ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

69 / 346
鬼太郎第6期第一話放送記念ということで、再びの鬼太郎コラボ回です
時々、ぽろっと出しても……大丈夫ですかね?(-▽-;


ある日の菖とつぼみ

その日、菖は一人の少年と町を歩いていた。

同行している少年は髪で片目を隠し、虎模様のちゃんちゃんこに下駄という、なんとも奇妙な格好である。

だが、菖はそんなことは気にしていない様子で少年と話をしていた。

そんな二人を呼ぶ声が背後から聞こえてきた。

「菖さん!」

「ん?おぉ、つぼみ」

振り返り、声の主を確認した菖は微笑みを浮かべた。

だが、隣の少年はつぼみとは初対面だったらしく。

「菖さん、この子は誰です?」

「あぁ、鬼太郎は初対面だったな」

首をかしげる鬼太郎に菖は、すまん、と苦笑を浮かべながら謝罪し、つぼみを紹介した。

「この間、ちらっと話したろ?社で会った不思議な人」

「あ!もしかして、その方が!!」

「そう。彼が鬼太郎……鬼太郎、この子はつぼみ。俺の後輩だ」

「よろしく、つぼみさん。僕はゲゲゲの鬼太郎です」

「花咲つぼみです!こちらこそ、よろしくお願いします!!」

鬼太郎とつぼみはにこやかな笑みを浮かべながら、互いに握手を交わした。

どうやら、仲良くなれそうだ。

そう思った菖は、ふと思い出したことがあった。

「あ、そういえば」

「うん?どうしたんです?菖さん」

「ほらこの前、おやじさんに頼まれてたもの。手に入ったから」

「あぁ、あれですか!」

「へ?」

一人だけついてこれないつぼみが首をかしげていると。

「おぉ!それはありがたい!!」

ここにいないはずの声が聞こえてきた。

いったい、この声の主はどこに。

つぼみはきょろきょろと辺りを見回していると、鬼太郎の頭に奇妙なものがあることに気づいた。

それは明らかに目玉だった。だが、その目玉には人間の手足が生えていた。

そこから導きだせる結論は一つ。

「お、お、お……」

「「ん?」」

「……あ、まずい」

「おば、けぇ……」

怖いものが苦手なつぼみは、そのままぱたりと気を失ってしまった。

もっとも、菖に支えられたおかげで地面に激突することはなかったが。

----------------------------

気を失ったつぼみが目を覚ますと、そこは知らない場所だった。

木の葉の布団に、ちゃぶ台と囲炉裏。窓にガラスははめられておらず、屋根はかやぶき。

どう見ても、普通一般の家とは思えない内装だ。

いったい、自分はどこに連れてこられてしまったのか。

そんな不安がよぎったつぼみだったが、見知った顔がすぐ近くに出てきて安堵した。

「起きたか」

「はい……あ、あの、菖さん。ここは」

「ここはわしと鬼太郎の家じゃよ、お嬢ちゃん」

「ひぃっ!!」

さきほどのこともあってなのか、目玉のおやじの声に思わず悲鳴を上げてしまった。

菖は、わかっていたことではあるが、ため息を禁じ得ないらしく。

「お前な、俺の友達のおやじさんに失礼だろ……おやじさん、すみません。こいつ、極度の怖がりなもんで」

「なに、構わんよ。むしろ、そうなるのが自然じゃからな。仕方なかろうて」

「ははは……時代が変わって、すっかり僕ら(妖怪)のことを忘れてしまっていますからね、人間たちは……」

「そうだな……」

鬼太郎の言葉に、菖は少しばかり寂しそうな顔になった。

古来、人間と妖怪(自然)は互いに折り合いをつけて生きてきた。

だが、いつからか人間は科学技術という力を手にいれ、自然や超常的存在(神秘)を追いやり、万物の長であるかのように振る舞い始めた。

そうして次第に、人間はこの星とのつながりを忘れ、先住民(妖怪)をいないものとして扱うようになってしまった。

菖の脳裏には、ほとんどの人間が忘れ去ってしまった先住民とのつながりを持ち続けているために同族(人間)から"化け物"として扱われている友人の顔が浮かんでいた。

その様子に、つぼみは思わず。

「あ、あの……ごめんなさい」

と謝罪していた。

あまりに素直に謝罪してきたためか、鬼太郎と目玉のおやじは温かな笑みを浮かべ、そこまで気にする必要はない、と言ってくれた。

「なに、お前さんは菖と同じでまだ若い。これからよりよくなっていくにはどうするか、じっくり考えるとえぇ」

「……はい!」

目玉のおやじに励まされたつぼみは、元気よくうなずいた。

この様子なら、少しずつであれば自分たちの仲間を紹介してもよさそうだ。

鬼太郎はそんな考えを抱いていた。

なお、この後すぐに鬼太郎に見送られ、菖とつぼみは無事に人間の世界(自分たちの住む場所)に戻れたことは言うまでもない。




おまけ

~目玉のおやじに頼まれていたもの~
菖「そういや、おやじさん」
おやじ「む?どうした、菖くん」
菖「忘れないうちに、これを」
おやじ「おぉ!これは!!特性ハーブのティーバックじゃな!いやぁ、ありがたい」
つぼみ「頼まれてたものって、それですか?」
菖「あぁ。おやじさんは大の風呂好きでさ。こんな体だから、茶碗に入るくらいのお湯でいいんだ」
鬼太郎「だから、時々燗酒に入ったりすることもあるんですよね?父さん」
つぼみ「お、お酒のお風呂ですか……?」
菖「想像つかないだろ?正直、俺もだ」

~鬼太郎の仲間~
???「鬼太郎~?……あら?お客さん??」
鬼太郎「やぁ、猫娘」
菖「お、久しぶり」
つぼみ「こ、こんにちは!」
猫娘「こんにちは、菖。そっちの女の子は?」
つぼみ「は、花咲つぼみです!よ、よろしくお願いします!!」
猫娘「つぼみちゃんね、初めまして。わたしは猫娘よ」
つぼみ「猫娘、さん?……もしかして、化け猫さんですか??」((( □ ;)))
菖「まぁ、そうなるかねぇ……」
猫娘「えぇっと……もしかして、つぼみちゃんって怖がり?」
菖「もしかしなくても。まぁ、悪い子じゃないから、安心してくれ」
猫娘「ま、あいつよりはましでしょうねぇ」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。