陸奥に見せる。
「こ~んなプラカードを見せてくれたがよ」
「地球にバツ印?」
「おそらく、これは地球に危機が迫っていることを示した図ぜよ。
それで……」
次に辰馬は先ほどの要人が地球を我が物にしているように見えるものが描かれたプラカードを見せる。
「その危機から地球を護りたいらしい」
相変わらずのポジティブシンキング辰馬。
「そうなのか?どうみても別のことをしているように見えるんじゃが」
さらに彼は人間が白いペンギンに追いかけられている絵が描かれたカードを見せる。
「そのためまずは彼のペットを地球ば送り、番犬にするそうじゃ」
「番犬というより人に襲い掛かっているように見えるんじゃが」
「散歩中で飼い主もはしゃいでるんじゃろ」
「わしゃまっこと感動したぜよ!涙が止まらオロロロ……」
「それ涙じゃなか」
そして涙を流し嘔吐する辰馬。
「地球のことをこんなにも思うてくれる天人がおったとは……わしら快援隊の役目は商いを通じて地球人と天人が共存できる道を探すことじゃ。
地球キャバクラのポイントも貯まっとるし、この商い、わしがやらずして誰がやるんじゃあ!いざ行かん!母なる星……すまいる……地球へ!!
地球の未来は明るいぜよ!待ってておりょうちゃん!アハハハ、ハハハ……」
ということがあったらしい……