ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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世の中、もう夏休みだけど、思いついたから書いてみた

てか、書いてて思ったけれど、AIに思考をゆだねるって結構怖いことじゃないかね?
自分で考えることをやめるのは、たとえ科学が発達したとしてもやっちゃいけないことのような気がするよ……


ララ、大ピンチ?!

「オヨ~~~~~~~~ッ!!!」

 

もう間もなく、夏休みという頃。

ロケットの中で、ララが悲鳴を上げていた。

 

《ララ、なぜ悲鳴を上げているのです?》

「期末試験が……期末試験がもうすぐ始まっちゃうル~~~~~~~ンッ!!」

 

ララが悲鳴を上げていた理由、それは、現在、羽衣ララとして通っている観星中学で行われる期末試験が迫っていることにあった。

ララの故郷である母星では、より効率的な生活を送るために、思考の大半をAIに委ねてしまっている。

そのため、そもそも言語体系が異なる星である地球語の科目(国語と英語)や社会科はもとより、二桁を超える計算を行うことができないため、数学や理科も中々苦労している。

ひかるやえれな、まどかの他にもクラスメイトたちの助けを借りて、どうにか平均より少し上くらいのところまで行くことはできるのだが、一学期中に学んだすべてが試されると聞いて、頭がパンクしそうになってしまったのだ。

 

だが、地球ではまだ未成年であるが、母星では成人として扱われているララは、文句を言っていたらそれこそ補習を受けることになりかねないことも、補習を回避するためにやらなければならないことはわかっっていたため、すぐに行動しようとしていた。

 

《なるほど……現状でララが期末試験で補習を受ける可能性を計算……》

「そんな計算、しなくていいルン!!と、とにかく勉強しないとルン!!」

 

AIから出てきそうになっていた、やる気がそがれそうな言葉を遮り、ララは教科書とひかるやえれな、まどかから借りた昔のノートを開き、勉強を開始した。

その努力のおかげで、ララは赤点という不名誉を回避することができていた。

ただ一つの科目を除いては。

 

「……社会科……わからないルン……」

 

地球の社会システムとララの母星の社会システムの違いからか、それとも全く知らない歴史があるからなのか、社会科だけはどうしても赤点を取ってしまっていた。

こればかりは、AIに頼んで教えてもらったほうがいいだろうか。

そう思った時だった。

 

「ララ~」

「一緒に勉強しよう!」

「お邪魔します」

 

ユニを除く、いつもの三人が声をかけてきた。

プリキュアになってから、ユニとも交流する機会は増えているのだが、彼女の自由奔放な本来の気質があってなのか、一緒に勉強する、ということはあまりない。

そもそも、いまだに普段はどこで何をしているのかをなかなか明かしてくれないのだ。

そのため、学校に通っているのかどうかもわからない。

とはいえ、いまはそれよりも大切なことがある。

 

「ルン!ひかる、えれな、まどか、ちょうどよかったルン!!」

 

まさに天からの助け、とばかりに、ララは三人に泣きついた。

 

「社会科を、社会科を教えてほしいルン!!」

 

だが、残念なことにララのこの魂の叫びは彼女たちには届かなかった。

いや、届いてはいた。届いてはいたのだが、彼女たちもララに社会科、特に歴史を教えるほどの自信がなかった。

生徒会長であり観星中学でトップの成績を修めるまどかですら、歴史は鬼門なのだ。

かといって、仲間を見捨てるようなことはしたくはない。

どうしたものか、と考えていると、まどかが一つ、妙案を思いついた。

 

「それならば、あの方にお願いしてみましょう」

「「あの方?」」

「それって、誰ルン?」

 

まどかが突然口にした、あの方、という人物が誰なのか、まったく見当がつかない三人だったが、まどかの口から出てきたその人の名前に、妙に納得できるものがあった。

その名前は、自分たちプリキュアの先輩であり、頼りになる兄貴分であった。

 

------------

 

「……で、俺を呼んだ、と?」

「そうルン!」

「「「お願いします!!」」」

 

いかにも不機嫌そうな顔で、菖は目の前で深々とお辞儀している、ユニを除いたスター☆トゥインクル組を見ていた。

ゆりや明といったトップ勢に食い込んでいる仲良し八人組の中で、菖は特に歴史と英語の成績が高く、同級生たちから教えてほしいとせがまれることが多い。

そのため、せんせー、と呼ばれるのだが、本人はそれをものすごく気に入らないでいる。

本職の教員を差し置いて、自分に聞きに来る同級生も、よく知りもしない後輩も、そこに加えて、質問されないのは自分たちが悪いというのに理不尽な嫉妬を向けてくる教師たちも、何もかもが気に入らないのだ。

 

気に入らないのだが、ひかるたちは菖にとって後輩というだけでなく、妹分でもある。

そのため、一部を除いた後輩たちと同じような態度をとることはなかった。

 

「……はぁ……わかった。ひとまず、植物園に来てくれ。どうせなら、ゆりやつぼみたちも巻き込んだほうがいいだろ」

 

断られると思っていたのだが、案外、あっさりと引き受けてくれたことに魂消(たまげ)たらしく、ひかるたちは呆然としていた。

中でも、ララが一番驚いたらしく、ぽかんとしながらも、口を開いていた。

 

「オヨ~……なんか聞いてた話と違うルン」

「……お前はどんな話を聞いていたんだよ……」

 

大体予想はできるのだが、問いかけずにはいられなかった菖は、ため息をつきながら、準備を整え、ひかるたちを引き連れて植物園の温室へとむかっていった。

ちなみに、温室ではつぼみたちハートキャッチ組以外にも、明たち(いつものメンバー)とファッション部の後輩たちが勉強していたため、そこに菖とララたちが加わり、いつもより少しにぎやかな勉強会になったのだが、その様子は割愛。




あとがき代わりのその後の話

~試験結果~
ララ「オヨ~……物凄く不安ルン……」
ひかる「あたしも……け、けど、菖さんやゆりさんたちに教わったから、きっと大丈夫!!」
ララ「大丈夫であることを祈るルン……」
(掲示板前)
ひかる「え~っと、あたしは……あ、あった!!」
ララ「どこルン?」
ひかる「三十位!!キラヤバ~ッ!最高記録だよ!!」(>▽<
ララ「オヨ~……わたしは……あ、あったルン!」
ひかる「どこどこ?!……って、十五位?!」
ララ「やったルン!ひかるに勝ったルン!!菖たちのおかげルン!!」
ひかる「……てか、教えてもらうだけで成績アップって……今思うとそれってきらやば~なんじゃ……」

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