ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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手水がない神社って困るんですよねぇ……
その理由は本編にて。
……こんど、地元の神社にお参りするときはペットボトルに水を詰めていこうかな……
あ、ちなみに今回は(というか今回()?)えりかの扱いが少しばかりひどいです
まぁ、えりかはマナーとかそういうのが出てくる話じゃ、こんなふうに扱われるのが通例なのかなぁ、と思いつつ

えりか「ちょ、作者ひどいっしゅ!!」


四人組、初詣に行く

「そういえば……まだ、初詣に行ってないっしゅ!!」

三が日が過ぎた頃、いつものメンバーでお茶会をしていたハートキャッチ組(四人組)だったが、えりかのその発言に目を丸くした。

「……そういえば」

「そ、そうでした!!」

「あら?わたしと菖はもう初詣に行ってきたわよ?」

「「「いつのまにっ??!!」」」

慌てふためく、というほどではないにしても、少しばかり焦ったような表情を浮かべたいつきとつぼみだったが、ゆりは落ち着いた様子だった。

その余裕は、自分だけ初詣を済ませていたことにあるわけなのだが、中学生組はその行動の速さに驚きを隠せないでいた。

なお、この日も菖は神社の管理という仁頼の仕事の手伝いをするため、お茶会には不参加である。

「菖のご両親が帰っているとはいえ、あんまり余裕はないみたいだったから手伝いに行ったの。その帰りに、ね」

「な、なるほど……」

「それならそうと、声をかけてくれれば」

「あたしたちも手伝いに行ったのに~」

仲間はずれにされたことに、中学生組はしごく残念そうな顔をしていたが、ゆりはそんな三人に鋭い視線を向けた。

「連れていくわけないでしょ?特にえりか」

「ちょっ??!!」

「仁頼さんの雷が真っ先に落ちるのは目に見えているわ」

その理由は言わずもがな。

自分でもわかっていることなので、えりかはこれ以上、反論することができず、むくれてテーブルに突っ伏してしまった。

その様子を見て、ゆりはそっとため息をつき。

「……ま、けれどもまったくご挨拶もなしというのはだめよね、やっぱり」

「てことはっ??!!」

「行きましょう?いまなら、菖の珍しい恰好も見れると思うし」

その一言で、つぼみたちは希望ヶ花神社へ初詣に向かうことになった。

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植物園から歩くこと数分。

四人は希望ヶ花神社に到着した。

三が日を過ぎたとはいえ、神社には参拝客がまだ少しばかり並んでいるようだった。

そんな中、参道を歩き、まっすぐに拝殿へ向かおうとしているえりかに、ゆりとつぼみは慌てた様子で止めようとした。

だが。

「こんの、ばっかもーーーーーーーーんっ!!」

境内に響き渡るほどの怒号が四人の耳を貫き、えりかだけでなく、気の小さいつぼみも身をすくませてしまった。

声がした方へ視線を向けると、そこには竹箒を手にした袴姿の菖の姿があった。

「あ、しょ、菖さん……」

「な、なんかすっごくご立腹??」

「な、なんで??!!」

「……えりか、お(めぇ)さん、(みそぎ)もしねぇまま参拝しようたぁ、いい度胸じゃねぇか」

「み、禊?」

禊とは、一般的に水垢離を行って穢れを落とす行為を指す。

だが、神社に水垢離を行うようなスペースは存在しないし、まして今の季節は冬。

自殺行為もいいところである。

「えりか、神社にお参りするときは、まず手水舎で手を洗って口ゆすいで、それから参拝しないと」

「神様に失礼だよ?」

どうやら、つぼみといつきはわかっていたようだ。

だが、現代っ子のえりかはわからないらしく。

「え?そんなに大事なこと?」

と首を傾げた。

その様子に、再び菖の怒りが燃え上がった。

「ほほぉ……えりか、お前は汚れた格好で人様の家に上がりこむのかい?」

「……しないっしゅ」

さすがにえりかでもそんな失礼なことはしない。

だが、手水舎で禊を行わないまま参拝するということは、菖が言ったことと同じことをするようなものなのだ。

そのため、参拝前には手水舎で身を清めることは参拝のマナーと言えるのである。

なお、よく間違える人がいるが、手水舎で身を清める手順は、右手で柄杓を持ち、左手、右手の順に手を洗い、左手に柄杓の水を移し、その水で口をゆすぐ。そして再び左手を洗い、柄杓の柄を洗う。

これが正しい手順だ。

もっとも、簡略化で左手を再度洗うことをしない、というものもあるのだが。

ちなみに、これを柄杓一杯分の水で行わなければならない。

「うぅ……ま、まさか菖さんがここまで厳しい人だったなんて……」

「自業自得よ」

「それと、勉強不足です!」

「いい勉強になったじゃないか」

「うぅ……」

手水舎に並び、なぜか江戸っ子口調になっていた菖に教えられた通りの手順で禊を終わらせ、つぼみたちはようやく拝殿の前に立った。

ガラガラ、と鈴を鳴らし、賽銭を投げた一同は、二度、軽くお辞儀をしてから、ぱんぱん、と二回、拍手してからもう一度、お辞儀をした。

さすがのえりかも、二礼二拍手一礼の手順はわかっていたらしい。どこか間違えていないか、がっちがちに固まってはいたことは、ご愛敬、というものだろう。

こうして、中学生組は無事に初詣を終わらせたのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~おみくじ~
えりか「みんなでおみくじ引こう!!」
いつき「うん!」
つぼみ「賛成です!!」
菖「ちなみに、引いたおみくじは持って帰っても全然問題ないからな」
中学生組「「「はーい!」」」
えりか「というわけで!」
いつき「いっせーの」
つぼみ「せっ!!」
全員『……』
つぼみ「だ、大吉です!!待ち人、すでに近くに。恋愛、想い続ければかなう……やりました!!」
いつき「わたしは小吉かぁ。ゆりさんと菖さんは?」
ゆり「わたしは吉よ」
菖「俺は末吉だ」
つぼみ「えりかは……」
えりか「……凶……」
菖「あらら」
ゆり「大凶じゃないだけ、まだいいんじゃないかしら?」
えりか「うぅ……」
菖「……まぁ、結んでいきゃいいさ」
えりか「はいっしゅ……」
菖「……しっかし、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)様もなかなかどうして……」
つぼみ「木花咲耶姫?」
菖「うちの神社の祭神。桜や山の神さまで、天照大神の孫神と婚姻された女神だよ」
いつき「女神さま、なんですか」
菖「そ……ちなみに美人とされている」
四人『へ、へぇ……』

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