幻想神刀想〜その刀、神に至りし者〜   作:梛木ユー

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【霊符】博麗の巫女さん

 (四季亭)からでて急いで慧音の下えと向かう、冬摩の所で時間をかけすぎたから少し急ぐ。え?移動手段?地べたを猛スピードで走ってますが何か?普通に飛ぶより走る方が早いのでそうしているだけだ。

 

 そもそも、人間よりの今は飛ぶことになれない…というか苦手だ。いまいちイメージできないからなのか明らかに走る方が早くなってしまった。戦闘は問題はないのだが長距離移動では不便だから便利な方を優先した。

 

 

 

 

 

 体力に関してはこの程度の距離なら問題ない範囲で移動が出来る。なんてことを考えながら走っていると人里が見えてきた。人里の門を潜り急いで慧音のいる寺子屋へと向かう。

 

 

 

 

 

 寺子屋の前まで来る頃には速度を落とし呼吸を一応整えておく。まだ外には慧音はいないようでしばらく空でも眺めて時間を潰す。雲を眺めながら数を数えたり、時たま上空を通る黒い影(天狗だと思われる)を眺めて待っていると寺子屋から慧音が出てきた。

 

 

 

 

 

『遅くなってすまないな、少し仕事があってな時間がかかってしまった』

 

 

 

 

 

 申し訳なさそうに謝る慧音…俺としては別にそのくらい気にしていないのだがむしろ謝るのはこちらだろう…それなのに慧音に謝られるのはなんとなくむしろこちらが申し訳なくなってしまった。

 

 

 

 

 

 「いいや、いいんだこっちが無理を言ってしまったから。こちらこそすまない慧音…」

 

 

 

 

 

『蒼矢は気にすることは無い…これは私がやりたくてやっていることなのだからな感謝こそされても謝られる謂れはないよ。さあ、行こうか…』

 

 

 

 

 

 そう言うと慧音は人里の中心に向かって歩き出す。俺は慌ててその後を追う。その様子が面白かったのか慧音は笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 慧音に連れられて人里の様々な所を回った、貸本屋や人里でも一二を争う甘味処、他にも生活をしていく上で必要そうなものを売っている店など、昼が過ぎて昼食をちょっとしたお店で食べてそこの店で慧音といた所をお店の店員さんに茶化される等とあったが得るものは多かった。

 

 今度千秋にも教えて買い物に来るのもありだと考えていると八百屋の所に赤い巫女服の少女が居た。

 

 

 

 

 

 その少女は何やら八百屋の店主に対して値切りを行っているようだ、しかし傍から見たそれは値切りというよりも脅しという方が正しいようだ。するとこちらの視線に気づいたのかこちらを振り向く、しかしすぐに興味を失った様で店主に対して値切りという名の脅しを行い続ける。

 

 

 

 

 

 慧音は俺が八百屋の所に視線を向けているのに気がつくと、そちらに視線を向け少女が店主に対して値切り(脅し)をしているのを目にすると大きな溜め息を吐き店主と少女の元へと向かう。その際に俺はここで待っていてくれと言われたがなんとなく気になったので慧音の後をついていく。

 

 

 

 

 

『おい、あまり店主を虐めてやるな、それにこの間も値切りと称してほぼ無料で八百屋の野菜を持っていっただろう…それはどうしたんだ?まさかあの量を食べきるにはまだ早いだろう?レイム』

 

 

 

 

 

 レイムと呼ばれた少女は慧音の方を振り向くと明らかに嫌そうな顔をして慧音の疑問に対して答える。

 

 

 

『ココ最近、宴会ばかりで家の食料が枯渇気味なのよ…アイツら食うだけ食ったら後片付けもしないし、勝手に人の食料漁るし…だから私はここの店主さんにお願い(脅迫)をしているのよ?』

 

 

 

 

 

 はぁ、と慧音の溜め息…それに対してレイムと呼ばれた少女は特に気に求める様子もなく店主に対して値切りを続ける。

 

 

 

 

 

『ねぇ?いいでしょう店主さん?この間ここに入り込んだ妖怪を追い払ったのは誰かしら?まさか恩人のお願いを聞けないようなひとではないでしょう?』

 

 

 

 

 

 店主さんはオロオロして対応に困っている。正直可哀想だ…ならばここは一つ助け舟をだすとするか…。

 

 

 

 

 

 「なぁ、そこの赤い巫女服の少女よ、そんなに食料に困ってるなら家の分を分けようか?幸い家にはブラックホール()が一人いるから食料は常に備蓄があるから余裕もあるし、どうだ?」

 

 

 

 

 

 俺が突如として話しかけたことに驚くもすぐに落ち着きを取り戻したのかこちらを見てから少し考える素振りを見せた。

 

 

 

 

 

『あなた、名前は?』

 

 

 

 

 

 

 

 「俺か?俺は春夏冬蒼矢だ。ココ最近こちらに越してきた者だ、よろしく」

 

 

 

 

 

 

 

『……別に私はあなたとよろしくするつもりは無いし、食料が貰えるならそれでいいわならあなたの家に案内してちょうだい。私は博麗霊夢よ』

 

 

 

 

 

 博麗霊夢と名乗った少女は俺を急かすように外へと押しやる。しかしこのまま慧音を一人にしとくわけにも行かないし…。

 

 

 

 

 

 「慧音、すまないけど俺はこれから博麗を家に案内してくるから、今日はここまででもいいかな?ごめんな勝手を言って」

 

 

 

 

 

 そう言うと慧音は問題ないと一言いい、気おつけて帰れよと言うと人里の人混みの中へと消えていった。

 

 

 

 

 

『さあ、はやくしてよ。私は食料確保を済ませて神社で落ち着きたいの』

 

 

 

 「さいで、じゃあ行きますか…。店主さん失礼しました」

 

 

 

 

 

 そう言うと博麗と共に家を目指して一直線に飛んでいった。

 

 残された店主は呆然としばらく立ち尽くしていた、立ち直ったのは客が来てからしばらくしてからのことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




蒼矢君は基本初対面の方は苗字呼びになります。
ある程度仲良くなっても基本的に苗字呼びで名前で読んで欲しいと言われたら変えたりしています。霊夢は何となくこんな感じなんじゃないかなーと思いだしました。

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