Metal Gear Fate/ Grand Order   作:daaaper

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本日ラストです。
次回の投稿は……来週のどこかになるかと思われます。
首を長ーくして、他の作品でも見ながらお待ち下さいm(_ _)m


邪竜百年戦争 オルレアン:1-2

 

「……詰まる所、王は殺されオルレアンでは虐殺、しかもそれらは数日前に処刑されたジャンヌ・ダルクが蘇ってやったと?」

 

「ああ、俺はオルレアン包囲戦に式典にも参加してあの聖女さまの顔も見た。

………だから間違いない、見た目がとても違っているがあれは聖女さまに違いない」

 

道中、骸骨との戦闘も交えながらも、クー・フーリンと

砦へと着いたカルデア一行は、スネークが何処からか出してきたレーションをエサ……もとい交換材料と交流の足がかりとして使い、落ち着いてフランス兵から話を聞くことが出来た。

 

その結果、ジャンヌ・ダルクが処刑された後蘇り、フランス王シャルル7世を殺害しオルレアンを占拠、さらに虐殺も各地で行なっているらしい。

コレはフランスという国家の崩壊であり、自由と権利を主張し始める国家が消えることを意味する。

つまり過去改変には十分すぎるターニングポイントであるという事だ。

 

※察してるかもしれないけど、カルデアの自動翻訳を適用してみんな誰でも理解できる言語にしてるよっ!

byロマン

 

「あんたらもさっさと逃げたほうがいい、この国はもうそんなに持たないぞ」

 

「そうだな……だが少しばかり用がある、それが終わり次第さっさとずらかるとしよう。

それに食料に余裕はあるからな、俺たちの心配より自分たちの身を心配しとけ」

 

「…………それもそうだ」

 

「……他の連中は違うが、俺は国を捨てた。

産まれた国はあるが故郷はない、だがお前やお前らには守りたいと思える場所があるんだろ?」

 

「……ああ」

 

「ならその心と場所を大事にしろ、生きていれば大抵どうにかなる。

壊された街も時間をかければ復興する、そのためには生きている人間の力が必要だ、そのために……何が大事かは言わなくてもわかるだろ」

 

「……命あっての人生だ、何があろうが生き残ってやるさ」

 

「その意気だ、生きるという意志さえ無くさなければ生き残れるもんだ、生きる意志を無くした奴が生き残れる訳がないからな」

 

「…………悪いな、あんたらは旅人なのにこっちが元気付けられちまった」

 

「気にするな、俺として情報が得られただけで釣りが来る、別段大したこともしていないしな」

 

「いや、あんたに元気付けられたのは確かだ、その……ありがとな」

 

「ふっ……ならもう少し休ませてくれ」

 

「ああ、一向に構わない、何かあればすぐに伝える」

 

そう言って互いに握手をし、スネークは一室から出る。

砦の廊下は負傷兵に溢れ、脚を引きずりながら歩き、所々に包帯で巻かれた体が道に置かれていた。

その光景自体を見慣れているスネークは歩みを止めず、そのまま仲間達が集まってるであろう砦の入り口へと着いた。

 

そこには周辺警戒の任を直接マスターから与えられたエミヤとアルトリア・オルタが居た。

 

「どうだ」

 

「……わざわざ聞くか騎士王、これで聞いていたんだろ?」

 

そう言って指で耳の部分を押さえるスネーク。

立香が事前にダ・ヴィンチちゃんから貰っていた魔術と科学を応用した通信機だ。

時を超え、時空を超え、声を届けることが可能なダ・ヴィンチ工房印の代物だ。

……尚、この存在を知った時、マスターに事前に渡しておけとスネークは文句を言っていた。

 

今もエミヤは周辺警戒に徹しながら無線に耳を傾けている。

 

「しかしお前の考えまではわからん」

 

「それもそうだ、ならマスター達が戻ってきたらだな……それにしてもまだ食料を配ってるのか?」

 

「いや、マスターとマシュ嬢が負傷兵たちを見かねてな。

ルーン魔術を使えるクー・フーリンを連れて重症兵だけを治しに行った」

 

「……まぁ問題は無いか、流石に医薬品を置いていく訳にはいかん。

だからと言ってあの坊主とマシュに見捨てろという訳にもいかんしな、まあやり過ぎなければ良いだろう」

 

「甘すぎるマスターだ、あのアイルランドの御子もわかって付き合ってるから問題無いだろうがな」

 

「そのマスターの判断自体認めたのはお前もじゃないのか?」

 

「……私には直接関係のない事までわざわざいう必要があるか?」

 

「それもそうだが……どうやら帰ってきたみたいだな」

 

すると砦から見慣れた3人が戻ってきた。

その足取りや身なりがしっかりしていることから、大した問題は発生しなかったらしい。

……もっとも、アイルランドの大英雄が付き添っている相手に大立ち回りを演じろというのが難しいが。

 

《どうやらみんな揃ったようだね、なら一旦情報の整理だ。

まず、今回の特異点の原因はジャンヌ・ダルクによるもの、それで間違いないみたいだね》

 

「うん、聞いてて気になったのは見た目が変わっていたって兵士の人が言ってたことだけど……」

 

「だな、治療した兵士も言ってたぜ『ジャンヌ・ダルクが悪魔と契約した』ってな」

 

「生前は聖女として生き、死に際に魔女だと言われ、死後に悪魔と取引し聖女ではなくなった……とは思えん。

魔術というのをあまり知らんが、その世界でも蘇生魔術ってのは禁忌とかなのか?」

 

《まぁ色々と小説化はされてるからある程度スネークも検討がついてると思うけど、古来から死者の蘇生は試みられてきた。

試みられてきた。

けど、そのどれもが完全な成功には至っていない。わかりやすいのがフランケンシュタインとかかな》

 

「ならこの時代のジャンヌ・ダルクが蘇った可能性は低い訳か」

 

「付け加えるなら、そのジャンヌ・ダルクさんは強すぎる人の様なものや、ワイバーンを使役してるようです」

 

「マシュからワイバーンを召喚する魔術があるって聞いたときはびっくりしたけどね……。

けど、この時代の魔術でもそれって難しいことなんだよね?」

 

「ああ、マスターの時代に比べりゃここはまだ魔術のレベルは高えけどな。

それでも竜種を召喚できるレベルの魔術は無理だろ、それに関しては軟弱男の方が専門じゃねえの?」

 

《僕の名前は軟弱男で決定なんだね……それはそうと、ドラゴンやワイバーンの使役はその時代でも無理だろうね、古代でもドラゴンの使役はそれなりに高位の魔術だったみたいだし。

けどそれも、ジャンヌ・ダルクの復活も含めて聖杯があれば可能だろう》

 

「ロマン、それはジャンヌ・ダルクが蘇ったのではなく、サーヴァントとして現界しているという意味か?」

 

《あっ……ウ〜ン、まだ現段階じゃ断定は出来ないかな。

ただ、スネークや藤丸君が聞いた髪や肌の色が変わってると言うのが……》

 

今のところ、この特異点を作った原因は間違いなく蘇った(?)らしいジャンヌ・ダルクだろう。

そして、本来虐殺など絶対にしない、聖女とまで呼ばれた彼女が虐殺を行ったのが事実であれば、それは……

 

「……どうした、私を見て」

 

「お前みたくオルタ化してる可能性が高い、と言いたい」

 

「……なるほど、まあ確かに私の“本物”と呼ばれる方は、性格も良く、崇高で完璧な——」

 

「「いや、それは無い」」

 

「…………続けてくれ」

 

「……私でも、このように圧政を敷く暴君という側面がある、もっとも“if”に過ぎないがな。

それでもこの私になる可能性が“本来の私”にもあった訳だ」

 

《言うなればジャンヌ・ダルク・オルタ、か。

確かにそれならありえるね、これがレフの仕業なら随分と性格が悪いな》

 

「……とりあえず、これからの指針はオルレアンを目指す、で良いのかな?」

 

「そうですね、そのためにも今はまず霊脈の確保かと思います」

 

《じゃあ決まりだ、君たちの南西b——待て!急速に接近してくる反応があるぞ!しかも多い!?》

 

《噂をすればだな、こちらでも視認した、東から大量のワイバーンだ。

どうやらここの兵士が疲弊しているのはあれを相手取っているからの様だ》

 

「敵襲!敵襲!!」

 

ロマンが叫んだ直後、馬に乗った伝令が声を張り上げる……がその声に反応できるほどの余裕はフランス兵には無く、既に士気が擦り切れている。

それでも傷だらけの武器と体を引きずり戦闘態勢に入って行く。

 

「エミヤ、数はわかるか」

 

《……おおよそ50だ》

 

「だそうだが坊主、撤退か、それとも——」

 

「ここで迎撃!連戦で悪いけどクー・フーリンさんとオルタさん!!」

 

「全くもって入れ食いだなっ!俺の望み通りで最高だがなっ!!」

 

「これでも貴様の剣と誓った身だ、それにこの程度、食前酒にもならん」

 

「エミヤさんは戻ってきて周りの兵士さん達も含めてカバーして下さい!

代わりにスネークさんは周辺警戒をお願いします、マシュは俺の護衛お願い!」

 

「叩き込んだ甲斐があったなロマン、上出来だ!」

 

《ああ!所長なんかよりよっぽど頼り甲斐がある!!《!?》》

 

「了解しましたマスター!」

 

無線から何か聞こえた気がしなくも無いが、今は目の前のワイバーンの群れである。

既に誰でも目に見えるくらいにまで接近しており、フランス兵達も隊列を組み応戦する構えだ。

一方で、今まで散々な目にあっているらしいクー・フーリンは、自由に戦闘できることから、言葉通り先鋒で一番槍を担うため、颯爽とその群れに突っ込んで行きその後をアルトリア・オルタが追う。

 

そんな中、エミヤがいる砦の高所にスネークはいた。

 

「数が少なければ俺でもこいつでどうにかできるが……こういう時にアサルトライフルが無い」

 

「確かに、そのボルトアクション式のライフルでは効率的とは言えないな。

もっとも、遠距離での扱いまで取られると私の役目がなくなってしまうのだがね」

 

事前にダ・ヴィンチちゃんやロマン、ほかカルデアのスタッフに各英霊達に魔術に戦術・戦略に関して詰めに詰め込まれた立香は、持ち前の妙な度胸と器用さが相まって、中々の指示を出せている。

エミヤを合流させスネークを見張りに回したのも、スネークの武器が空を飛ぶ集団には向いていないと判断したからだった。

 

「そうか?お前は十分接近戦でもいけるだろう」

 

「流石にランサーとセイバー程ではないさ……だが、アーチャーとしての仕事はしよう」

 

「そうしてやれ、あの坊主とマシュの弱点は優しさだが弱くはない。

そこら辺はむしろあの騎士王の方がわかってるだろうしな、それにまだ脆い」

 

「わざわざあんたに言われるまでも無い、精々その目で私の活躍でも視界の端にでも収めてくれ」

 

「わかった、何かあれば知らせる」

 

了解だ、と言わんばかりに右手を軽く挙げ答えると、エミヤはそのまま飛び降りた。

既に先鋒2人が突き刺し、切り込み、多くのワイバーンを相手にしている。

おかげで大多数がその2人によって仕留められているが、取りこぼしも少なからずある。

 

だがそれも、一匹であれば陣形が整っているフランス兵でも相手取ることができ、集団で襲ってきてもエミヤが集団で襲うことを許さず、時にはマシュがシールドバッシュで弾き飛ばしている。

 

「この分なら……問題ないだろう、現地の兵士も士気は落ちているが技量は本物だな」

 

本来15世紀に存在するはずのない、ドラゴンの亜種であるワイバーン。

多少小さいとは言え、それを相手取るのに飛び道具無しで戦う難しさをスネークはよく知っている。

……サーヴァントならかくや、その相手をこの時代の人間である兵士が出来ている事に素直に驚いていた。

 

《火を吐かないだけこいつらはまだマシだな》

 

《そんなのお前のところの赤い竜くらいだろうよっ!》

 

無線をオンにして話す先鋒のやり取りを聞き、炎を吐く竜など数えればそれなりにいるだろうと思いつつも、周辺を見渡す。

 

「…………ロマン、いま暇か」

 

《何だい?まぁ藤丸君が思った以上にしっかりしてて、他のサーヴァント達が戦ってるから僕は安心して観ていられるけど……あっアレかな?話し相手かい?》

 

「違う、俺の周辺……正確には俺の左後方に何か居ないか?視線を感じる」

 

《視線を?ちょっと待ってくれ……………うん、確かに反応がある、それも2体だね、ただ……》

 

「どうした?」

 

《ぁあ、一体は反応からして小動物、っぽいんだけど反応がはっきりとしてるんだ。

けどもう一体は恐らくサーヴァントなんだけど……こう、反応が小さいと言うかハッキリしないんだ。

小さい方はハッキリと分かるからなおさら変なんだよね》

 

「霊核が壊されてるのか?」

 

《ごめん、そこまではわからない、それに敵かどうかも——》

 

「いや、殺気をまるで感じない。

……むしろ、出て来るタイミングを逃してどうしようか悩んでいる猫の様な健気さを俺は感じる」

 

《・・・視線でそこまでわかるものなの?》

 

「まあ健気さは俺の直感だがな、だが今もこうして隙を与えてはいるが仕掛けてこないあたり、少なくとも話は分かりそうな相手ではある」

 

《……一応言っておくけど、1人で相手をするのはどうかと思うよ?》

 

「問題ないだろう、とは言うがまだ情報が出揃ってないからな。

とりあえず向こうが落ち着き、エミヤが暇になったら俺1人で向かう、無論背後に控えてもらうがな」

 

《それなら問題無いね、幸い既にワイバーンの数は10を満たない。

こちらで周辺のモニタリングはしておくから、もうエミヤくんと一緒に行っていいと思うよ》

 

「……みたいだな、なら俺が声をかける、すまんが周りの監視は頼んだぞ」

 

《任せてくれ、それくらいしか僕には出来ないしね》

 

「そんなことは無いだろう、あの坊主が上手くやれてるのはお前さんの手心もあるだろうに」

 

《それは・・・まぁ、もっとも僕もあそこまですぐに上手くやれるマスターになるとは思わなかったけど》

 

「それだけお前も坊主も良く出来てる証拠だ、くれぐれも敵を見逃すことの無いように頼む」

 

《藤丸くんを褒めつつ僕には遠回しにプレッシャーを……!?》

 

こちらから言わせれば、モニタリング位ちゃんとやれと言う話だ。

……もっとも、ステルス戦闘機みたく誤魔化のきく自分やアサシンが相手ならあまりあてには出来ないが、監視の目が無いより断然マシである。

 

手慣れた無線機をいじり、無線の周波数をエミヤ個人の周波数に変える。

 

「エミヤ、俺の方で未確認の反応が2つ出た、すまんがバックアップを頼めるか?」

 

《了解した。なに、そこからならマスターもあんたの援護も出来るさ、すぐに移動する》

 

「……なら側面に回るとするか」

 

未だ自分の方を確認している2体に不審がられ無い様、一旦砦の奥に引っ込んだ様に見せかけ相手の死角に入り、そのまま相手が潜む南西部の森へスネークは潜んで行った。

 

 

 

 

 

♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

 

 

 

 

「・・・戦闘終了です、マスター」

 

「うん、まぁクー・フーリンさんとオルタさんがやってくれただけで俺は何もして無いけどね」

 

「あ?んな事ねえぞマスター、お前はちゃんと俺とこいつに“戦え”って命令したじゃねえか?」

 

「えっ?けどそれは当たり前じゃ……」

 

「んな訳あるか。

確かにマスターがサーヴァントを戦わせるのは当たり前だけどよぉ……大抵は自由にやらせてくれねぇ。

思惑やら私情やら何やらが無駄に絡まって、全力出すなとか殺すなだとか気分の乗らねえ命令ばっか出しやがる」

 

「それはお前の運の無さだと思うがな」

 

「うっせぇな、テメェも“戦うな”って言われてたんじゃねえの?」

 

「…………さて、何の事だか」

 

「あ〜忘れてたフリですか、まっ俺には関係ねえから構わねえけどよっ」

 

「・・・アレッ?エミヤさんは?」

 

《すまないなマスター、私は一旦後方に下がらせてもらった》

 

「あん?それはスネークの役目だろ、何でお前がそこに居んだ?」

 

《そのスネークが僕たちを観ていた存在に気付いてね、少し前からエミヤくんに一応の支援を頼んでその存在とのコンタクトを試みているよ》

 

《そう言う訳だ、言っておくがスネークの方は無線でも応答しない、ついでに私からも目視出来ない》

 

「はぁ!?それでお前がどうやって支援するんだ!?」

 

《……私も文句の1つくらい言いたいが、ハッキリ言ってスネークの方が上手だ。

彼のスキルなのかもしれないが……弱いがサーヴァントらしい気配はこの場所からもわかるが、スネークの気配は探ってもまるで掴めん、カルデアの方の反応からもロストしたそうだ》

 

「……あいつ、本当はアサシンなんじゃねぇか……?」

 

《うん、僕もそう思うよ。

気配遮断スキルならこちらの魔力反応からも消えるのはわかるんだけど……何で動体検知も出来ないかなぁ…》

 

「……とりあえず、その俺たちを見ていたっていう人たちの場所はわかるんだよね?」

 

《ああ、それは僕の方でも確認できている、その砦から南西方向にある森の方だ、ちょうど霊脈もそこにある》

 

「ではマスター、スネークさんがその不明存在とコンタクトした後、合流しますか?」

 

「そうだね、流石にスネークさんも敵じゃ無いってわかれば連絡してくるだろうし……けどその前に……」

 

「?何かすることでもありましたか?」

 

「何言ってるのマシュ、フランス兵の人達に挨拶くらいした方がいいでしょ?」

 

「あっそうですね、一言だけ声をかけておきましょう」

 

そう言って、先輩とともに砦に向かい別れの挨拶をしに行った2人。

 

((((礼儀正しいなぁ…………))))

 

そんな一般人らしいマスターに対しては時代と性別を超え、その場に居合わせた者たちの心は通じ合っていた。

 

(……いやぁ〜、あんな良い子にあんな良いマスターに会えたなんて)

(マスター……その道は確かに正しいが、一度間違えば俺の様に……)

(あれがマスターねぇ……まっ、過ぎちまったもんは仕方ねえ。……にしても、ありゃ気付いてんのか?)

(甘過ぎる奴だ…………“彼の者”が託しただけはあるわけだ)

 

 

……それぞれの心情と事情は全く噛み合っていなかったが。

 

 

 

 

 

♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

 

 

 

 

「……ふぅ、どうやら無事に終わった様ですね」

 

「……………………………………………………………」

 

「あっいえ……はぁ、しかしこの後はどうしましょう。

確かにほぼ無傷で彼らが戦いを終えたのは幸いです、喜ばしい事でしょう……ですけど出るタイミングを逃してしまいました……まるで出番を取られてしまった気がしなくも無いのですが……。

そもそもこの事態は一体どうなってるのでしょう?それにこの子は一体……?」

 

「……………………………………………………………………………………………………………」

 

「……ここで止まっていても仕方ありませんね、とりあえずここから移動しましょう。

幸い野宿をするには適した場所です、翌日からはオルレアンに関しての情報を——」

 

「その前にまず周辺の状況確認じゃ無いか、お嬢さん?」

 

「ヒャアァァ!?」

「ニャアァァ!?」

 

「……そこまで驚く必要は無いだろう」

 

一方その頃、スネークはまさにその不明存在とコンタクトしていた。

……まぁそのやり方が突然背後に現れると言う心臓に悪い以外の何者でも無い代物だが。

 

「あっえっその、決して怪しい者ではありませんっ!!」

 

「俺やフランス兵のことを見守っていたにも関わらず変な事を言う奴だな」

 

「…………あなた、サーヴァントですか?」

 

瞬間、立ち上がりスネークから距離を取る不明存在1。

具体的には金髪と旗を持つ白い鎧を纏った……少女と言うには色々と育っている美人だ。

だが少なくともやはり召喚された英霊らしい、スネークが自分の事に気付いていたと知った途端戦闘態勢に

入った。

 

もっとも、その間合いは確かに槍の様に扱うであろう旗の間合いではあるが、本職のランサーとして現界したアイルランドの大英雄をも相手取れるスネークにはなんの戦術的優位性も無い。

だがその手の技術は本物ではあるらしい。

 

「ああ、まあな。

少なくとも俺たちは嬢さんに敵対する意思は無い、ついでに先ほどここに来たばかりでな、色々と情報を知りたい……話を聞く限りお前もこの事態の解決に動きたい様だったが、どうだ?」

 

「……失礼しました、これでも私もサーヴァントですので普通の人にはバレませんので」

 

「それは悪いな、隠れんぼに関しては俺の方が上手だ」

 

「隠れんぼですか……なかなか面白い事を言いますね?」

 

「そうか?」

 

実際、この伝説の傭兵以上に“隠れる”事に関して右に出るものはいない。

であれば逆に、隠れている相手を見つける事も大抵の相手なら容易い事だ。

 

「ええ、だって子供っぽくありませんか?」

 

「……こっちは本気なんだがな。

まあファーストコンタクトとしては上出来か、それなら先に名前を名乗るか。

俺の名前はスネークだ、クラスはライダーとしてこの場にいる……まぁほとんどの英雄には知られて無いがな」

 

「えっ、そんな真名を……」

 

「そんな大した事じゃない、むしろ俺が隠れんぼ好きのおじさんだと美人に思われ続ける方が大事だ」

 

「……ふふ、それもそうですね。

それでは私も・・・我が名はジャンヌ・ダルク、クラスはルーラー、貴方にお会い出来て嬉しいです」

 

「……ほぉ、まさかこんな所で聖女様に会えるとはな」

 

これには素直はスネークは驚いた。

何せ年頃であろうお嬢さんがまさか英霊であり、あのジャンヌ・ダルクだとは信じてはいなかった。

……もっとも、勘と見当は付いてはいたのだが。

 

「意外ですか、ならこれも神のご配慮なのかもしれませんね」

 

「……さあな、生憎俺は神様は声は届けても手は貸さん存在だと思ってるからな、居るのかもしれんが」

 

「そうですね、私の口からは我が主は確かに居ると思います、としか言えませんから」

 

「……驚いた、説教でも食らうかと思ったんだがな」

 

「では逆に聞きますけど、1人の田舎娘が突然神の声を聞いた!と言われて貴方は信じますか?

私なら言っている本人を少し心配しますよ」

 

「……そいつは随分な皮肉に聞こえるんだが」

 

「ええ、そうかもしれませんね。ですが一般的にはそう思われる事くらい私も理解してます。

なら神の声以前に存在自体を他人にとやかく言う資格は誰にも無いでしょう?」

 

「……なるほど、かの聖女様から俺はありがたい言葉を得た訳か、サーヴァントになるのも悪く無いな」

 

「ふふふ、貴方は本当に面白いですね」

 

「そいつは光栄な事だ。

……さて、こうして話せる相手だとは十分にわかった訳だ、俺のマスターや仲間と合流するとしよう。

嬢さん……いや、ジャンヌ・ダルク、あんたも一緒に来てくれるとありがたい」

 

「ええもちろんです、それと私の事はジャンヌで構いません・・・それと」

 

「なんだ?」

 

「“この子”も一緒に連れて行って構いませんか?

どうやら一緒に召喚された様なのですが、私には心当たりもなくて……」

 

「この子?どこにいる」

 

「恐らく先ほど驚いてしまったので地面に……あっ出て来ました!」

 

こうしてスネークはまず、不明存在1:フランスの救国の聖女、ジャンヌ・ダルクとのコンタクトに成功した。

 

「・・・おい」

 

「はい、どうかしましたか?」

 

「あれは……本当にお前と同時に召喚されたのか?」

 

「ええ、多分ですけど私がここに召喚された時に隣にいたので……どうかしました」

 

「・・・俺はあいつを知っている」

 

「そうなんですね・・・・・・えっ!?」

 

 

そして2人の目線の先には不明存在2がいた。

 

 

その体と同じくらいのバックパックを背負い

 

しっかりと背筋を伸ばし

 

耳と尻尾を生やし

 

体には毛で特徴的な模様が描かれている

 

首回りは白く、胴には茶色いジャケットを羽織りベルトで胸元を締めている

 

そして黒いゴーグルを掛け

 

白いひげを生やし

 

黄色いヘルメットを被っている

 

 

一体お前はどうやって耳を生やしているんだと言いたくなる存在

 

お前はどうやって素材を集めてきているんだと言いたくなる存在

 

そしてなんだかんだ可愛らしい存在

 

されどその生存能力と探検家としての技術は本物

 

伝説のジィに仕込まれたネコ……いや違う

 

 

 

「トレニャー!トレニャーじゃ無いか!!」

 

 

「…………ンニャ!」

 

 

 

 

トレジャーハンター、トレニャーである。

 

 




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