ソードアート・オンライン~紅葉きらめく双刃~   作:セウト

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1万3千達成です。ワ~イ


この話は基本プログレッシブ時空の話なのですが、おそらく次の次の話は普通に1巻2巻の話になると思います。

早く、プログレッシブの5巻が見たい…。けど、川原先生忙しいんでしょうね…。

あ、最後に一昨日4回目の映画を見に行きました。特典ゲットです。ボスモンスターの名前とか詳細に分かったのでいつかOS編まで書けたらいいなと思いました。

では


2層~攻略・前~

 沈黙が肌にチクチクと刺さる。およそ、3日ぶりの≪ウルバス≫もとい“街”ですよ。俺は昨日深夜から、今日の明け方にかけてまで床・フローリングではなく、地面・JIMENの上に正座を強制されていた。もちろん強制させていたのは、隣をしかめっ面で歩くシノン様である。一夜にして相棒から主従関係にジョブチェンジした俺たちは、とあるお店に向かっている。長時間、執り行われた正座地獄だけではシノン様のお怒りは静まらず、お詫びをして差し上げろと、天啓が下ったので…。まあ、いつかはそこ(・・)を訪れるはずだったので、俺的には都合がいい(シノン様のことが第一だが!)。

 

「ねえ、アキ」

 

「はい、何でしょうかお嬢様」キリッ

 

「なんなのよ。さっきから…その態度、行き過ぎは逆に鼻に触るんだけど。今度したらアルゴさんに“ビーター紛いは女の敵”っていう特集記事を無料配布してもらうからね?」

 

「それだけは勘弁を!」

 

 ゲーマーとしての汚名を一昨日背負ったばかりなのに、今度は変態という男としての汚名まで背負ってしまいそうになるのであった。

 

 

 

 

 俺たちが≪体術≫スキルをゲットしている間中、共通して思っていた事。それは、早くちゃんとしたご飯が食べたいという事。修行中は持ち込みの簡易ご飯:レーションを食していたのだが、あまりの味気無さに、街に繰り出して『アキえもん』という名前を本気で背負おうとしたことさえある。俺たちにとってNPCレストランで食事をとるのは3日ぶりの食事だと言っても過言ではない。

 

 メインストリートから左に曲がったり、右に曲がったりでようやく着いた目的地。

 

「お、良かった~場所変わってない。着いた~」

 

「あ~良かった。急に人気(ひとけ)のないところに入っていくから、どこかの変態に襲われるんじゃないかと思ったわ」

 

「……」

 

 ひどいっ(泣)!あまりに辛辣な物言いに無言という、いち物語を語る者としてあるまじき反応をしてしまった俺だが、言わせてほしい!シノンさんは妙に博識なところがあるせいで、俺に放たれる嫌味も語彙力によるレパートリーがすごい。正直ここまで来るのに、吐かれた嫌味で俺のHPはZEROなのだが…。

 

「…あ、ちょっと言い過ぎたかも…。気を悪くしないで」ウワメ

 

 …新手のツンデレか!さっきからこの調子なのである。物凄い罵倒を受けてHPが減らされたかと思えば、ちょっとデレ?てくる発言でヒールを繰り返す(たぶん言い慣れていないのと優しい性格だから)。何回蘇生したかは、10を数えたあたりから数えるのをやめた。

 

「い、いや…別に気にしてない…から」

 

 悲しいかな、耐性がなさ過ぎて俺流・暗視状態(効果:相手の目が見れない)に陥っている。

 

「とにかく入ろう。そうしよう」

 

 穴場レストランは俺がβ時代に見つけて常連となった、思い出の場所。いつも同じカウンターにいるNPCに「彼女でもできたのか」と言われそうなシチュエーションだが、生憎(あいにく)そんな反応は返ってこない。誰かと一緒に来るなんて考えもしてこなかったが、隣に誰かがいるというのも悪くないと、そう思った。

 

 

 

 

「で、ここに連れてきた理由は?」

 

「もちろん、人気(ひとけ)がないから!というわけではなく、お詫びだよ。お・わ・び」

 

「はぁ?今朝方のことなら…癪だけど許したわよ。…ま、ちゃんと何するか教えなかった私も悪かったし」

 

 語尾につれて声が小さくなっていく。かわいい(確信)。…ではなく。

 

「いやいや、そのお詫びじゃなくて…。って反省してないわけではモチロンないんだよ!?でも、今回のお詫びはさ…一層の時に約束したじゃないか」

 

「?」

 

「はは、覚えてないか。それなら、それでもいいんだけど。『ウルバスでうまいケーキ奢ってやる』ってさ」

 

「ああ!私が発作で倒れたときね?…あんた、よく覚えていたわね」

 

「まあ、一方的に約束したからな。それに俺もここのケーキがそろそろ食いたいなって思ってたし」

 

 よかった、シノンが発作を気にした様子もなくて。

 

「今日は俺の奢りだから、遠慮なく食ってくれ」

 

「はいはい、ありがたく頂くわ」

 

 

 

 

 ≪トレンブル・ショートケーキ≫。≪トレンブリング・カウ≫というフィールドの小ボスから摂れたミルクを使用している設定のホールケーキだ。その値段たるや…。

 

「高くなってる…だと?」

 

 お値段的に0が一つほど増えている気がしてならない、全然ショートじゃないケーキ。ホントは二皿程注文しようとしたのだが、これからポーションやら道具やらを買い備える身としては、少々手が出にくい。ここは断腸の思いで俺の分をあきらめるしか…。

 

「うわっ、高いわね~…。これ、大きさはどのくらいなの?」

 

「えっ、たしか大きさは…サッカーボール程度の直径の円に8センチの高さって感じかな?」

 

「そう……2/3あげるわ、あんたに」

 

「!いいの?」

 

「ええ、私甘党じゃなくて辛党なのよ。どっちかというとね」

 

「あ…そうか。じゃ今回のはあまりお返しにならないかな」

 

「そういうわけじゃないわ。こういうのは“もの”よりも大事なのは“気持ち”よ」

 

 「そうでしょ?」と付け足し、俺を(さと)してくれるシノン。気になる訳わけじゃないけど…本当に気になるわけじゃないけど、やっぱり俺よりも年上なんじゃないだろうか。こういうことが言える女の子は、俺の周り(元々いないけど)で見たことがない。ただ、大人びているのか、俺みたいに背伸びしているのかは分からないが、ここで女性に年齢を聞くようなKY行為はしてはいけないという事は、俺にでも分かるのでしない。

 

 そこでようやくケーキのお出ましときた。でかい。値段に比例したのか、でかくなっていやがる。実はまだ朝食を食べていないのだが、ご飯の前の間食を怒る人はSAOにはいないので順番は気にしない。この大きなケーキをご飯にするも良し、デザートでお腹を満腹にするも良し、人それぞれだ。

 

 シノンが2/3にケーキを綺麗に切り分け、大きい方をくれる。片手には不恰好に大きいフォーク。ケーキはものすんごい量のクリームでコーティングされているので簡単にスポンジまで届かない。甘党である俺には夢のようなケーキなので淡々とケーキを食べ進め、神速で半分くらいをペロリと平らげた。しかし、その俺の早食いに追いつく者が一人いた。ていうか、この店には俺とシノンしか客がいないので、その主とはシノンのことなのだが。

 

(??シノンって甘いの苦手なんじゃなかったのか?)

 

 いくらなんでも、男であり、甘党であり、成長期男子であるこの俺に追いつく速さとはこれいかに。流石に違和感を覚えるのだが…。

 

「…シノン食べるの早いね…?」

 

「そ、そうかしら?」

 

 なぜか疑問形で語り掛けてしまったが、今の反応で分かるようにシノンも動揺している。う~んこの反応が示す答えとは…。とりあえず

 

「まだ、おなか減ってるんじゃない?なにか頼もうか?」

 

「いいえ、いいの私あまりおなか減ってないし!」

 

 シノンにしては珍しい。何が珍しいって、いつも腕組みを忘れずにする彼女が、今だけはジェスチャーで腕を左右に揺らしながら否定していることだ。明らかに動揺…グ~ ガスッ

 

 整理しよう。どうやら、お腹もまだ減っているようだ。お腹が鳴って、顔を朱色に染めながら俯くシノン。俺の足へすかさずダメージを与えるシノン。キコエテナイヨ。

 

 しかし、いまだケーキもといご飯を食べない理由が分からない…。今日は俺の奢りだからって遠慮するような性格でもなさげだし。女の子が食べない理由ってなんだ??

 

 そこで、第一層フロアボス戦以来に俺の頭に電流が走る(こんな事でかよ!)。女の子が甘い食べ物を絶食する理由?そんなもの日本のサブカルチャーに浸っていたら簡単に分かることではないか!確かにこれを現実世界で目にすることなんてないと思っていたが…どうやら実在したようだッ。

 

 しかし、気の利いたことが言える気がしない。時間が経つにつれてケーキの耐久値も減少していく…。ええい!ままよ!

 

「コホン、えぇシノン?SAO内で甘いものをいくら摂ったところで太ったり(・・・・)しないよ?」

 

 最高の笑顔を載せて…シノンに優しく語り掛けた。顔をゆっくり上げてくれたシノン。どうやら俺の言いたいことは伝わったようだ。シノンも最高の笑顔を見せてくれている。そして

 

「この…Nonデリカシー男!」

 

 間違いなくここが≪圏内≫でなければシノンはオレンジプレイヤーだったろう。ここではそうであったとだけ伝えておくことにする。ちなみに、いつの間にか俺の残していたケーキは無くなっていた。いいか、“いつの間にか”だ。異論は認めん!

 

 

 

 

 かる~~いトラウマを抱えながらNPCレストランを脱出した俺。きっと何もなかった。はい、この話はもう終わり。今は主街区≪ウルバス≫で予定通り武器の手入れ、買い溜めをしておくことにする。

 

「で、アキはこれからどうするの?また、何かのクエストを受けるのかしら」

 

「いんや?準備が終わったら迷宮区に入ろう。そこでシノンには訓練してもらうから」

 

「訓練って…何の?」

 

「もちろん、フロアボスの。この層のフロアボスは少し特殊な攻撃をしてくるからね~。でも、その攻撃は下位互換のMobも使ってくるから…」

 

「それで、特訓ね…。ふう、この層に来てから修行しかしてないわね」

 

「スミマセンデシタ」

 

「いいわよ、結局はしないといけないことだしね。それに今は身体を動かしたいわ」

 

「それってダイエッt「ん?」何でもないです…」

 

 危うく先ほど埋めてあった同じ地雷を踏み抜きそうになるが、なんとか踏みとどまった。ギリセーフ。と、やり取りしていると…メールが届いたアイコンが。アルゴからだ。

 

『ヨウ、元気してるカ。実は…』

 

「ふむ、怪しいな。確かに」

 

「なにが?」

 

「シノン、いったん修業は後回しでもいいか?」

 

「?」

 

 どうやら、新しいクエストの予感。

 

 

 

 

「お~イ、アッキーにシーちゃん!コッチだゾ~」

 

「おい~っす、三日ぶりだなアルゴ」

 

「久しぶりね、アルゴ」

 

「え、呼び捨てする仲!?おい、シノンあまりアルゴに関わりすぎるなよ?いろんな情報すっぱ抜かれるからな?」

 

「そう、じゃあアキの情報全部くださいな」

 

「10コルだナ」

 

「安っす!え、安っす!!これじゃポーション一つすら買えねえよ!」

 

「シーちゃん特別プライスなんだナ、これが」

 

 軽口から入っていく俺たち三人。俺にとって本当に数か月前まで、あり得ない光景だが今はそんなことを気にしている場合じゃない。

 

「それにしても、こっちはうまくいってて何よりだナ」

 

「「?」」

 

「で、二層攻略につながるクエストだって?」

 

「そう、実はクエスト自体発生したのが今日の深夜、たぶん一時くらいだナ。発生条件は分からないが、今までウンともスンとも言わなかったクエストボードに新しい項目が追加されたんダ」

 

「“老師の岩下神殿にお使いを”これがクエスト名?」

 

「ああ、どうやら本当に新しく追加されたクエストみたいだな…。でも、何をお使いすればいいんだ?それくらいは掴んでるんだろ?」

 

「別途料金になるゾ?」

 

「いいよ。攻略のためなら、いくらでも」

 

「ウソだヨ。これはβにはなかったクエスト…だからオイラに払う金があるなら準備万端にして挑んでくれっていう話ダ」

 

「?お前は受けないのか、このクエスト」

 

「ああ、オイラには今先約がいるんだナ。これが」

 

「誰かしら?」

 

「そいつは100コル」

 

(俺の全情報よりも高い!?)

 

「はい」チャリーン

 

「まいど~。ま、隠すような事でもないしナ。オイラは今からアーちゃん(アスナ)に頼まれて、もう一つの二層攻略情報クエに挑むんダ」

 

「なるほど…お前が片方のクエを誰かに渡すなんて…結構、切羽詰まってるてことか…」

 

 アルゴはβ時代誰よりも早く、正確な情報を売ってくれたものだ。しかもその秘匿性は、俺でも信頼を置けるほどに高い。β時代≪鼠≫と呼ぶ前は検索エンジンみたいな奴だなと、ずっと思っていた。

 

「ま、そうだナ。おそらく攻略トッププレイヤーは、あと一週間以内にボス部屋を叩くことにナる。なら、情報が得られるなら早い方がイい。それにアッキーなら無償で受けてくれると思ったしナ」

 

 ニシシッと笑って見せるアルゴ。彼女には本当に頭が上がらない。アルゴは攻撃型ビルドではなくAGI全振り所謂(いわゆる)、隠密に長けたスキル構成を取っているはずだ。ゆえにHPが低いことは明らかで…。

 

「そう思いつめた表情するナ。オイラの逃げ足の速さは知ってるだロ?」

 

「はっ、誰が思い詰めてるって?どうせ心配してもコッチのいう事なんて聞かないなんて知ってるし、心配損になるって俺は分かってるんだからな」

 

 俺には俺なりにβテスターとしての役割があると思っている。彼女にもきっと“それ”があるのだろう。俺だってきっと、誰かに「やめろ」と言われてもやめないように、彼女に俺が「やめろ」と言っても聞かないのは道理だ。ならば引き留めない。

 

「死ぬなよ」

 

「ほいサ」

 

 これで十分、俺たちが元々仲が良かったことなんてことはなかったのだから、これぐらいの距離感で十分いつも通りだ。

 

 クエストの詳細をくれたアルゴに礼を言って俺たちは二層の迷宮区に向かった。その時、後ろを歩いていたお姫様が

 

「…なによ、二人だけの世界に入っちゃって」

 

 と、少しむくれていたのは誰も知らない。

 

 

 

 

キンッ キンッ キンッ

 

「シノン、≪ナミング≫来るぞ!思いっきり下がれ!」

 

「了解!」

 

 ブモォオオオと咆哮を上げて、俺たちが敵対しているミノ系Mob≪レッサートーラス・ストライカー≫は両手用ハンマーを地面に叩きつけた。叩きつけた先からは揺れが可視化されたような波が出てくる。それに触れるとたちまちプレイヤーである俺たちは“転倒”判定を食らい。二度食らえば長時間動けなくなる“麻痺”のデバフにかかる仕組みになっている。

 

「ナイス!タイミングつかめてきたな!」

 

「まだまだ!」

 

 そこからはミノが気の毒になるほどの高速連撃&クリティカルの応酬ですっぱり消し去る。

 

「さすが、もう免許皆伝だな」

 

「まだまだ…アキに指示貰わないとタイミングが合わないし」

 

「まあ、そこは経験だよ。必ず技には予備動作があるからな。それが何なのかを見極めるのが、このゲームの醍醐味でもあったんだけど」

 

「今では、“余計なこと”をとしか思えないわ」

 

「だよな」

 

 この世界の創造者に文句を言いながら、次の≪レッサートーラス・ストライカー≫のポップを待つ。

 

「で、アルゴから貰ったクエストはいつ進めるのかしら?真っ先にこっちの訓練に来ちゃったけど…」

 

「う~ん実際、何にも分からないっていうのが現状だからな~」

 

 アルゴとのやりとりから3日経ち、いまだにクエスト攻略が進まない俺たち二人組。ちなみに受け取ったクエストの内容はこうだ。ある目的地(岩の下にあるらしい)に7つのヒト型人形をお供えに行くというクエストらしいのだが…そのお供えものをアルゴは6つまでしかゲットできなかったらしい。さらに言うと”岩下”というのがどこのことなのかも分からない、とのことなので正に行き止まりという感じだ。

 

 いや、この話はどこかで聞いたことのあるような気がするのだが…

 

「この話ってどこかで聞いたことのある話なのよね~」

 

「お、なんだシノンも同じこと考えてたんだ。ということは、何か元になる原典があるのかもな~」

 

「そうなの?」

 

「こういうクエストってのは大体、人が作り出したオリジナルの物語か、原典となる話から引用してその物語に巻き込んで作られるもんだよ」

 

「ゲームをよく知らない私が知っているかもしれないっていう事は…」

 

「そう、シノンはこの元となる本を読んだか、見たかしたってところだろうな」

 

「「う~~ん」」

 

 シュ~ン

 

「お、ミノがリポップした。狩るぞぉ~」

 

「ま、今は考えても出てきそうにないわね…。ところで、アキ?今日の特訓が終わったら、また≪トレンブル・ショートケーキ≫食べに行きましょう?」

 

「えっ、あのクソ高いヤツ!?」

 

「このミノタウロス、かなりコル稼ぎにいいみたいだし、今度は割り勘よ?」

 

「う~ん…じゃあいいけど?」

 

「よし、それじゃとっとと片づけちゃいましょ?今日はふかふかのベッドで気持ちよく眠りたいしね」

 

「…っ」

 

 うおっ、まぶしっ!今から巨躯な体を持つミノを狩ろうというのに、このはじける笑顔は何ぞや?これだから貢ぐのは…、止められない止まらない。まるでお菓子のフレーズだが、圧倒的女性プレイヤ-の少ないSAOで、この俺がシノンと共に行動できてるのは本当に幸運だと、しみじみ感じるのであった。この日最後の狩り対象となったミノさんは、残念ながら最速記録をマークする速さで狩り取られました。お悔やみ申し上げまする。

 

 

 

 

「はぁ~おいしかったわ。ここの層にもう拠点を置いちゃおうかしら」

 

 シノンさんにおいしく頂かれたのは勿論ミノさ…ではなく二度目の≪トレンブル・ショートケーキ≫だ。

 

「シノンってやっぱり本当は甘党なんでしょ?」

 

「うっ、そうよ。この間のことは忘れなさい。辛党っていうのも間違いじゃないんだけど、デザートは別腹って言うでしょ?」

 

 なんだか別腹の意味が違う気がするが、あえてそこはスルー。俺はこの間、無視してしまっていた現象に目を向ける。

 

「なあ、今さSAO内でβ時代にはなかった≪幸運判定ボーナス≫ってのがバフとしてかかってんだけど…試したいこととかあるか?」

 

「≪幸運判定ボーナス≫ねえ。ホントは素材とかのドロップとかが良くなったりするんでしょうけど…。流石に今日は疲れたわ」

 

「じゃあ、俺に付き合ってもらってもいいか?」

 

「まあ、やることないしね。いいわよ“相棒”」

 

「ウッシ、じゃあまずは道具屋に…」

 

 そこからは俺の予想通り、こんな効果の表れが分かりづらいバフをどうやって消費すればいいか頭を使った結果。

 

『こちらの回復ポーション10個を景品として受け取ってください』

 

『今回に限り、お客様のお買い上げする商品は3割引きとなります』

 

「なるほどね~こんな感じで効果も表れるってわけね」

 

「ま、あのレストランからじゃフィールド出る前に効果切れちゃうし、なにか違う効果が機能として隠されてんじゃないかと思ってさ」

 

「ホント、よく頭が回るものだわ」

 

「こういう発想ができるようになれば、シノンも一人前だぜ?」

 

「はいはい。でも私には必要ないわね」

 

「え、そうなの?興味ない?」

 

「だって私にはあんたがいるじゃない」ドーン

 

 戦艦:Aki…沈☆没。船を擬人化させてみたのだが伝わっただろうか。…ってそうじゃない!冗談抜きに体温が40度まで上がった。リアルの俺の体は汗をかきまくっているだろう。こういうことを無意識に(あるいは意図的に?)言ってくるからシノンは怖い。ハッキリ言おう!思春期男子の心臓に悪いです。

 

 当の本人は気にした様子もなく。

 

「今日は≪ウルバス≫の宿屋に泊まりましょう?もうお腹もいっぱいだし、昨日も今日もミノ狩りで疲れちゃったわ。瞼がもう閉じちゃいそう」ノビ~

 

「そうだな、考えても出ないもんは出ないし、糖分はちゃんと補給したから明日には何か思いつくかもしれない」

 

 こっちの気も知らないで、という気持ちは表には出さない。これが“シノン”という女の子なのだから、俺が彼女に合わせていかなければ。

 

 

 

 

「「え、今なんて?」」

 

『ただいまお部屋は一部屋しかご用意できません。それでも構いませんか?』

 

 NPCの機械音が無慈悲にそう告げる。構います。大いに構いますとも!年頃の男女が同じ部屋で寝るとか、あり得ないし!なんだ、まだ≪幸運判定ボーナス≫のバフが付いてるのか?俺の幸運が今の状況を作り出したのか?だとしたらいい迷惑だよ!

 

「どうする?ちょっと遠いけど隣の町まで移動するか?」

 

「冗談じゃないわよ」ワナ ワナ

 

「でも、それじゃ野宿くらいしか…」

 

 バッとシノンが俯きかけていた顔を上げる。何事か、と思いきや超特大の時限爆弾を投下した。

 

「ここからの移動だなんて冗談じゃないわ。いいわ、一緒に泊まってやるわよ!」

 

「え、えぇええええ!」

 

 シノンさんが啖呵を切った相手はNPC。決意した勇者のような顔つきしてるけど仲間の意見も尊重しような、ひとまずは

 

「俺の意思は…?」

 

 

 

 

「ふ~っ今日は疲れたな~」

 

 思い起こせば今日もとても濃い一日だった。ミノを狩り、ミノを狩って、ミノを狩った(ミノしか狩ってない)。今日のドロップアイテムは角だとか諸々だ。そして極めつけの

 

ゲシゲシ

 

「あんた、何ベッド全部を占領してんのよ」

 

俺を足蹴にするのはシノン。俺はコロコロ回転してベッドわきまで追いやられる。

 

「いいじゃないか~ちょっとの間~。どうせ俺はこのあと床に野宿セットを敷いて眠るんだから~。今くらい寝かしてよ~」

 

 俺は当然そのつもりでシノンの決断についてきたわけなのだが…。

 

「何言ってるのよ。あんたもベッドで寝ればいいでしょ?」

 

「?ぱ、ぱーどぅん?」

 

「なによ?」

 

「pardon?」

 

「発音じゃないわよ。あんたもベッドで寝れば?って言ったの」

 

「いやいやいや!流石に年頃の男女が同じベッドで寝るというのは…っ。ちょっと無防備過ぎない?」

 

「それこそ愚問ね。私に何かしようとしても、システム的にできないはずでしょ?≪黒鉄宮≫に飛ばされたいわけでもないだろうし…」

 

 「それとも」とシノンは続ける。

 

「あんた、私にひどいことするの?」

 

 その言い方はずるい。そもそも、俺にはそんなことをする度胸もなければ、脳すら持っていない。ここを肯定することはまず、ないのだが。

 

「いや…そんなことしないけどさ」

 

「なら大丈夫ね。私は左側、アキは右側ね。一応、国境線は真ん中だけど寝返りとかは仕方ないからセーフで、ね」

 

 ほら、一気に話が進んだ!シノンと組んで俺は学んだことが一つ増えた。シノンに言葉で勝つことは難しい、と。

 

 気を取りおそう。事実俺はいくら思春期真っ盛りの男子だからって女の子に手を出したりするなんてことは絶対にしない。それにシノンは悪く言えば無防備、善く言えば俺を信頼してくれているんだから間違いは起きるわけがない。ならば、問題はないのではないか?俺の考えすぎなのではないか?と思い始めてきた。

 

「それじゃ私シャワーに入ってくるから…覗いたら即≪黒鉄宮≫行きだからね」

 

 そう言って隣のバスルームへと入っていくのであった。うん、無理かもしんない。

 

 

 

 

 はい、もうベッドの上です。もうシノンさんは眠っていらっしゃいます。俺?俺は隣で女の子が眠っているという状況が辛すぎて、部屋のロッキングチェアに座っております。もちろんシノンが眠ってからだが…。

 

(明日にはどうにか、クエストのヒントだけでもゲットしたい。そのためにもこの“七人目の人形”のありかと“老師”がどこにいるのか見当をつけないとな)

 

 明日のことで頭を一杯にさせていると不意に

 

「…かあさん……おかあさん。いやぁ……行かないで」

 

 シノンは夢を見ているのだろうか。でも、あまり楽しそうな夢じゃない。体は完全に寝返りを打ち俺が眠るスペースはない。でもそれでいい、彼女はSAOに捕らわれてからというもの、俺の前では弱音を吐いたことは一度としてない。それどころか俺に肩を並べようと一生懸命ついて来ようとしてくれる。本当にそれだけが、ただ嬉しかった。

 

「きっと、無理…してんだろうな」

 

 今だけは、夢を見ている間だけは彼女の心が休まる時間でありますように…そう祈るようにシノンの頭をなでるのであった。そうして夜は更けていく。

 

 

 

 

「う…ん」

 

 朝が来た。俺が眠れたのは3時間少々だろうか、この状態では充分眠れた方だろう。今声を出したのは、俺が起きてから30分経ってようやく起きたらしい我が相棒シノンの声だ。

 

「おう、おはよ」

 

「!?あ…あんた!」

 

「??」

 

「なんで私と同じ部屋にいるのよ!?」

 

 パァアアン 今日も一日!楽しい出来事が待ち構えていそうだZE!

 

 

 

 

「理不尽だ…」

 

「今回ばかりは私に非があるわ。ごめんなさい」

 

「ですよね!?」

 

 ま、寝ぼけて俺をビンタしたことは、もう水に流すとして…。今日一日の流れを整理する。

 

「今日はクエストのお使いをクリアして人形をひとまず集めきることに専念しよう」

 

「OK。じゃあ早速行きましょうか」

 

 

 

 

 おつかいは呆気なく終わりを迎えようとしていた。まだ午後3時前だがアルゴが到達したという6人目のヒト型人形が完成しようとしていた。

 

 物語としてはこうだ。このクエストNPCはヒト型人形のお供えを神殿に持って行きたいのだが、神殿には強力なMobがいて、まず近づけない。それどころかMobがこちらの世界にまで侵食してきそうだったので、心優しい仙人様が大きな岩でその神殿へと続く入り口を塞いでしまったそうなのだ。 

 

 ちなみにお供えは旅の強いお方(プレイヤー)に渡すことが習慣化しているらしい。そしてそのお供えをゲットするにはお使いをして、そのヒト型人形の材料集めから入るという、なかなか手の込んだ設定に、本格的な話なのであった。

 

 そして6つ目の人形が完成した。

 

『旅のお方…これで準備は整いました。あとはこれらを神殿に届けては下さいませんか?』

 

 ここでクエスト進行マークがNPCの頭の上に表示される。ここで「YES」といえばクエストは次の段階に進めるのだが…

 

「アルゴの言った通り7人目の人形は手に入らなかったわね」

 

「ああ、どこかで手に入れるイベントでもあるのか?それとも俺たち自身がそうなのか…」

 

「どういうこと?」

 

「こういうクエストの穴っていうのは、結構あるんだ。シノンもよく覚えといて。確かにお供えするのは人形なのかもしれない…。でもヒト型っていうのがどうにも引っ掛かる言い方だ。なぜなら俺たち自身もヒト型であることには変わりないからね」

 

「つまり、7人目の人形っていうのは私たち?」

 

「の可能性が高い」

 

「ええ…、たしかに筋は通っているかも」

 

「ま、いくら考えても間違いの可能性もあるし。今日のお使いはここまでにして残り時間は仙人様を探そう」

 

「了解」

 

 クエストNPCに対して「届けさせていただきます」と答えて見せると、クエストが再び進行し始めた。

 

『ありがとうございます。でしたらどうか、今日は私たちの家にお泊り下さい。もてなしを心ばかりですがさせていただきます』

 

 それを快く快諾した。俺たちは、ここからこの家周辺をくまなく探し回り、NPCがいたら積極的に仙人の居場所を聞き出そうと奔走したのだが…。今は村の踊り場でベンチに腰を下ろしている。

 

「誰一人知ってる人はいなさそうね」

 

「そうだな~こんな手詰まりになったクエスト初めてだ」

 

「それにしても仙人も仙人よね。心優しいにしても入り口までどこかに移しちゃうなんて…ホント余計なことするんだから」

 

「まあまあ、それがクエストってもんだから」ピロン「ん?アルゴから?」

 

 アルゴから送られてきたメールの内容には、正直焦りを禁じえなかった。なぜなら

 

「明日の正午にフロアボスの攻略を始めるだって!?」

 

「うそ!?まだ二層に来て一週間しか経ってないわよ?」

 

「まあ、レベル的には一層でみんな相当レベル高かったからな…。そんなことよりも早くこのクエストをクリアしてみんなに情報を共有しないと」

 

 現在時刻午後6時。今日は徹夜コースがほぼ確実のものになった。シノンにも提案しないと

 

「シノン、今日はひとまず寝よう。残念だけど今日は徹夜コースだ。今からできるだけ眠って24時に仙人探索に出掛けようと思う。もし明日の午前10時までに間に合わなかったら諦めてボス攻略のために迷宮区に飛び入り参加、でどう?」

 

「はぁ、そうなるわよね。ええ異論はないわ」

 

「じゃあ、ご飯と寝にさっきの民家に帰ろう。…おろ?」

 

 コロコロとシノンの足元に球が転がってくる。それをシノンがつかみ取ると、その素材が毛糸であることが分かる。すると球を追いかけてきた小っちゃな女の子が

 

『お姉さん、それあたしのなの。返してくださいな』

 

 クエストNPCのマークを引っさげた女の子だ。これから何が起こるというのだろうか。

 

「ええ、これ貴方のものなのね?上手じゃない」

 

『お姉さんも毛玉とか好きな人なんですか?』

 

「毛玉が好きというか…まあ、編み物は好きよ?」

 

 NPCと会話しているはずなのに、こちらの会話に柔軟に対応してくる少女。まるで人間みたいだ、少なくとも街の一通りの会話パターンしか持たないNPCとはわけが違う。

 

『そうですか、ではその毛玉。お姉さんにあげますね。十分に活かして使ってください』

 

 『それでは』と言って少女NPCは走り去っていった。

 

「ええっ?ちょっと…。こんなのいきなり渡されても」

 

「まあ、貰っといてもいいんじゃないか?容量はまだ残ってるんでしょ?」

 

「そうだけど…なんだったのよ…仙人の居場所を教えてくれるのかもって思っちゃったじゃない」

 

「同感。ま、ホントにその毛糸が役に立つ日が来るかもよ?」

 

「その時はあなたのマフラーでも編んであげるわ。どぎついピンク色のね」

 

「マフラーは欲しいけど、ピンクは勘弁な」

 

 

 

 

~24時~とうとうフロアボス攻略までのカウントダウンが始まる。今は集合場所の村の踊り場。

 

「おはようシノン」

 

「おはよう…とは言えない暗さね、アキ」

 

「まあ、そう言わないで」と苦笑しつつ、仙人がいるであろう所に目星をつけていく。

 

「考えてみたんだけど…実際、心優しい仙人ならどこに作ると思う?アキがもし、仙人になり切ったとしたらどこに作る?」

 

「う~ん……人目につかない所かな?寂しいけど誰にも迷惑が掛からないし、被害も小さく済みそうだし…」

 

「じゃあ、人里近辺は除外ね。…っていう事は必然的に街も村もない外周近くにあることになるけど…」

 

「無理だよ。外周を一周するなんて一日あっても足りない」

 

「そうよね…じゃあ違うアプローチが必要か……」

 

 しばらく間が空く。俺も一生懸命頭をひねらせるが良い案が出てこない。シノンは集中して右手を唇に当てながら考えている。

 

「じゃあ、クエストができるシークエンスをまとめましょう。アキ、新規クエストができる過程は知らないかしら?」

 

「新規クエストが出来あがる条件?…やっぱり何かを“達成した”からじゃないか?おそらくシステムが“この先に進めるための条件はそろった”っていう判断をするためにも、さ」

 

 今日のお使いクエストもそうだ。材料を獲得したからこそ進められた、という事は“材料獲得”が目的であり、それがNPCの前に提示されたからこそクエストが前に進んだのだ。

 

「なるほど、アルゴは確か今から4日前の『深夜一時くらいに急に発生したクエストだ』と言っていたわね…。だとしたら、そのとき誰かがクリアしたクエストがキーになる…」

 

 ブツブツ呟くように独り言を吐くシノン。どうやら俺では思考が追いつかない。

 

「ねえ、クエストで私たちが受けていないモノなんてあったかしら?」

 

「いや…ない…と思う。俺たちはいち早くこの層にたどり着き、おそらく文字通り、最速ですべてのクエストを終わらせていた…はず」

 

「待って…4日前の深夜ってなにかあったわよね?」

 

「え、俺としては忘れることのできない出来事だったけど、シノンが『忘れて!』って言うから…。え、思い出してもいいなら思い出すけど…いいの?」

 

「あー思い出したわ!だからあなたは思い出さなくてもいい!私の裸を見た事は思い出さなくてもいいから!」

 

 しっかり根に持っているようだ。事故なのに…。でも、一昨日か…他に何かあったとすれば…そう、当然忘れることのできない

 

「「≪エクストラスキル≫獲得クエストの成功!」」

 

「それよ!それだわ、アキ!」

 

「ああ、オレたちがあのクエストをクリアしたからこの“お使い”イベントが解放されたんだ!」

 

「しかも、あのクエストのNPCは…」

 

「白髪のひげ面!仙人っぽい!さらにはずっと降りようとしないで、座り続ける岩があった!」

 

「場所的にも東の端っこで人目につかない!」

 

「ここで決まりだ!!」「ここで決まりね!!」

 

俺たちはあまりの興奮に立ち上がり、深夜だというのに大声を上げていた。間違いなくリアルなら警察に厄介になるやつだ。でも気にしない。

 

「早く行こう!中は神殿っていうくらいだから迷宮になっているはずだ!」

 

「ええ!ふふっ」

 

「なに、どうしたの?いきなり笑いだして?」

 

「いや、なんだか今のすごく楽しかったなって」

 

 やめてください。その笑顔は俺に効く。思春期の俺に効くから、やめてください。と俺は顔を紅潮させていることだろう。ま、まだ辺りは暗いし、恥ずかしがっていることはバレないだろう。このとき見たシノンの横顔に少し赤みがさして見えたのは、見間違いだろうか。

 

 

 

 

「着いたわ!」ハァ ハァ

 

「うっし!早速、老師の下にある岩を壊そう!」

 

 ここまでかかった時間は全力ダッシュ&Mobをゴリ押し戦法で倒してきたことを考慮しても、早かったと言えるだろう。今は午前6時。暗闇の中を≪索敵≫スキルで何とか突破してきたのだ。これ以上の結果は望めない。

 

 そして目的の≪エクストラスキル≫の伝道師。その仙人は今も岩の上に座っている。俺たちは免許皆伝(クエスト成功者)なので仙人NPCは俺たちに反応を見せない。

 

「シノン…いっせいのせっで≪閃打≫を打ち込むからね」

 

「わかったわ…」

 

 仙人NPCの顔が何だか嬉しそうに見えるが、それもそうか。彼は今でこそ≪体術スキル≫の伝道師だが、この封印をしてからは、ひたすら岩の上で独り、座っていただけなのだから。

 

「今そこから解放してやるよっと…いっせいのせっ!」

 

「ふっ!」

 

 ベコッ! 岩に穴が空いたら、おそらくこんな音がするのであろう効果音を発生させて綺麗なエフェクトと共に岩はチリとなった。その岩の下にあったのは…

 

「階段だ…おそらくこの下が神殿だ、シノン」

 

「気を引き締めて行きましょう」

 

 そこで老師からクエスト案内が

 

『ほっほ、ようやく勇者が現れおったか…ここを解放したとあっては、この先に住む魔物を必ずや退治しておくれ』

 

「「はいっ」」

 

 そして、俺たち二人は神殿の中へ進んでいくのであった

 




どうでしょうか、本編のプログレッシブでもあの神話の話が登場したので、ちょっと新規クエストとして作ってみました。安直ではありますがSAOの世界観を壊さずにできたのなら幸いです。

最後に、挿絵の準備が出来たのでそろそろ投下していきます。どちらかというとアニメよりの作画になってる(abecさん作画は難しい…)感じです。もしよろしければ見てあげてください。

では今度も来週あたりに更新しますので~

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