Metal Gear Fate/ Grand Order   作:daaaper

8 / 29
どうもお久しぶりです、そしてさようなら、daaaperです……(−_−;)

今回の投稿をもちまして、今年の投稿はほぼ終了になるかと思われます。
今後の活動に関しては活動報告にてお知らせしてますので、お時間あればそちらもご覧下さい。

それでは本編どうぞm(_ _)m


戦力増強(ガチャ)

 

人類最後のマスター、藤丸 立香が目を覚ましたのはカルデア爆発から始まり、冬木での騒動が解決してから1日たった正午だった。

幸いにもレイシフトは無事に完了し、五体満足で帰ってこれた。

そして、死んだとレフ教授に宣言されていたオルガマリー所長も、何故か無事に生還し意識を取り戻していた

 

こうしてカルデアの主要メンバーが無事に復帰したことで、一旦状況確認と今後の方針を決めるために一同はスネークを除いてカルデアの管制室に集まっていた。

 

「マシュも無事そうで何よりだよ」

 

「私も先輩が目覚めて良かったと思ってます」

 

「…………………」

 

「そう言えばマシュは、スネークと訓練してたんだって?」

 

「はい、私はまだまだ未熟なので色々と教わろうと思います」

 

「…………………」

 

「……俺もマシュに迷惑かけない程度には鍛えなきゃなぁ」

 

「先輩はマスターなんですから戦う必要はないんですよ?」

 

「…………………」

 

「あー……2人とも、そろそろスネークも来ると思うから話もほどほどにね」

 

『わかりました』

 

「……悲しいわ」

 

「所長!?」

 

「・・・ホォ〜」

 

そんな集まったメンバーの中で、2人で話していたマシュと立香は周りのスタッフのある意味癒しにすらなっていた……が、その中でただ浮かない顔を浮かべていたオルガマリーは唐突に発言した内容をロマニを焦らせた、ついでにダ・ヴィンチにネタを提供した。

そして、こんな状況でも手を休めることなく数少ないスタッフ達は作業に徹していた。

 

そんな雰囲気の中、管制室のドアが開き1人の男が入って来た。

 

「すまない、だいぶ遅れ——」

 

「あーーなーーたーーねぇ!!」

 

「……どうしたいきなり」

 

「どうした?じゃあ無いわよ!!」

 

「……おい、誰か説明してくれ。

別に俺は彼女を助けたことを誇るつもりは無いが、怒られる理由も無いはずなんだが」

 

「あー……それはねぇ」

 

「ヒントはマリーは小心者ってことかな」

 

「っ!」

 

「……ぁあ、“奴”に会ったのか」

 

「っええ会いましたよ!確かに会いましたよ!!

助けられたことには感謝してますっ!けど!幽霊に会わせるってどういう事よ!?」

 

「えっ?幽霊??」

 

「…あのなぁ、別に悪霊じゃ無かっただろ、それにお前さんのは俺はあくまで仲介人に過ぎないぞ。

俺の力じゃどうしようもなかったからな、マスターの令呪を使って力を貸してもらったに過ぎない。

文句は受け付けるが……別に助かったなら良いだろう」

 

「いやっスネーク、所長の命を助けてくれたのは僕たちとしても感謝しか無いけど……紹介相手が幽霊って大分嫌だよ」

 

俺には力が無いから力を借りた、まぁ相手は幽霊だがよろしくな。

……確かに喜べる内容では無い、しかも説明も無しに突然そんな事をされれば……まぁ怒りたくもなる。

 

ただ彼女の言動が、命を助けてくれた恩人に向ける物かはまた別問題だが

 

「まぁまぁ、マリーもスネークを責めるのはそこまでにしておきなよ。

少なくとも今の君は怪我も無い、魔術回路も生きている、それに君は……殺されかけたんだ、文句は言えないよ」

 

「……………………」

 

「おいおい、そう気にするな、助けようが見捨てようが文句は言われるもんだ。

生きてりゃ大体どうにかなる、それにさっきも言ったが俺は紹介しただけだ、力を借りただけだ。

それにこれからしばらく俺は世話になる方だ、事態も随分とデカイみたいだしな。

対処するのはマスターやサーヴァントである俺やマシュだが、その対処法を示すのはその嬢さんだろ?

なら上からの文句として受け取っておくだけだ」

 

「おやっ?怒らないのかい?」

 

「助けた奴から怒られるのは慣れてるんでな」

 

「……まぁ、助けてくれてありがとうございます、未だに信じられないことが多すぎるけれど……」

 

「そうだね……それらを含めて、立香くんにも関係あることだ、今の状況を確認しよう。

レオナルド、メインパネルを」

 

「はいどうぞー」

 

管制室のデカいメインパネルに拡大されたカルデアスが映し出される。

……それは最早地球模型と言うより太陽だが、それを映し出し、ロマニは状況をこの場の全員に説明した。

 

「冬木の特異点は立香くんのおかげで消滅した……が、代わりに新たな特異点が7つも発見された」

 

「7つも!?」

 

「……あのレフって奴が言ってた焼却、って言うのはあの街みたいに過去で街を破壊する事なのか?」

 

「いいや、そんな物じゃない。

おそらく人類の歴史そのものを破壊・改変する事で時空の乱れを生じ……やがて歪ませ人類史そのものをこの世界から消し去る物だと思う」

 

「まるでSFみたいだが……そんな悠長なことを言ってる暇は無いということか」

 

「・・・あれ、じゃあ何でカルデアは無事なんですか?」

 

「カルデアスのおかげだよ、カルデアスの磁場でカルデアは守られいるんだ」

 

「だが相手は時空を歪ませてるんだろ、いつまでその守りも持つんだ?」

 

「……7つの特異点の歪みがカルデアそのものを飲み込むまでになるのがいつまでかはわからない。

ただ、もっても多分……2年かな」

 

「2年……ですか」

 

「現在、カルデアのスタッフも8割近くやられた。

今も特異点の捜索・特定を行ってるけど、おそらく7つの特異点を特定するのは2年あれば十分だと思う。

ただ、7つの特異点を解消するのに2年で終わるかはわからない」

 

「ロマンの説明に付け加えれば、これから君が相手にするのは歴史そのものだ……君に人類の未来を背負う覚悟はあるかい?」

 

「……何か質問はあるかな、藤丸くん」

 

「……先輩」

 

はっきり言ってしまえば、この特異点を解決できるのはマスター適正があり、レイシフトが可能な藤丸立香

ただ1人。

だがそれは少年1人に背負わせるにはあまりにも大きすぎる案件、仮に大人だとしても、1人で解決できるような代物では無い。

 

 

 

時代を遡り歴史そのものを修復する、出来なければ人類は焼却され滅亡する

 

 

……滅亡の前に絶望するだろう

 

 

 

 

 

「うーん……けどまぁ、俺に出来るならやらなきゃダメでしょう」

 

 

 

 

 

だが案外

 

 

この少年は色々な意味で強かった

 

 

 

 

 

「っあなた!これからやる事わかってるの!?」

 

「詳しくはわかりませんよ、けど細かい指示は所長やここにいるみんなが出してくれるんですよね?

だったらあとは俺がそれを実行する、それだけでしょう?」

 

「それだけって……」

 

「それに、本当に俺だけだったらどうにもなりませんけど、実際にはマシュやスネークさんもいる。

それにここにいる全員がいれば特異点の解決ってどうにかなるんじゃないですかね?」

 

『…………………』

 

 

 

この少年の発言は何の根拠もなく、楽観の一言に尽きる

 

だが、1つ断言できるのは

 

今の言葉にここにいる多くの人間の心を救ったことだろう

 

 

 

「ハハハ!やっぱり君は主人公力があるねぇ!!」

 

「えっ?」

 

「随分と一人前な事を言うじゃないか坊主……いや、マスターか。

まあ確かに、お前の言う通りここにいる面子がいれば案外どうにかなるかもしれんな!」

 

「はあ」

 

「先輩……私は先輩がいてくれて良かったと心から思います。

改めてサーヴァントとして、先輩のために全力を尽くす事をここで誓います!」

 

「うん、俺としては誓われてもアレだけど……よろしくね、マシュ」

 

「はい!」

 

「……これは僕の思い過ごしだったかな」

 

「いやいや、流石の私もこれは予想外さ、君が予想できるわけが無い。

……どうやら私たちは幸運にも中々のマスターが生き延びたらしい、これはレフも予想してないだろうね」

 

「……お気楽過ぎよ本当にっ、考える方の身にもなって欲しいわね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

 

 

 

 

 

 

かくして

 

カルデアは正式に人類史保護のため

 

所長であるオルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアの指揮の下

 

レイシフトによる人類史の保護及び、奪還

 

そして各年代の聖杯と聖遺物の回収を実行する

 

歴史そのもの、幾多の英霊・英雄が相手となる戦い

 

とても人が扱い、行える業では無い

 

 

 

だが後に、このデタラメで無茶な戦いを実際に担ったマスターは語る

 

 

 

 

「俺1人だったらそもそも冬木で死んでましたけど……仲間が居れば何事もどうにかなると思いました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

 

 

 

 

 

 

こうして、ダ・ヴィンチ曰く主人公力のあるマスター藤丸立香によって人類守護のため、

Grand Orderと呼ばれる運命と戦う禁断の儀式が始まった。

 

 

だが彼らが相手にするモノの本当の意味と壮大さを知るものはこの時はまだ居なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……が、戦闘においてプロフェッショナルである英雄が召喚されたカルデア。

その英雄には真の英雄譚など存在せず、騎士の様に戦いに尊大な誇りを持っている訳でも無いが、こと戦闘においては数多の英雄よりも戦術的にも戦力的にも考え・行動することが出来る人材だった。

 

そのため、自分のマスターによって鼓舞されたカルデアに関しては安心していた。

……安心はしていたが、このまま進めてもあまりにも戦力不足であるのは明らかだった。

 

・基本的に絶対的な奇襲を基本とするスネーク

・火力の代わりに圧倒的な防御力を兼ね備えるマシュ

さらにマシュに関してはスネークによってより強固なものとなる為、現状でも守りにはあまり問題は無い。

だが今の実働部隊にはあまりにも火力が足りない、そもそも相手が聖杯を持っている以上何人でも召喚できると言うのなら人数があまりにも少な過ぎる、何よりサーヴァントを相手にするには今のメンバーでは決定打が欠けていた。

 

 

「それで、サーヴァントを召喚する必要があるだろ?」

 

「それに関しては抜かり無いわ、ここにはちゃんとした英霊召喚システムがあるのよ」

 

「ここで英霊召喚を行うんですね……そう言えばマシュに宿ったサーヴァントやダ・ヴィンチちゃんもここで召喚されたんだよね?」

 

「そうだよ、もっとも私が召喚された時はまだシステムが安定していなかったけどね」

 

「安定とかあるのか?」

 

「まあね、最初はよくわからないゴミなんかが出たしね」

 

「……英霊を召喚する為の物だよな?」

 

「だからこそ私は興味を持ったんだけどね!」

 

「どうしましょう先輩、せっかく集めた聖晶石がゴミと化すのは私は嫌なんですが……」

 

「いやっそれは……誰でも嫌だと思うよ」

 

その為まずは、1つ目の特異点に行く前に戦力増強の為にも何人かの英霊を召喚する運びとなった。

前回、スネークを召喚した時は緊急措置としての召喚だったにも関わらず正常…………かはいささか疑問だが、それでも召喚には成功した。

システム・フェイトの仕様上、召喚直後はある程度弱体化はされているがその分、霊基再臨という儀式を行うことで生前の、それこそ生身で全盛期だった実力を発揮することが出来る。

 

その召喚のためにはカルデアの電力と聖晶石と呼ばれる石で魔力を精製するだけで良い。

本来の聖杯戦争での召喚は聖杯からの魔力供給があるため、魔法陣を描き令呪が刻まれたマスターと呼ばれる者が決まった詠唱を読むことで召喚される、この時マスターは召喚のための魔力消費はないが、自分のサーヴァントを維持させるための魔力を供給するためにパスを作るため、それなりの魔力消費が発生するため、マスターには一応の負担が発生する。

 

だがここカルデアでは、マスター自身は一切の魔力消費が発生しない。

召喚はもちろん、サーヴァントを現界させるためやサーヴァントの真骨頂とも言える宝具を発動する時に必要とする魔力すらカルデアの電力によって賄うことが出来る。

さすがに聖杯のような無限供給みたく、宝具の連続開放は令呪を切らない限り無理だがそれでもマスター自身の資質に関係なくサーヴァントを運用することを可能にしている。

一般人である立香がカルデアに呼ばれたのも、魔術師でなくともマスターとしてレイシフトが出来れば誰でも良かったと言う召喚システムの優秀さも理由としてはある。

 

「しかしですよ先輩、こうしてダ・ヴィンチちゃんがここに来ていると言うことは、そう言う可能性もあるという事では?」

 

「……マジかぁ」

 

「違うな、この天災は面白そうだから来ただけだろう」

 

「随分と失礼なことを言うなぁ、確かに面白そうな気がしたから来たのは確かだけど万が一の可能性が有るからね、こうして立ち会う必要があるのさ」

 

「まぁレオナルドと同じ理由で僕も立ち会うんだけどね」

 

「私はここの所長だから当然よ」

 

「……一箇所にここの重要人物が集まるっていうのはどうなんだ」

 

「まあ俺は構わないですけど、なんか緊張するなぁ」

 

「まぁまぁそう固くならなくて良いよ、君は石をここで投げるだけで良いんだから」

 

その固くさせている原因であるダ・ヴィンチちゃんがニコニコと語りかける。

実際その通りではあるが、お前が言うなとロマニとオルガマリーは心の中で思っていたとか何とか。

 

「それで、あの綺麗な石はどこに……?」

 

「私が持ってるわ……もっとも、カルデアの倉庫もある程度やられて残ってる聖晶石はこれだけよ」

 

「8個かぁ……なら2体かな」

 

「4個で1人のサーヴァントを呼べるんですか?」

 

「本来なら電力だけで十分なんだけど、今のカルデアは自家発電だけで賄ってる。

さすがに召喚にだけ電力を割くわけにはいかないから、この魔力の篭ってる石で魔力を補う必要があるんだ」

 

「なるほど……」

 

「ああ、それ魔力の結晶だったか、ならちょうど4つ持っているぞ」

 

「本当ですかっ!?」

 

「ああ、あの洞窟で爆薬を仕掛けている時に見つけてな。

ちょうど4つ、それぞれ洞窟を支えていた部分に光っていてな、何かの罠かと警戒したがダイヤモンドにも見えてな、爆薬を設置しながら回収しておいた、これだろ?」

 

そう言ってスネークの手から出てきたのは確かに魔力が篭った聖晶石だった。

 

「うん、確かに聖晶石だね、これなら3体のサーヴァントを召喚できる」

 

「……あなた、幸運はEじゃなかったの?」

 

「そう言われてもな、有ったものを拾っただけなんだが」

 

「あっそう、けどこれで最低限の戦力は確保出来るわね」

 

「じゃあ石も集まったことだし早速始めようか、マシュ、盾をサークルの真ん中に置いて」

 

「わかりましたドクター」

 

そう答えてマシュが盾を召喚サークルの真ん中に置く、ちなみに彼女の格好は戦闘姿で露出が高めだが、彼女の盾はれっきとした宝具であり、触媒として様々な英霊の呼び寄せる呼び水としての働きを担う事が出来る。

 

「……あのスネークさん」

 

「スネークで構わん、どうした坊主」

 

「今必要なサーヴァントに攻撃力が必要なのはわかるんだけど……どんなサーヴァントが今は必要なの?」

 

「そうねぇ……遠距離攻撃の出来るアーチャーと前衛でランサーかしら?」

 

「……確かにそうだな、だがクラスの話を抜けばとりあえず足が速い奴は欲しいな」

 

「どうしてですか?」

 

「足が速いだけで偵察・奇襲・陽動、この3つを戦術として選ぶ事ができる。

俺も出来なくは無いが2人いればこの精度も高まる、どっちかが交代で常にマスターの横に居ながら偵察に走ることも出来るしな、まぁそれも含めるとランサーが都合が良いのは確かだ」

 

「じゃあまずはランサークラス、ですね」

 

「おいおい立香君、まるで自分はサーヴァントを選べるみたいな口ぶりだね?

まさかとは思うけど、サーヴァントの名前を言えばそのサーヴァントが出てくるとでも思ってるのかい?」

 

「いやぁ〜いくら主人公力が強い君でも……意外と出来るかな?」

 

「……レオナルド、からかうのもほどほどにね」

 

「いやっ俺、自分が欲しいものはあんまり当たらないんですけど、人が欲しいものって大体簡単に手に入るんですよ」

 

『・・・はっ?』

 

「いや、俺も不思議だとは思うんですけど、修学旅行で友達が美ら海のガチャを5回もやったせいで百円玉が切れて、代わりに俺がガチャを引いたら1発でその友達が欲しいのが出ましたし。

あとは毎年、人が多くて面倒くさいんですけど親と一緒に福引に行って大体2等か1等の商品が当たります。

他にもゲームセンターで15分くらい暇でメダルゲームしてたらジャックポットを引き当てたんですけど、時間が来たんで隣にいた家族連れで来てた子供にその台を譲ったりとか………ドクター?どうしました?」

 

「…………まあアレダヨォ!?!これはそんな安っぽいガチャガチャじゃなくて英霊の召喚ダシィ!

そんなご都合主義よろしく思い通りサーヴァントが出てくる訳が無い!そうだよねダ・ヴィンチちゃん!?」

 

「そうだ!世の中そんなに物欲センサーが仕事なんてする訳がナイヨッ!!」

 

「ド、ドクター!?目に光を取り戻して下さい!?ダ・ヴィンチちゃんもっ?!」

 

「……俺、なんか変なこと言ったかな?」

 

「まあ・・・なんだ、なんか有ったんだろ」

 

「はぁ・・・これだからダメ人間は……」

 

片方は《マギ☆マリ》のチケット抽選に敗れ、また片方は某運営を執拗に恨んでたりする。

特に某運営への恨みに関しては多くの同志がいる模様だが、それをスネークやオルガは知らない。

 

「……とりあえず坊主、これ以上面倒くさくなる前にさっさと終わらせるぞ、マシュを助ける意味でもな」

 

「そうだね……じゃあとりあえず1回目!」

 

 

そう言って4つの聖晶石を立香が召喚サークルの真ん中に投げた

 

 

するとスネークを召喚した時のように光が辺りを照らした

 

 

その光のおかげか、ハイライトが消えていた2人の目にも光が戻った

 

 

やがて光は収束し人影が見え始めた

 

 

前回のように切羽詰まっていないためか召喚が早いように感じる

 

 

そしてマスター権限で立香にはそのサーヴァントのクラスを見た

 

 

「あっランサーだ」

 

『・・・・・・え』

 

 

そして光が消え、人影が完全に人として姿を見せた

 

その姿は全身が青装束で手には確かに紅の槍を持った見た目からして戦士

 

纏う雰囲気は野性味があり、猛獣のような物を感じなくも無い

 

そしてその雰囲気と青髪には冬木に行った全員に覚えがあった

 

 

「おっと、今回はしっかりランサーみてぇだな……おお!やっぱ坊主か!」

 

「えっと……やっぱりあの時のキャスターさん、ですよね……?」

 

「そうだぜ、そういや俺はあん時ゃ名乗って無かったな、なら改めて名乗らせてもらうぜ。

俺はクー・フーリンだ、この前とは違って槍兵としてせいぜい務めるさ、いやぁ〜やっぱ槍は良いなぁ!」

 

「……本当にランサーを引き当てたわ、しかもアイルランドの大英雄……!?」

 

「お前……クー・フーリンだったか」

 

「ああそうだぜ、まぁこれからあんたともしばらく長い……まさか怖気付いたか?」

 

「まさか、アルスター伝説の英雄と肩を並べられるとはな……面白いもんだ!」

 

「なんだ!あんた話がわかるじゃねえか!

どっかの弓兵は未来の英雄らしいが俺を見たって嬉しがらねぇわ……そもあいつの考えも気にくわねぇが。

だがあんたとは何か上手くやっていけそうだ」

 

「そうか?まあよろしく頼む、もっとも俺も一介のサーヴァントだがな」

 

「そうだったな……おいマスター」

 

「はい、なんですか?」

 

「……まぁあれだ、お前がマスターだとは今も信じられねえけど、とりあえずよろしく頼むぜ?」

 

「こちらこそ、これからよろしくお願いします、クー・フーリンさん」

 

「…………本当にこいつがマスターなのか?」

 

「まだ言うか、それを」

 

「私からもこれからお願いしますね、クー・フーリンさん」

 

「おお嬢ちゃんじゃねえか!まっ、よろしく頼むわ!」

 

そう言って1人目、マスターが他のメンバーから求められた通りのランサーが、それも申し分の無い大英雄が、ここカルデアの戦力として仲間になった。

……仲間になったのは良かったが、

 

「……何で……なんでランサーが……?」

 

「……まあ確率的に7分の1だしぃ!クラスを言い当てるくらい!ある事だよねぇ!!」

 

「……所長、なぜかドクターとダ・ヴィンチちゃんが——」

 

「放っておきなさい」

 

「えっ、けど——」

 

「放っておきなさい」

 

「あっはい、わかりました」

 

若干2名、詳しく言えばカルデアの医療部門のトップと人類史における万能の天才が、うずくまりながら何かをブツブツ言っていた。

ちなみに言えばサーヴァントのクラスには例外があるために、別に一つのクラスを狙い当てる確率は7分の1では無かったりするが、万能の天才はそれに気付く事はなかった。

 

「……何であの軟弱男と随分な美女は悶えてんだ?」

 

「気にするな、俺にもよくわからん」

 

「えっと、なんか2人が可笑しくなってるけど……次はじゃあどんなサーヴァントが良いの?」

 

「あん?まだ召喚を続けんのか?」

 

「さすがに2人や3人だけでこれから先やっていけるとは思えない、最低でも6人は欲しいが今はあと2人だけしか召喚できないらしい」

 

「そういう話か」

 

「それで、次はどんな人が良いんですか?」

 

「ええっと……今ここに居んのは盾持ちの嬢ちゃんに、奇襲で敵なしのあんた、それと俺か。

……そういやあんた弓兵みたいな攻撃してたな、ならアーチャーはいらねえ、つうか絶対に勘弁だな!」

 

「どうしてだ、専門の狙撃手がいるに越した事は無いと思うが?」

 

「……アーチャーにはロクなやつがいねぇ、まだキャスターやライダーの方がマシだ」

 

「・・・だそうだ、坊主」

 

「そっか、まあとりあえずはキャスター、かな?」

 

「そう祈ってくれ」

 

「じゃあ……2回目、そーい!」

 

 

そう言って再び、4つの聖晶石を立香は召喚サークルの真ん中に投げた

 

 

するとスネークを召喚した時のように光が辺りを照らした

 

 

その光のおかげか、ハイライトが消えていた2人の目にも光が再び戻った

 

 

やがて光は収束し人影が見え・・・・・・

 

 

「っおい坊主!これってキャンセルとか出来ねぇか!?」

 

「はいぃ!?」

 

「……どうした急に」

 

「・・・あっ今度はアーチャーだ」

 

「っざっけんな!」

 

 

そして光が消え、人影が完全に人として姿を見せた

 

その姿は浅黒い肌に赤い外套を着込んだ白髪の男

 

先ほどのクー・フーリンと同じように戦士である事はその体から察する事ができた

 

そのクー・フーリンは頭を抱えていたが。

 

 

「………………………」

 

「……あれ?どこかで見た事があるような……?」

 

「あれだ、冬木で俺が倒したアーチャーだ、坊主はほとんど顔も見てないだろうがな」

 

「………………………」

 

「……あのぉー……初めまして、じゃなくて……僕のこと覚えてますか?」

 

「先輩、それはその……最初にかける言葉として正しいのでしょうか?」

 

「けど初めましてじゃないし……」

 

「………………………」

 

「……おいテメェ、良い加減喋れよ」

 

「……お前にそんな指図をされる覚えは私には無いんだが?」

 

「よく言うぜっ、ならさっさとマスターに挨拶しておけよ」

 

「……すまないマスター、簡単に自己紹介だけさせてもらう。

私はアーチャーのサーヴァントのエミヤだ、アーチャーともエミヤとも呼んでくれて構わない」

 

最初はダンマリを決め込み、クー・フーリンとスネークを見比べていたアーチャーのサーヴァントだったが、口を開けると随分と優しい口調でエミヤと名乗り挨拶してきた。

丁寧に挨拶をされたなら、こちらも丁寧に挨拶を返すべき、おばあちゃんに習った事を思い出しながら立香は自分も名乗っり、他のサーヴァントも簡単に紹介する。

 

「あっえっと、マスターの藤丸立香です、こっちはマシュ、あそこに立ってるのはカルデアの所長さんです。

あとそこに立っているのは——」

 

「ああよく知っている、そちらの眼帯を掛けているのがBIG BOSSで、そっちは青タイツだろう?」

 

「おい待てテメェ、何で俺のことは青タイツで終わらせてんだぁ……?」

 

あからさまな態度の違いにクー・フーリンが槍を構えそれをマスターとマシュで止める。

そんな光景になぜか喜ぶダメ人間2人に制裁を加える所長と周りが騒ぐ中、スネークは冬木で倒したこの弓兵が………エミヤが自分のことを知っていたことに驚きながらも、それは表情に出さずエミヤに近づき話を聞く。

 

「…………俺のことを知ってたか」

 

「まぁ私は少し特殊な未来の英霊でね。

……まだ自分でもガキだった頃、あんたの英雄らしい生き方なんかに随分と憧れたものでね」

 

「おいおい止してくれ、俺は英雄なんて器じゃ無い。

俺は単なる傭兵に過ぎない、お前の知っている俺の“情報”は都合の良い事実と話しか無い」

 

「それでも私はあんたに憧れていた、まさかここで憧れの傭兵と肩を並べて戦えるとは思わなかった」

 

「……まぁ別に悪い気はしないから構わんが、俺のことはスネークと呼んでくれ。

俺はその称号はあまり好きじゃなくてな、呼ばれるならスネークの方が好ましい」

 

「それは失礼した。なら改めて……スネーク、あんたと戦えることを光栄に思う」

 

「そいつはありがたい、どうやらお前は色々とサーヴァントとして慣れてるみたいだが俺は新参者でな。

その辺を含めてよろしく頼む」

 

「ああ、こちらこそ頼む」

 

そう言ってしっかりと握手をする2人。

……なぜクー・フーリンがアーチャーを毛嫌いしているかはスネークがわからないが、少なくとも悪い奴では無い、むしろクー・フーリンと同じように上手くやっていけるように思えた。

 

「おい、何でそっちには敬いがあって俺には遠慮がねぇんだよ……?」

 

「なら聞くが、私が今からお前に敬いながら喋れとでも言うのかね?」

 

「……いやナシだな、気持ち悪くて寒気がする」

 

「生憎同感だ、スネークは少なくとも俺が生きていた時に憧れてた存在だ。

だからこそ多かれ少なかれ敬う対象だ、お前にもそんな相手が一人や二人は居るだろう?」

 

「……まあな、最もお前にそんな相手がいるとは思いもしなかったがな」

 

「ふっ、それは確かにな」

 

そして口では何と言おうとも何だかんだ上手くやっている。

冬木でもそうだったが、随分と因縁があるらしいが……それは追々聞けることだろうとスネークも立香も思いつつ、最後の召喚を行うことにする。

 

「じゃあ次で最後だね」

 

「何だ、もう一体のサーヴァントを呼ぶつもりなのかマスター?」

 

「何でも今回は単なる聖杯戦争じゃ無いんだとよ、こりゃやりがいがあるってもんだぜ?」

 

「その様だな」

 

「えっと……スネーク、最後の一人だけどどんなサーヴァントが良いかな?」

 

「まあこれだけ運良くバランス良く揃ったからなぁ、これと言っては要望は無いぞ」

 

「ふむ……盾による前衛での陽動とランサーの一撃、スネークの奇襲に私の遠距離攻撃。

私もそこのランサー程では無いが接近戦はそれなりにこなせる、となれば回復役か圧倒的な攻撃力の持ち主かだな」

 

「とりあえずはまぁそんな感じだわな」

 

「……マシュは?」

 

「えっと、そうですね……エミヤさんが言った通りやはり回復のできるキャスターか、対城宝具を持った英霊の方でしょうか?」

 

「「・・・えっ」」

 

「……どうした、二人して」

 

「じゃあとりあえず!最後の召喚ホイッ!」

 

 

そう言って最後の4つの聖晶石を立香は召喚サークルの真ん中に投げた

 

 

すると召喚したのために光が辺りを照らした

 

 

その光のおかげか、理性や知性や智性なんかが消えていた2人にはオルガマリー鉄拳制裁によって星を見た

 

 

やがて光は収束し人影が見え始めた

 

 

「・・・なぁ、まさかとは思うが」

 

「ああ……これは確実に“彼女”だろう」

 

「……おい、2人して何で頭を抱えている」

 

 

 

そして光が消え、人影が完全に人として姿を

 

 

 

 

「【約束された勝利の剣】(手がスベッッタアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!)」

 

 

 

 

見せる前に真っ黒なビームが襲いかかって来た!

 

 

 

 

「っ先輩!!」

 

「マジかよ!?」

 

「っ!」

 

「【熾天覆う七つの円環】(ロー・アイアス)!」

 

 

そこからの行動はそれぞれ早かった

 

マシュは真っ先に立香の前に立ち、真名開放をせずに宝具を展開

 

マスターはもちろん全員をその攻撃から護る

 

 

クー・フーリンは驚きながらもすぐにマシュの宝具より後ろに下がり槍を構える

 

攻撃が終わり次第仕掛けるつもりらしい

 

 

スネークはマシュの宝具からはみ出ている所長たち3人の回収に動く

 

そこにエミヤも念のため宝具を展開しつつ加勢しロマンを回収

 

スネークが2人分を担ぎさっさとマシュの後方に戻った

 

 

ビーム攻撃自体はそれほどどうやら室内である事を配慮しているのかそこまで強力では無い

 

……洞窟内で全力を奮っていたのかも謎だが、少なくともこの部屋が崩壊するレベルではなかった

 

そしてマシュの宝具によって完全に相殺しているため被害は一切出ていなかった

 

やがて攻撃が止まり黒いが静まり代わりに膨大な魔力を漂わせた人影が見えた

 

・・・だがすでにこの場にいる全員がそのビーム攻撃を放った人物に心当たりがあり過ぎた

 

だがその本人は黙ったまま何もして来ない

 

 

 

「……………………」

 

マシュは次の攻撃が来ても良い様に宝具を展開、備えているために何も喋れなかった

 

 

「……おい、何か喋りやがれ」

 

場合によってはその心臓を貰い受ける、とは言わずクー・フーリンが語気を強め尋ねる

 

 

「全くだ、登場が随分と派手過ぎると思うのだが?」

 

そう言いながら両手に干将・莫耶を持ちエミヤが声をかける

 

 

「登場以前に仲間に宝具をぶっ放すとはどういう了見だ?」

 

すでに完全な敵対行動と認識したスネークはハンドガンにコンバットナイフを構える

 

 

「えっと……アーサー王、ですよね!」

 

そんな一触即発な雰囲気を醸し出している中、必死になって立香は声をかける

 

さすがにマシュより前に立つ勇気は無かったがマシュの隣に立ち慌てながらも交渉(?)する

 

 

 

「・・・ああ、すまない、何かしてしまったか?」

 

 

すると

 

まるで自分は何もしていないと言わんばかりの口調で黒い騎士王がトコトコ歩き出してきた

 

その格好はゴツい甲冑、では無くなぜかゴスロリのドレスだった

 

 

「いやっあのなぁ、気のせいじゃ無ければ《手がスベッタアアアァァァァァァァァァァァァァァァ!!!》

とか言いながら聖剣が俺らに襲いかかって来た気がするんだが!」

 

「ならば気のせいだろうアイルランドの御子よ、まず私の聖剣が勝手に襲いかかって行くわけが、ましてや私が手を滑らせて自分の得物を取りこぼすとでも思うのか?」

 

「まさに暴君だな、こっちはそのおかげでこちらは走る羽目になったのだが」

 

「貴様がこき使われるのはいつものことだろう、とりあえずお前はご飯を寄越しなさい」

 

「……少なくともお前の宝具で事故が起きかけた、とりあえず敵じゃあ無いならマスターに謝ってくれ」

 

「なるほどそうか……我が名はアルトリア・ペンドラゴン。

問おう、貴様は私と共に歩むか?歩むんだな?良いだろう!それなら貴様も私に付き合うが良い!」

 

「あっ、えっ?」

 

「……とりあえず仲間になってくれたみたいです」

 

「とりあえずでは無い、正式な契約だマシュマロサーヴァント」

 

「私はマシュです!デミ・サーヴァントですから!!」

 

「これ・・・これあのあーさーおう?」

 

「所長!?」

 

なんかアーサー王と名乗る女性が出てきた、それはまぁ良い。

だが、かの騎士王が傲慢だとか食事第一だとか人に中々にユーモアがある名前を付けると誰が想像できるか?

・・・いやっ出来そうな引きこもり魔術師はいるが、それでもこの場で彼女をもう一つの側面だと知っている者以外では不可能だろう。

 

一般人でありマスターでもある立香にとっては、何か色々と凄い人が来た、で済んだ。

純粋であり知識で世界を知るマシュは、何か想像と違ったけど……まぁとりあえず、と断定した。

だが生粋の魔術師であるオルガマリーは、2人の様に一旦割り切ることが出来なかった。

 

マシュとは別に純粋、というより単純とも言えるオルガの心。

その心は召喚されたアーサー王……では無くアルトリアの言動と行動を目の当たりにした事によって、まるでサンタさんの正体を知ってしまった瞬間のように、信じる・信じないの前に思考が停止した。

 

「……おい、クー・フーリン」

 

「……まあアレだ、俺が良く知ってるあいつ……じゃねえなぁ」

 

「…………おい、エミヤ」

 

「言うな、私はあれがアルトリアだとは知っているがそれ以外は知らない」

 

「……おい、マスター」

 

「まあ良いんじゃないですか?少なくとも敵意は無いみたいですし色々と話は聞きたいですからね。

それに俺は別に怪我してないんで謝ってもらう必要も無いですし」

 

「そうか……それなら良いんだが……」

 

「何かマズいですか?」

 

「いや、坊主は俺らのマスターだ。今のお前の判断にこれといって反論は無いんだが……」

 

「?」

 

マシュは所長の介護のため立香やスネーク達より少し離れたところにいる。

さすがに所長の容体を気にしたロマニもフォローに入り、ダ・ヴィンチちゃんはいつの間にか消えていた。

そしてなぜかアルトリアもそちらへ体を向け、マシュの手伝いをしている……マシュをからかいながら、愉しんでいる様にも見えるが。

 

だがそんなアルトリアは時折こちらを見ることがあり、その視線の先は……スネークだった。

 

「……ぁあ、そういう事か」

 

「まっ、こうなるとは思ってたがな」

 

「おいクー・フーリン、お前はわかってたのか?」

 

「まあなっ、セイバーの野郎がお前のことを最後、随分と熱心に見てたからな」

 

「そうだったか……」

 

「あっあの?一体何の話ですか?」

 

「マスターにも関係ある話だからな、まぁ言ってしまえば……あの騎士王はどうやらスネークと戦ってみたいらしい、私が倒された後に一体何があったかは知らないが何か気に喰わない様子だ」

 

「えっ、スネークさんとまた戦いたがっているってこと?」

 

「そういうこった……それも結構マジで戦いたいみたいだぜあのセイバーは」

 

「えぇ……」

 

「・・・マスター、これは俺個人の質問だが、あいつと模擬戦をしても構わないか?」

 

「……やらないとダメ?」

 

「いいや、俺も彼女もあくまでサーヴァントだ。

彼女もいくら暴君でもさすがにマスターに逆らってまで戦おうとはしないだろう、第一端から戦う気だったなら召喚された時点で俺を襲ってくるだろうからな」

 

「いやおいっ、思いっきり宝具をぶっ放した気がするんだが……?」

 

「まぁ意図した物では無いだろう、殺気が篭っていた訳でもない、本人も自覚が無さそうだしな」

 

「そうだね……まぁドクターや所長に確認とってからだと思うけど、俺としてはやっても良いよ」

 

「そうか、ならやる方向で彼女とは話を進めるか……」

 

「「・・・本気か?」」

 

この時、因縁深いランサーとアーチャーはこの時ばかりは全く同じ信条だった。

まずあの黒いアーサー王が手を滑らせ宝具をぶっ放す訳がない、2人からすれば明らかにアレは意図的な行動だというのは明白で、実際その通りだ。

 

だが事もあろうに、このマスターとスネークはアレが事故だと言い、あっさり流した

 

それどころか、あの黒い騎士王と正面から戦うとも言い出した

 

しかもあろうことか、その戦闘すらマスターは仮ではあるもののあっさり許可した

 

2人はスネークという現代の英雄が、一体何をどう考えるかはまだ知らない。

だが2人はマスターらしくない、一般人の立香の思考なら予想できた。

そんなマスターの一般的な思考を基にすれば、自分の仲間であるサーヴァント同士を戦わせる事に積極的になる事はまず無い、殺し合いでは無いという前提だとしても少なくとも簡単に了承しない。

 

「何が疑問だ?」

 

「いやっ私から言わせて貰えば、あのセイバー相手に奇襲ならまだしも正面からの戦闘で勝ち目はあるのか?」

 

「まあ無くはない、ただ俺としては実験的な意味合いもあるな」

 

「うん、俺もスネークさんに確認したいことがあって……」

 

「あん?マスターも確認したい事があんのか?」

 

「……坊主が聞きたいことってのは何だ」

 

「その、スネークさんの銃ってあの鎧を貫通できるの?」

 

「…………わからん、だから確認する」

 

「じゃあやろう、俺もスネークさんがどれくらい戦えるか気になるし」

 

「……だろうな、俺もどれくらいできるもんかまだ良くわかってないからな、彼女なら申し分無い」

 

「じゃあそういう趣旨を伝えてドクターや所長に許可を採るね、ついでにセイバーさんにも伝えておくよ」

 

「……ああ、頼んだ」

 

そう言うとマシュが介抱している方へと走って行った、どうやらセイバーにもまとめて伝えるつもりらしい。

だが思ったより所長は重症らしく、だが何故かマスターはセイバーに連れられて、召喚ルームから出て行った

残ったのは過去・現在・未来の英雄だった。

 

「……あの坊主、マスターとしては置いといても、人としては中々やるな」

 

「そうか?ありゃマスターとしても結構やれると思うぜ?」

 

「まだ素人に変わりは無いようだが、その分教えがいのありそうなマスターだな」

 

「ふっ、違いない」

 

マスターとしては戦術や戦略的な知識は足りない、魔術に関してはド素人。

だが人としての観察眼と判断力は英霊から見ても“素人にしては”結構な代物だった。

これから磨きかかって行けば、様々な英霊と会話する程度ならなんの支障もきたさないだろう。

 

今の時点ですら、伝説の傭兵・アイルランドの御子・世界の守護者・反転した騎士王と話せて居るのだから

 

「・・・んでだスネークさんよぉ〜」

 

「ん、どうしたクー・フーリン」

 

「あんたがセイバーの野郎と戦うのは良いんだが……俺とも一戦やらねぇか?」

 

「・・・実は俺からも願っていたんだが、良いのか?」

 

「当たり前だ!むしろ俺としては願ったりかなったりだ、もともと俺は強い奴と戦えれば満足なんだ。

それに何だ、随分とデカイ問題がくっ付いて来る位なら必要経費だ」

 

「まさかお前の口から必要経費という文化的な言葉が出てくるとはな」

 

「お前は毎回皮肉を言わなきゃ気が済まねぇのか……?」

 

そんな将来が楽しみな……その未来が今は存亡の危機だったりするが……そんなマスターは置いといて、3人は自分たちの興味がある方へと走って行った。

特にクー・フーリンは、キャスターだったとはいえ自分を投げ飛ばしたスネークを実力のある者として認め、得意の槍を得たいま、改めて戦う気でいた、もちろん本気で。

 

「……お前ら、あの騎士王も含めて随分と長い付き合いに見えるが、何度か会ってるのか?」

 

「・・・まぁ何度か聖杯戦争が会ってだな、その都度顔を合わせているのだが……」

 

「・・・で、何故かこいつとは毎回毎回戦う羽目になってんだよ」

 

「それでお前は冬木で決着だとか言ってたのか」

 

「そう言うこった、まぁこの前はあんたのおかげで決着は付かなかったがな」

 

「それならお前ら2人で決着を付ける気は無いのか?」

 

「……私はそれ以上にスネークと戦ってみたいのだが?」

 

「こいつに同じだっ」

 

「なるほどな……わかった、なら打って付けのトレーニングルームがある。

さすがに決闘やら死合ならマスターに一言断りを入れなきゃならんだろうが、男同士の語り合いなら問題ないだろうしな」

 

「そいつは良いねぇ、久しぶりに熱くなれそうだぜ」

 

「あまり暑苦しいのは苦手なのだが……あんたが居るなら話は別だ」

 

「決まりだな、なら早速やるか?」

 

「おう」

「ああ」

 

 

こうして3人はトレーニングルームへと足を運び、満足するまで叩き合った。

 

ちなみにこの“語り合い”、スネークとクー・フーリンで1時間、スネークとエミヤで1時間、三つ巴で1時間、計3時間ぶっ通しで行われたのだが、この語り合いは本人たちにとっては素晴らしい物であったらしく、皮肉屋と槍使いは相変わらずだったが蛇を介するとそれなりに喋るようになり、蛇となら良く話す様になった。

 




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