義弘と春蘭は互いに武器を構えて動かなかった。
(始めてみる構えだ、私の構えにも似ているがあそこまで剣を高くは上げない、それにしても全く隙がない)
(ほう、流石魏武の大剣と言われとる春蘭どんじゃ、中々よい構えをするわ)
「来ないなら此方からいくどー」
義弘の縦斬りを春蘭はすんでのところで右に避けた、すると義弘はにやっと笑うと落とす瞬間に刃を寝かせた。
「な、何!?刃を」
春蘭が言い終わる前に寝かせた刃を春蘭に向けて右に斬って春蘭を打ち上げた、さらに右に斬った剣を素早く裏返し左にもう一度斬った。
「ぐわぁぁぁ、何という連撃だ」
春蘭は吹き飛ばされたがすぐに体勢を立て直して剣を構えた。
「示現流浮舟、おいの掲げる信念は一刀必殺、おいはこれまでの人生をこの太刀にかけてきた、中にはおいの一刀を交わしたもんもおった、じゃっどんそれに対する対処法も存在する、さあ春蘭どん手合わせは始まったばかりじゃ、かかってこんね」
「無論だ義弘殿、てりゃあー」
構えながら走った、そして春蘭が袈裟斬りの体勢に入ると義弘は構えた剣を盾のように構え防御の体勢に入った、すると春蘭もにやりと笑うと袈裟斬りを突然やめて剣を下にたてながら下から上に剣を振り上げた、義弘の防御が上に弾かれ春蘭は振り上げた剣で得意の袈裟斬りを義弘に見舞った。
「貰ったぁぁぁ」
誰もが春蘭の剣が義弘に当たると確信していたが、義弘は不適な笑みを浮かべると春蘭の剣が当たるすんでのところで後ろに下がった、その時義弘の肩当ての縄が切れ肩当てが落ちてしまった。
「やるのー春蘭どん」
春蘭が後ろに下がった義弘に目をやると義弘の剣から並々ならぬ気が流れているのが見えた。
「な、何だあれは」
「示現流鬼迅!!」
義弘は防御の時から剣に雷の気を貯めており、それを春蘭に向けて放つと雷の斬撃が飛び春蘭を襲った。
「ぐわぁぁぁ」
流石の春蘭も体勢を立て直せずに地面に転がって倒れた。
「あ、姉者ぁぁぁ」
夏候淵が春蘭の身を案じた、その声が聞こえたのか春蘭は剣を杖の用にして立ち上がった。
「秋蘭何を心配している、わ、私はまだ・・・やれる」
春蘭はよろけながらも剣を構え、消えてしまいそうな声で秋蘭に言った、すると義弘が剣を担いで春蘭に向かって歩いて来た。
「ここまでだな」
「ええ、ここまでですな」
政宗と小十郎は春蘭の姿を見て限界を感じ取った。
春蘭の目の前まで歩いてきた義弘は剣を地面に刺して春蘭の肩に手を置いた。
「ようやったの、春蘭どん」
義弘の言葉を聞くと、春蘭は糸が切れたように意識を手放し倒れそうになったが、義弘が手で支えてそのまま気を失った春蘭を肩に担いで夏候淵のもとまで歩いた。
「姉者」
「大丈夫じゃ、気絶しとるだけよ、おまはん春蘭どんの妹じゃろ」
「ああ」
「良い姉を持ったの、そしてまたおまはんも良い目をしとる、姉妹揃って精進することじゃ」
「ありがとう義弘殿、貴殿のような武人にそう言ってもらえて姉者も私もうれしい、私の真名も受け取ってくれ、秋蘭だ」
「ああ、こちらこそ礼を言うど秋蘭どん」
義弘は秋蘭たちに背を向けて曹操のもとに歩いてきた。
「曹操どんおまはんの言うとおり自慢の両腕じゃな」
「島津義弘・・・貴方うちへ来るつもりはない?」
義弘はポカンとした表情をした後豪快に笑った。
「ガハハ、覇王の目においが止まったとね?」
「ええ、貴方の武勇是非うちの軍に欲しいわ」
「すまんの~、おいは一刀どんたちの天下を見てみたいんじゃ、じゃから曹操どんの所には行けん、すまんの」
義弘は曹操の誘いを断ると、曹操もまた豪快に笑った。
「そう残念だわ、島津義弘貴方のことは例え敵となろうとも一生覚えておきましょう、そして貴方に私の真名を預ける華琳よ」
「覇王の真名確かに預りもした」
華琳は義弘に真名を預け、義弘と硬く握手をした。
この黄巾党の章が終われば董卓連合なのでかなりの長編になると思いますが、変わらずお付き合いくださいお願いします、それではまた22話でお会いしましょう。感想評価お待ちしています。