信玄と三成は一刀と家康を連れて外に出る、二組は別々の方に向かって歩き出した、それを見ていた他の者は義弘 謙信 朱里 愛紗 周瑜 佐助は一刀に付いて行き、孫策 孫権 周泰は三成に付いていった。
三成と家康は陣地の外に出ると互いに向かい合い武器を構えた、その二人の間に孫策が立会人として立ち、他の者は少し離れた場所から見守った。
「二人とも用意はいいわね?」
「ああ」
「いつでも」
「いざ尋常に、始め!!」
孫策の声と同時に二人は動き出した、そして互いに力の限り武器をぶつけ合った、だが二人の戦いは静かなもので、聞こえるのは武器と武器がぶつかり合う鋼の音のみ、見ている者も三成も家康もただひたすら黙って戦っていた。
(流石は三成、この世界でも鍛練を続けていたのだな)
「・・・・・家康」
その沈黙を壊したのは意外な事に三成だった、三成は武器を振るいながら話を続けた。
「先に言っておく、私はこの戦いでお前の命を取ろうとは思っていない」
「!?」
家康は驚きのあまり力を込めて三成に拳を入れてしまった、だが三成も剣で防御したので三成が吹き飛ばされ強引に距離を取る形となった、すると三成は武器をしまい話を続けた。
「この世界に来て私は孫策に拾われた、拾われた時は私は貴様を殺すことしか考えていなかった、だがいくら探しても貴様は見つからず、刑部もいないこの世界に段々嫌気がさしてきていた、そんな時左近がこの世界に現れ私と一緒に孫策に世話になることになった、左近はすぐに孫策と気が合った、そして左近から聞いたのだろう、孫策は私が憎しみを抱いて生きていることを知ると、私のところに来て言った」
(三成貴方はいつまで後ろを向いて生きてるつもりなの?)
(何?、貴様に私の苦しみの何がわかる!!)
(分かるわ、私も貴方と同じく大切な人を殺されたことがあるから、私は母様を殺されてちょうど貴方と同じ感じになっていたの死のうとも考えたわ、でもね親友の冥琳が私に言ったの、母をそして目標となる背中を失った気持ちは分かるわ、でも今の孫呉の将兵や民たちは貴女に付いてきているの、そして時代を担う蓮華も貴女の背中を目標にしている、そんな貴女がこんな情けない姿を見せ続けていていいの?辛いときは私がそばにいる、だから天にいる孫堅様に見せてあげなさい孫伯符の生き様をな、てね)
(私は貴様とは違う、そんな事を言ってくれる友などいない)
(あらでも左近も居るし、貴方の主君を殺した家康って子も昔友だったのでしょう?)
(左近は友ではない私の部下だ、それに家康の事にしても昔の話だ、今は憎むべき私の仇でしかない)
(あらそんなこと言っちゃって左近が傷つくわよ、でも私は一つだけ言っておくわ、もし家康って子と会えたらまず話をしてみたらどうかしら?、今の貴方には見えないものが見えるかもしれないわよ)
「そして私は今、お前と私なりの語りかけをしている」
三成は剣の柄を家康に向けた、すると家康は覚悟を決めたように拳を握りしめ三成と相対した、家康は嬉しかった、本当は彼も三成と語り合いたいと心の底から思っていたから。
「分かった三成、存分に語り合おう‼」
二人の目には互いの姿しか見えていなかった、そして次の瞬間三成と家康は戦いを再開した、そして三成と家康は語り合う戦いを始めた。
その頃一刀たちは三成とは逆の陣の外に出てきていた、すると謙信が目の前に歩いている義弘に話しかけてきた。
「よろしかったのですか?」
「何がじゃ?」
「凶王三成殿に付いていかなくても」
「ああ、三成どんの目を見たからの、あの目ならもうおいは必要ないじゃろ」
「なるほど愚問でしたね」
「鬼島津!!こちらは準備出来たぞ」
「おう、では一刀どんも準備は大丈夫じゃな?」
「はい」
一刀は腰に指した日本刀を構えて居合いの体勢をとった、そして信玄も戦斧を構えた。
(ほう、謙信が教えるだけはあるな、あやつと構えが瓜二つよ、鬼島津はここに何を取り入れさせたのか、楽しみじゃな)
(俺がどこまで通用するか全力で試すいい機会だ)
義弘は二人を見ると少し下がり二人の真ん中に立った。
「なら二人とも行くど、いざ尋常に勝負!!」
「ワシから行くぞ、疾きこと風の如し!!」
信玄は斧を振りかぶると自分の体を回転させて独楽のようにして一刀に向かって来た。
(凄い風だ、信玄さんの方に引き寄せられる、まるで巨大な独楽だな、なら弱点は)
一刀はひらりと信玄の真上に飛び、信玄の真上に来ると回っている信玄目掛けて居合い抜きを放った、すると信玄は突然回転を止めて斧を上に構えて防御した。
(!?今のガードするなんて)
「甘いわ!!動かざること山の如し」
信玄は一刀の攻撃を防ぐと負けじと一刀の着地点の手前に斧を振り下ろし着地点の地面を隆起させた、流石の一刀も躱せずにダメージを受けて吹き飛ばされた、だが一刀もすかさずに受け身を取って地面への衝突だけは避けた。
「とっさに受け身をとるとはなやはりやるようになったの」
「まさか今のを防御したうえに反撃してくるとは思いませんでしたよ」
「ワシもまだまだ若い者に越されるわけにはゆかぬからな」
そんな二人を見て呉の人間は一刀の変わりように驚きを隠せなかった。
「あれほどの武を持っていたとは、同盟相手には申し分ないな」
「お館様にあれだけやらせるとはやるね~」
そんな話が戦っている二人に聞こえる訳もなく、信玄は一刀の成長を感じて楽しんでいた。
「一刀よくここまで強うなった、じゃが勝負はここまでのようじゃ」
「へ?」
信玄は陣のほうから走ってくる兵士が見えると一刀に知らせるように指を指した。
「申し上げます、また江陵の城が落とされたとの報告が」
「何!?信玄公もう一刻の猶予もありません」
「うむ、では一刀続きはまた今度じゃ、今は幸村たちを救うぞ」
「はい!!」
一刀たちは勝負を中断し陣の中に走っていった。
そしてその知らせは孫策たちにも届いていた、すると孫策が兵士の言葉を聞くために少し目を離した隙に三成たちの方からから大きな音がした、孫策が急いで見るとそこには倒れた三成と家康の姿があった。
「くっ、引き分けか」
「ああ、そうだな」
二人は起き上がりはしたが立つまでは出来ず座ったままだった。
「秀吉様を討ったのは貴様ではないな」
「な、何を!?」
「今の戦いで分かった、貴様は確かに秀吉様を討ち行った、だが殺したのは貴様ではない、違うか?」
「・・・・・そうだ、殺したのは松永久秀だ、だが秀吉殿の死を利用し天下を取ろうとしたのもまた事実だ」
「ああ、その事に関して私はお前を許さない、決着は日ノ本に帰ってから必ずつける!だがその前に松永久秀、奴を必ず斬滅してやる貴様も手伝え家康」
「ああ・・・分かった」
「二人とも気はすんだかしら?」
「ふん」
「ああ立ち会ってもらってすまないな孫策殿、そういえばさっき兵士が来ていたようだが何かあったのか?」
「ええそろそろ江陵が限界みたいなの、今信玄公の方にも伝令が行ってるわ、一度天幕に戻りましょう」
孫策たちは天幕に戻るために陣の中に入っていった、そして立ち上がろうとした家康に三成の手が差し出された。
「早く立て家康」
「すまない」
宿敵と言われた友との一時の和解に、家康の目から一筋の涙が流がれた、そして家康たちも孫策たちに付いて陣の中に戻って行った。
長くなってしまいました、ゲームでの三成も性格こんなんなら良いんですけどね、まあかなり性格変えましたがそこは作者の技量不足と思ってください、次回は今月中には投稿したいと思います、それではまた51話でお会いしましょう、感想、評価お待ちしています。