「お武家様、危ない所を救っていただいてありがとうございます」
義弘の後ろには先ほど斬られそうになっていた老人が深々とお辞儀をしていた。
「いやいや、おいもたまたま悲鳴が聞こえたから来ただけね、おまはんの運が良かったのよ」
義弘は豪快に笑いながら言った。
「ところで、ここは一体どこだか、あんたわかんね?」
「は?ここは幽州の外れの村でございます」
「幽州!?(ここは大陸ちゅうことか?一体どげんしたことね)」
義弘は驚いた、薩摩にいたはずの自分がどうやって海の向こうの大陸まで来てしまったのか。
(やっぱり、あの光が原因と見て間違いなかね)
「あのーお武家様大丈夫ですか?」
義弘が考えていると老人が心配しながら言った。
「ん?ああ大丈夫じゃ問題なかよ、ところで、もうひとつ聞きたいんじゃが今この幽州を治めとるのは誰ね?」
次に義弘は時代を調べようと統治している人物の名前を聞いた。
「公孫賛様ですが?」
「おお白馬長史か(何と!?時代までがおいがいたのとわ違うのか、公孫賛ちゅうことは、後漢末期頃か)」
義弘は自分が場所だけではなく時間まで飛び越えてしまったのがわかった。
「教えてくれて助かったわ、礼がわりと言ってはなんじゃがさっきの賊の根城分かっかね?」
「この先に山がありましてその山の中腹にある洞窟でございますが、何故そんなことを聞かれるのですか?」
「いや、賊の根城を叩きに行くんじゃ、じゃないとまたこの村を襲いに来るからの」
義弘は自分に色々教えてくれた村人の村を助けたいと思い賊を退治しようと思った。
「!?しかし、それではあまりにもお武家様にご迷惑では?」
「いやいや、あんな奴らおいにとっては朝飯前よ」
老人はあまりにも義弘に頼りすぎだと思い義弘にちょっと待ってくださいと言うと、村の奥に入っていった、少しすると老人が馬を一頭連れてきた。
「この馬はこの村で一番の駿馬でございます、どうかこいつを連れて行ってください、先ほどのお礼と思ってどうか」
また老人は深々と頭を下げた。
「しかしのー、おいはまたここに戻ってこられるかわからんし」
義弘が言いかけるとその村の村人たちが、ぜひ連れて行ってくれと全員が言った。
「おまはんらがそこまで言ってくれんなら無下にはできんね、ありがたくこいつを連れていかせてもらうど」
義弘がそう言うと村人全員が喜んだ。
「名前あるかね?」
「いえどうかお武家様が名付けてください」
「そうかなら、来鬼にしようおまはんの名前は来鬼じゃ」
義弘は自分は鬼島津と呼ばれているのでその鬼が来ることから来鬼と命名した。
「それじゃ、おいは行く、世話になったの」
「旅の無事を祈っております」
老人がそう言うと義弘は馬に乗り出発した。
これから鬼に何が待ち受けているのか次回を待て