「うちはなんか、『副長を解放する』とかなんとか言われて、そのうえこんな恥ずかしい衣装着て走れって意味わかんないでしょ?」
「・・・・?」
「銀平さん?俺ですよ、真選組と真挑組の合同訓練の時に一緒にいた、山崎ですよ」
「あー、あの時の・・・」
のんきに会話する銀平だったが、新八が急かしてくるので先を急ぐことに
「じゃ、俺達は行ってるわ」
「山崎さんもがんばってください!」
こう言って歩くスピードを早めた二人
「ちょ、ちょっと!今急いでも遅いですって。ビリですよ。俺で」
「「・・・・・」」
次の瞬間、二人はタカチンを引きずりながら走り出した
タカチンの引きずられている足に一匹の犬が噛みつく
「それに大丈夫なんですか?何か死肉を漁りに来た眼してる犬がいるんですけど」
「あー!こいつ犬飼ってるから!懐かれやすいんだよきっと!」
「いや・・・鎌持った変なおっさんも来たんですけど大丈夫ですか?」
山崎がタカチンの足に絡まったゴミにしがみ付く死神(?)を指さす
「大丈夫だよ!きっとお父さんなんじゃないかな!?応援に来てくれたんだね!」
「いやでも・・・背中に翼生えた変なおばさんも来たんですけど大丈夫なんですか!?」
「お母さんだね!夫婦そろって応援に来てくれたいい家族なんだね!!」
さらに天使らしきものもしがみ付いてきたが、それを剥がそうと新八が奮闘する
そして天使と一緒に袴が取れる
「ちょっとォォォ!!なんかもうむき出しなんですけどォォォ!?」
「大丈夫だから!まだいろんな意味で帽子かぶってるから!それに読者には字しか見えてないから!」
「銀平さんンンン!!カバーもう無理です!タカチンの身が持ちません!!」
「・・・新八、刄、先に行け。俺はタカチンを一旦、病院に連れて行く!」
「でも!泌尿器整形外科ですよそこ!ナニを治療するんですか!?」
「一旦病院に?そりゃ無理な話だろう」
走る新八と刄を見てこんなことを呟く山崎
「おー、あれなら行けんじゃね?」
「早ッ!?」
そして山崎と並走する銀平
「あのけが人は!?まさか捨てて・・・」
「違う。『治療が終わったら駆けつける』って言われたから」
「またまた~。そんな時間稼ぎして何になるんです?」
「あ、来た。おーい」
「え?」
銀平が後ろを向き手を振った先には
「大事にならなくてよかったな」
金髪で勇ましい体をし、右手にフランスパンを持った
「タカティン」
タカティンがいた
「誰ェェェェェ!?この太々しい外国人誰ェェェ!?」
「は?さっきまで泌尿器整形外科に世話になってたタカティンだよ。忘れたか?タカティンといえば、あのフランスパンのようなリーゼント」
「ただフランスパン持ってるだけだろうが!せめて頭にのっけてこいよ!というか何で棒立ちなんだよ!なんでフランスパン立ちなんだよォォォ!!」
「Time is money」
「そうだよな、急がなくちゃな」
「今英語喋ったよね?もうモノマネする気ないよねフランスパン食べてるし!」
「OK!フランスパーン!」
「何がだァァァ!!
とにかく、これは大会側に通報しておき――」
山崎がこう言った瞬間、彼の頭をフランスパンで叩くタカティン
「My name is タカティン。OK?」
「お、OK・・・」