鴉か夜叉か   作:鮭愊毘

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蓮蓬篇
字だけでは伝わりにくいものもある


「[探さないでください]と書かれたプラカードがエリザベスの部屋から見つかったのだが……何を探さないでなのかこう考えてる時点で探していることになっているかもしれないしそもそもなんでいきなりこんなもの置いて消えたのかこう考えてるだけでもやっぱり『探すな』に反しているのか……どう思う?銀平」

 

「あー……家出?」

 

「え、エリザベスがいいい、家出だとぉ!?」

 

ここはとあるレストラン。そこで銀平は桂の話を聞いていた。彼の話によると突如自分の相棒であるエリザベスが消えた という。

ちなみにエリザベスとは、辰馬が勝手に桂の元に置いて行った謎多き生き物である。

 

「俺達の間には仲違いする原因などなかった!お前も見てただろう!」

 

「いや、あんまり見てないけど」

 

「エリザベスを最後に見た時だって……見た時だって……最後に見たの、いつだっけ?」

 

「おい」

 

「銀平、『おい』とは何だ!もっと新八君のように激しくうるさくつっこまんか!」

 

「だったら本人を連れてくればいいだろう……っつーか、なんで俺だけ?あの三人も連れてくればいいじゃん」

 

「いや最初はそうするようお願いしたぞ。それぞれが単独の時一回ずつ、三人が揃っているときに一回、計四回も頭を下げた。……答えは全てNOだ。

 

 

それに刄までどっか行きやがってェェェェ!!うおぉぉぉぉ!!」

 

いきなり叫びだす桂。しかし叫んだ場所が場所だったので……

 

「お客様、ほかのお客様の迷惑になりますので、お静かにお願いします」

 

「あ、はい。すいません」

 

ーーーー

 

その後銀平は桂と共に彼の隠れ家へ向かった。そこの押し入れにはこれまでのエリザベスの使っていたプラカードがズラァァァァっと並んでいた

 

「ズラじゃない桂だ」

 

「誰に言ってるんだ?」

 

「地の文だ。それより、これをたどればエリザベスの行方、家出の原因が分かるかもしれない。それっぽいものがあったら教えてくれ」

 

桂に言われた通り、プラカードを漁っていると銀平は[いいや誰でも]というプラカードを見つける。

 

「桂、これ」

 

「おお、懐かしいな。確かこれは……」

 

 

こだまでしょうか?

 

[いいや誰でも]

 

O~C~

 

 

「ううっ……このCMが流れるとこれと俺のO~C~が通例だったのに……今ではこだますら返ってこない……

 

いいぞ……その調子だ……ううっ」

 

次に銀平は[れんほうってどんな漢字でしたっけ][それは〇〇〇〇〇と同じ床屋で刈り上げたんですか]というプラカードを発見。

桂はそのうちの二つ目に注目する。

 

「これは……」

 

桂の記憶が少しずつ蘇っていく。この[それは〇〇〇〇〇と同じ床屋で刈り上げたんですか]というプラカードは、フミ子というお婆さんの

 

 

 

『それでは、[それは〇〇〇〇〇と同じ床屋で刈り上げたんですか]始まり始まり~』

 

 

 

紙芝居のタイトル部分だった。プラですらなかった。

 

 

「……これ以上思い出すと……頭が……」

 

桂は頭を押さえながらさらに過去を思い出そうとする。

 

 


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