ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
というか、先にこっちが出来てしまったのでこちらを先に出します
てなわけで久方ぶりの日常回、でもってタイトルの通り、カレーです
なお、明さんの作るカレーについては、原作者葵つばめさんから事前にお伺いしてました
それと今回、ついに大家さん登場です(ほんとにやっとだよ)
まぁ、どなたなのかは皆さん予想ついてるとは思いますが
それから四月一日たちに絡んでもう一人、新キャラ出してます
誰になるかはお楽しみに
ただし、白黒饅頭ではありませんのであしからず
ちなみに、今回、菖が作ったカレーですが、実際に作って食べてもらったら"いける"とのことでした
参考までに
では本編どうぞ
その日、明堂学園高等部の仲良し組とつぼみとえりかは君尋が住んでいるアパートを経営する大家の屋敷に勢ぞろいしていた。
その理由は、アパートの大家さんにあった。
その大家さん、君尋の話では普段はぐうたらなくせにグルメなうえ、毎日違うメニューでないと飽きて文句を言いだすのだそうだ。
もっとも、三食作ることと掃除洗濯などの家事を全部代行することを条件に家賃を無料にしてもらっているため、文句は言えないらしい。
それはともかく。
今回、その大家さんからカレーが食べたいという指令が飛んできたのだ。
が、君尋が作ったカレーだけじゃなく、明たち君尋の友人が作ったカレーも食べてみたい、という要求があったのだとか。
「で、俺たちを緊急招集した、と」
「あぁ……特に小狼と菖と明なら、普段食べれないカレーも食べれるだろうとか言ってきてな……」
「な、なるほど……」
「まぁ、俺はともかく、菖と明なら確かに変わり種も食べれるんじゃないか?」
小狼は苦笑を浮かべながら、材料を刻んでいる菖と明の背中に視線を向けた。
実際、明は家庭料理はもとより、フルコース料理からスイーツに至るまで、三ツ星シェフ顔負けの料理を作ることができるし、菖はインドの遺跡探検に行った折に現地発掘メンバーから本場のカレーの作り方を教わっている。
日本ではまずめったに食べることが出来ないカレーがずらりと並ぶことは明白だった。
ちなみに、ゆりとつぼみは菖、さくらは小狼、来海姉妹は明の手伝いをそれぞれ行っている。
その一方で、ひまわりと静は大家さんと談笑しながらカレーが作られている音を楽しんでいた。
大家とひまわりはともかく、静は絶対つまみ食いするから手伝わなくていい、むしろ台所に入ってくるな、と君尋から厳命された結果である。
なお、大家が住んでいる家は武家屋敷のような日本家屋であり、キッチンはかなり広いため、こうして何名かが並んで料理をしていてもまったく気にならないようになっていた。
なぜこんな造りにしたのかは、いまだに謎らしい。
「君尋くん、これでどうかな?」
「うん、大丈夫。それじゃ
「うん」
包丁の軽やかな音と材料が刻まれる音と一緒に、君尋と隣にいる小学生くらいの少女の穏やかな会話が聞こえてきた。
ちなみに持たせているのは、刃が硬化プラスチックになっているもので、いわゆる「怪我をしない子供用包丁」である。
ある程度、家事ができるようになったほうがいい、という判断と、怪我をさせないように、という大家さんと君尋の配慮のようだ。
「小羽ちゃん、だいぶ笑うようになったみたいだな」
「えぇ。最初に会った時はものすごく暗かったのにね」
「これが明だったらこうはならなかったな、絶対」
「それは言えてるかもしれないっしゅ!」
「え、えりか、ちょっと言い過ぎなのでは……」
「おいおい、ひでぇこというな、えりか。てかつぼみ、お前ぇは否定してくれないのかよ?」
「いやぁ……こればかりはわたしも否定できないなぁ……」
「……泣けるぜ……」
その様子を横目に見ながら、菖と明、ゆりとえりか、ももかはそんなことを口にしていた。
君尋の隣で作業を手伝っている少女、
むろん、警察には伝えてあるし、小羽自身も施設よりも君尋のところがいいとはっきり伝えたため、君尋が住むアパートの大家さんとも話しをして、大家さんと住むことにしたのだ。
ちなみに、迷わず君尋のアパートを選んだ理由は。
「君尋くんは友達だし、
だった。
小羽と同じ、というのが何を意味しているのか、なんとなく察することができたのは言われた本人と菖だけだったことはいうまでもない。
そうこうしているうちに、菖のほうは完成が徐々に近づいてきていた。
「あとは、水切りした木綿豆腐を角切りしてカレーになじませれば完成だ」
「それにしても、ひき肉の代わりに水切りした木綿豆腐を使うという発想もなかなかないわね」
「ちょっとでもカロリーを減らそうと思ってな。思ったよりうまくいったみたいでよかったよかった」
ゆりが感心しながらつぶやくと、菖はほこほこ顔で返し、さいの目に切った木綿豆腐を鍋に投入した。
本来の麻婆豆腐のレシピは、長ネギ、生姜、ニンニク、ひき肉、木綿豆腐に豆板醤が基本だ。
だが、菖はひき肉の代わりに木綿豆腐をつぶし、軽く炒ったものを使っている。
理由は単純にカロリーを低く抑えるためだ。
ちなみに、隠し味がもう一つ。
「そういえば、さっき入れてたオレンジの液体は……もしかして野菜ジュースですか?」
「あぁ。豆板醬も使ってるから結構辛く仕上がるからね。リンゴを入れるのと同じ感じで野菜ジュースを入れてみたんだ……野菜が少ないからってのもあるけどね」
普通、カレーに隠し味として投入するのならば牛乳やリンゴ、はちみつ、あるいはチョコレートか醬油、コーヒーが一般的だ。
が、菖は今回、少し冒険してみるという意味合いも込めて、コップ一杯分の野菜ジュースを入れてみたのだ。
「まぁ、スパイスでごまかされるだろうし、大丈夫じゃないかな?」
「だといいんですが……あとは煮込むだけですね?」
「あぁ。つぼみもゆりも、手伝ってくれてありがとう」
にっこりと微笑みを浮かべながら、菖が手伝ってくれた二人にお礼を言うと、二人も微笑みを返してきた。
そんなピンク色な空気が流れてきているところがもう一つ。
「そうそう。うまいじゃないか、ももか」
「えっへん!わたしだって練習してるんだよ!!」
明に指導されながら、ももかはみじん切りになった玉ねぎを前に胸を張ってドヤ顔をしていた。
キュウリを厚めの輪切りにするのも一苦労であったももかにとって、みじん切りができたことは大きな進歩だった。
が、ももかよりもできる妹は。
「もも姉ぇ、みじん切りぐらいでドヤ顔しないの」
と文句を言いながら、イカを捌いていた。
野菜を切ることに関してはだいぶ上達したももかだが、さすがに魚介類を捌くのは自信がないらしい。
えりかからの指摘で珍しくうなだれると、明が慰めるように頭をなでた。
「ま、ももかはこれからだこれから」
「そ、そうだよね!これから明くんに教えてもらえばいいんだもんね!!」
「ケケケ、みっちりねっちょり教えてやっから覚悟しろな?」
意地悪な笑みを浮かべながら、明はももかにそう告げた。
やや
その様子に、えりかは呆れたと言わんばかりのため息をついてイカの胴を輪切りにしていた。
なお、小狼とさくらはそんな二つのグループが気にならないほどピンク色でほんわかな空気を漂わせていたため、まったく気付かなかったそうな。
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数分して、テーブルには君尋と小羽が作ったポークカレー、明とももか、えりかが作ったシーフードカレー、菖とゆり、つぼみが作ったマーボーカレー、そして、さくらと小狼が作ったグリーンカレーが並んでいた。
「お待たせしました、
「ふふふ、待っていたわよ、四月一日……さぁっ!冷めないうちにいただきましょう!!」
「……なんというか、ほんと、にぎやかな人だよな、郁子さん」
「にぎやか通り越して騒がしくなったりするのは困りもんだけどな」
まるで腹ペコの子供のような態度で騒ぐアパートの大家さん、壱原侑子の様子に、菖が苦笑を浮かべると、君尋はため息交じりにそう返してきた。
もっとも、その顔は呆れているというよりも幼い子供を見守る父親のような顔だったが。
「ほーら!四月一日も春川くんもはやく座りなさい!全部食べちゃうわよ~?」
「はいはい」
「今行きます」
郁子の呼び出しにより、日常生活以外にも苦労の多い二人の男子学生は友人たちが待っているテーブルにつき、カレーを堪能するのだった。
~あとがき代わりのおまけの話(スキット風)~
小羽「どうかな?君尋くん」
君尋「うん、おいしいよ。小羽ちゃん」
静「……小狼、お代わり」
小狼「あぁ、わかった」
ひまわり「このシーフードカレーおいし~♪」(>ω<♪
ももか「明くんとわたしの愛情がたっぷりこもってるからね!」(ムフー
えりか「もも姉ぇ、魚介類はあたしが切ったってこと忘れないでよね?」(-□-;
明「……野菜ジュースがはいってるな?このカレー」(-ω-
ゆり「あら、意外に敏感ね」
菖「明なら気づくと思ったけどな」
つぼみ「野菜不足を補う作戦です!」
侑子「あらあら、愛のある作戦ね~」(-▽-
さくら「……もしかして、わたしたちはいま、愛を食べてるってこと?」( □ ;
静「愛を食い物にしている、ということか?」
えりか「百目鬼さん、それはそれでどうかと思うっしゅ!」(-□-;