一応考えはあるものの準備にはもう少し時間がかかってしまう。
そしてそれは向こうも同じようなのか少し焦りが見られ始めた。札はまだ枚数に余裕はあるので霊力を込め投擲する。しかしそれは全て叩き落とされ地面に散っていく。全く…こんな戦闘を弾幕ごっこなんて呼ばない、いいや呼ばせない。正直に言おう明らかに向こうは
それに試練の相手にもおおよそ宛がついている、何故と疑問は残るがどうせいつもの様に姉さんが思いつきでやらせたのだろうということにしておく。何故なら今はそんなことどうでもいいしちゃっちゃと終わらせて帰りたい。という気持ちが強くなってきたのだ。
しかし、相手はそんなことを微塵も思っていない様で逆にだんだんと攻撃が激しくなってきている。
しかけた術を発動させるには一度距離を取る必要があり霊力を込めた爆発する札を相手に向かって投げ一度距離をとる。爆発による煙幕が晴れると同時にスペル(威力増し)を愛刀から放つ。
「【断符】断月!!」
しかし、相手は両手を組むようにして前に出し堪える。それは計算道理続いて懐から札を出しスペルを発動。
式紙を飛ばし自身の正面に結界を展開そして、そこから鳥を模した追尾性の弾幕を放つ。
【式符】「彗星火鳥!!」
フードはそこまで予想していたのか妖力弾を放ち相殺しようとするも相殺しきれなかったのかいくつか被弾したようだ。そこから畳みかける様に用意していた仕掛けを発動させる。地面に刀で斬りこみを入れることで仕込んでいた結界が俺から放たれた霊力に反応し淡い光を放ち始める。
【断符】「
地面に霊力で描かれた五芒星の頂点に当たる位置から五色の龍が現れ対象であるフード相手にその牙を奮う。そして龍は一つとなり神の如き神聖さを持って対象へと降り注ぎ呑み込んだ。と同時に大きな五色の爆発が起こる。爆発による煙が治まったそこには倒れふすフードを被った蒼矢の試練の相手、もう既に気を失っているのか動く気配はない。
「ハァハァ…どうにか勝てたか…というか、硬すぎだろ。絶対普通の弾幕ごっこ感覚だったら負けてた。霊力の消耗は…まあ半分も残ってれば大丈夫だろう。」
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フード(試練の相手)を倒すと霧に囲まれていた一部が開けて通路のようになったので先に進む。予想だが姉さん当たりはもう着いているだろう、というかあの人が負けるというビジョンが見えない。後は、どうだろうか…博麗はまあ、姉さんと同じくであの鬼の元へととっくに着いているはずだ。他はどうだか分からない。
正直顔見知りというだけの奴もいたし実力がどの程度あるのかわからない以上予想をつけられない。魔理沙も弾幕ごっこは強いがどうなのだろうか。とそんなことを考えているとやや開けた場所にでてそこには案の定、こちらに笑顔で手を振る姉さんと機嫌が悪そうな博麗、アリスはまだのようだ。それと、千秋と従者同士で仲が良さげだった十六夜がいた。
「そーやー。遅かったじゃないの、全くお姉ちゃん待ちくたびれちゃったわよ」
「いや、絶対早いほうだから。むしろ姉さんが早すぎるから」
「えーでもそこの銀髪のメイドさんと霊夢ちゃんは私とさほど変わらなかったわよ?」
「それは、人間やめ────危な!」
「失礼。手元が狂ってナイフがあらぬ方向に。謝罪するわ」
「イヤイヤ、今の手元狂ったレベルじゃないから思いっきり狙われたか────だから!危ないって!」
「ちっ…惜しいわね」
「ねぇ!今惜しいっていったよね?」
何故か博麗と十六夜から攻撃を受ける。何故だ、ちょ、お札とナイフのコンボ良くないから!当たるから!そして、姉さんさり気なく俺から離れてさり気なく弾幕放たないで!地味に邪魔だから!博麗と十六夜と姉さんによる弾幕とお札とナイフのコンボを躱していると、魔理沙も来たお陰で仲裁してもらい、どうにか地獄から抜け出した。事の顛末を魔理沙に話すと、それはお前が悪いんだぜ。と言われた。ちくせう。その後魂魄も現れた。魔理沙と同じく、それは貴方が悪いと思います、と言われた。
どうやらアリスと紫日陰少女は間に合わなかったようでこの異変の首謀者。伊吹萃香が現れる。片手に大きな瓢箪を持ち酒を飲みながらだ。その足取りは正しく千鳥足、正直これから弾幕ごっこするというのを理解しているのだろうか。
「よく来たね!英雄達!試練を乗り越え選び抜かれたんだ、存分に楽しもうじゃないか。最高の宴の始まりだ!」
その言葉を合図に英雄と萃香に呼ばれた人間達は動き出す。紅白の巫女服の少女は霊力の込められた札を飛ばし、銀髪のメイドが時を止めナイフを投げる、白髪の少女は自身の武器である二つの刀を構え斬撃を飛ばし、普通の魔法使いは色鮮やかな弾幕のビームを放つ。
もちろん俺も霊力の込めた式紙を飛ばし攻撃する。姉さんもさすがにこのタイミングで攻撃しない訳にはいかないだろうからか弾幕を放っている。
対する伊吹萃香は能力を行使しているのかぬらりくらりとかわしている。弾幕はかなり密度があったと思うのだがそれをかわされた。すると伊吹萃香の姿が揺らぎ伊吹萃香が六人になった。分身なのか幻術なのかわからないが伊吹萃香達は余裕そうに瓢箪の酒を仰ぐ。
萃符【戸隠山投げ】
六人になった伊吹萃香はどこから
しかし、特に慌てる様子は無い様で各々が自身が相手をする伊吹萃香と向き合い自身の武器を構える。
そこからは防戦で精一杯の者もいれば互角、あるいは圧倒的に押している者もいた。もちろん俺は圧倒的になんて経験が浅いため無理なので互角といったところだろう。幾ら出鱈目な能力を持っていようともそれを活用するための経験が圧倒的に足りていないし、そも相手は六分の一とはいえ数百年生きた鬼だ経験差はとてつもない差がある。
しばらく戦っていると唐突に伊吹萃香は戦いをやめ、悪いけど宴はここまでだ保護者がうるさくなってきたのでね。というと霧になり消える。ほかの戦っていた面々も同じようでいまだ戦っているのは博麗だけだ。
六人に分かれていた伊吹萃香は博麗と戦っていた伊吹萃香の元に戻ると今まで防戦一方だった戦いが互角レベルまでに戻り博麗に対して反撃を始めた。博麗から放たれる弾幕を躱してゆく伊吹萃香、しかし追い詰められたのか針のような弾幕が伊吹萃香の頬を掠っていく。その隙を博麗が逃す筈もなくすかさずスペル【霊符】夢想封印を発動させる。回避は間に合わないと思ったのか伊吹萃香もスペルを発動させ相殺させようとする。
両者のスペルは拮抗し相殺されるかと思われたが博麗の方に軍配は上がった様で爆発の後伊吹萃香に向かって勝ち残った博麗のスペルが飛んでいく。既に抵抗する気は無いのか真っ直ぐ突き進むスペルに伊吹萃香は呑まれ地に倒れた。長かったような、短かった異変はこれで終わった。