ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
とはいえ、クリアカード編、地上波も最終回迎えちゃったんですがね(´・ω・`)
また一つ、今季楽しみなアニメが終わってしまった
覚えているだろうか。かつて、菖とゆり、そしてつぼみたちがシプレたち妖精にせがまれるような形で、保育園で人形劇をしたことを。
そして、その人形劇ののち、つぼみたちは保育園の手伝いをすることになったことを。
「……で、子供たちからの熱烈アンコールでもう一度、ボランティアをすることになった、と?」
「はい……申し訳ありません、菖さんもゆりさんもお忙しいというのに……」
菖の問いかけに、つぼみは本当に申し訳なさそうに答えた。
「いや、それは別に構わないけど……今度はなにを手伝うんだ?」
「そうね。それは気になるところだわ」
「はい。今度は絵本の読み聞かせなんです」
「「絵本?」」
つぼみから返ってきた答えに、菖とゆりは同時に首を傾げた。
「紙芝居じゃなく?」
「絵本なんです」
「この間のような人形劇ということもなく?」
「はい」
つぼみは二人の問いかけに頷きを返した。
だが、つぼみはさらに驚くべきことを口にした。
「それで、あの……できれば、明さんやももかさん、小狼さんたちに協力してもらいたいんですが」
まさかのその一言に、菖とゆりは目を丸くし。
「「はぁっ??!!」」
驚愕の声が上がった。
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数日後。
明たちに連絡を回し、快く協力してもらえることになり、読み聞かせに使う絵本を選び、練習する運びとなった。
ちなみに、読み聞かせに使うことになった絵本は、『手袋を買いに』と『泣いた赤鬼』の二冊である。
なのだが。
「『泣いた赤鬼』ですか?」
「何?この絵本??あたし、知らないんだけど」
「ぼくもこの絵本、読んだことないかも??」
「……なん……だと……」
中学生組に言われた菖は驚愕してしまった。
なお、小狼を除いた高校生組は知っていたらしく、菖のように声こそ出してはいないが、同じように驚いていた。
「おいおい、数ある鬼が出てくる絵本の中でもこんな優しい話はないぜ?」
「そうなのか?」
「あれ?小狼は知らなかったか」
「あぁ。香港では読んだことがなかったからな」
首をかしげる小狼に君尋が問いかけると、小狼はうなずいて返した。
すると、明がにやりと笑みを浮かべ。
「なら、小狼に知ってもらうって意味も込めて読んでみるか。頼むぜ、せんせー」
と、菖に話を振ってきた。
「せんせーいうな。というか、なんで俺なんだよ?」
「このメンツの中で一番驚いてたのがせんせーだから」
話を振られた菖が問いかけると、明はさも当たり前かのような口ぶりで反論してきた。
他のメンバーも同意見らしく、うんうん、と首を縦に振って肯定していた。
彼らの反応に、菖は最初、断ろうとしたが。
「菖……だめ?」
「菖さん、お願いします」
と、ゆりとつぼみに上目遣いでおねだりされてしまい、折れることにした。
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「『「赤鬼くん、悪者の僕と赤鬼くんが仲良くしていたら、きっと村の人達はまた君を仲間はずれにしてしまう。だから、僕はこの山から出ていきます。赤鬼くん、村のみんなとどうかいつまでも仲良くしてください。さようなら」だってぇっ?!そ、そんな青鬼くんっ!!』赤鬼は泣きました。一番仲の良かった青鬼がいなくなってしまったことに泣きました。けれど、赤鬼は青鬼との約束を守って、村人たちとずっと仲良く暮らしましたとさ」
おしまい。
菖がそう結ぶと、そっと目を閉じ、ほぅっ、と大きくため息をついた。
瞬間、ぱちぱち、と小さな拍手が響いてきた。
小さなその音は、やがて大きくなっていき、明のものだろうか、ぴー、という口笛の音色も響いてきた。
「うぅ~~~~~~っ!こ、こんな……こんな悲しいお話だったなんて~~~~っ!!」
「青鬼、あんた
「いいお話だなぁ……僕も、感動したよ!!」
「……うん、まぁ感想は人それぞれだよね……」
泣いたり感激したりと、中学生組の様々な反応に、菖を含めた高校生組は苦笑を浮かべるしかなかった。
ちなみに小狼は、いい話だったな、とありきたりな感想を口にしていたが、解散したのち、その胸に秘めた本音をさくらに暴露したらしい。
もっとも、どんな感想を抱いていたのかは、さくらが頑なに話そうとしなかったため、誰にもわからなかったのだが。
あとがき代わりの後日談
~読み聞かせを終えて(高校生組のみ)~
全員『お疲れ様~っ!』
菖「いやぁ、なんとか終わったぁ」
明「あいつら、満足そうにしてたな」
君尋「そりゃこれだけ遊んでくれる人がいればな」
ゆり「ふふふ……ももかったら、御剣くんを子供たちに取られて途中までむくれてたものね」
ももか「ちょっ?!は、恥ずかしいこと言わないでよ、ゆり!!」Σ(///□///
小狼「まぁ、それだけ明が安心できるってことなんだろうな」
静「……少し前まで、ちびっ子を見ただけで泣かれることが多かったのにな」
さくら「そうなの?」
小狼「あぁ……そういえば、今日は泣かれなかったな、一度も」
菖「ふむ……これはあれかね?」
ひまわり「あれ?」
菖「愛は人を変える」
明、さくら、ももか以外『それだ!!』
明「いや、それだ、じゃねぇよ」
ももか「愛だなんて……まぁ、その通りだけど♪」
さくら「……ほえ?」