脱落者の生理現象   作:ダルマ

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第十話

 死肉に群がり、或いは遺品に群がる人々。そんな人々を付け狙う野生生物に突然変異体。そして更にそれらを付け狙う者達と。

 もはや廃墟郡がその姿を崩壊させるまで、そこは名もない墓標として機能し続ける。

 

 そんな墓標、もとい廃墟の間をブロは進む。しかし、道の真ん中を堂々と歩くなんて愚かな事はしない。

 行きと同様、帰りも廃墟の角を慎重に進みながら、時間をかけて前進していく。

 

「ねぇ、助けて! お願い!」

 

 と、とある角に差し掛かった所で角の向こうから女性の声が聞こえてくる。余程切迫した状況なのか、その声からして藁をもすがるように助けを求めている。

 が、ブロは助けに向こうどころかホルスターから拳銃を抜き取り構えると、警戒を更に増すかのように壁を背にしてじりじりと角へと近づいていく。

 

「今時『呼び込み』か」

 

 角から少しばかり顔を覗かせ女性の声のする方を確かめると、そこに広がる光景を目にしたブロは一人呟いた。

 瓦礫や廃車が道に転がる中、一人の女性が通りすがりと思しきスカベンジャーに助けを求めていた。

 

 女性の衣服は見るも無残な程にボロボロで、擦り切れて汚れ、何度も修繕した跡がそこかしこに見られるなど。一目でみすぼらしいのが分かる。

 そんな衣服を身に纏った女性に助けを求められれば助けようと思わずにはいられないだろう。現に、助けを求められたスカベンジャーは力を貸すべく女性と共に近くの廃墟の中へと消えていった。

 

「……っち、引っ掛かりやがった。馬鹿が」

 

 だが、ブロは違った。

 これは別に彼が冷酷非情な人間だからと言うわけではない。それは、彼がこれまでこのキャピタルの地で培ってきた経験に基づく判断。即ち、それが罠であると見抜いた為である。

 

 ウェイストランドの大地に生息する生態ピラミッドの底辺に属するレイダー、それは、ここキャピタルの地でも当然多く見られた。

 しかし、ウェイストランドの中でも本当の地獄と称されるキャピタルに巣食うからか、キャピタルのレイダーは他の地域に比べ少々頭を使う。

 そして、そんな頭を使うレイダー達がその乏しい頭脳を回転させて編み出したのが、先ほどブロが呟いた『呼び込み』と言う方法である。

 

 短気で荒くれ者のレイダーの中にあって比較的それらを隠せ演技の出来る者を『呼び子』とし、みすぼらしい装いと共に恰も襲われたかのような演技を織り交ぜながらスカベンジャーを始めとする人々に助けを求める。

 そして、まんまと救いの手を差し伸べた者を仲間が待ち構える廃墟などに誘い、そして隙を見て襲い、新鮮な肉にありつくという寸法である。

 

「ま、呼び子を排除してくれたからいいか。何処の誰かは知らないが、その犠牲は無駄にはしないぞ……」

 

 だが、頭を使い罠を仕掛けると言っても所詮はレイダー。

 罠にかからず逃げられると察するや否や、呼び子の合図で仲間を呼び得意の暴力で新鮮な肉を手に入れようとするなど。結局は他の地域と変わらぬレイダーらしさを見せる事もしばしばある。

 

 なので、ブロとしては呼び子を排除してもらい不要な戦闘を避けられる事への感謝を呟くと、警戒しつつも角を曲がり一気にその道を突っ切ろうとした。

 

「……あれ? 感謝の言葉はないんですか?」

 

 しかし、不意にくぐもった声が聞こえ、ブロは足を止める。

 刹那、ブロは声の方へと迷う事無く手にした拳銃の銃口を向けた。

 

「っと、助けてあげたって言うのに、感謝どころか銃口を向けるなんて、酷い人だな」

 

 銃口の向けられた先にいたのは、一人のスカベンジャーだった。しかもその人物は、誰であろう先ほどレイダーの罠にまんまと引っかかったあのスカベンジャーであった。

 しかし、スカベンジャーは特に追剥に合った様子もなく、先ほど誘われた廃墟の扉の前に立っていた。

 

「感謝の言葉ならさっき呟いたぞ、聞こえなかったのか?」

 

「そうなんですか? すいません、小さすぎて聞こえなかったんですよ」

 

「あぁ、そりゃ悪かったな」

 

 銃口を向け、或いは銃口を向けられていると言うのに二人はのん気に会話を始める。

 しかし、そんな会話を交わしつつも、ブロはその鋭くなった視線で相手の様子を隈なく観察していく。

 

「所であんた、何処の誰だか知らないがかなりのやり手みたいだな。返り討ちにしたんだろ? 廃墟の中のレイダー達を」

 

「返り討ち……、まぁそうですね。でも、あの程度のレイダー相手ならば貴方でも問題なかった筈。なにせ『レッドロケットの英雄』さんですからね」

 

「何だ、まだそんな名前で呼ぶ奴がいたのか……」

 

 レッドロケットの英雄、その呼称はブロにとっては懐かしいものであった。

 その名は、ブロと言うスカベンジャーがこのキャピタルの地で鮮烈なデビューを飾った出来事によって名付けられたもの。

 

 かつてこの地に巣食っていたレーダーの集団があった。レッドロケットを拠点としていたその集団は、人々からレッドロケット団と呼ばれ、絶望の多いこの地に更に絶望を増やしていた。

 しかし、そんなレッドロケット団に突如として終焉が告げられる。それが、ブロと言う名のスカベンジャーの登場であった。

 何処からやって来たのか、驚異的な戦闘能力を有するブロは、たった一人で短期間の間にレッドロケット団を文字通り壊滅させたのだ。

 

 この活躍により、ブロはレッドロケットの英雄と言う呼称を得る事になるのだが。年月が経過した現在となっては、その名を使うものは数少ない。

 

「でも、ある意味で当然の結果ですよね。……N.E.R.が誇る特殊部隊コヨーテの元隊長。ブロ・アーガルズともあろう人物ならばね」

 

 スカベンジャーの口から自身のフルネームが零れると共に、ブロの目つきは更に鋭さを増し、拳銃を握る手にも力が入る。

 そして、隠せんばかりの殺意がブロの体に溢れ始める。

 

「っ、貴様! 一体何者だ!!」

 

「酷いなぁ、元部下の顔も忘れちゃったんですか」

 

「元部下!? だと」

 

「あ、そうか。これ付けてちゃ流石に誰だか分かんないですよね」

 

 そう言うと、スカベンジャーは自身の顔に装着していたガスマスクを慣れた手つきで外し始めた。

 程なくしてガスマスクを外し、露になったスカベンジャーの素顔を目にしたブロの脳裏に、懐かしい記憶の一部が鮮明に蘇る。

 

 そこには、ブロの知る顔があった。

 とは言え、年月が経過し幾分と大人びてはいたが、それでもかつて目にした事のある顔がそこにはあった。

 

「お久しぶりです、元隊長殿」

 

「お、お前……。スヴェン、なのか」

 

「えぇ、そうですよ。貴方の現役最後の新米隊員、スヴェンです」

 

 そこにいたのは、ブロがまだヘイブンと言う地に軍人としていた頃に知り合った人物。

 かつて隊の新米隊員として一時を過ごした元部下。スヴェンと呼んだその人であった。

 

 今では新米隊員であった頃よりも成長し、その顔つきは一人前の隊員のものとなってはいたが、今でもかつての面影をブロは感じることが出来る。

 

「でも、今ではコヨーテの副隊長と言う肩書きを貰えるまでに成長したんですよ」

 

「ほぉ……、そりゃ凄い」

 

「あれ? あまり驚かないんですね?」

 

「まぁ、お前は成長する奴だろうと思ってたからな」

 

「それは初耳ですね」

 

 そんなスヴェンと思わぬ再会を果たしたブロではあったが、再会の喜びに浸ることはなく。相変わらず元部下のスヴェンに対して銃口を向けることを止めようとはしない。

 

「で、そんなコヨーテの現副隊長さんが、こんな廃墟に一体何用で?」

 

「ちょっとした下見ですよ」

 

「下見?」

 

「えぇ、調査の為のね」

 

「ふ、相変わらずちまちまと現地の実態調査か。……座礁船の連中に言って現地ガイドを頼んだのも調査の為か?」

 

 ブロは先ほどハルマンから聞いた話とスヴェンとの会話で得た情報を元に、独自の仮説を立てる。

 

「おや、N.E.R.を離れて久しいと言うのに、随分と情報が早いですね?」

 

「まぁ、大変だったがこっち(キャピタル)で一からコネ作って、今じゃ色々と喋り相手には困らないからな。……ま、その過程で英雄なんて大げさな名前も付けられたが」

 

「そうですか、それはご苦労様でした。……でも、やはり正確な情報を手に入れるには、情報元に近いところにコネを作らなければ、やはり不正確で誤った情報を得る事になりますよ」

 

「どういう事だ?」

 

「今回の調査はこれまでの調査とは異なるんです。そう、言わば今回の調査は下準備、我々N.E.R.が再びこの地を繁栄の中心地とする為のね」

 

「なんだと!?」

 

 スヴェンの言葉から何かを感じ取ったブロは、思わず驚きの声を漏らす。

 

「今まで口先だけで細々としか行動せず、結局ヘイブンに引き篭もってウェイストランドには殆ど干渉して来なかったのに、今更どういう風の吹きまわしだ!?」

 

「人の心が常に変化をするように、N.E.R.の心もまた、惨めで荒れ果てた祖先達が暮らしていたこの大地を救いたいと、本気で思うように変化したんです」

 

「は! 何だそれ。何年とも知れず半ば見て見ぬ振りしてきたくせに、今更自責の念にでも駆られたって言うのか!!」

 

「やっと重い腰を上げようと動き出したと言うのに、そう怒鳴る事でもないでしょう。少しは喜んではどうです?」

 

「お前らはいつもそうだ! 自分達の都合で見捨てたり手を差し伸べたり!!」

 

「しかし、かつては貴方もそんな我々の一員として働いていたじゃないですか?」

 

「くっ」

 

 拳銃を握る手が、その指がトリガーを引きそうになるも、ブロはすんでのところで思いとどまる。

 今ここでスヴェンを撃った所で、事態が好転する事などありえないからだ。

 

「そもそも本当に最後までやり遂げるのか、またいつぞやみたいに途中で投げ出すんじゃないだろうな!」

 

「今回は本気ですよ……、おや?」

 

「ん?」

 

 スヴェンが何かに気が付き明後日の方向へと視線を向ける。それに釣られる様にブロもまたスヴェンが視線を向ける方へと自身の視線を向ける。

 そこで目にしたのは、角から二人の事を覗き込んでいる二つの目であった。

 

 しかし、その二つの目を持つものは人間ではなかった。その顔は、まさに地獄からやって来た悪魔の如く。

 二足歩行をしてはいるがその図体は巨体で、その肌は鱗に覆われ、その巨体に似合う力強いその腕の先には鋭い爪が設けられた五本の指。更に顔には悪魔のような二本の角に、背中から尻尾にかけて棘のような背びれが見られる。

 

 その凶暴な見た目に違わず、ウェイストランドの生態ピラミッドの頂点に君臨する生物の一つ。かつての戦争が残した生きる負の遺産の一つ。

 『デスクロー』と呼ばれる野生生物が、角から二人を覗いていた。

 

「おやおや、貴方が声を荒げるから彼か彼女かは存じませんが、機嫌を損ねてしまったようですよ」

 

「くそっ! 逃げるぞ!!」

 

 ゆっくりと角からその全体像を現すデスクローを他所に、ブロは急いでその場から逃げようとスヴェンに声をかける。

 

「グォォォォォッ!!!」

 

 が刹那、デスクローの咆哮が周囲に響き渡る。それまさに、悪魔が狩を始める合図かの如く。

 さて、一見するとデスクローと二人との間にはある程度の距離が、具体的には二人がブロが曲がってきた角からさほど離れていない距離にいるのに対して。デスクローは殆ど通りの端に位置し、相対距離は数百メートルにもなる。

 

 この事から、逃げるには十分な距離が開いていると思われるが、デスクローの脚力を持ってすればこの程度の距離などあってないようなものである。

 

「おい、何してんだ!!」

 

 それを知るブロは動こうとする気配のないスヴェンに再度促すが、当の本人は逃げ出す素振りを全く見せない。

 

「くそっ!」

 

 刹那、その鋭い爪を持った手を広げ獲物たる二人に近づいてくるデスクロー。

 対して、スヴェンはその場から動こうとせず。一方のブロは先ほど曲がってきた角に向かって走り出していた。が、スヴェンの理解不能な行動を見かね、その足を急停止させると、手にした拳銃の銃口を迫るデスクローに向けた。

 

 当然ながら、あの巨体に比例してその防御力は柔、と言うことはなく。当然ながら拳銃だけでどうにかできるような相手ではない。

 しかし、ブロにしてみれば例え元部下であったとしても、目の前で何の抵抗もなくして死を迎えられるのは目覚めが悪くなる。なので、少しでも時間を稼ぐべく抗う。

 

「……やっぱり、相変わらずお節介だ」

 

「早く逃げろ!!」

 

 発砲音に掻き消されたスヴェンの言葉を他所に、ブロはデスクローの足を止めるべくデスクローの目を狙って発砲するが、当然元特殊部隊の隊長と言っても容易に当てられるものではない。

 

「くそ!」

 

 相変わらず動こうとしないスヴェンに狙った箇所に当たらない苛立ちから悪態を吐くブロ。

 

「そうだ、証明してあげますよ。今回こそ我々は本気だって事を」

 

「はぁ!? 何を言って……」

 

「さぁ、来ますよ」

 

 こんな時に一体何を言い出したのかと思わずにはいられないブロであったが、やがて彼の耳に甲高い音が聞こえてくる。

 円形状の回転物を回転させるモーターの駆動音。その独特の高音に、ブロは聞き覚えがあった。否、忘れたくても忘れられる訳なかった。その音はブロが何度となく聞き、そして耳の奥に残って消えない。

 

 そして、そんな音を放つ物の正体もまた、ブロはその目に焼きついて離れなかった。

 

 刹那、ブロが逃げようとした角から、一人の、いや一体の巨大な人がその姿を現す。

 サンド・ベージュに塗装されたその鋼鉄の巨体は、デスクローよりも大きく、全高は四メートルは誇っている。各所に施されたセンサー類からライトの増設、更には不整地での走破性向上の為のキャタピラが取り付けられた足回りなど。まさにその巨人は戦う為の戦闘マシーンであった。

 しかし、腰や背には燃料容器や背嚢等の乗員独自の装備品が取り付けられ人間味を醸し出している。

 

【挿絵表示】

 

 

「ラトラーンスドッグ!」

 

 その巨人の名をブロが口にした瞬間、巨人のバックパックに装着されていた多銃身式機関砲が起動し、銃身が回転し始める。

 刹那、高速回転された多数の銃口から絶え間のない弾丸の雨が放たれる。

 

 途切れる事のないその発砲音は、まるで一つのサイレンのように周囲に響き渡る。そんな音に鼓膜をやられないようにか、ブロは両手で耳をふさいでいた。

 

「ギャ、グャァァァッ!!」

 

 そして、そんな多銃身式機関砲から放たれた雨のような弾丸は、ラトラーンスドッグの出現に驚き足を止めていたデスクローにとめどなく降り注ぐ。

 いかに頑丈な鱗や皮膚を誇っていたとしても、所詮は生物。科学の結晶たる鋼鉄の鎧を貫く為に発明された槍の前にはその無力であった。

 

 放たれる弾丸の雨を前に、逃げる間もなく体中を無数の弾丸に貫かれたデスクローは断末魔を挙げながら、その巨体を冷たいコンクリートの上に横たえた。

 

 程なくして、咆哮を終えた多銃身式機関砲が静かになると、そこには嵐の後の静寂が訪れる。

 赤い血を流し物言わぬ障害物と化したデスクロー、空薬莢を撒き散らしながらも静かに勝利を宣言するラトラーンスドッグ。そして、一方的な戦闘の観戦者と化したブロとスヴェン。誰もが、言葉を発せずにいた。

 

 しかし、程なくして静寂を打ち破るようにブロが言葉を漏らす。

 

「は、ははは。成る程、確かに今回は本気のようだな」

 

「ご理解していただけましたか?」

 

「あぁ、したさ。……にしても、まだ使えてたんだな、ラトラーンスドッグ」

 

 脅威となるものがいなくなったからか、それともスヴェン側に強力な援軍が現れて不利と悟ったのか。ブロは手にした拳銃をホルスターへと戻しながら、話を続ける。

 

「てっきり、台所事情が苦しいからあの『まがい物』でも使わされてるのかと思ってたが……」

 

「正規部隊の皆様には至らない台所事情で苦労をかけてしまっていますが。そのお陰で、我々コヨーテを始めとする一部部隊は潤沢な装備が今なお使用できています」

 

「相変わらず、中央のお気に入りは手厚い優遇をお受けできるようで」

 

「おや、貴方だって元はそんな手厚い優遇を受けて、湯水の如く良質な装備を使用していたではありませんか?」

 

「あぁ、そうだったな……」

 

 自身のかつての境遇を嫌でも思い出し自嘲するブロ。そんな彼を他所に、デスクローを前にしても動こうとしなかったスヴェンが遂に動き出した。

 

「では、そろそろお暇させていただきます。下見の報告書なども作成しないといけませんので」

 

 ラトラーンスドッグの方へと足を運ぶと、差し出してきた手に飛び乗る。

 さぞかし眺めがいいであろう、ラトラーンスドッグの手の上からブロを見下ろすスヴェン。

 

「あぁ、そうだ。もしも我々に協力したいと言うのであれば、掛け合ってあげますのでお気軽にお申し出下さいね」

 

「おい! 待て!」

 

「では、失礼します。元隊長殿」

 

 再び響き渡るモーターの駆動音。刹那、スヴェンを手に乗せたラトラーンスドッグは素早い旋回を行うと、その後あっという間にその場から姿を消した。

 

「くそ……」

 

 ラトラーンスドッグが走り去る際に被ってしまった砂埃を払いながら、ブロは一人悪態を吐く。

 一人残されたブロは、とりあえずデスクローの死体へと近づく。そして、もはや身に染み付いているのか、売れそうな角や爪などの部位を厳選して麻袋に詰めるととりあえずはその場を後にする。先ほどの戦闘音を聞きつけて他の野生生物やレイダー達が寄って来ないとも限らないからだ。

 

 

 その後、無事に廃墟郡を抜け道なき道を突っ切り、自宅の小屋へと戻ったブロ。

 小屋に入るや否やベッドの脇に麻袋を投げるように置くと、そのまま勢いよくベッドへと飛び込む。

 

「あぁ、くそ!」

 

 窓から夕焼けが差し込む中、夕焼けに照らされた天井を眺めながら、ブロは頭をかいた。

 自分は今後どうするべきか、その答えを導き出そうとするも、直ぐに答えは導き出せそうにない。

 

 と、ブロの腹から虫の鳴き声が聞こえてくる。腹の虫と言う名の虫の声が。

 

「……、何か食うか」

 

 腹が減っては戦も出来ぬし考えもまとまらぬ。ブロはベッドから起き上がると、冷蔵庫へと近づいた。

 そして、冷蔵庫の扉を開けて中身を確認し、今晩の献立を考えるのであった。

 

 と言っても、バランスのよい献立と言うものは、望み薄ではあるのだが。

 それでも、極力同じ献立にならないように出来る限り工夫はしている。




読んでいただき、どうもありがとうございます。

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