男はむさ苦しいところで輝くもの
「いやー、やっぱお通ちゃんのライブは最高だねぇ」
大江戸ドーム。ここでは先ほどまで寺門通のライブを行っていた
「でも、神曲 お前のじいちゃん自転車立ちこぎしてた がアコースティックバージョンになってた所が少し不満だったかな。アレンジもいいけどやっぱ原曲が聞きたかったねボクは」
「拙者としては、ライブ後のサイン会の時のサインをもうちょっと大きくしてもらいたかったでござる」
寺門通親衛隊ももちろんこのライブに来ており、今彼らはライブの感想を言い合っている。しかし
「新ちゃん?さっきから静かだけどどうしたの?楽しくなかった?」
「いや・・・今日はお通ちゃんのライブ。我々寺門通親衛隊にとってなによりも重要な日。なのに・・・
何でたった五人しか集まってねぇーんだァ!!」
次の瞬間、新八は軍曹を鼻フックで持ち上げる
「軍曹!寺門通親衛隊隊規 82条を言ってみろォ!!」
「"お通ちゃんのライブはたとえ親の葬式であっても必ず参加すべし(姉上の葬式は可)"
でありますぅぅ!!」
「そうだァァァ!!なのに何だこの体たらくは!他の隊員はどうした!貴様ちゃんと連絡網回したのかァァァ!!」
「ち、違うんです隊長!これは―――」
すると、軍曹の服から大量の『除隊願い』と書かれた文が落ちてくる
「・・・やめたのか。僕に黙って・・・親衛隊を・・・やめたのか
ふざけんなァァァ!!ぶっ殺してやる!どこのアイドルだ!どこの腐れアイドルに鞍替えしやがったんだあいつらァァァ!!」
「お、落ち着くでござる!隊長殿!!」
「落ち着けるかァ!!」
突然走り出した新八を止めようとする刄。それでも新八は止まらない
「これに、これにお通殿は関係無いでござる!だから、その人殺しのごとき目をやめるでござるぅ!」
「河上氏の言うとおりだよ志村氏」
「俺達が出て行ったのは、お通ちゃんのせいなんかじゃない」
「志村氏ぃ、君のやり方が気に食わないだけだ」
そんな新八の前に、謎の右ひじを守っているような姿勢をしている集団が現れる
「何だお前ら!?気持ち悪ッ!」
「志村氏、もう君のやり方では誰もついては来ない。これからはボク、ボクが率いる
"通選組"の時代なのだよ」
「お前は・・・トッシー!」
寺門通親衛隊、それは一般人、攘夷志士関係無く所属し、寺門通を愛するための組織。
ライバルと言える組織もなく、堂々としていた彼らの前に、とある人物が現れる
真選組鬼の副長 土方十四郎が妖刀のせいで目覚めてしまったもう一つの人格"トッシー"だ
彼はそのカリスマ性で次々と親衛隊の隊員たちを引き寄せ、"通選組"を結成。親衛隊はもう崩壊したも同然―――
しかし、親衛隊隊長 新八は諦めなかった。彼はトッシーに打ち勝つため、各地から人員を集めるのであった
次回 『銀さん ストパーになるの巻』