ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
まぁ、本人が人との絡みをあまり好まないのでかなり短いのですが(汗
もしかしたら本人の口から自分のことが語られる機会は……あかん、永遠に来ない気がする……
その日、菖は珍しく誰とも一緒に行動していなかった。
その理由が、これから会う約束をしている人物が人間嫌いで、自分以外の誰かを連れてくることを極端に嫌っているためだ。
――だからって、学校にも必要最低限しか来ないってのもどうかと思うけど……なんでか先生たちは黙認してるし
そんな風に心のうちで愚痴をこぼしながら、菖は友人が住んでいる、というよりも入り浸っている寂れた神社に向かっていった。
その背後に、いくつかの人影が気配を隠してついてきていることも知らず。
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「やれやれ、やっと着いた」
「遅かったな、春川」
「お前がいちいち場所変えるからだろ……で、頼まれたやつ」
神社に到着するなり、社の中から菖と同年代と思われる青年の声が聞こえてきた。
菖は社の扉を少しだけ開けて、手にしていた袋をその中に放り込んだ。
「……サンキュー」
「おう」
「……で?誰だ、そこにいる奴らは」
「へ?」
「……どこの誰だ、と聞いてんだ!春川に気づかれないようにつけてきたやつらがいるんだろ?!」
突然の怒号に、菖が目を丸くしていると、背後の鳥居の陰からゆりたちが顔をのぞかせてきた。
「……気づかんかった……」
「ごめんなさいね、菖……」
ゆりは少しばかり申し訳なさそうにして謝罪してきたが、他のメンバーはただただ苦笑を浮かべているだけだった。
だが、笑ってごまかせるほど、社の中にいる青年、桜森友護は甘くはなかった。
「用事が済んだんならさっさと帰れ。そも、ここにゃ春川しか呼んでねぇんだ。招かれざる客はお断りだ」
ぎぎぃ、ときしんだ音を立てながら社の扉が開き、その奥から菖たちと同い年の青年が姿を現した。
とはいえ、着ている服は無地の浴衣で、目の下に濃いクマを浮かばせていること。そして何より、その瞳はまるで全てのことに絶望しているかのように暗い光をたたえていることを除けば、なのだが。
「おいおい、お前、もしかしなくても不登校の桜森か?」
「なんだ、友護か。驚かすなよ」
「「「え?えっと……??」」」
「よぅ」
「……ちっ……さっさと帰ってくれ」
不機嫌そうに舌打ちをするやいなや、友護はゆっくりと社の扉を閉めて、それ以上の会話を一方的に拒絶した。
その光景を見た菖と君尋は、やれやれ、と言いたそうなため息をついていた。
その後、菖はゆりたちと共に家路についた。
その道中、事情を知らない明とももか、ひまわりによって質問攻めにされたのだが、菖はそのことごとくをはぐらかしていた。
なお、ゆりもその中に混ざって菖に事情を聞きたいと思っていたのだが、なぜか聞いてはいけないような気がして、何も聞かないことにした。
あとがき代わりのその後の話(スキット風)
~友護に抱いた印象~
明「なんつうか、読めないよな」
ももか「なんだろう?怖い感じがする、かな?」
小狼「なんというか……不思議な感じだな」
さくら「なんだろう?……すごく悲しい感じがする人、かな」
ひまわり「う~ん……なんだか、わたしと同じような……」
ゆり「そうね……自分以外の人は誰も信じないって感じの人かしら?」
君尋「なんか、色々だな」
菖「まぁ、なんだかんだ、あいつ人前に出ないからなぁ……」