あれから、妖怪の賢者もとい八雲紫の式八雲藍が現れたのはすぐの事だ。八雲藍は幻想郷の一通りのルールを説明するとすぐに去っていった。まるで、ここにはいたくないかのような早さで去っていった。
これといってすることがなくなった俺は屋敷にある道場で瞑想と毎日欠かすことない素振りとストレッチを三十分ほどやり少し小腹がすいたので台所へ向かった。
台所では、昔からうちに仕えてくれている小妖怪達がお昼の準備をしていた。その小妖怪達に指示をだしながら自身も料理をしている料理長、
「千秋、すまないが何かすぐに食べれるものはないか?」
秋は調理の手を止め一言。
「蒼矢様、でしたらそちらのおにぎりでも食べていてください」
「ああ、ありがとう千秋」
そう言い残し机の上にあるおにぎりを一つつまんでいく。ついでにもう一つ手に持って。
食事の間に行くとそこには畳に死んだように仰向けに寝転がっている姉の姿があった。全くこの人は…いつも言っているのに。
「ほら、姉さんそんなところで寝転がっていないで座って待つことが出来ないの?」
「んん~、蒼矢ぁぁおなかすいたー、しぬぅぅぅ」
「はいはい、ここにおにぎりが一つあります。さてさて欲しい人いるかなー」
すると今までの死にかけ具合から一変して驚異的な速度で迫ってきておにぎりを一瞥すると素早く俺の手から奪い取り食い始めた。
みるみるうちにおにぎりは姉さんの胃袋の中に収納された。その速度時間にしてわずか二秒である。
「おかわりは?」
「台所にあるよ、でもしばらく待てば多分…あ、来たようだね」
小妖怪が皿に山盛りの料理をどんどん運んでくる。その量は確実に一日のお昼に食べる量ではなく、一日の三食分並みの量になっている。
そのほとんどを姉さんは食べる。それも一時間程度で、正直一体どうやって胃の中に納めているのかとても気になる。
食事は料理長の千秋と姉さんと俺の三人で食べる。千秋は別に食事をしなくても問題はないのだが、姉さんが無理やり決めて今ではもう習慣になった。千秋の食べる量は俺よりも少なく、一番多いのは姉さんだ。千秋はすぐに食べ終わると台所に向かい、この後食べ終わる俺達の食器を片付ける準備のためにいつもすぐに行ってしまう。
昼食も食べ終え午後はこれと言ってすることがないので近くを散歩する。現代
因みに、四季亭は人里の西にあるらしく、それより西は魔法の森と呼ばれる、瘴気が森に漂う場所が広がっているらしい。
しばらく歩いていると何やら建物が見えてきた。近づいてみると香霖堂と書かれた大きな看板がある家?についた。多分、堂というのだから何かの店なのだろうがなんの店だろう。
「なんの、店だろう。まあ、気になったら確かめるのが一番だ」
「こんにちわー、誰かいませんかー」
香霖堂のドアを開け店内に入る。店内は様々なものが置いてあり、外の世界のものもちょくちょく見受けられた。あ、いつの時代は知らないが週刊誌がある。などと店内を見ていると、奥から店主と思しき青年が現れた。
なぜ、青年が店主だと思ったのかは、この店の中にある気配が一つしかないのと妖気を感じたのとあとは勘である。
銀髪のショートボブに特徴的なアホ毛が一本、かけている眼鏡からは金色の瞳をのぞかせている。黒と青の左右非対称のツートンカラーをした洋服と和服の特徴を持った服装の青年店主(予想)は今まで何か探していたのか少々服がうす汚れていた。
「いらっしゃい、何かお探しかい?」
「いや、たまたま通りかかって気になったものだから覗いただけだ」
「そうかい、しかしお客さん見かけない顔だね」
「ああ、今日こちらに越してきたのでね」
「ふむ、と言う事は外から来たのかな」
ああ、そうだ、とうなずく。
「自己紹介がまだだったな、俺の名前は
「これはご丁寧に、僕の名前は
やはり予想は当たったようだ。青年店主改め森近霖之助は少し疲れているのかけだるそうにしている。
「その、森近はここでは長いのか?」
「ああ、長いよこれでも半妖でね。それこそ博麗大結界が成立する以前から幻想郷で暮らしているよ。ああ、あと霖之助で構わない」
「そうか、霖之助はこのあたりで暇がつぶせそうな場所をしらないか?」
霖之助は少し考えるそぶりを見せ、多分幻想郷の地図と思われるものを出しながら説明した。
「一番は人里かな、あそこならある程度のものが揃っているし暇をつぶすなら無難なところだろう。」
人里か…。
「ありがとう、霖之助早速行ってみるよ」
そういうと、香霖堂を後にして人里に向かう。人里へはさほど遠くないので歩いていても一時間もしないうちにつくだろう。にしても、香霖堂か外のものがたくさんあったからまた行ってみるかな。
ここまでお読みいただきありがとうございます!今後とも幻想神刀想(略をよろしくお願いします。