私…こと上白沢慧音は幻想郷という忘れ去られた者達の楽園で人里の寺子屋の教師をしている。また、里の守護者とも呼ばれているが私はただの人間…とは少し違い半獣半人というなんともまあ中途半端な存在だ。せいぜい、女性としては嬉しいが容姿に老いという変化が訪れない…ことと非常に癪だが人に教えるというのが少し…ほんの少し下手なだけだ。そうだったらそうだ。
ココ最近は異変が続いているものの人里はいつもの様に穏やかな日常を過ごしている。スペルカードルール…これが広まったからだろうか…ある程度の知性ある妖怪達はこれを重んじて…いるとは思いたいが現状ルールは守られている、為妖怪からの被害は以前よりも少なくはなってきている。だからといっても知性のあまり無い妖怪達の被害は変わらない。
いつもの様に寺子屋で授業をしていたらそいつは現れた。昼休みの時間だろうか子供達が何やら外で騒いでいるのでそろそろ授業だと注意しに行ったらそいつはそこで寝転がっていた。冥界にいるという庭師と似たような色の白髪で体つきから男であると思われるも変装さえしてしまえば女と言われても頷けるであろう、その容姿。明らかに人間のものでは無いそれは慧音の警戒レベルを一段上げさせた。
幸い寝ているようなので慧音がここに来るまで何も無かったが起きてから何かあってはとても困る。人型ではあるので妖怪だとしてもそうでなくともそれに類するものならば話は通じるだろう。そう思いつつ様子を伺う。
そいつは目が覚めたようで身体を起こす。子供達には離れる様にいったのでもし仮に襲おうとしても私が阻める様にしてある。私は起きたその人物に何故ここにいるのかと聞いた。
今でも思うがその時の私はいつもの悪い癖で早とちりをしてしまい、勘違いしたまま、その人物を子供を襲う危険な妖怪として退治とまでは行かなくても時間稼ぎ位はと弾幕で仕掛けた。結果は逆に返り討ちにされてしまったが、本人は気にしてはいないといった。
今日とて、勘違いのお詫びということで里の案内をするついでに練習のお礼をしてもらったが優しい性格なのだろう、私と二人でいたところをからかってきた里の人達のことを上手くやり過ごしてしまうのだから大したものだと思う。
そういった意味ではないが個人的にも好ましく思うので彼とは今後も永い付き合いになるのだろうとなんとなくそんな気がした。
────────────────────
────────────
────────
私の名前は
普段紫様は私に幻想郷の管理を殆ど任せ自身は幻想郷の何処かにある家でぐうたらしているか、博麗霊夢の元へと行って遊んでくるだけだろう。本当にこの御方は…と何度も何度も自身に問いかけ悩んだ時期もあった。でも、最近は任されているというのは信頼されているのだろうと、そう思う事にして諦めた…。
春雪異変と呼ばれる異変も終わり、一息ついた頃それは幻想郷に侵入してきた。博麗大結界を切り裂き擬似的なスキマを作り出し屋敷ごと幻想入りしてきたそれらを見過ごす訳にはいかず対処しようとした所。紫様は単身その屋敷へと乗り込んで行ってしまわれた。帰ってきた紫様はご無事で問題は無かったようだった。式でありながら不遜ではあるが心配してしまった。
紫様は私に、その者達へ幻想郷のルールを教えに行けと命じられると何処かへ行ってしまわれた。正直紫様の手を煩わせた者達になど会いたくはないが命じられた事はこなさなければならないので直ぐに説明にいった。一通りの説明をすると私はさっさと屋敷から出る、やはり私はあの家の者達を嫌っているようだ。特に命じられ無かったが私はその者達…春夏冬家の者達の監視を行った。
しかし、特に何を起こそうとするでもなく積極的に動いていたのは春夏冬の弟であった。他のものと言えば従者のような恐らく鬼はいつもと変わらぬようになのか屋敷の管理をしていたり、ぐうたらしている当主がいたり、部屋にこもりっきりの少女がいたり。最も今はまだこちらに来て時間もたっていないだから大人しくしているのは当たり前かと思い出す。
暫くは警戒を続け様子を見るが怪しい行動にでたらすぐにでも対処できるようにしておく。紫様が苦労してやっとここまで来たのだそれを壊そう等と不埒な考えの持つものなら直ぐに対処しなければ。
私はそんな使命感…の様なものを抱き今日も結界の様子など幻想郷での出来事の観察と春夏冬の監視を続けた。
次回から二章に入ります。
ここまでお読みいただきありがとうございます。