ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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終わった~っ!
でもって、通算180話突入~っ!!
さぁて、次は春のカーニバルかなぁ(白目


中等部と高等部で合同演劇、ですかっ??!!~ついにクライマックスですっ!!~

ルーナ姫の誘いを受けたシャルルは、ルーナ姫と共にホール中央へと進みました。

そこには、同じユリウス王子とプラナ姫が手を取り合っていました。

美しいワルツが奏でられる中、ルーナ姫とシャルル、ユリウス王子とプラナ姫は、同時に踊り始めました。

拙い身、とは言ったものの、シャルルのステップは華麗で、しっかりとルーナ姫をリードしていました。

見目麗しい美男美女、四人の美しいワルツに、周囲の人々は思わず目を奪われ、うっとりとしていました。

 

「拙いというのは、嘘ですわね?こんなにお上手だなんて」

「姫様のリードが的確なのですよ」

「うふふ♪そういうことにしておきましょう」

 

シャルルに褒められて悪い気がしなかったのか、柔らかな笑みを浮かべて、そう返しました。

ルーナ姫の微笑みの美しさに、シャルルは赤面し、思わず顔をそむけてしまいました。

その瞬間、ルーナ姫の足がシャルルの足に引っかかってしまい、バランスが崩れてしまいました。

しかし、シャルルは慌てることなく、ルーナ姫の腰に手をまわし、タンゴのような姿勢に無理やり持ち込みました。

 

「ほら、やっぱりお上手」

「……試しましたね?」

「さぁ、どうかしら?」

「悪いお姫様だ」

 

試すような笑みを浮かべたルーナ姫に、シャルルは困ったような笑みで返し、ルーナ姫を引っ張り起こしました。

一連の無駄のない動きに、周囲からは拍手の嵐が巻き起こりました。

シャルルとルーナ姫は、その拍手を受けて、恭しくお辞儀をして、その場をそそくさと立ち去っていきました。

その様子を、誰も咎める様子はありません。むしろ、ようやく場所が開いたことを喜んでいるようにすら思えました。

ちなみに、ユリウス王子とプラナ姫だけは、二人の逢引きを邪魔してはいけない、と思ったのか、そっとしておくことに決めたようでした。

 

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テラスへ出たルーナ姫とシャルルは、天高く昇っている月を、二人で並んで眺めていました。

 

「……やはり、旅に出てしまわれるのですか?」

 

不意に、ルーナ姫はシャルルに問いかけました。

その問いかけに、シャルルは沈黙を返しました。

それが肯定であることに気づかないルーナ姫ではありません。

 

「……できることなら、私もついていきたいのですが」

「危険な旅になります。それこそ、私とあなたが初めて出会ったあの日よりも、ずっと危険なこともあるでしょう……姫様は、どうかこの国の民を導き、希望となってください」

「……わかりました……ですが!」

 

ルーナ姫は、ぐいっ、とシャルルを引き寄せました。

ダンスの時は無我夢中であったためでしょうか、顔が急接近してもあまり気にしなかったシャルルの顔が赤く染まりました。

ですが、それはルーナ姫も同じらしく、耳まで赤くなり、瞳も、涙で潤んでいました。

 

「月に一度は、必ず手紙を書いてください。それと、近くに来たのならば、必ず会いに来てください」

「え……それは構いませんが」

「それから!!」

 

ルーナ姫はシャルルをさらに引き寄せて、その頬に唇を付けました。

何をされたのか、一瞬、理解ができなかったシャルルでしたが、ルーナ姫にキスされたことがわかると、首まで真っ赤になり、困惑したように悲鳴を上げました。

 

「……へっ?……えぇぇぇぇぇぇっ???!!ちょ、な、何をなさっているのですか!!王族が、まして女性がこんなことを軽々しく……」

「軽々しくなんて思っていません!!私は、相応の覚悟を持っています!」

「いや、覚悟って……一介の騎士にそんな感情、向けるものでは……」

「いいえ。あなたは一介の騎士ではなく、伝説の導師……十分、その価値はございます」

 

普通、貴族にしても王族にしても、よほどの手柄や功績がない限り、騎士に目を向けることはありません。

まして、シャルルは主も領地も持たない流浪の騎士。

普通なら、こうして王族と席を同じくすることすらあり得ません。

ですが、シャルルは導師の剣を引き抜き、導師たる資格を示しました。

導師は、引き起こす数々の奇跡と救いから、民衆に多大なる支持を受けます。

故に、王族であっても貴族であっても、導師を無視することは決してありません。

たとえ、そこに向けられている感情がどのようなものであっても。

幸いにして、ルーナ姫は導師に対して、好意的なようでした。

もっとも、その想いは、シャルルという一人の男性に向けられているものであり、導師に向けられている、というわけではないのですが。

 

「……たとえ、周囲がどれだけ反論しようとも、私は言い続けます。私は……ルーナは、あなたを、シャルルをお慕い申しております」

 

あまりに突然の告白に、シャルルの思考回路はショート寸前となっていました。

ですが、ルーナ姫はそんなシャルルに救いの手を差し伸べました。

 

「答えは、急ぎません。ですが、できることなら、あなたが出立する前に、答えを聞かせてはいただけませんでしょうか……」

 

そう言って、ルーナ姫はそそくさとその場を立ち去っていきました。

小さくなっていく背中を見送り、シャルルはテラスの手すりに身を預け、夜空を見上げて、そっとため息をつきました。

 

「……俺に、どうしろと……あぁ、いっそこの身が騎士でなければ、これほど苦しむことはなかったのだろうか……」

 

それは、シャルルの身分がルーナ姫のそれと大きく離れているがゆえの苦悩でした。

導師である以上、そんなものは気にする必要はないのですが、導師になりたて、ということもあり、そういうわけにはいきませんでした。

 

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舞踏会から数日。

ルーナ姫はあの日以降、事あるごとにシャルルを訪ね、シャルルと共に街を散策したり、森の中の花畑へ出かけたり、時には、公務の護衛としてシャルルを引き連れることもありました。

そうして同じ時を過ごすうち、シャルルもルーナ姫に対する想いが大きくなっていきました。

そして、ついにシャルルが旅に出る日がやってきました。

導師の出立、ということもあってか、王都の門の前には、多くの人々に混ざって、ユリウス王子とルーナ姫、そして、なぜ隣国の王女プラナ姫と専属侍女のチェリムの姿がありました。

 

「道中、気を付けて」

「どうもありがとう。ユリウス殿下、ルーナ姫……ところで、なぜプラナ姫が?」

「あぁ……実は、今日の昼に発表する予定だったんだが……」

「私とユリウス王子の婚姻が正式に決まったの。それで、色々なことを決めるのにこうしてここに残っているのよ」

 

青天の霹靂、とはこのことだろうか。

その時、その場にいた誰もが思いました。

ですが、民衆からはすぐに祝福の言葉が二人にむけられました。

 

「それでは、結婚式の時までには戻らなければなりませんね」

「そうしてくれ。というか、三月(みつき)に一度は戻ってきて外の様子を教えてほしい。なんせ、この間の暴動が帝国の手引きによるものだってわかったからな……警戒を厳にしなけりゃならん」

 

帝国とは、ここ数年になって勢いを増した国家で、周辺の国々を次々と平定し、世界統一を目論んでいることで有名でした。

そのため、戦争を仕掛けるように仕向けたり、各国の情報を集めるため、密偵が各地に紛れていると噂されていました。

先日の騒動も、帝国の密偵によるものだったことがわかり、いたずらに民の不安を広げないよう、ユリウス王子も気を使っているようでした。

なにより、と、ユリウス王子は意地悪な笑みを浮かべました。

 

「時々、顔を見せないと、ルーナがどこぞの馬の骨にかっさらわねかねないからな」

「お、お兄様っ??!!」

「で、殿下っ?!」

「はっはっはっ!まぁ、二人ともまんざらでもないんだろ?」

 

二人の反応に、ユリウス王子は愉快そうに笑いました。

その笑みにつられてか、民衆からも笑い声が上り。

 

「導師様、さっさと捕まえてしまえ!」

「姫様!なんだったら、一緒についていっちまいな!!」

「一国の姫と導師様の旅……いける!これはいけるわ!!」

 

などと、勝手なことを言い始めていました。

ですが、シャルルはルーナ姫から宿題を出されていたので、その提出をしなければなりません。

深く呼吸をして、シャルルは、ルーナ姫をまっすぐに見つめました。

その視線を、ルーナ姫は真剣なまなざしで受け止め、シャルルの口から紡がれる言葉を待っていました。

 

「ルーナ様。私は長い間、一つ所にとどまることのできない身です」

「えぇ」

「求める声があれば、すぐに参じなければなりません」

「わかっています」

「……そんな俺でも、構わないのですか?」

「構いません。待つことも、愛する者の甲斐性というものでしょう?」

 

最後の砦のつもりで用意していたのだろうか、その言葉をまったく気にしない、と言いたそうな顔でルーナ姫は返してきました。

そのことに、シャルルはどこかほっとしたような表情を浮かべました。

 

「次にここに……ルーナ、あなたの元へ戻った暁には、あなたを妻に迎えることができるよう、多くの人々を救ってみせます」

「……っ!!……はいっ!」

 

その宣言を聞いたルーナ姫は、花が咲いたような笑顔を向けました。

その笑顔に見送られ、導師シャルルと従者アストは旅立っていきました。

その背が見えなくなるまで、ルーナ姫は見送っていました。

 

のちに、シャルルはその宣言通り、いくつもの街や村を、悪逆非道な盗賊や領主から救い、民衆だけではなく、国や教会からも絶大な支持を受け、ルーナ姫の元へ戻ってきました。

そして、シャルルはルーナ姫を妻に迎えることを認められました。

ちなみに、プラナ姫とユリウス王子の結婚式は、世界最大の礼拝堂を持つ教会で盛大に執り行われ、その場でプラナ姫の専属侍女であるチェリムと、導師シャルルの従者アストの婚約が発表されたのだとか。

こうして、三組の夫婦は幸せに暮らすことになりましたとさ。

めでたし、めでたし。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~劇が終わって~
皆『お疲れ様~~~~~っ!!』
明「いやぁ、うまくいってよかったよかった」
ももか「うふふ♪明くんとダンスしちゃった~♪」
いつき「あぁ……ドレス、かわいかったなぁ……」
つぼみ「い、いつき??」
小狼「さくらと踊れなかったのは、ちょっと残念だったかなぁ……」
さくら「ほ、ほえぇぇぇぇぇ……」(///□///
ももか「それはそれとして……ゆり?」
ゆり「……何かしら、ももか?すっごく悪い顔してるのだけれど?」
ももか「菖くんのほっぺにキスしちゃったりしちゃったり??」(-▽-
ゆり、菖「「……(ボンッ)……っ??!!」」Σ(///□///
明「お!それは俺も聞きたいなぁ」(-▽-
ももか「でしょでしょ?」(-▽-
菖「……ゆり」
ゆり「……えぇ」
明、ももか「「……?」」
菖、ゆり「「逃げるんだ/わよ~っ!!」」
全員『なぁっ??!!』
つぼみ「……ふ、二人とも早いです……」( ゚д゚)
えりか「ゆ、ゆりさんが逃げるって、珍しいっしゅ……」
いつき「……はぁ……ドレス、可愛いなぁ……」
えりか「って、いつき?いつまでトリップしてるのよ……」(-▽-;

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