さすがに寺子屋の中では練習はできないから普段は子供たちが遊んでいるであろう寺子屋の広場で練習をする。
因みに今上白沢女史によるありがたーいサルでもわかる弾幕ごっご講座を聞いているところだ。しかも黒板にご丁寧に図がついての説明だ、かれこれ体感でだが三時間位だろうか…きっと地獄の閻魔様も驚く事だろう。
「さて、ここまで幻想郷での弾幕ごっこが生まれるまでの歴史を話したが続いて弾幕ごっこをするうえで守らなければならないルールを説明していこう」
前言撤回、どうやら地獄の閻魔も泣いて逃げ出すことだろう。早く練習したい…
結果実に六時間にも及ぶ上白沢先生のサルでもわかる弾幕ごっこ講座は終わりを迎えた。改めて弾幕ごっこ基命名決闘法のルールなどをおさらいさせられている。
命名決闘法基弾幕ごっこ
理念
一つ、妖怪が異変を起こし易くする。
一つ、人間が異変を解決し易くする。
一つ、完全な実力主義を否定する。
一つ、美しさと思念に勝る物は無し。
・決闘の美しさに名前と意味を持たせる。
・開始前に命名決闘の回数を提示する。
体力に任せて攻撃を繰り返してはいけない。
・意味の無い攻撃はしてはいけない。
意味がそのまま力となる。
・命名決闘で敗れた場合は、余力があっても負けを認める。
勝っても人間を殺さない。
・決闘の命名を契約書と同じ形式で紙に記す。
それにより上記規則は絶対となる。
この紙をスペルカードと呼ぶ。
因みに上白沢女史はというと、とてもやり切ったというような感じでご満悦の様だ。次は実技に移るようだ。もう、帰っていいですかね。
「さて蒼矢君、これから実際に弾幕ごっこをするわけだが一つ言っておこう。私は手加減は一切しないからな」
「結構ですよ、こちらも手加減はしません」
「カード宣言の回数は二回、残機は一といったところか。これでいいかな蒼矢君」
「ええ、大丈夫です」
「では、いくぞ」
そういうと上白沢女史は自身の周囲に魔法陣を展開し弾幕を放ってくる。この程度の弾幕は難なくかわせる。女史の弾幕を避けつつ式紙を周辺に放ち反撃させる。
因みに式紙は常に持ち歩いている。陰陽術は姉さんが使えていたから俺も千秋から教わり基本的なことはできるようにしている。最もその秋も陰陽術の基礎しか知らないようだが。
上白沢女史は俺が式紙を使ったのが意外だったのか驚いているようだ。まあ、初めて会った時は刀で応戦したからな。
スペルカードは美しさが基本らしいからな、美しさ…ありとあらゆるものを断ち斬る程度の能力を合わせた何か…。とりあえず能力を合わせたスペルを考えながら別で考えていたスペルを発動する。
「スペルカード!!」
【式符
五芒星に模した配置に式紙を配置し回転させながら炎を咲き乱れる桜が散るように弾幕を放つ。一つ一つが桜の花びらを模して対象を包み込むように弾幕を展開する。今、ネーミングセンスが無いなとか言ったヤツ出てこい、細切れにしてやんよ。
上白沢女史は最初はうまくかわしていたようだがスペルが終盤になり密度が増しこれ以上かわせないと判断したのかスペル宣言をした。
「スペル!!」
【国符 三種の神器 鏡】
三種の神器である八咫鏡もした鏡を自身の前に展開し弾幕を相殺する。
「さすがに一撃じゃあやられてはくれないか」
「ふふ、舐めてもらってはこまるな、これでも何度か弾幕ごっこはしているのでね」
お互いに残るスペルは一つ、先に出した方が負けるか?いや使うスペル次第でなら押し勝つことも可能か。しかし流石にさっきのスペルは力を使いすぎたな何せ全力のほぼ三分の一を込めたのだから、残る残量からしても無駄遣いはできないし。
さて、どうしたものか…残っているのはさっきのスペルには使わなかった式紙四枚と、愛刀のみか。女史もあまり余力がないとみる。
「楽しい時間も終わりだ蒼矢!」
「スペルカード!!!」
【終符 幻想天皇】
女史の左右と上下に魔法陣が展開されレーザーが放たれる、と同時に自身も全方位に鱗弾を放つ。今までで一番の密度を誇り今までで一番の威力を秘めているであろうそれは一直線に俺に向かってくるものもあれば左右を固める様に向かってくるものもある。
こんな美しいものを魅せられたら諦めそうになるじゃないか。だけどここであきらめるにはせっかく作ったスぺルがもったいないじゃないか。
せっかく作ったのだからちゃんと見てもらわないと。
右前方からと上正面から飛んでくるレーザーを式紙を当てて相殺する。続いて飛んでくる鱗弾を最低限度の回避のみでかわす。能力ありとあらゆるものを断ち斬る程度の能力を込めたお札を体に貼り発動、俺から速度の限界を断ち斬る。これはあくまで一時的なものなので早くしないと効果は切れてしまう。
一気に女史までの距離を詰める、女史も驚いた様子で動きが一瞬止まる。その隙は逃さない。
「スペル!!!」
【断符 孤独の王】
愛刀を片手に握り最後の式紙を取り出しあらん限りの妖力を込める。すると式紙がは光を放ち今まで周囲にあった女史の弾幕をすべて消し去った。いや、正しくは断ち斬った。妖力の込められた式が剣を持った人型を取る。光を後光の様に放ちながら人型のそれは剣を女史へと振りかざす。そこに防御は意味がない。孤独の王はすべてを断った、家族も愛する妻も、信頼していた家臣も、孤独の王はすべてを拒み断ち斬る。
王の一撃の前に何一つの行為は無に帰る。
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さすがに危なかったか、もう妖力もないしいくらお札で間接的にやったとはいえども限界を断ち斬った反動で動けないし。どうしたものか…。初めての弾幕ごっこだったが殺し合いとは違うし試合とも違う…とても楽しかった。遊びと侮ることなかれ、そこには一人一人の全力が込められていると言う事だろうか。
そういえば上白沢女史は大丈夫だろうか、弾幕ごっこだからさすがに致命傷になる技は使ってないと思いたい。
あと、二時間は寝ていないと動けないだろうな。さすがに、ねむいや………。
○能力を込めた式紙は蒼矢と姉の颯華の陰陽術のもう一人の先生が作った特注の式紙なので枚数に限りがありそうそう使えるものではないのとある程度の代償は必要なので過度なチート性能は持っていません。能力に関しても何でもかんでも(主に蒼矢君の実力の問題で)断ち斬れる訳では無いので幻想郷の強さで言うなら上位には入りますけど負ける時は負けます。