門をくぐりしばらく歩いていると、少し広い場所にでると黒のフードを被った人物がたたずんでいた。向こうはまだこちらに気が付いてないようだ。別に会ってすぐに戦闘なるわけではないと思うが用心するにこしたこたはない、そう思いながら少し警戒気味に近づいていく。
向こうも気が付いたようでこちらを向く。フードを深くかぶっているため誰なのか確認することはできない。
「あなたが試練の相手ですか?」
「………」
「だんまりですか…まあいいですよ俺も先を急いでいるのでちゃっちゃと始めますか」
相手は理由は分からないがしゃべることなくうなずくだけで戦闘態勢に入る。その構えだけで相当な実力者だと言う事がうかがえる。相手は無手だが霊力なり妖力などの攻撃も気を付けないといけないので警戒を続ける。先に動いたのはフードの方で徐々に大きく広がっていく円状の弾幕が渦を巻く様に放たれる。それをどうにか隙間を縫ってかわしお返しにと式紙に霊力を込め数枚放つ。しかし、それはすべてかわされた。
ならばと思い空を乱切りしその斬撃を飛ばす、しかしそれは両腕を覆うように込められたおそらく妖力ではたき落される。そうして左腕に込められたままの妖力(推測)を左腕を大振りに振るい妖力(推測)を直接飛ばしてくる。続いて右腕も振りぬく、飛び出した妖力の塊はものすごい回転を掛けながらこちらに迫って来る。急いでかわそうとするもかわし切れず服にかすってしまう。さらにそれが続けて連続で飛んでくるので避け続けるのに必死になり防戦一方になってしまう。
「ちっ!!【式符
五芒星に模した配置に式紙を配置し回転させながら炎を咲き乱れる桜が散るように弾幕を放つ。一つ一つが桜の花びらを模して対象を包み込むように弾幕を展開する。このままではまずいので状況を打開すべくすかさずスペルを発動し飛んでくる妖力(推測)の塊を相殺していく。
遠距離だとまたあの妖力(推測)の塊を飛ばされかねないのでならばと思い弾幕どうしが相殺された際にフードのやつとの間に煙が発生したのでそれを利用して近づく、向こうもこちらが近づくのになんとなく気が付いたのかでたらめに先ほどと同じ弾幕(受けた場合のダメージ多分ただでは済まない)を放ってくる。何発かかすってしまったもののどうにかフードのやつのそばまで近づくことができ刀を抜きそのまま上段に構え斬りかかる。それは予想されていたのか後ろに引く形で避けられてしまう。斬りかかるとき
反す形刀を持ち替え続けて斜めに斬りあげるがそれもわずかにフードにかする程度で反撃されてしまう。
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蒼矢がフードを被った人物との
「だから~しょうがないだろう、もう始めちゃったんだし。それに大丈夫さちゃんとルールは守る」
「まったく、そういう話ではありませんわ。それに話していた内容といささか変更が見られていることについて聞いているのです。ルールを守るのは当たり前、そういう話で許可したのですから守らないなんて言うのはあり得ませんわ」
「ん~だって~見て待ってるだけじゃつまらなくなったんだ、仕方ないだろう?」
「仕方ないだろう?ではありません!まあ、そういう事ならいいですわ。…元から鬼がただ見て待つだけで満足するとは思ってはいませんでしたし」
「何か言ったかい?」
「いいえ~友人に振り回されるかわいそうな私を慰めてくれる人はどこかにいないかと言っただけですわ」
「はっ、笑わせるつもりならやめてくれよ。
「な!?どういうことですの!私みたいなやつってどういう事です!誰のためにわざわざ地底からの移動用にスキマを貸してあげたと思ってるんですの?」
そう憤慨する紫だが萃香は正直のところ一度地底から出てしまえばしばらくは戻るつもりがなかったので一回だけ使えればよかったのだがそれではあまりにかわいそうだったのでわざと定期的に地底に帰るべくスキマを利用していただけなのだ、それを言うとまた怒りかねないので言わない。
そう本来萃香は八雲紫との契約で新しいルールを守るうえでという決まりの元異変を起こしていた。別に黙っていてもよかったが後々面倒になりそうだったので話したのだ。ただ三日起きに博麗神社で宴会を行うように集めてわざと霧を出し徐々に妖気を込めていくというだけの異変だったのだ、それを変えて紫には告げていないとある協力者に頼み今起こしている異変に変えたのだ。
「にしても、いいねえ…最高だ。私の目に狂いはなかったな」
「彼のことね…。まったくこれだから鬼は面倒くさいのよ、こんなのに狙われた私の可愛い霊夢が可哀そうだわ」
「………。彼だけではないけどね」
「な、なによ、その目は…そんな親馬鹿を憐れむような目は!」
「事実だろう?」
「うっ…うーーー。もういいわよー萃香なんてしらないんだからー」
そう言い残しスキマの中へと帰っていく紫、あれが幻想郷の管理者で妖怪の賢者なのだからまったく世も末だろう、そしてあれの相手を常にしているその従者たる式神には今度酒と油揚げでも差し入れに持って行ってやろうと思う。まあ、本当なら説教の一つや二つ覚悟していたのにそれをせずに冗談だけで済ませてしまうあたりやはりただの残念な賢者ではないのだ。しかし最後のあれはないだろうと思い聞こえているのか定かではないものの思った通りの事をつぶやく。
「いや、さすがに『うーー』はないだろう。…年齢的にも性格的にも…」
この最後の萃香のつぶやきが聞こえたのかどうなのは定かではないがこの異変の最中亡霊の姫に泣きつく妖怪の賢者の姿を見たものがいるとかいないとか…。