【クロス】艦隊これくしょん×仮面ライダー龍騎【完結済】   作:焼き鳥タレ派

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第29話 Boon Accomplices

優衣と神崎を見送った真司と蓮は、互いに無言のまま屋敷を出た。

蓮は早足で、真司は思い詰めた足取りで。

二人がそれぞれ愛用のバイクにまたがろうとした時、やっと真司が口を開いた。

 

「なあ、蓮……」

 

「なんだ!」

 

蓮が苛立ちを隠さず応える。

 

「さっきは優衣ちゃんが危なかったから考えもしなかったけどさ、

本当に神崎に優衣ちゃん任せてよかったのかな」

 

「今更迷ってるのか。お前は本当の馬鹿だな」

 

「ごめん……」

 

「俺に謝ってどうする。とにかくサイバーミラーワールドに帰るぞ。

優衣の無事を確認するのが最優先だ」

 

「うん、そうだった。……いや、そうだ、恵理さん!

艦これには俺が先に帰るから、ひと目恵理さんに……」

 

「俺が近くにいれば目を覚ますとでも言いたいのか!今はもう12月だ!

来月には優衣が消えるんだぞ!さっさと何らかの答えを出さないと、

結局誰も助からないままライダーバトルが終わる!」

 

とうとう怒りを露わにする蓮。だが真司は、

ライダーバトルを続ける意味を失った状況で、なお戦おうとする蓮を止める。

 

「なんでまだライダーバトルにこだわるんだよ!もうわかっただろ!?

神崎は優衣ちゃんに与える新しい命を選ぶためにライダーバトルを仕組んだんだよ!

なんでも願いが叶う“力”なんて嘘っぱちだったんだよ!どうしてまだ戦うんだよ……」

 

「……それでも、ほんの僅かでも可能性があるなら、俺は戦う」

 

「蓮……」

 

「城戸。お前はいつも肝心な時に迷ってばかりだが、

それで誰かを救えたことがあるのか」

 

黙ってうつむく真司。

蓮も、もう何も言わず、今度こそシャドウスラッシャーに乗って去っていった。

真司はしばらく師走の風に吹かれながら、何も考えることができず、

もやもやとした気持ちだけを抱え込んでいた。

 

 

 

 

 

──佐野鎮守府

 

 

そして、相も変わらず佐野はスポンサー探しに精を出していた。

昨日はダメだったけど、今日は誰にしようかな。ライダー一覧を見ながら考える。

すると、変わった名前のライダーに目が留まった。名前に“ライダー”が付かない。

現実世界の職業……教授!すげえ、絶対金持ちに決まってる!

それに?教え子が仮面ライダータイガ!お金持ちでしかも二人組!

なんで最初に気づかなかったんだろう!“総合戦果”に気を取られてたよ。

俺とほとんど同時に来たから開放した海域とかはまだないみたい。よーし、行くぞ!

 

「ねえ叢雲!今日は香川鎮守府お願い!」

 

「まだ続けるの?」

 

「うん、次は絶対うまくやるから!」

 

「そういうことじゃなくて……もういい」

 

叢雲は、ため息をついて舵を握ると、面倒くさそうに音声コマンドを宣言した。

世界が白に染まる。流石に佐野も2度目は驚かなかったが、

やはり珍しそうに再構築される過程を珍しそうに見渡している。

そして、転送先データのダウンロードが終わった。

 

 

 

 

 

──香川鎮守府

 

 

「……なるほど、それで我々と手を組みたいと?」

 

香川の執務室を訪ねた佐野は、ソファでテーブルを挟んで

香川と東條と向かい合っている。二人の前には例の名刺が。

東條は何も語らないが、明らかに疑わしげな目で佐野を見つめている。

 

「はい、新聞を見たんですけど、コアミラーをぶっ潰して

ミラーワールドを閉じるためにこの世界にいらしたとか。なんか面白そうですよね!

まさにゲームの世界で大冒険、って感じじゃないですか!」

 

「誤解のないように言っておきますが、

我々は個人的動機で動いているわけではありません。

全てはより多くの人間のため、英雄的行為なんですよ。

そのためなら手段は選ぶつもりはありません。既に方法は失いましたが、

彼の行動原理となっている神崎の妹を暗殺することも計画していました。

仮に、もし可能ならば、逆にこの世界を崩壊させ

コアミラーを巻き込み消滅させることも厭いません」

 

「うわあっ、スケールの大きい計画なんですね!それに、英雄ですか!?

知的で大胆……すごいなあ、憧れちゃうなマジで。知的な人って憧れるんですよ。

俺、頭悪くって」

 

アハハ、と愛想笑いをして頭をかく佐野。対する無表情の二人。

 

「それで、先程もお話した、今日お伺いした件なんですが、俺を雇って頂けませんか?

俺、仮面ライダーですし、こう見えても結構強いんです。……条件さえ見合えば」

 

やはり心中の読めない目で佐野を見つめる香川。しばしの間沈黙する三人。そして、

 

「……君に我々のことが理解できるとは思えない。

が、結論から言いますと、我々は君と契約することにしました。力を貸してください」

 

香川は表情を変えることなく手を差し出した。

佐野が顔だけで大喜びし、頭を下げながら両手で香川の手を握る。

 

「わぁ……ありがとうございます!

頑張りますんで、よろしくお願いします!先生、先輩!」

 

「……東條でいいよ」

 

東條は怪しいお調子者を受け入れた香川をちらと見て、ぼそっとつぶやいた。

 

ゴツ……

 

その時、部屋の外から物音が聞こえた。すぐさま東條が立ち上がり、ドアを開ける。

そこにいたのは薄桃色の紙を後ろで束ねた艦娘、青葉だった。

右脇に抱えた砲を壁にぶつけてしまったようだ。

 

「青葉、聞いちゃいました……」

 

「……提督命令。大声を上げずに中に入って」

 

「はい……」

 

東條の命令で青葉がゆっくりと執務室に入り、彼がドアの鍵を掛けた。

そして青葉はソファの二人と東條に囲まれる形で部屋の中央に立った。

香川が青葉に尋問を始めた。

 

「さて、どこから聞いていたんでしょうか」

 

「全部です。神崎の妹を殺そうとしていたこと、

コアミラーを壊すためなら私達の世界を犠牲にしても構わない。

佐野提督が入られてからの皆さんの会話はほとんど……」

 

「わかりました。では、残念ですが……」

 

香川が目配せすると、東條がポケットから虎の紋章が施された青いデッキを取り出した。

 

「何か言い残すこと、ある?」

 

ガラス窓にデストワイルダーの姿が映る。だが、青葉は意を決して言い放った。

 

 

「青葉も、皆さんの仲間に入れてください!」

 

 

これには一同驚き、さすがの香川も面食らった。しかし、すぐに平静さを取り戻し、

 

「我々に加担することであなたに何のメリットが?それともただの命乞いでしょうか」

 

「ち、違います!青葉も守りたい人……みたいな人がいるんです。

ミラーモンスター封印に協力したいんです!」

 

「……口先だけなら何でも言えるよね。

君、僕が英雄になるのが気に入らないみたいだし」

 

「誤解です!青葉は、幸せを掴む方法は一つじゃないことを、

司令官に知ってもらいたいだけなんです!」

 

香川は青葉の言葉に何かを感じ取った。

今にもデストワイルダーをけしかけようとする東條と、必死に訴える青葉。

 

「我々としても、無益な殺生は避けたい。何か具体的な形で、

あなたが我々に協力する気になった動機を示してもらいたいものです」

 

つまり、証拠を見せろということ。

青葉はカバンの中から書類を取り出し、テーブルに広げた。

そこに書かれていたのはいくつかの円グラフ。皆がそれを覗き込む。

 

「全ライダー鎮守府の“青葉”に頼んでアンケートを実施しました。

皆さんの行動方針が艦娘に受け入れられるかどうか」

 

「ほう……」

 

 

 

○アンケート “究極の二者択一について” (対象者304名:艦種問わず)

 

問1.多くを助けるためなら、大切なひとり(自分含む)を犠牲にしても構わない

 

そう思う:5.7 %

どちらかと言えばそう思う:12.6 %

そうは思わない:42.4 %

どちらかと言えば思わない:35.3 %

無回答:4.0 %

 

>自由回答欄

・助けるべき人、見捨てていい人、そんなの誰が決めるの?

・大義のための犠牲はかつての悲劇の繰り返しでしかない。

・この設問は侮辱的だ。艦娘の存在意義を否定しようとしている。

 

問2.大切なひとり(自分含む)を救うためなら、多くを犠牲にしても構わない

 

はい:45.2 %

いいえ:50.9 %

無回答:3.9 %

 

>自由回答欄

・正直に言うと、死ぬのは、怖い……出撃の度に思ってる。

・艦娘は皆を守るために存在している。誰かを身代わりにする事はあり得ない。

・提督が死んだら、って考えると……艦娘の使命を忘れそうになるネ。

 

 

 

「ふむ、興味深いデータですね。立場を入れ替えた場合に見られる意見の相違。

大いに参考になりましたよ」

 

「なぁんだ。“犠牲はよくない”とか言っときながら、

結局自分や大事な人のためなら他人なんかどうでもいいんじゃないか。

こんな連中に僕らの英雄論が理解できるわけない。

先生、いっその事、提督権限で全員操り人形にしたほうがいいと思うんですけど。

僕らの戦いを邪魔しかねない」

 

「お待ちなさい。提督権限で大勢の艦娘の自我を奪うには途方もない時間がかかります。

……青葉さん」

 

「はいっ……!」

 

眼鏡の奥の静かな視線に射すくめられ、思わず声が上ずる青葉。

 

「英雄的、とまでは言えませんが、あなたの行動に確かな意志を見た気がします。

我々がこの世界でコアミラー捜索をスムーズに行えるよう、力を貸してください」

 

「先生、いいんですか!?」

 

「前にも言った通り、コアミラーを探し出すには時間がかかります。

腰を据えて調査に当たるには地盤を固めなければ。

艦娘の味方は多いに越したことはありません」

 

「じゃあ、僕達4人、これからはコアミラーってお宝を求める秘密の仲間ですね!」

 

佐野が場の雰囲気を読まない呑気な発言をする。

だが、一人だけその言葉に反応を示した。

 

「……仲間」

 

小さな、本当に小さな東條のささやきは、他の誰にも聞こえなかった。

 

「では、青葉君。我々の詳しい行動方針に付いては秘密厳守でお願いしますよ。

とりあえず、佐野君の隣にお座りなさい」

 

「はい!」

 

青葉は部屋の隅にゴトゴトと重い艤装を置くと、佐野の隣に座った。

東條もデッキをしまい、ソファに戻った。

 

「さて、我々の計画に加わったばかりの佐野君と青葉君に説明しておきましょう。

実は、我々がこの世界に来たのは、ミラーワールドを閉じるためだけではありません」

 

「え、それは何なんでしょう!?」

 

「待ちなさい、メモは取らないで。ここでの話は極秘だと言ったはずですよ?」

 

「ああ、すみません……」

 

いつもの癖で手帳を取り出していた青葉は慌てて引っ込めた。

 

「続けましょう。お二人は、タイム・パラドックスという言葉を知っていますか?」

 

初めて聞く横文字の言葉に青葉は首を傾げる。

 

「さぁ……すみません、青葉にはちょっと」

 

「あ、知ってます!タイムトラベルの映画で博士が言ってました!

それのせいで宇宙全体が吹っ飛ぶって!あのタイムマシンかっこよかったなぁ。

ドアが翼みたいに上に開いて……」

 

「その通り。本来私達が生きているのは2002年。

この艦これの世界が存在しているのは2013年。

これが何を意味しているかわかりますか?」

 

やっぱり訳がわからない青葉。手を上げて質問をする。

 

「あのう、青葉にはタイムなんとかの時点でわからないんですけど……」

 

香川は面倒がらずに青葉に説明を始めた。

 

「タイム・パラドックスとは、

自由な時間移動が可能であるという仮定の上で起こりうる矛盾のことです。

物騒な例えになりますが、仮に、自分が生まれる前の時間に遡り、

生みの親を殺す。そうするとどうなるでしょう。

今、存在している自分は一体誰から生まれたのか。

そういう疑問、それが、タイム・パラドックスです。

 

宇宙には因果律というものがあります。

簡単に言えば、文字通り原因と結果はひとつであるという理です。

ですが、今挙げた例のように、タイム・パラドックスによって

原因と結果の不一致が起こると、佐野君が言った

宇宙を巻き込む崩壊が起こる可能性がゼロではない。

 

とは言え、宇宙には事象の修復力があり、人間一人の生まれ方のズレなど

様々な要素で辻褄を合わせて修復してしまう。宇宙崩壊の危険性などほぼゼロです。

……しかし、ゼロではない。ゼロでなくてはいけないのです。

ゼロコンマ以下に果てしない数のゼロを連ねてようやく1を書いたような確率でも、

決して存在してはいけない。

何かの間違いで一度起こってしまえばそれまでなのですから。

 

だから、我々がここに来たのは、ミラーワールド封印だけでなく、

この未来のゲームと2002年の世界の繋がりを断ち切るためでもあるのです」

 

丁寧な香川の説明のおかげで、長くなった話もすんなり飲み込めた青葉。

まさか、自分達が生きる世界が、ただそこにあるだけで危険なものだったなんて……

 

「な、るほど。その、時間的矛盾で生じる宇宙崩壊を防ぐために必要なのがやっぱり、

コアミラー?」

 

「……の、破壊です。理解が早くて助かりますよ。あまり時間がありません。

2013年を迎えた時、存在するはずのない2002年当時のプレイヤーデータが見つかれば、

タイム・パラドックスの引き金になり得ます。

しかし、その肝心なものの手がかりがどうしても見つからない。困ったものです……」

 

香川はソファに背を預け、深く息をつく。

また執務室に沈黙が降りるが、その時、佐野が手を上げた。

東條があまり期待せずに聞いてみた。

 

「何?」

 

「あの、コアミラーはのことは全然わかんないんですけど、

まずこの人達味方に付けませんか?」

 

佐野はテーブルに広げてあった円グラフを手に取った。

そして、“そうは思わない”の辺りを指差す。彼の意図がわからない香川が尋ねる。

 

「味方にする、とは?鎮守府の艦娘全員に我々の思想を説いても、

提督権限で自我を奪う以上に時間がかかりますよ?」

 

「違うんですよ!実は俺の契約モンスター、ちょっと変わってまして……」

 

「と、言いますと?」

 

「大きな声じゃ言えないんですけど……」

 

4人とも身を乗り出して佐野の話に耳を貸す。

それは突拍子もないものだったが、確かにある程度の効果が見込めるものだった。

そして、日時と段取りを話し合った。4人だけの内緒話。

東條にとっては、初めての経験。目の前に青葉、佐野、香川の顔が。

まるで子供達が宝物を入れたブリキ缶を埋めて秘密のタイムカプセルを作るように、

英雄への憧れで凝り固まった東條の心に、暖かいものが染み入るような気がした。

 

「……つまりは、自作自演をしろと?」

 

「ま、まぁ、そういう表現もあります。

でも、そんなに悪いことばかりじゃないと思うんです!誰も傷つけるわけじゃないし、

艦娘のみんなに先生方の理論が正しいとわかってもらうための……

そう、これは実践的講義っていうやつなんです!多分!」

 

「物は言いようですね……」

 

呆れて物が言えない、という様子の青葉。

 

「でも、面白そう。

先生の思想を伝えるのに、危機感を利用するのはいいアイデアだと思う」

 

意外にも東條が提案に乗ってきた。

 

「英雄とは程遠い所業ですが……手段を選んでいられないのは話した通りです。

わかりました、決行しましょう」

 

香川の決定で佐野の提案が採用された。4人はもう一度日時、段取りを確認し、解散。

香川を除く3人がぞろぞろと執務室から退室した。

計画が決まると、佐野はさっさと本館から出て行ったが、

青葉と東條はなんとなく一緒に歩いていた。

青葉は何か話したいと思うのだが、なかなかその何かが出てこない。

 

「君も、英雄を目指す気になったのかな」

 

言葉が見つからない青葉より先に東條が口を開いた。先日怒らせてしまったのに、

どこか態度が軟化しているような気がする。若干明るい口調で話しかけてきた。

 

「え?」

 

「あのグラフ。今の状況を変えたいと思ったから作ったんでしょ?」

 

「確かに……状況を変えたいと言えば、そうなります」

 

「もっと堂々とすればいい。確かに先生に追いつくにはとてつもない努力が必要だけど、

英雄を夢見ることはいいことだよ。実際僕もそうだしね」

 

どうしよう、聞きたいこと、言いたいことはたくさんあるのに、

せっかくの彼の機嫌を損ねて、また険悪な雰囲気になりたくもありません。……ここは。

 

青葉は東條の手をそっと握って顔に近づけた。思いがけない行動に思わず目を見開く。

 

「司令官。もう、英雄以外の幸せだの、誰かの愛情だの言いません。

でも、これだけは聞いてください。この繋いだ手を失いたくない。

青葉はそう思っています。それだけです。……それじゃあ、当日。頑張りましょう」

 

静かに手を放し、青葉は去っていった。階段の踊り場で、東條は一人言葉を失っていた。

自分の手を見つめる。気づくとその手は震えていた。

今日、初めて経験した仲間意識らしきもの、皆と過ごした秘密の時間、

その手に残る温もり。それらが東條の脳裏を駆け巡り、彼の心が、

 

 

軋んだ。

 

 

 

 

 

その頃、佐野は桟橋で待っていた叢雲に手を振っていた。全力でこちらに走ってくる。

 

「どれだけ待ったと思ってるの!すぐ帰ってくるって言ったじゃない!

もう待ちくたびれちゃった!」

 

「ごめんごめん!予想以上に商談がうまく行ってさ。色々詰めてて時間かかっちゃった」

 

「色々?この私を待たせなきゃいけないほど何話してたのよ」

 

「ああ、そのことなんだけどさ、伝えたいことがあって……」

 

「何よ改まって」

 

そして、佐野は作戦の第一段階を実行した。

 

「提督命令。

“この前見た俺の契約モンスターのことは忘れて。この命令があったこと自体も”」

 

「……わかった」

 

すると、叢雲の頭脳から、ゲルニュートが現れた日、インペラーが使役していた

ギガゼールの記憶が完全に消去された。この削除命令を含めて。

ほんの一瞬だけ意識を失う叢雲。

 

「はっ、あれ?私、何してたのかしら」

 

「ごめーん、待たせ過ぎちゃって。ちょっと居眠りしてただけだよ。

それじゃあ、俺達の鎮守府に戻ろうよ」

 

「う、うん。わかった」

 

叢雲は奇妙な違和感を覚えつつ、舵を握った。なんだったのかしら、今の。

居眠りした割には全然時間が経ってない。

ああもう、きっとこの変な司令官にあちこち連れ回されたから、

感覚が変になってるのね。今日は早めに休むことにしましょう。

 

 

 

 

 

──東條鎮守府

 

 

2日後、本館前広場。

遊歩道の脇にたくさんの庭木が植えられ、主張しすぎない大きさの庭石が

適度な間隔で配置され、大きな噴水付きの池がある。

 

そんな広場で大勢の艦娘達がベンチでお弁当を広げたり、お喋りしながら歩いたり、

思い思いに過ごしていた。ここに、先日何事かを計画した4人が集合していた。

と言っても、全員が固まって行動しているわけではない。

 

佐野は噴水から離れたベンチに座り、

青葉は遊歩道で草花を撮影している、ふりをしていた。

香川と東條は噴水近くで立ち話をしていた。傍目には至って平和な光景だったろう。

 

その時までは。

突然香川達の耳に金属が反響する音が響く。ミラーモンスターが接近している合図だ。

その場で香川は大声を上げる。

 

「皆さん逃げてください!ミラーモンスターです!水辺やガラスには近づかないで!」

 

同時に、噴水の水面や本館の窓ガラスから、無数のガゼル型ミラーモンスターが現れる。

槍を持つもの、羊のような角を持つもの、尖った角が刃物となっているもの、

多種多様なミラーモンスターの軍勢が飛び出してきた。

絹を裂くような悲鳴があちこちで響く。逃げ惑う艦娘達。

 

「戦おうとしないでね……!ミラーワールドに引きずり込まれたら、

艦娘でも一瞬で蒸発しちゃうから」

「ええっ!?みんなこっちよ、急いで!」

 

砲を構えていた軽巡の一人が攻撃を諦め、

小さな駆逐艦を連れて、反射物のない倉庫の影に避難していった。

 

「東條君、そろそろいいでしょう」

 

「はい、先生」

 

香川は池の水面にデッキをかざす。水面の像と現実世界の香川の腰にベルトが現れると、

カードデッキを空高く放り投げた。そして半歩前に出ると、

 

「変身!!」

 

落ちてきたデッキを左手でキャッチすると、流れるような動きでバックルに装填。

すると香川に縦回転するライダーの像が折り重なり、

擬似ライダー、オルタナティブ・ゼロに変身した。

全体が無骨な黒で統一された、コオロギをモチーフにしたデザイン。

 

続いて、東條も変身の準備に入る。デッキをかざしてベルトを具現化させると、

顔の前で両腕をクロスし、その両腕を脇に構える。左腕の手の甲を右前に突き出し、

右手を左腕の下からデッキを紋章が見えるように突き出す。左腕をサッとひっくり返し、

 

「変身!」

 

右手のデッキをスライドして装填。その後、右腕をそのまま腰に置く。

ゆっくりと手のひらを自分に向けながら左手で拳を作ると、

左手の動きに合わせて三方向から現れるライダーの像に包まれ、

仮面ライダータイガに変身した。

 

二人のライダーはミラーモンスターの軍勢に突っ込んでいった。

まだ多くの駆逐艦達が取り残されている。

どのモンスターもわざと攻撃を外したり、威嚇するだけで被害は全くないのだが。

 

「はあっ!」

 

オルタナティブ・ゼロが駆逐艦を追いかけていた羊型モンスターに殴り掛かる。

手加減したパンチが命中し、羊型は仰向けに倒れ込んだ。

すかさずカードをドロー。左腕のスラッシュバイザーでスキャン。

 

《SWORD VENT》

 

スラッシュダガーを召喚したオルタナティブは、駆逐艦が逃げていくのを確認すると、

次のモンスターへ向けて走っていった。

 

その頃、タイガも“STRIKE VENT”でデストクローを装備。

巨大な鉤爪を装備した両腕でモンスターの軍勢と戦うふりをしていた。

両腕の武器を活かし、複数体のモンスターと同時に戦い、

時折加減の効いた一撃を受け、大げさに吹っ飛ばされる。

 

傍目には、二人のライダーが圧倒的な数のミラーモンスター相手に、

壮絶な死闘を繰り広げているように見えただろう。

 

 

「みんな、噴水から離れて!……艤装さえあれば!」

「由良さん、たすけてー」

「怖いよー!」

「怪物がこっちにくるわ!」

 

 

その時、戦場の真っ只中に取り残され、駆逐艦達を守っていた軽巡・由良が、

あるものを見て驚愕する。

視線の先で、ベンチに座っていた佐野が、槍を持ったモンスターに襲われているのだ。

必死に棒で追い払おうとしているが、二人のライダーは気づいていない。

とっさに近くにいたタイガに叫ぶ。

 

「提督さん!向こうに人が取り残されています!助けてあげてください!」

 

“助けてくれー!カードデッキを忘れてきちゃったんだよ!”

 

「だめだ、君達を置いていけない。逃げ道を作るからその娘達を連れて逃げて!

……たあっ!はあっ!」

 

タイガはまた両腕のデストクローで2体同時に攻撃。思い切り手加減して。

2体とも後ろに殴り飛ばされた、というより自分でジャンプした。

 

「ほら、今のうちに逃げて!」

 

「あの人を見捨てるんですか!?」

 

「彼1人を助けに行ったら、君達全員がモンスターの餌食になる。

なら……僕は君達を助ける」

 

「そんな!」

 

「東條君の言うとおりですよ。彼も仮面ライダー。

どこかで命を落とす覚悟はできていたはずです」

 

いつの間にか合流したオルタナティブも皆に逃げるよう促す。

 

「さあ、早く!まだ敵は大勢います!その娘達を犠牲にしてもいいのですか!?」

 

「……っ!ごめんなさい!みんな、走って!」

 

由良は駆逐艦達を連れて倉庫の影へ駆け出した。もういいでしょう。

オルタナティブとタイガは一瞬顔を見合わせる。

オルタナティブがスラッシュダガーの先端を宙に向けると、

青白い炎が激しい勢いで発射され、モンスターたちが怯えて噴水の水面に逃げ込んだ。

そして、佐野を襲うふりをしていたモンスターはタイガに背後から軽い蹴りを食らい、

大げさに転び、一目散に逃げ出して、本館のガラス窓に飛び込んだ。

 

「大丈夫?」

 

「ありがとう、助かったよ!」

 

パシャッ、パシャッ……

 

そして、青葉はというと、茂みに隠れて戦いの一部始終をカメラに収めていた。

う~ん……やっぱりこんなの良くないとは思うんですが、

仲間になると言った以上やらないわけには行きませんし、

コアミラー発見への第一歩には代えられません。戦闘という名の茶番が終わると、

広場に平穏が戻り、避難していた艦娘達がぞろぞろと集まってきた。

そして、ミラーモンスターがいなくなったとわかると歓声を上げた。

変身を解いた二人に皆が集まり、口々に彼らの活躍を称える。

だが、彼女たちをかき分け、一人の艦娘が東條に近づき、胸ぐらを掴んだ。

軽巡・天龍。一気にその場がしんとなる。

 

「おい!なんであいつを見殺しにした!もう少しで死ぬところだったんだぞ!」

 

「あの子達がミラーモンスターに囲まれてた。どちらが抜けても、守りきれなかった」

 

「だからってな……」

 

「その手を放しなさい。たった一人と多くの命。どちらを救うべきかは明白でしょう。

彼もライダーなら、その点は納得しているはずです」

 

「ライダーでも艦娘でも命の重さは同じだろうが!」

 

「重さが同じなら、尚更数の多い方を優先すべきです」

 

「お前ら……!」

 

「い、いいんだよ、お姉さん」

 

息も絶え絶えと言った様子を演じながら佐野が近寄ってきた。

 

「元はと言えば、デッキを忘れた俺が悪いんだし、香川先生達の言うことは正しいよ」

 

「お前、それでいいのかよ!こいつらはお前の命を秤にかけて……」

 

「俺も、先生の立場ならそうしてた。多くを守るためにひとつを犠牲に。ね?先生」

 

「くそっ、どいつもこいつも!」

 

天龍は東條を放すと肩を怒らせて去っていった。

すっかり浮かれた気分が落ち込み、皆、小さく礼を述べて三々五々散っていった。

誰もいなくなったことを確かめ、東條が佐野に尋ねる。

 

「本当にこんなの効果あるの?さっきみたいな石頭がまだいるみたいだけど」

 

「大丈夫ですって。他のみんなは大喝采だったじゃないですか!

まさに、お二人とも英雄でしたよ!」

 

「ならいいんですがね。さて、いつまでも固まっていては怪しまれます。

別々の方向に帰りましょう……青葉さん、お疲れ様でした」

 

香川が声をかけると、茂みの中から返事が返ってきた。

 

「いーえー、

後は今回の事件を通して先生の主張を大々的にアピールすればいいんですよね。

お任せください!」

 

青葉の返答で、悪巧みを完遂した4人はそれぞれの家路に着いた。

 

 

 

 

 

──青葉の自室

 

 

……さて、そうは言ったものの、

青葉は今から新聞記者として到底許されないことをしようとしています。事実の捏造。

もう記者を名乗ることはできないんでしょうね。

せめて、司令官達が頑張った様子を忠実に再現するだけです。

でも、ペンを持つ手がなかなか進みません。

いつもは湧いて出るような文章がちっとも思い浮かびません。

青葉は一晩かけてやっと一面の記事を書き上げました。気づけばもう朝です。

日が昇ると同時に布団も敷かず、畳に横になってしまいました。

 

 

 

 

 

──香川鎮守府

 

 

“二人の英雄、ミラーモンスターの軍勢を撃退!”

 

数日後の艦隊新聞にこんな見出しが踊っていた。本文の内容は以下の通り。

 

“師走某日、東條鎮守府に突如ミラーモンスターの軍勢が襲撃をかけてきた。

怪物は広場にいた艦娘達に襲いかかり、死者が出るのは時間の問題と思われた。

しかし、偶然居合わせた師弟関係にあるライダー二人

(1名は疑似ライダーだが便宜上ライダーとする)が、

圧倒的戦力差をものともせず立ち上がり、逃げ遅れた艦娘を救出すべく、

モンスター達に戦いを挑んだのだ。

 

二人のライダーは背水の陣で猛攻を仕掛け、敵軍の攻撃を押し返し、

見事艦娘達の防衛に成功した。ただ、ここでお伝えしなければならないことが一点。

ライダー達は艦娘を守りつつ戦っていたが、

その際、離れた場所にいた男性1名の救助に向かうことはなかった。

 

読者の方には、この対応を冷酷だと批判する方もいるかもしれない。

しかし、モンスターの群れに囲まれていたのは約5名の駆逐艦達。

二人のうち片方が男性の元へ向かっていれば、確実に誰かが命を落としていただろう。

実際彼らも、後に”二人で彼女たちを守るのが精一杯だった“と語っている。

幸い、男性を襲っていたミラーモンスターは、

劣勢になり逃げだした仲間達に追随して逃走し、事なきを得た。

 

ここで記者は問いたい。

彼らは、常日頃より”多くを救うためにひとつを犠牲にする勇気“を説いている。

今回がまさにそのケースに当てはまるのではないだろうか。

もし、ライダーが感情に任せて男性を助けに行っていたら、

多くの死者が出ていたのは間違いない。

もちろん彼らも両方を助けに行きたかったのは言うまでもないが、現実は時に残酷だ。

このような非情な選択を迫る場合が往々にしてある。

その時、感情に流されず、合理的な判断を下すことが彼らのモットーである

”英雄的行為“なのではないだろうか”

 

本文は以上である。後は、オルタナティブ・ゼロとタイガが、

敵に囲まれ窮地に陥っている(ように見える)写真や、

佐野が今にも襲われようとしている(感じの)写真が多数掲載されていた。

 

「どうですか、こんなもんで……?」

 

執務室で例のメンバー4人が集まり、記事を読んでいた。

青葉が、特に香川の反応を不安げに見守る。

 

「すっげえ!本当に俺が殺されてるように見える!」

 

「佐野君、声が大きいよ……でも、これならみんな先生の正しさをわかってくれるかも」

 

「ふむ。実例を肌で感じ、さらに活字という形で読んで学ぶ。確かに効果は高そうです。

二人共、ありがとうございます」

 

ちっともありがたそうでない無表情で礼を述べる香川。

 

「ははっ……恐縮です」

 

「こちらこそ!さっそく俺のモンスターが役に立ってよかったです!」

 

「そうそう、佐野君は後で銀行口座を書いておいてください。

報酬の振込に必要ですので」

 

「は……はい!今すぐにでも!」

 

眼に¥マークが浮かびそうなほど金銭欲を丸出しにして喜ぶ。

 

「いえ、後で結構。それより青葉君、その後の艦娘達の反応は?」

 

「こちらです。

前回と同じくライダー鎮守府の“青葉”にアンケートを取ってもらいました。

ここでの話を知っているのは今喋ってる青葉だけですけど……」

 

「見せてください」

 

香川は青葉が手渡した資料を全員が見えるようにテーブルに広げた。

 

 

 

○アンケート “第二回・究極の二者択一について” (対象者298名:艦種問わず)

 

問1.多くを助けるためなら、大切なひとり(自分含む)を犠牲にしても構わない

 

そう思う:17.2 %

どちらかと言えばそう思う:36.7 %

そうは思わない:22.8 %

どちらかと言えば思わない:20.2 %

無回答:3.1 %

 

>自由回答欄

・あの事件で少し考え方が変わった。今でも誰かを生贄にしたいとは思わないが、

自分の力が及ばない事は実際にある。

その時、誰を選ぶのか、苦しい選択を想像し、慣れておく必要があると思った。

 

・軍に属する者である以上、私情を捨てなければならない時もあることを思い出した。

 

・実際現場で助けられた者です。

彼らは熾烈な戦いの中で、本当に辛い決断を強いられていました。

多くを助けるための一つの犠牲。確かに思うところのある論理ですが、

多くの駆逐艦達がそれに助けられたのも事実です。

 

問2.大切なひとり(自分含む)を救うためなら、多くを犠牲にしても構わない

 

はい:28.3 %

いいえ:65.2 %

無回答:6.5 %

 

>自由回答欄

・“多くを”、がどこまでの範囲を指すかにもよるが、

少なくとも自分一人のために仲間達を身代わりにすることはありえない。

 

・艦娘の使命を忘れてはならない。

多くの命より自分の都合を優先することは許されない。

 

・ずいぶん考えたけど、私の大切な人は、

みんなを犠牲に助けてもらって喜ぶような人じゃなかったヨ。

 

 

 

「……先生!」

 

東條が嬉しそうに香川に呼びかける。

 

「問1の“そう思う”と“どちらかと言えばそう思う”が過半数を超えましたね。

また、問2では“いいえ”が圧倒的多数を占めています。

前回の調査結果とはまるで違います。

まだ問1の“思わない”等が半数近くに上っているのが気になりますが、

良心の呵責がくすぶっているのでしょう。気にかけるほどの数値ではありません。

明らかに我々の論理の賛同者が上回っています。これも二人のおかげです。

青葉君、佐野君、よくやってくれました。

これで我々もコアミラー捜索を安心して行うことができます」

 

「いえ、私は……」

 

青葉は浮かない表情で曖昧な返事をし、

 

「とんでもない!俺はもう先生と契約したんですし、当然っすよ!

あと、できれば感謝の気持ちは、少しばかり形にしていただけると……」

 

佐野はいつも通りだった。

 

「安心なさい。そう悪くない金額を振り込んでおきますよ。

……それはそうと、青葉君。君への報酬についてまだ何も決めていませんでしたね」

 

「え、報酬!?あの、青葉は、別に、そんな……」

 

「遠慮せずに。あいにくこの世界の貨幣は都合が付きませんが、

最新式装備の提供、優先的な近代化改修などが可能です。これでもゲームは得意なので」

 

どうしよう。ここで報酬なんか受け取ったら、

青葉、新聞記者だけでなく、艦娘としても失格です。ええと、そうだ!

 

「あの!青葉を香川提督と司令官の専属記者にしてほしいです!

お二人のスクープは青葉だけのもの、ということで、どうでしょうか……」

 

「それでいいのですか?

まぁ、新聞記者にとっては情報が最も価値を持つものなのかもしれませんね。

わかりました。今後我々は君の取材しか受けないことにしましょう」

 

「ありがとう、ございます……」

 

「よかったですね、青葉さん!」

 

しかし、やはり青葉の心は沈んだままだった。

そんなことは知らない香川は、話を進める。

 

「次の段階へ移行しましょう。とは言え、やることと言えば聞き取り調査です。

コアミラーに繋がる情報ならどんな小さなことでも構いません。

青葉君の情報網を活かしてサーバー内で不審な物を目撃した者を探してみてください。

我々はミラーワールドシステムを利用して情報の流れを探ってみます。

不自然にアクセスが多いポイントがあればそこが怪しい」

 

「先生、俺はどうすれば?」

 

仕事を求めて佐野が発言する。

 

「そうですね……とりあえず、ミラーモンスターが現れたら倒しておいてください。

その際、念のため出現した日時を記録しておいてください」

 

「わかりました!」

 

「それでは、今日の所は解散です。皆さん、ご苦労様でした」

 

「お疲れ様でした!お先に失礼します!」

 

何を急いでいるのか、今日も佐野はさっさと出ていってしまった。

 

「では、青葉もこれで……」

 

「送るよ」

 

「えっ?」

 

意外な言葉だった。東條が立ち上がり、ドアを開けた。

青葉は驚きで何も言えず、ただ艤装を身に着けた。

そして、1階ホールへの階段を下りながら、また彼の方から話しかけてきた。

 

「君のおかげで、先生の考えが正しく伝わった。ありがとう」

 

ありがとう。ほんの1週間前の東條からは想像もできない言葉だった。

 

「いえ、私はただ……」

 

「君となら一緒に英雄を目指せる気がする。だって僕らは……」

 

そこで言葉に詰まる。ずっと彼に縁のなかった言葉が続くはずなのだが、

それが出てこない。

 

「……そう、共犯者、だから」

 

「ああ……共犯者。そ、そうですよね!

約束通り、これからはどんどん司令官や香川提督を密着取材しますから!」

 

「僕でよかったらなんでも聞いてよ」

 

微かに微笑みすら浮かべて答える東條。

 

……司令官、ずっと孤独な生き方をされてきたんですね。

普通はとっくに出てもおかしくない言葉が思いつかないなんて。

青葉達はもう、“仲間”なんですよ?……青葉、腹をくくりました。

もう新聞記者としての道を踏み外した青葉は、

ただ司令官に無償の愛の存在を知ってもらうために、

陰からメッセージを送りたいと思います。

そして、願わくば彼からも私たちに愛情を送ってもらいたい。

それが、読者を裏切った青葉にできる唯一の償いだから。

 

 


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