幻想神刀想〜その刀、神に至りし者〜   作:梛木ユー

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【スペル】対普通の魔法使い

 射命丸とOHANASIをしていると、博麗が戻ってきてその後続くように千秋と魔理沙が戻ってきた。博麗は俺にお礼を言ってきた、その後姉さんに気づき挨拶をしていた。魔理沙はというと、冬摩の所で魔術書を借りられたのかほくほく顔だ。

 

 

『そういえば蒼矢、お前強いんだってな。冬摩が言ってたぜ、戦闘センスはかなりあるってな。それに聞いたぞ慧音と弾幕ごっこの練習をしたそうじゃないか。なあ〜私ともしようぜ〜』

 

 

 

 一体何処からそんな話が漏れたのかはもう気にするのをやめた。この幻想郷では常識という物は無きに等しいようだ。それに冬摩め、朝の仕返しのつもりか!俺は別にそこまでして戦いたい理由でもないのにどうせそれで問い詰めたら訓練だのと言うつもりなのだろう。断ることもできたが経験を積んでおくのも悪くないと思い了承した。

 

 

 

 「ああ、いいけど家の中では無しな。やるなら外でやらないと、被害が出ても困る」

 

 

『私は困らないのぜ』

 

 

 「俺たちが困るんだよ、だからやるな外でな」

 

 

 ちぇー、と不満げな魔理沙まったく結局は戦うのだから文句などないだろうに…。博麗は帰るのだろう用意してもらった食料片手に出ていくようだ。部屋から出ていく時、思いだしたように一言残して去っていった。

 

 

『今日も宴会だろうから暇なら来るといいわ、食料のお礼というわけで訳でないけど』

 

 

「そうか、ありがとうな」

 

 射命丸はお二人の戦いを見てから帰りますねと、いいまだ居座るつもりのようだ。姉さんは…どうやら珍しく弾幕ごっこを見ていくようだ。

 

 

 ○○○○○○

 

 

 屋敷の敷地から外に出てやや開けた場所にきてお互いに戦闘準備を始める。準備と言っても大した事はしないし、せいぜい刀の調子を再度確認する程度…問題は無い。

 

 

 

 魔理沙は空中に箒にのり佇んでいる。俺としては地上戦がいいがまあそこは仕方あるまい。と、諦めつつ魔理沙と同じ位の高さまで飛翔する。

 

 

『さて、準備はできたか?剣士と戦うのは二度目だけど蒼矢の場合、前の奴よりも強いだろうから魔理沙さんは始めから本気で行かせてもらうぜ』

 

 

 「その話は興味があるけど、出来れば御手柔らかにお願いしたいものだな、正直空中戦は苦手なんでねッ!」

 

 

 

 先手を打ったのはこちら、まずは広範囲に弾幕を張り魔理沙の戦い方を見る。しかし、この程度では普通の魔法使いを満足させられないようで易々とすべて避けられてしまう。ならば!早速一枚目のスペルカード宣言、式紙を飛ばし自身の正面に結界を展開そして、そこから鳥を模した追尾性の弾幕を放つ。名前はまだ特に決めていないがとりあえず仮称になるが。

 

 

 

【式符】「彗星火鳥(すいせいかちょう)!!」

 

 

 

 炎を纏った彗星のような鳥が魔理沙を目掛けて一直線に迫っていく。流石にこれは防げないと思ったのか、スペルカード宣言を行い弾幕の相殺を狙う。

 

【儀符】『オーレリーズサン!!』

 

 自身の周りに複数の球体を作り出しそこから弾幕を放ち相殺させる。その魔理沙の姿は自身を太陽と見立て、その周りを惑星が公転しているようにも見える。その様子はとてもきれいだと思った。続け様に魔理沙はスペル宣言を行う。

 

【魔符】『スターダストレヴァリエ!!!』

 

 

 広範囲に大きな星をばらまかれる。サイズはバラバラで軌道もバラバラな弾幕たちは俺の下に迫って来る。追尾性ではないようなので、集中していれば避けられそうでもある。直撃をくらいそうなのは弾幕で相殺させ弾幕をかわしていく。スペルの硬化時間が終わり周囲にあった弾幕は消える。

 

 

『なかなかやるじゃないか、だけどこれならどうだ!』

 

 

 

【恋符】『マスター…スパーク!!!』

 

 

 魔理沙は箒の上に立つと同時に何やら両手で構えて超極太のレーザーを撃ちだす。まっすぐに俺の下へと向かってくる。さすがにこれは避けることはできないだろう。なら最高の一撃で迎え討つのみ。そう覚悟を決め刀を抜く。

 俺に出来ることはただ目の前の物を断ち斬るのみ…。

 

 

【断符】「断月(だんげつ)!!」

 

 

 

 愛刀をただ横に振るうその動作は一切の無駄なく行われた。その斬撃のは妖力を帯び三日月のような形をしておりレーザーと正面からぶつかる。ただそれだけで周囲に爆風を起こし、斬撃とレーザーはせめぎあっている。すでに斬撃を放った者の手からは離れているはずなのだが斬撃は勢いを衰えるどころか次第に増してきている。レーザーを放った少女の顔からは焦り、驚愕が浮かんでいる。自身のレーザーに対して自信を持っているからだろうか、それともただ刀を横に振るっただけ(・・・・・・・・・・)でこれほどの威力を出すことに驚いているからなのか、それがわかるのは彼女自身だけだろう。

 

 

 

 

 しかし、もし後者ならばそれは彼にとっては何よりの喜びだろう。彼…彼らにとって人間の畏れ(自身に向けられた感情)とはなによりも最高の褒美になるのだから。それが、恐怖か、親愛か、憎悪か、尊敬か、悲しみか、そんなものはとても小さなことで誰も気には留めない。

 

 

 

 

 せめぎあっていた弾幕は大きな爆発を起こし先ほどとはけた違いの爆風を周囲にまき散らした。そしてその勝者はレーザーだった。レーザーは斬撃という防波堤を失い荒れ狂う波がごとく彼へと迫る。それはレーザーを放った少女の性格を表しているようで一直線に彼へと向かっていく。

 彼はもうすでに避けることはあきらめているようで、その場にたたずみそしてレーザーに飲み込まれた。

 

 

 

 

 


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