ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
ちゃんと意味があるんですねぇ……キャンディーは知ってましたけど、マシュマロが嫌いな人ってのは初耳ですな。
クッキーが砕けやすいからってんで嫌いな人ってなってたと思うんだけど……
閑話休題。
というわけで、ホワイトデー。
菖は果たしてなにを作るのか、それは見てのお楽しみ!
……あ、今回もえりかといつきは出てません(書く余裕がなかったよ
その日。
菖と明、小狼の三人は御剣家のキッチンに集合していた。
理由は、近づいている三月十四日にあった。
その日はホワイトデー。
バレンタインデーの贈り物にお返しをするという、日本人の義理堅い気質が如実に出ているイベントだ。
当然、三人もチョコをもらったため、お返しを作ろうということになったのだ。
現在、明と菖はマカロンを、小狼はキャンディーを作っていた。
「そういや、
「あぁ。定番のクッキーは、確か……「友達でいよう」だったかな」
不意に、何かを思い出したらしく、小狼はそんなことを口にすると、明がそう返してきた。
なお、一時期はクッキーと並び定番だったマシュマロは、すぐに溶けてしまうから、という理由で嫌いという意味が込められている。
もっとも、貴女の想いを包みこんで、という好意的に捉える人もいるのだが。
「じゃあ、キャンディーは」
「味が長続きするから、「好きです」ってことなんじゃないか?」
「あとは、貴女の想いを宝石に代えてって捉えるらしいぞ?」
「……色々あるんだな」
明の知識に感心しながら、小狼は砂糖水を煮詰めている鍋に視線を落とした。
なお、小狼がキャンディーを贈る相手が誰なのかすでに知っている菖と明は、相変わらずの仲の良さにニヨニヨとしながら自分の作業をしていることは言うまでもない。
「で、明のマカロンは誰に贈るものなのかな?」
「……唐突だな、おい」
「普段、からかってんだから、こんなときくらいはからかわせてもらうぜ~?」
くけけけ、と普段は絶対しない悪魔のような笑みを浮かべている菖に、明はじとっと目を向けた。
実は、明もももかからバレンタインチョコを受け取っていたのだが、そのチョコには「I'm loving you.」というメッセージが書かれていたのだ。
いつものようにからかっているのだろう、とゆりと菖は考えていたのだが、ももかから受け取った他のメンバーのチョコには一切、メッセージが書かれていなかった。
そのため、明も腹をくくることにしたらしく、特別な存在、という意味が込められているマカロンを作ることにしたようだ。
「そういうお前はどうなんだよ、せんせー」
「せんせー言うな。で、どうなんだよ、なにが?」
「……月影のことだ。まさかいつまでも逃げるつもりじゃないだろうな?」
「……腹は括るさ」
明に発破をかけられ、菖はどこか真剣なまなざしでそう返した。
そうこうしているうちに、菖と明のほうもマカロンが完成させ、準備を整えた。
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翌日、ホワイトデー本番ということもあってか、ほとんどの女子がそわそわとしていた。
その中にはつぼみとももかも混ざっていた。
もっとも、ゆりも表面上は落ち着いてみえているが、内心はかなりそわそわしているのだが。
閑話休題。
「おはよう。ゆり、つぼみ」
「えぇ、おはよう」
「お、おおおおおはようございます!!」
少し早めに出たつもりだったのだが、なぜか菖と合流してしまった二人は、できる限り平静を装って菖と挨拶を交わした。
もっとも、つぼみはいつも通り緊張してしまっているらしいが。
「……ところで菖。今日は何の日か」
「わかってる。ほれ、ゆりにはこれ……雰囲気も何も考えずに申し訳ないけど」
歩きながら、ゆりに問いかけられた菖は、カバンから紙袋と紙箱を取りだして、ゆりに手渡した。
ゆりは素直にそれを受け取ると、カバンにしまった。
それを見ていたつぼみは、自分にはないのか、と視線で問いかけてきたので、苦笑を浮かべながら、もう一つの箱と袋を取りだしてつぼみに手渡した。
「「ありがとう/ございます!!」」
菖からの贈り物、ということが純粋にうれしいのか、二人は花のような笑顔をむけて、お礼を言ってきた。
その笑顔に、菖は少しばかり照れくさそうに顔をそらしながら、どういたしまして、と返すのだった。
なお、箱の中身が二人ともマカロンであり、その意味が「貴女は特別な人」という意味だということを知っていた二人は、昼休み中、ずっと顔を真っ赤にしていたのだとか。
あとがき代わりのその後の話
~菖の贈り物はマカロンだけにあらず~
植物園にて
ゆり「ところで……この紙袋にはなにが?」
つぼみ「開けてみましょう!」
ゆり「そうね……これは」
つぼみ「ブレスレット、でしょうか?」
ゆり「みたいね……あら、何かついてる……これは」
つぼみ「宝石、でしょうか?」
菖「単なる色付きのガラスだよ」
ゆり「あら、そうなの?」
菖「あぁ……ちなみに、ゆりのはラピスラズリ、つぼみのはダイヤモンドに似たのを使ったんだよ」
つぼみ「ダイヤモンドですか」
ゆり「あら、てっきり花を使うのかと思ったけれど……うふふ、これも悪くないわね♪」
菖「……ふむ、この様子なら、気づいてないみたいだな……」
ゆり、つぼみ「「何か言った/言いました?」」
菖「いや、何も」