義弘たちは南蛮への進行を決めて準備を終えると成都の城を出て南蛮へと向かった、そして今義弘たちは何日間かかけて南蛮にたどり着き、現在は南蛮の森の中を歩いていた。
「ここが南蛮かね、中々の暑さだの~まあおいの住んどった薩摩の方が暑いがな」
「ふへぇ~ここより暑いとこって蒲公英なら死んじゃうよ~」
元々自分の支配していた土地が暑いところだった義弘は平気そうだったが蒲公英はやはり暑いのが苦手なのかだらだらと歩いていた。
「おい蒲公英兵の士気に関わるからだらけたいなら帰れ」
「じゃあ翠姉様は暑くないの?」
「暑いに決まってるだろ、でもお前よりかは修行してるからなこれぐらいなら我慢できるんだ」
「ただの痩せ我慢じゃん」
「何か言ったか」
「ううん、何でもない」
「皆止まれ!!」
翠と蒲公英の会話が一区切りすると同時に星が皆の足を止めた。
「どうした?」
「何かいるの?星姉様」
「ああ気配がする、義弘殿たちは感じないか?」
「確かに誰かいるの・・・一人じゃなかね?」
「ええ多数の視線を感じますね」
すると木の上から小さな女の子が落ちてきて星たちの目の前に立ちはだかった、すると草影からも小さな女の子たちが多数出て来て一刀たちを取り囲んだ。
「美以は南蛮の大王の孟獲にゃ、お前たちがしょくとかいう奴等にゃ?」
「ああ、そうだよ」
孟獲の問いに一刀が答えると孟獲は突如武器を取りだし一刀目掛けて降り下ろした、突然の事で反応できなかった一刀は孟獲の攻撃を避けられないと思い攻撃を受けることを覚悟したが一刀と孟獲の間に家康が割って入り、孟獲の武器を腕をクロスさせて止めてつばぜり合った。
「孟獲殿いきなり何をなさるか、ワシ等はただ孟獲殿たちの力を貸してもらおうと、蜀の地から来ただけですぞ」
「信用できないにゃ、さっきお前等の仲間が美以たちの村から南蛮の秘薬を盗んでいったのにゃ」
「それは断じてワシ等の仲間ではない、誓っても良いだから孟獲殿冷静になってくれ」
「あの剣を持った白と黒の奴は言ってたにゃ、これから来る私の仲間によろしくって」
「白と黒の奴?」
「そうにゃ白い着物と黒い着物を半分半分に着てる奴だったにゃ」
「久秀か!?」
他の仲間たちも久秀を知っているとものはすぐに思い浮かんだ。
「孟獲殿そいつの事は知っているが、ワシ等の仲間ではない」
「にゃ!?にゃんと、ほんとかにゃ?」
孟獲は驚くと武器を家康から離し後ろに下がって距離をとった。
「お前の話・・・ほんとかにゃ?」
「ワシは嘘は言わない、その者は恐らく松永久秀という者だ、孟獲殿詳しい話を教えてはくれないか?」
「そいつが美以たちの村から盗んでいったのは死者をも甦らせると言われる薬にゃ、ほんとかどうか美以たちは使った事がないから死者が甦るかは分からにゃいが・・・」
「死者をも甦らせる薬、何故そんなものを久秀が・・・」
皆が一斉に考えると慶次がその沈黙を破り言葉をきりだした。
「もしかして魔王さんを甦らせるつもりだったりしてな」
「慶次、冗談でもそんな事を言うもんじゃないぞ」
「でも皆も薄々そう思ってるだろ?」
そう他の戦国の世界から来たものは久秀の企みに心当たりがあった、久秀は乱世が深まる事を望んでおり戦国の世でも秀吉を覇王に堕としたりして乱世を深めていた、そして今回は戦国の世界を支配するために天下統一を目論み、そして天下統一一歩手前で明智光秀に殺された魔王、織田信長を事を甦らせれば、この三国の世界は今までにない乱世がやって来るこれが久秀の狙いだろうと、だがそれは戦国の世から来たものたちには一番考えたくないことでもあった。
「まあ慶次どんの言うことも一理ある、信長どんが復活すればこん世界もさらに乱れるじゃろう、久秀どんはそれを狙っとるのかもしれんな」
「あの~信長さんてそんなに怖い人だったんですか?」
一刀は蜀の全員が聞きたかった事を代わりに質問した、そして返された言葉は一刀たち全員が驚愕するものだった、家康たちは今までの信長のやって来たことを全て一刀たちに伝え、そして全て聞き終わると愛紗が言葉を発した。
「何という事だ、そんな人物がこの世界に現れるというのか・・・」
「まあ決まったことではないが可能性はあるだろうな」
家康の返答に全員が俯いてしまった、すると義弘は全員に聞こえるように大きな声で一喝した。
「渇!!!!、ここで嘆いとっても始まらん皆のもん安心せい、信長どんが例え復活したとしてもおいが斬る、若者の未来そう簡単には奪わせたりせん」
義弘がそう言うと次に家康も拳を前に出して言った。
「無論だワシもこの世界の為に戦う、この世界に来て多くの絆と出会えた、例え信長公といえどもこの絆は断たせん」
義弘と家康の言葉に全員が気持ちを改め信長を倒そうと決意した、すると一刀が孟獲に近づいた。
「孟獲ちゃんどうだろう?、盗まれたものを取り返すためにも俺たちと一緒に来ないかい?」
「お前たちと一緒に行けば取り返せるのにゃ?」
「俺たちも取り返す為に頑張るから君の力も貸してくれ」
「分かったにゃ、ミケ、トラ、シャム!!」
孟獲が呼ぶと三人の南蛮の兵が前に出て来た、そして孟獲の後ろに立った。
「美以は南蛮大王の孟獲真名は美以にゃ、後ろにいるのは部下のミケとトラとシャムにゃ」
「俺は北郷一刀、美以これからよろしくな」
「よろしくなのにゃ」
「「「なのにゃー」」」
美以と一刀は固く握手をした、これにより新しく美以、ミケ、トラ、シャムが仲間となった、美以との握手を済ませると一刀は義弘と謙信に近づいた。
「義弘さん、謙信さん、お願いがあります」
「改まってどげんしたね?一刀どん」
「何でしょう一刀殿」
「俺に剣を教えて下さい」
一刀は土下座をして二人に頼んだ、一刀の言葉には全員が驚いた、普通弟子入りは一人に絞らなければならないところを一刀は義弘と謙信の二人に頼んだからである。
「失礼な事を言っているのは分かっています、でも俺はどちらか一人なんて出来ない二人に剣を学びたいんです、どうかお願いします‼」
義弘と謙信は互いに顔を見合わせるとフッと笑い合って義弘は一刀の肩に手を置いた。
「一刀どん顔を上げんね、おまはんの気持ちはよう分かる、軍神どんとおいは互いに認め合った仲よ、おいもおまはんの立場なら同じ事をするじゃろう」
「じゃ、じゃあ」
「良かよ一刀どんおまはんに示現の太刀教えちゃる」
「私も神速の剣をお教えしましょう」
「ありがとうございます‼」
義弘たちの言葉に感謝するともう一度頭を下げた、ここに天の遣いが鬼と軍神の弟子となった瞬間である。
これでとりあえず南蛮編は終わりです、美以のキャラは書くのが難しいですね、それではまた48話でお会いしましょう、感想、評価お待ちしています。