それでは本編どうぞ!!
ボス選定戦 〜当日〜
「ん、ンン〜〜!」
久しぶりのベットの感触。とてもいいものとは言えないが、しかしこの世界に来てからろくな布団で寝ていなかったせいか、粗末なベッドでもとても愛おしく感じる。
こちらに来てから初めてであろう熟睡から意識を浮上させる。
「あら、もう起きたの?」
「あ、あぁ、お前も早起きだな。」
「私は眠れなかっただけよ…なんせ、今日だもの」
そう言いながら悲しそうに窓の外を見つめる悪魔族 リッチの少女。
「そんなに心配か?」
「ええ、悪魔族が何かを起こすって言うのもだけど、魔物と魔物が争うのってとても悲しいの。」
「お前はホントに優しいな。ただ、その優しさは自分を辛くするだけだぞ。」
「それでもいい。それでも私はみんなが笑顔でいられる世界がいい。」
「そう…だな…」
「ふあぁぁ…あら、皆さん。お早いですね」
「お、エリスもおはよ」
「はい。おはようございます♪」
「おーい、ユー。お前もそろそろ起きろよ〜」
「むにぃ…」
「起きろよ、もう行くぞ?」
「むぅ…もうちょっと…」
「お前早く起きろ!!」
「ん、…むにゃむにゃ。起きたよ、グー。」
「半分寝てるじゃねぇか。」
「ま、一応全員起きたからとりあえず今日やることを言うぞ。
今日は午前中に出来るだけの情報を集める。
理想は4人バラバラに動くのがベストだが、サリーを一人にするわけにはいかねぇ。ユー、付き添ってやってくれ。」
「了解。」
「で、俺はエリスと動くわ。色々頼みたいこともあるしな。」
「えぇ、よろこんで。」
「で、午後からは『ボス選定戦』だ。ユーが出るんだったな。」
「ん。」
「まぁクーデターのこともあるから充分に注意するように。」
「おけ。」
「まぁそんな所かね…それでは!」
「みんな…私のわがままに付き合ってくれてありがとう。クーデター、絶対止めようね!」
「で、サトシさん?頼みたいこととは?」
「ザックリ言うなら道案内と情報の提供かな。」
「と言うと?」
「まずはあのボッタクリ魔法商店に行こう。昨日の礼を言わないとな。」
「はい、そうですね。こちらです♪」
「よぉ!ボッタクリじいさん!」
「変な名前を付けるな。」
「俺は事実しか言わねぇ男だ。」
「それ自体が事実じゃないと思うのじゃが」
「いやぁ、昨日はマジで助かったよ!ホントにありがとな!」
「なに、安い御用じゃ。でも、あの娘のいる所もよかったからの。半分は運じゃよ。」
「あぁ。まさか噴水前で待ってるとはな。」
「え、あの、まさかサリーさんを探した魔法ってまさか《ステア》ですか!?」
「あぁ、あれステアって言うのか。」
「このボウズがなんでもいいと言うからのぉ。」
「"対象を離れた場所から見ることの出来る魔法"だったよな。どうしてそんな驚くことがある。」
「だって、明確に位置が把握できないじゃないですか!あんなの捜索目的で使うものではありませんし、そもそもそれって追跡・監視魔法の類。使ったのバレたら捕まりますよ!?」
「え、マジ?」
「当たり前じゃろうが!顔を思い浮かべるだけで相手が何してるのかどこからでも分かるんじゃぞ!?どう考えてもいい魔法とは言えんじゃろ。」
「お、おう。じゃあほんとに運が良かったんだな。」
「もぉ、ヤッカブさんもサトシさんに変なことさせないで下さい!」
「へいへい。」
「まぁでも結果見つかったし。感謝してるのは確かだから。」
「ですが、手段は全うにしてくださいね!」
「真っ当な手段を使うたらイメージが崩れるじゃろが!」
「200超えてるジジイがイメージとか気にすんな!!」
「歳は関係ないじゃろ!」
「っと、他にもやることあるんだ。まぁなんだ。ありがとよじいさん!」
「また来いよ!金をむしり取ってやるからの。」
「今度は定価以下で捌いてやるから覚悟しとけ!!」
捨て台詞を吐き店を出て歩く。
しばらく歩いていると突然エリスが口を開いた。
「あの、サトシさん?クーデターのこと、どこまで分かってらっしゃいます?」
「……ん?あぁ、正直なんとも言えんが…腑に落ちないことは山ほどあるんだよなぁ…」
「正直言いますと、私はクーデターをそこまで脅威に感じないのですが…」
「どうして?」
「今日はボス選定戦ということでたくさんの屈強な戦士がこの街に集まっています。いくら優秀な悪魔族を募っても敵わないと思うのですが…」
「いや、だからこそ気をつけなきゃならん。
連中は今日、戦士達が集まることを知っていて、あえて選んでいる。だから、絶対何かあるはずなんだ…」
「っと、そう言えばさ、何でみんなそんなにボスになりたがるんだ?」
「それは、実質この街の長で、かつ魔王城の門番長になれますからね。そんな名誉なことはありませんよ!」
「…………っ!!なるほど。そういうことか。エリス、目的地変更だ。
エリスが思う今回の選定戦のトップの所に案内してもらえるか?」
「…?は、はい。いいですが…」
「じゃあ宜しくな♪」
「あの、あなたフィリーさんで間違い無いですか?」
「むむ!?確かに私はフィリーだが、なんだね?」
「あ、いや、少しお話を伺おうと…」
「お!?そうかそうか、それで?話を聞こう!」
「あ、ありがとうございます。あの、少しお時間取らせますがよろしいですか?」
「あぁ!もちろんだとも!」
(すっげえ苦手なタイプの人だぁぁぁぁ!)
「ふむ、ボス選定戦についての話を聞きたいと?」
「えぇ。今回の意気込みなんか教えていただけませんか?」
「なぜ君がそのようなことを聞くんだ?」
「ふぃ、フィリーさんには今回頑張って欲しくて!ホントに応援しているんです!
ですから、なんて言うか、フィリーさんの戦闘に対するノウハウなんかを聞きたかったので…」
「ハッハッハっ!そうか!分かったぞ!そうだなぁ…今は少し体がムズムズしているよ。
早く奴を倒してやりたいってさ…」
「カムイさん、ですよね?幻獣種の…」
「あぁ、彼と戦うために参加していると言っても過言ではないからね…
まぁ今は近寄らない方が良いよ。戦いの前で気がたってるようだからね…」
「お話ありがとうございます!選定戦、頑張って下さい!」
「おや?君は参戦しないのかい?」
「いえ、自分はアンデッドですので…」
「そんなの関係ないよ!君とも勝負したいな!」
「は、はぁ…」
「これ、参戦用紙だから、墓地の受付に出してきなよ!待ってるよ!」
「え、あ、はい。では…」
「で、勢いで出しちゃいましたけどいいんですか?」
「まぁなるようになれって感じだ。
まぁ参戦していた方が奴らに近づきやすいってのは確かだしな…」
「それにしてもフィリーさん。カムイさんしか眼中に無いって感じでしたね…」
「あぁ、あまりいいことではないが…利用させて貰うか…」
「り、利用!?どういう…」
これより、第52回メルキデーク王国 ボス選定戦を開始いたします。
参加者の方々は頑張って下さい。
国中のスピーカーから開始の合図が流れる。
と、同時に
ドッカーーーン!!!!
「っ!?ま、まさか!!!」
今回でボス選定戦まで進めよう!と思い頑張って進めたはいいものの…3000文字近くになってしまいました…
こんなに長くなるとは…
ここまでご閲覧ありがとうございました。いやほんと…
これからは尺もしっかりと考えねば…
それでは!三( 'ω')