Metal Gear Fate/ Grand Order 作:daaaper
有言実行。
とは言っても今回は文字数少なめです。
物足りないと思いますが、ご容赦ください。
我慢できな買った場合は、復刻イリヤコラボを周回しましょう。
きっと来週の日曜日になっているはずですよ。
レイシフト5日目、現地時刻09:21
オルレアンから南約15km地点
《もう車で20分もかからない、ルーラーの探知範囲まではもう少しあるけど……》
「向こうの警戒網にいつ引っかかっていてもおかしくないな」
《安心しろ、斥候してるが敵の反応はねぇよ、ワイバーンの1匹も見当たらねぇ》
《それがむしろ怪しい気がするがね、まぁこちらは引き続き先行し警戒する》
戦力はマシュを含めてサーヴァントが13人、それとトレニャーである。
このメンバーで一気にオルレアンを攻め、戦いを終わらせる。目標は敵ジャンヌ・ダルクの撃破と彼女が持っている聖杯の回収、歪みの根幹である聖杯の回収を忘れてはいけないことと無線を通じて早朝ロマンやダヴィンチから伝えられた。
現在カルデア一行は藤丸・マシュの2人を始め、スネーク・ジャンヌ・トレニャー・清姫が車に乗り、アルトリア・アマデウス・マリー・マルタ・ジークフリート・ゲオルギウス・エリザベート バートリーの7人は霊体化し、エミヤとクー・フーリンは毎度おなじみになってきた斥候を担っている。
「ここまで仕掛けてきて来ないという事は、このまま……」
「そう上手くはいかないと思うぞ坊主、向こうはこっちが今日攻めて来るくらいは想定しているはずだ」
「そうなの?」
「俺ならそうするからな」
「先輩、相手はファヴニールという最大戦力を倒され、そのためにワイバーンという向こうの歩兵とも言える戦力を統率する力が小さくなってしまいました。おそらく相手のジャンヌさん自身もある程度統率できるハズですが、それでも戦力が低下してしまい、それを私たちが知ってしまったことも把握してるでしょうから……」
「そっか、自分たちで言えばエミヤさんやクー・フーリンが倒されたみたいなものだもんね」
「……先輩、間違いではないですが……」
かわいそうだからやめてあげて。
《・・・ッ!》
《ッ宝具!?そっちに向かっているぞ!!》
そんなやり取りをしている矢先、無線の向こう側にいる2人から空気を変える無線が。
宝具の言葉を聞いた瞬間にスネークはアクセルを吹かしハンドルを切り、クー・フーリンらがいる方を見る。
その視線の先からは豪雨のような光の矢が向かって来ていた
光の矢が降り注ぐであろう範囲も広い、だが標的は先ほどまでの車の進行方向であるようだ
それでもその効果範囲から逃れるにはギリギリだった
「マスター伏せろッ!他も対ショック!!」
スネークが言った直後、車の後方に大量の光の矢が降り注いで来る
それもサーヴァントによる宝具のため威力も高く、藤丸たちが乗る車にその振動が伝わる
しかもその振動が近づいて来る
《このままじゃ追いつかれる!!》
「敵の宝具を止められるか!」
《こっちの邪魔すんじゃねぇよ!》
ロマンが叫ぶ、スネークが無線に尋ね、クー・フーリンが吼える。
その声にロマンは自分が怒られたと一瞬勘違いしたかもしれないが、そんな事はこの場の誰も気にする事なかった、どうやら宝具を放った相手を捉えたらしい。
《こちらで相手する!そっちは先に行ってくれ!》
「わかった、さっさと合流してくれ!」
《了承した!》
「坊主このまま突っ切るぞ、ここからは連戦だ」
「うん!マシュも頼んだよ」
「ハイッ、先輩を守り切ります!」
「っこの清姫のことも忘れないでくださいまし?」
「うん、お願いね!」
相手を捉えたクー・フーリンに代わり、スネークに対してエミヤが無線で指示を出す。
先ほどまで迫っていた光の矢も止み、向こうで戦闘を始めたらしい。だが一瞬でケリがつくわけではない、故にマスターである藤丸を連れているスネークたちを先に行かせることにしたようだ。その考えを汲み取り、スネークはスピードを緩めることなく車をさらにオルレアンへと走らせる。
《襲って来たサーヴァントの反応は君たちの北東3km位にいるけど、どんどん離れて行ってる、どうやら先行してた2人が引き離してくれてるみたいだ》
「その間にさっさと近づくぞ、途中から車を捨てる必要があるかもしれんが」
「襲って来るとしたら、前に見たサーヴァント?」
「分からん、さっき襲って来た奴のクラスはアーチャーだろうが、そんなサーヴァントはいなかったからな、おそらく追加で召喚したんだろうな」
「じゃあ……向こうも備えてる?」
「まあな、それに襲って来るのが一体な訳がないだろうしな」
そう言いながら車を疾走させ、オルレアンを目指す。
未だ城は見えないが目標には一気に近づいている、だがここから先は10km圏内に入る。ルーラーはそのクラス特性上、自身の10km四方にいるサーヴァントの位置を正確に探知できる。気配遮断を持つアサシンの場合は具体的な位置はわからないがそれでも存在する事を感知できる。当然、車で移動している藤丸の周りにいるサーヴァントもバレている。
「っあと何分くらいで着くの!?」
「あんまり喋るな坊主、舌噛むぞ、まあ車だけなら10分だ」
(コクコクッ)
《っ森林地帯を抜けるよ!そこからは街だ!》
「包囲戦で壊れてるがな」
オルレアンの南部に位置するオリヴェは森林地帯や湖などの自然を有するが、オルレアンにほど近いこの地区はオルレアン包囲戦において大きく破壊された。現在ではロワール渓谷の一部として世界遺産に登録されもいるが、まだ戦果が過ぎて程なく、しかもワイバーンやサーヴァントを従えた竜の魔女がフランスで暴れているこの特異点では廃墟と化している。
「……マズイな」
《どうしたの!?》
「いや、ここから先オルレアンに行くには川を2つ渡る必要がある、そのために橋を渡る必要があるが……」
「おそらく確実に待ち構えてますね、向こうはこちらの位置を常に捕捉できますから、待ち伏せを外すことはまず無いですし」
まだ川そのものは見えていないが、南部からオルレアンに行くには最低でも1つ川を越える必要があり、最短ルートの場合は2つ超えなければ行けない。実際、オルレアン包囲戦初期……イングランドが優勢だった時、敗走したフランス軍はイングランド軍の追撃を避けるためアーチを爆破した記録が残っている。スネークが危惧しているのはその再現である。
「それならまだ良いが、橋を渡っている時に爆破されたらたまったもんじゃ無い」
「それは……どうでしょう、爆薬は軍が持ってる物ですから向こうの私が持っているかは……」
「大丈夫よ、向こうは爆発物を持ってないわ」
その心配をジャンヌは疑問視し、突如現界したマルタが完全否定した。
「どうして言い切れる?」
「彼女、サーヴァントとワイバーンを召喚して戦力は十分だと判断していたもの。それに爆弾を調達する手段も理由も向こうには無いもの」
「だがサーヴァントが橋を壊す可能性もあるだろう」
「そうね、けど私が知っている限りではそんな橋を破壊するほど派手なことができるサーヴァントは居ないわ。それは話したわよね」
「シュヴァリエ・デオン、ヴラド三世、カーミラの三人だったか」
「ええ、追加のサーヴァントがいれば話は別だけれど。それに向こうの雰囲気からして橋を壊すって考えはそもそも無いと思うわよ、彼女の目的はこの国を破壊しきること。……召喚されてすぐ、この国の兵士を襲いに行ったもの」
「そうか」
《……うん、予想通り君たちの前方の橋にサーヴァント反応が1つあるよ、反応からしてセイバーだ》
「戦闘だ、スピードを緩めるぞ」
「そのまま無視して行けない?」
「敵が行かしてくれると思うか坊主」
「……だよね」
そう言って車のスピードを落としたスネークは橋の手前で車を止め、サイドブレーキをかけ車を降りた。
それ続いて藤丸、それを守るようにマシュ・清姫が並び、ジャンヌも車を降りると霊体化していた7体のサーヴァントも姿を表した。
一方で、一行の向かい側では橋の中央で立っている騎士が立っていた。
「……敵の私が言うのも何だけれど、君たち多過ぎじゃない?」
「戦術の基本だ、そうでなければ俺たちはオルレアンに攻め入らない」
「それもそうだ……これはハズレを引いたなぁ、援軍も来なさそうだし……」
そう悲観した言葉を言いながらもサーベルを構えこちら側全員を相手をするかの様に睨む
「あの……それこそ敵である自分が言うのもおかしい話ですけど、このまま見過ごしてはもらえませんか?」
「おい坊主——」
だが藤丸は、それでも向こうからすれば圧倒的不利な状況であるからこそ、わざわざ戦う意味は無いと思い交渉を持ちかける。そんな彼の言葉をスネークが止める前にデオンが答えた。
「……残念だけどそれは無理だ。私は君たちの敵で竜の魔女に召喚されたサーヴァント、狂っていようが狂わされていようが私はフランス王家と彼女に忠誠を誓っている。それに…………私は騎士だ、戦いから逃げる事は決して無い」
それを最後に本気で殺気を飛ばし、臨戦態勢に入ったデオン。
その殺気は騎士の誇りを侮辱した藤丸への憤りか
今の状況への怒りか
自分自身への不甲斐なさか
竜の魔女への、フランスへの思いか
それは当の本人にもわからない。
だが、ただの事実として、今カルデア一行と橋の上で相対している白百合の騎士の騎士は守るためではなく、カルデア一行と戦うために殺気を放っていた。
「……彼女、本気ね」
「……マリア、確か君——」
「いいの、彼女は今は敵、そして私たちは彼女の敵、それだけよ」
その姿を後ろから密かに見るフランスの王妃と音楽家。
車が止まった時からこの二人は一団の後ろに回った……正しくはマリーが後ろに行き、それにアマデウスが付いていっただけだが、それをわざわざ指摘するものはいなかった。
「マスター、ここは私に一人に任せてくれないか」
「アルトリアさん……」
そんな中、黒き騎士王が藤丸に進言した。
「念のために聞くが私が一人であの“騎士”と戦うことに文句がある者は」
首を縦に振るものはいなかった。
騎士に騎士王が相対することに苦言を呈する者はこの場にいなかった。
この場にいる全員で襲いかかっても結果は同じだが意味が違うことをほとんどがわかっていた。
「マスター、許可を」
「……うん、けど長引かせないであげて」
「承知した」
そう答えるとかの騎士王は一人で橋の上にいる騎士の元へ向かう。
いまだその騎士からは殺気が溢れているが、それでも少しは驚きがあった様だった。
「……なぜ一人で」
「ふん、生憎聖女や聖人はいるが騎士を名乗る者は私しかいないからだ。敵である貴様がこの国の騎士を名乗り以上、私もブリテンの王として貴様を倒すのが王道だと思った、それだけだ」
それだけ言うと騎士王は黒き聖剣の切先を下に向け、柄頭を胸に持ち、堂々と名乗りを上げた
「我が真名はアルトリア・ペンドラゴン、我らの主の道を切り開くため、敵である貴様を倒す!」
「……私の名はシュヴァリエ・デオン・ド・ボーモン、フランスとフランス王家に誓い、君らを倒す!」
互いの宣誓がおわり、一瞬の静寂が訪れる。
両者ともに思う
勝負は一瞬で終わる、終わらせる
黒き騎士王が飛び、白百合の騎士に斬りかかる。
振り下ろされた聖剣は魔力放出の勢いも合わさり相手の体ごと引き裂く
だがそれは直撃した場合に限る
デオンはサーベルを相手のわずか左斜めにズラす
振り下ろされた聖剣はサーベルの右側を滑り勢いをそのままにいなされる
そのまま騎士王の頭部へと突き出した
突き出されたサーベルはたしかに聖剣使いの頭部へと吸い込まれ
そして聖剣の鍔で弾かれた
「ッ!」
「この私の首はそう安くない」
僅かな厚みしか持たない鍔にサーベルの切先を一切のズレなく真正面から合わせなければ弾かれる事はまずない
僅かでもズレがあればサーベルの切先は鍔によって軌道をずらされるだけで終わる
だが実際には聖剣を逆手に持つ事でサーベルは弾かれ、白百合の騎士の体は後ろへと押される
その隙を突き、逆手に持たれたまま黒い聖剣は白百合の騎士の胴を薙ぎ払う
薙ぎ払われた聖剣はしかし、宙を切り
当の騎士は後ろに押された反動に抗わず地面へと倒れ薙ぎ払われた聖剣を見逃し後方一回転、起き上がり距離を取る
だがそこから間を置く事なくデオンは間合いをゼロにしサーベルで敵を貫いた
それに対し騎士王は真正面を向き右手で聖剣を掲げ、袈裟斬りの要領で振り下ろした
・・・再び静寂が訪れる
白百合の騎士によるサーベルで確かに貫かれた相手は右脇腹をスカートアーマーごと抉っていた
黒き騎士王によって確かに切られた相手は……左肩から右腰かけてハッキリと切り口が描かれ腹部から血が溢れた
そのまま両者は腹部を抑えたが、橋の上で立つ者と橋上で腹ばいに突っ伏す者との違いが出た。
何よりそこから歩き始めた黒き騎士王と、赤く染まり動けなくなった白百合の騎士ではあまりにも差があった。
「……ぁあ、健勝で何よりだ……」
「馬鹿を言うな、脇腹に傷ができた、何が健勝だ」
「……それ…もそうだ」
黒く重い甲冑を着ている騎士王と、鎧も装甲もない服を着ている白百合の騎士とでは真っ向勝負で不利なのはわかりきっている。確かに素早さでは有利を取れるが、真っ向からの突きと斬りとの勝負ではその有利も働かない。ましてや相手は騎士王とまで呼ばれた彼女である、それがわからなかったハズがない。
「なぜ決着を急いだ」
「…………なんのことかなぁ」
アルトリアはデオンの片方の肺を確実に斬った。
すでに呼吸だけでも苦しく困難なハズだが、それでもとぼける余裕をみせた。
「……ああ、これでようやく呪いも解ける……負けるのは……恥だけど……君たち……倒されてよかったよ」
「…………」
それを最後に、真っ赤に染まった白百合は白い光の粒子となって消えた。
橋の上に残ったのは黒き騎士王だけだった。
「……終わったぞマスター、要望通り短時間で終わらした」
「アルトリアさん、その傷っ」
「大した傷ではない、すぐ治る、それより早くオルレアンに向かうべきだろう」
「で、ですが……」
「本当に大丈夫なんだね?」
「私の回復量は並みじゃないからな、まあ少し休ませろ」
そう言うとアルトリアはさっさと霊体化して消えた。
「……さっさ移動するぞ、すでにほかのサーヴェントが先回りしているだろうからな、その2体を倒して本拠地に殴り込みだ、行くぞ」
そう言ってスネークは車に飛び乗り、エンジンを吹かす。
その音に慌てて藤丸やマシュも乗り込み、ついでに清姫もちゃっかり藤丸の隣に乗ろうとしてマシュにガードされている間に助手席に藤丸が乗り、ならその隣か上に乗らんと清姫が動こうとした瞬間にシュタッとトレニャー が藤丸の膝上に乗っかり、清姫がウギャーとなりつつある中。
ジャンヌは車に乗る前に霊体化しようとしていたマリーに声をかける。
「マリー、先ほどの相手は……」
「ええ、私はよく知っているわ。彼女がどれほどこの国を想っているのかも、だから彼女が倒されて安心していることもっ。だから後であの騎士さんに感謝しないと、ありがとうってね?」
「そうですか……てっきり落ち込んでるものかと」
「ウーン……残念って気持ちはあるけれど、それでもやっぱり彼女らしく戦って、そして倒されたから良かったって想っているわ。だって大人数で倒してしまったら、あまりにも悲しいもの」
「そ、そうでしたか……」
「?どうしたのジャンヌ?そんな後ろめたい顔をして?」
「いっいえ!あ、私も早く車に乗らなきゃっ……!」
言えない、
実は『どうして一騎打ちなんでしょう?ここにいる全員で倒してしまえばいいのに』と実は思っていたなんて。けどなんか意見する雰囲気じゃなかったから言わなかっただけだなんて。マリーと知り合いっぽいから、慰めようかと思っていたけど、むしろ私が意見してたら彼女が悲しんでいただなんて思っても見なかった彼女は、このことは墓場まで持っていこうと心に決めた。サーヴァントに墓場はあまり無いのだが。
「ロマン、エミヤ達はどうしてる」
《……どうやら敵はあの派手な宝具を何回か撃とうとしたみたいだからだいぶ離れてる、多分それが目的だと思うし君たちが次の橋に向かうまでにはまず間に合わないと思う》
「まぁそれをわざわざ無線で言ってこないところから察するにすぐに合流する腹づもりみたいだがな。よし出すぞ」
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