ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
といっても、ほとんど男子しか出てないんですが(苦笑
ちなみに、作中に出てくる料理はほとんど私がリアルで作ったことのあるものだけです。(やったことないやつなんて、無理無理(汗
その日、菖は小狼の家にいた。当然、小狼も一緒にいる。
いつもと違う風景といえば、二人の前に考古学の資料や最新研究の論文が所狭しと並べられているところだろうか。
実のところ、小狼もまた、考古学に傾倒していて、時折、菖に最新の研究結果や専攻論文について聞きに来ることがある。
そして、今日はたまたま、菖の家に小狼が来ている日だったのだ。
「ということは、ここは……」
「あぁ。以前までの研究が覆された、ということになるな」
二人してこれまでの最新研究についてのことを話していると、突然、インターホンが鳴り響いてきた。
その音を聞いた小狼は首をかしげた。
――今日は春川以外に来客はいないはずだし、さくらなら電話の一本も入れるはず……
そんなことを考えながら、小狼は玄関へと向かっていった。
「はい」
「李、邪魔するぞ~」
「邪魔する」
「むぐ~~~~~っ!!」
玄関を開けると、そこには明と静、そして簀巻きにされて担がれている君尋の姿があった。
よほど豪胆な人間でない限り、そんな光景をいきなり見せられて驚かない人間はいない。
そして、小狼はその光景を見て驚かない人間ではなかった。
「き、君尋??!!な、何があったんだ、いったい?!」
「おいおいおいおい……かなり物騒な光景だな……どうしたんだよ?」
「あぁ、さっきそこでタイムセールやっててな。思わず買いすぎちまったから、どうせならお前らと一緒に昼飯作ろうと思ってな」
小狼が君尋の簀巻き姿に驚く一方で、菖は冷静さを装ってはいたが動揺を隠しきれず、頬に冷や汗を伝わせながら、明に問いかけた。
ちなみに、このメンバーの中で一人暮らしをしているのは小狼と君尋と明の三人だ。
そのため、彼らの家事レベルはかなりの水準であり、菖も含めて、調理実習でもかなりの活躍を見せている。
「……本音は?」
「……そろそろ一人で食べるのに寂しさを感じてきた」
だが、あまりに唐突なお誘いに、菖は裏があると本能的に悟り、問いかけてみると想定していた答えが返ってきた。
君尋がな、最後に付け加えたが、本当は明も人恋しさを覚えていたのではないか、と勝手に推察した菖だったが、あえてその真意を問いただすことはしなかった。
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その後、君尋はようやく簀巻きから解放され、菖、小狼、明と一緒に厨房に立っていた。
が。
「ったく……素直に言ってくれればついてったっての……なんで簀巻きにされなきゃならん」
と、簀巻きにされたことに腹を立てて、ぐちぐちと文句をこぼしていた。
その文句を聞きながら、菖は苦笑を浮かべ、自分が担当することになった料理を作っていた。
「まぁまぁ……湾岸に沈められなかっただけまだいいじゃないか」
「……それを言うなよ、怖いから……」
「ははは……明ならやりかねないけどな」
「おいおい、そいつぁちとひどくないか?……もしもんときは否定できないがよ」
「「「いや、しろ/しようよっ!まじでやりそうで怖いよ/怖ぇって!!」」」
と、冗談を言い合いながら、四人はせっせと料理を作っていた。
数十分もすると、いくつかの料理が出来上がり、皿に盛りつけられていた。
「鮭のホイル焼きに唐揚げ、野菜炒めにジャーマンポテト……それなりに充実してきたな」
「あぁ……あとは、デザートだな」
五人の中でも随一の甘味好きの明は、ここにさらにデザートも追加するつもりらしい。
多少は我慢すればいいのに、と思いながら、そんなことを言っても止まるようなやつではないことも知っているので、誰一人として止めることはなかった。
だが、一つ問題が発生してしまった。
「……食いきれるか?これ」
「……難しいな……数日にわければいけなくもないが」
「もつかな、それまで」
「無理だろうな」
「……なら、消費する人数を増やしゃいい」
あまりの量に、思わず食べきれるかどうか心配してしまった菖たちだったが、明が機転を利かせて助っ人を呼ぶことで、その心配は解消された。
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「……で、その助っ人で呼んだのが」
「あぁ、いつもの面子ってわけだ」
「おいおい……」
「「ごちそうになりま~す♪」」
「ご相伴にあずかるわよ、菖」
「お招きありがとうね、御剣くん。小狼」
明が助っ人として呼んだのは、本当はももか一人だけだったのが、いつの間にかゆりとひまわり、さくらも混ざって結局、いつものメンバーがそろうことになった。
なお、ももかとセットでやってきそうなえりかと、えりかに引きずられてやってきそうなつぼみといつきは、今日は出かけているらしく、残念ながら欠席となった。
「……まぁ、いいさ。さ上がってくれ」
小狼は柔らかな笑みを浮かべ、少女たちを招き入れた。
出迎えていた菖たちも、彼女たちに続き、リビングへ向かっていった。
「……しかし、いつの間にか大所帯だな……」
「そうだな。だが……」
菖のつぶやきにうなずき、小狼はさくらたちの背中を見つめて、柔らかな笑みを浮かべた。
「俺は、こういうのも悪くないと思う」
「……そうだな」
小狼の答えに、菖もまた微笑み、同意した。
なんだかんだ言っても、結局、菖もこの面子でわいわいするのが好きなのだ。
悪くないと思わないはずがない。
「さてと、それじゃ俺たちも行こうぜ」
「あぁ」
小狼はうなずき、菖と一緒にリビングへと向かっていった。
あとがき代わりのその後の話(スキット風)
~食事はみんなと楽しく~
ももか「ん~~~~~~っ!!おいし~~~~~~っ!!」
さくら「ほんと、おいしいね♪」
ひまわり「うんうん♪」
ゆり「……くっ……悔しいわね、これは……これを菖も作ったって思うと、少し悔しいわね」
菖「いやいや、なんで俺限定?」
ゆり「どうせ、ホイル焼きとジャーマンポテト以外は四月一日くんか御剣くん、でなきゃ李くんが作ったんでしょ?」
明「残念。豚肉のから揚げも菖が作ったやつだぜ?」
女子『なん……だと……』
静以外の男子『いや、なんだよ、そのリアクション』
静「……どっちでもいいだろ。うまいんだから……おかわり」
君尋「お前はもう少し味わって食べろ!!」