Metal Gear Fate/ Grand Order 作:daaaper
私は最近になってやっとこさFGOをプレーし始め、今から第6章。
この小説は・・・終わるかなぁオルレアン(´-`)
「もう少しでラ・シャリテです。
ここでオルレアンの情報が得られない場合はもう少しオルレアンへ近付かなければいけませんが……」
「諜報なら任せろ、その手の情報は兵士と商人に聞くに限る。
幸い昨日の段ボール輸送の中に食料がそれなりに入っていた、旅人になりすまして情報の交換くらいはしてくる」
《流石は現代で軍隊レベルの傭兵だ……アレ、傭兵って諜報活動もするの?》
「ドクター、私はスネークさんの話を聞く限りだともはや傭兵家業という枠に収まらない活動をなされている気がします」
「フォーウ……」
「確かにおミャーさん、普通のハンターさん並みには戦えて賢くてかっこいいニャッ!」
「賢いってより、妙に器用で物を知ってるって感じだがな、こいつ」
「伝説の傭兵だから、というだけでは無いだろうな」
「未だに私はこいつがアサシンだと疑ってるぞ」
「「それには同意見だ」」
「……おい3人衆、お前ら実は仲良いだろ」
「「「そんな訳がないだろ」」」
「「「って真似をするなっ!!」」」
「すごいです先輩!まるで90年代漫画のような典型的なボケです!!」
「うん、なんでマシュが興奮してるのか俺にはわからないかなぁ……」
「フォーウ!?(誰だマシュを毒したのは!?)」
「……今さらですが私、皆さんと共に行動できて何だか安心してます」
「今言うか、それを」
トレニャーが色々カミングアウトした翌日、一行は情報収集のため昨日世話になった砦から最も近いと言う街ラ・シャリテに向かっていた。
一緒に行動を共にする事となったフランスの聖女:ジャンヌ・ダルクは最初、兵士たちが自分を見て黒い魔女だと判断してしまう可能性が高いため、どうするべきか悩んでいた様だがその問題は藤丸たちと合流したことによって解消された。
何よりカルデアには現代の伝説の傭兵までいるのだ。
確かに魔術では今よりも昔の時代であればあるほど発展しているだろうが、諜報においては古代より現代の方が手数が違う。何より経験が違うのだ。
スネークが得意とする潜入とは少々違うが、それでも地元民から情報を聞き出す程度造作も無い。
《……ん、ちょっと待ってくれ、君たちの向かう先にサーヴァントが検知された。
場所は……ラ・シャリテ、君たちの目的地だね》
「ドクター、そのサーヴァントは動いてますか?」
《うん街の中に——って早い!どんどん遠ざかって行く……ダメだロストした!》
「……坊主、行くなら急いだ方が良いかもしれん」
「えっ?」
「フォウ!フォーウ!」
「何ですかフォウさん、空を見ろって・・・煙?」
「! 急ぎましょう……!」
「ジャンヌさん!?っとりあえずクー・フーリンさんジャンヌさんに着いて行ってあげて!!」
「おうよっ!」
誰よりも早く駆け出したジャンヌ・ダルク。
不完全な召喚だったとはいえ身体能力は高く、俊敏Aも伊達ではなく一団を置いて行く。
すぐにクー・フーリンを援護に回し、一行は急ぎ目的地であったラ・シャリテに向かう。
「貴様ライダーなのだろう!なら馬の1匹2匹呼べないのか!!」
「呼べるが生憎時間がかかる、この距離なら走り終えた頃に到着するだろうな」
「っ事前に呼んでおけ!」
「今度からそうしよう、すまんがエミヤ!坊主らを頼む!」
「任せろっ!先に行け!」
言うが早くスネークも一団を飛び出しクー・フーリンの後を追い、同じように魔力放出によってアルトリア・オルタもついて行く。
「何だ、お前も付いてくるのか」
「お前に付いてきた訳ではない、邪魔者をマスターのために先に排除しようと思っただけだ」
「……おそらく間に合わんがな」
「だろうな、もっとも私はマスターにその瞬間を見せつける気はないがな」
「……それもそうだ」
敵勢力らしい反応が街から移動した、そしてその街からは煙が出ている。
加えてその敵は虐殺を行って来ているという……であればその街がどうなってるかはある程度想像つく。
その残骸をある程度“マシ”にするくらいの暇はあるだろう。
《チッ……連中、相当 手慣れてやがる》
「どうした」
《……ここは全滅だ、誰1人残っちゃいねぇよ》
「……坊主、どうする」
《…………このまま全員ラ・シャリテで合流、もしかしたら生存者もいるかもしれない。
それに何か出がかりも掴めるかも》
「行っておくがマスター、どこぞの槍兵はお前に遠慮して言わなかったが、あの街は皆殺しだ。
加えて死んだばかりだ、手がかりもあるだろうがそれ以上に——」
《わかってる、だけど目を背けて何も進展しないんじゃ意味がないよ。
…………それにジャンヌさんもいるんだ、その街の人たちをそのまま放っては置けないよ》
「……そうか、それがお前の意思なら構わん」
「……了解だ。なら俺と騎士王も先に入っている、お前らはゆっくり来い、何かあればコールする」
《僕も周辺状況を見てみるよ、生体反応があれば教える」
「了解だロマン」
クー・フーリンからの無線で、街はほぼ全滅したのが確定した。
何より無線機から一度もジャンヌ・ダルクの声が聞こえなかった、恐らく藤丸が考えている様に生存者を捜索しているのだろう……が、かの槍兵が手慣れていると断定したのだ、敵がみすみす見逃す様な甘い相手だとも思えない。
「……相変わらず甘すぎるマスターだ、探しても無駄だろうに」
「だが同時に意思が硬い、わざわざ聖女がいるから街の住人の世話をすると言ったんだ、むしろそのまま無視した方が誰も文句を言わないのにだ」
「……その甘さがいつか身を危険に晒すかもしれんがな」
「その時はその時だ、そうさせない様にするのが俺らの役回りでもあるがな」
「……さっさと行くぞ蛇め、燃やされた街に長くいる理由はない」
「わかった」
スネークもこの暴君の意見には同意する、マスターの甘さはいつか必ず危険を招く。
だが同時に、自身もまた手の届く範囲で為してきたことだ、その優しさはいかなる危険を鑑みても価値あるものだとも知っている。
確固たる意思がある、それは安っぽく言ってしまえば頑固だとも言える。
だが意思ある行動にこそ遺した者は、残された者は、
存在を、価値を、それぞれ見いだせるのだから。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
それから十分ほど。
エミヤが無線を聞いて察したらしく、マシュと藤丸を歩かせてやって来た。
「コレは……ヒドい……」
「……………………………」
「ああ来たか、生きている者は居なかった、この街は全滅だ」
《うん、生体反応は無かった、それに……》
「それにどうしたの?」
「死んだ一部はゾンビ化して襲って来た、加えてワイバーンがそれを餌に戻って来てな。
……恐らくそういう焦土作戦なんだろう、街を破壊し死者を蘇らせ味方のエサにする」
「もっとも飛んで来たトカゲはセイバーと俺らで倒した。
……さすがに俺も死んだ人間とはいえ無視できるほど人が出来てるわけじゃねえからな」
「なんか……すいません」
「マスターが謝る事じゃねえよ、悪りぃのはこれをやってのけた奴だ」
なんだかんだ一般人マスターの扱いに慣れて来たクー・フーリン。
彼自身もまた虐殺の現場を見慣れているが、さすがに戦いに慣れて居ない少年少女にこの光景を見せるのは初めてだった。
その行為自体に抵抗を感じない訳ではないが、この光景を見せる必要があるのはわかっていた。
「いまジャンヌ・ダルクが向こうで死者の弔いをしてる、お前もしてやれ」
「うん、わかった……行こうマシュ」
「はい先輩」
そう言って2人がジャンヌ・ダルクがいる方へ歩いて行く。
……その足取が早かったのは気のせいではないだろう。
「何か変わったところはあったか?」
「いいや、今のところは無いな……だが今日の夜頃に戻すかもしれん」
「まぁ人の良すぎるマスターだ……ここに残ってた体は丁寧に殺されたわけじゃねえ。
ある程度は集めてあの聖女さんに任せはしたが……体が残ってないのも多い」
ラ・シャリテと呼ばれて居た街は完全に壊されて居た。
そこに居たであろう人々はモノに還り、人々が暮らし使って居たであろう建物は瓦礫と成り果てた。
中には瓦礫に見えるモノもあった……それだけ相手は人々に手間をかけたらしい。
「……張本人に虐殺の意味を問うほど、俺は聖人じゃないが、こいつはあまりにも不自然すぎないか?」
「何をいうかと思えば・・・そも、虐殺に自然も不自然も無いだろう、現代の英雄であればむしろ理解してる者だと思ったが?」
「……私としてはコメントしづらいがね、だがセイバーのいう通りだ、一体何が不自然だと?」
「さすがに坊主の前じゃ刺激が強すぎるから言えなかったが……どの遺体も何度も刺されている」
「ああ、槍みてぇなのでブスッてな、それがどうした」
そんな瓦礫から見えるモノのほとんどが一撃の即死ではなく、四肢のどこかを必ず穿たれ、胴に幾つもの穴を開けられていた。四肢が無事だったモノは生きる屍と化し、他はワイバーンのいいエサになっていた。
「街の発展具合や遺体の数を見る限り、この街の人口はおおよそ1000人程だ……だが1000人もいる。
生憎槍や剣に関しては俺は素人だが、それでもこれだけの人数を短時間で処理するのは手間だろう。
……言い方が悪いが、全員焼死ならまだわかるが、こうまで徹底的に穴を開ける理由がわからん。
サーヴァントとは言えわざわざ時間をかけて虐殺をする理由がわからん」
「……まあ確かに、銃を使うならまだしも短時間でこれだけの人数をこうまでするのはサーヴァントとは言えそれなりの手間がかかるな」
サーヴァントは英霊にまで至った存在である。
その能力はそれぞれ大きく違いがあるものの、基本的に一般人より強いのは確かだ。
だがそれも強いだけであり、質が高いだけだ。
「別に短時間でこれだけの人数を始末したとは限るまい、夜中から殺していたのだろう」
「いや死後硬直からして1時間……ネクロマンサーに操られた場合はわからんが、どう見積もっても3時間ほどしか立っていない、今日の日の出は5:47分、少なくともここを襲ったのは夜明け以降だ」
「……なら向こうには多くの敵がいるという訳だ」
「そうなるだろう、冥福を祈り終えたらすぐに移動した方が良いな」
集団戦ならまだしも、作業ならば人数が多く無い限りいくらサーヴァントとは言え一人当たりの作業量が増え、時間が多少短縮されるだけであって楽ができる訳では無い。
それが何度も何度も体に穴を開けるのであれば尚更だ。
であれば
相手に大量虐殺専用の宝具を持っているサーヴァントがいるか、そもそもサーヴァントの数が多いかの二択。
そして可能性としても、脅威度の高さとしても相手の人数が多いことを前提とした方がいい。
「・・・ニャニャ!!何かこっちに来てるニャ!?」
《む?——本当に来てる!?高速で北西部から接近中!さっきまでいたサーヴァントだ!!》
「数は」
《数は五騎!でも何だって居場所がバレたんだ!?》
「大方ワイバーンが帰ってこなかったのを不自然に思ったんだろ、それか召喚獣なら殺されたかどうか位はわかるのかもな、とりあえず坊主無線は聞いてたな?」
《うん、ちょうどジャンヌさんのお祈りも終わったよ。
この状況なら・・・撤退かな、迎撃するには相手が未知数過ぎるしここで戦闘はキツイ……と思うかなぁ》
「ハッキリしろ!」
《ハイッ!ここで戦うのは厳しいと判断して——》
《……私は問い質したい……!》
《……えっ?》
《ここで逃げても何も得られません。
これをやったのは確かに“私”なのでしょう、ですが何故このような所業を行えたのか……それだけがわかりません。
せめて真意だけでも問い質さなければ……!》
突然とんでも無いことを言い出すジャンヌ・ダルク。
確かにそれは本人からすれば重要なことだろう、何をどう考えても“本人”には何故この様な事をしたのかまるでわからないのだから。
「待て、貴様の我が儘で私たちだけならともかくマスターを巻き込むのは承服できない、残るなら貴様一人で残れ」
だがそれはワガママ以外の何物でもない。
それくらい彼女にも分かっている、故に
《……わかりました》
《ジャンヌさん!?》
《確かに私の我が儘です、それで皆さんを危険に巻き込むのは私の望むものではありません》
《ちょちょっと!?もうすぐそこまで来てるよ!?》
突然起きた意見の齟齬。
どこの現場でも良く起こることだが、戦場においては致命的だ。
短時間で答えを出せなければ集団は全滅する。
「ちょっと黙ってろロマン、それで坊主は結局どうするんだ」
《…………ジャンヌさんはどうしても逃げない?》
《ええ》
《……アルトリアさんは俺が危険だから残りたくないんだよね?》
「いいや、単に我が儘に手間をかける理由も付き合う理由も無いからだ」
《じゃあ理由があれば良い?》
「……私としては何故ここの住民が何度も刺されてまで殺されるほど恨みを持たれているのか見当がつかないがそれだけだ、他に気になることなど——」
《なら相手にそれを直接聞ければ良いよね!?》
「……まあ上手くやれるなら、だが」
《ジャンヌさん》
《もちろん聞き出してみせます、“私”が何故ここまで酷いことをしたのかを“私”も知りたいですから》
《なら俺たちはジャンヌさんの援護をするよ、それで良い?》
《いいえ、皆さんを巻き込むことはできません。
アルトリアさんの言う通り私だけを残して逃げて下さい、私は後から——》
《とりあえず皆集合、マシュは俺と一緒に。
どうなるかはわからないけど、戦闘は避けられないだろうから臨機応変に対応するしか無いけどお願い!》
「決まりだな、早い話がここで情報聞き出して相手の首を刎ねりゃ良いだけだ」
「お前はマスターの言葉を聞いてなかったのか?臨機応変に対応するのだろう?
そもお前は敵将がわざわざ出てくるとでも思ってるのかね?」
「何を言っている、まとまっているなら私の剣で纏めて吹っ飛ばせば良いだけだろう」
「・・・お前も話を聞いてないな」
「・・・お前馬鹿じゃねえの?」
「ワイバーンが来たニャらオイラが仕留めてやるニャ!……人間は勘弁ニャ」
《み、皆さん!?ですから——》
「馬鹿かお前は」
《!?》
無線機に怒鳴る……こともなく、スネークは淡々と救国の聖女を馬鹿呼ばわりした。
「今から逃げたところで俺らが逃げ切れるわけが無いだろう。
それに一人残した所で一対五で戻って来られるわけが無いだろうが、どのみち俺らにも情報が必要だ。
その情報を引き出せる奴を見捨てるのは愚策だ」
《・・・ありがとうございます》
「感謝するならそう判断したそこにいるマスターに言え、マスターに。
……それに美人をみすみす見殺しにでもすれば夢見が悪い、俺の仲間にも文句を言われるんでな」
「ほぉ、あんた好みか?」
「いいや?手を貸せる人間に手を貸さないのはどうかと思うだけだ。
……すまんが坊主、俺は奇襲を仕掛けたい、一旦隠れるが構わないか?」
《わかった、けどジャンヌさんが喋り終えるまでは待って》
「当然だ、向こうが仕掛ける直前に俺も動く、合図は出せんが戦闘が始まればお前の指示にある程度従うから安心しろ」
《じゃあスネークさん以外は全員集合、どう来るかわからないけど相手は五騎、こっちは6騎いる。
油断はできないけど……知恵は事前にもらったし、とにかくよろしくお願い!》
「なら俺は一旦隠れる、お前らのことは見えているから安心しろ、最も俺の出る幕は無いかも知れんがな」
「無論だ、お前は戦闘が始まってもずっと隠れろ、五騎の相手は十分だからな」
「願わくはそうありたいな、ならよろしく頼んだ」
騎士王の皮肉を楽させる励ましの言葉と受け取り、スネークはそのまま瓦礫となった街に潜って行った。
「・・・いや待てよ、何で瓦礫で見えなくなった瞬間からあいつの気配が消えたんだよ!?」
「わかったかね、昨日私はこれを援護しろと言われたのだが」
「……やはりアサシンだろう、あいつは」
《うん、こっちでも反応をロストした……死角に入れば影が薄くなるって言ってたけど、そういうレベルの代物じゃ無いよねこれ、影が薄いくらいで動体検知からも消えるわけ無いし》
「だがとりあえずはあのジャンヌ・ダルクの援護だろう、スネークを除いて五対五とは言えマスターが被害を被っては話にならない」
「もっともあの盾の嬢ちゃんがマスターの防衛に専念してくれりゃ俺らでカバー出来るけどな」
「とにかく行くぞ、あの聖女に文句の1つ言いたいが……その暇はなさそうだ」
こうして口論は落ち着き、一行はフランスで最初のサーヴァント戦を迎えることになった。
「・・・オイラ、どこにもカウントされて無いのニャ・・・ニャー」
「フォウ、フォー」
「……まずお前は戦えないと思うニャ」
「フォアァ!?」
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