ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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今回はpixivに掲載されてた漫画をネタに
(元ネタURLはこちら↓
https://www.pixiv.net/artworks/27939180

まぁ、こちらの世界軸では、英明氏は生きて戻ってきてるのですが、そこを気にしてはダメっすよ~?


やよい、希望ヶ花に来る

その日、やよいはゆりに呼び出され、希望ヶ花市に来ていた。

言われた住所に向かう途中、やよいは始終、びくびくしていた。

 

――わ、わたし、何かゆりさんを怒らせるようなことしちゃったかなぁ……

 

実のところ、やよいはゆりが大の苦手だ。

その理由が、『自分が変身したときの名乗りがふざけている』とこっぴどく怒られたから、というものだった。

その勢いたるや、アカオーニも慌てて逃げだすのではないかというほどで、やよいが怒られている間、同じメンバーのみゆきたちはびくびくしながら菖の背後に隠れていた。

助け舟を出してくれてもいいじゃないか、と仲間たちの薄情さに文句を言いたくなったが、その迫力を真正面から受けていたので、仕方がないことだったと受け入れているが。

 

そんなゆりに、あろうことか呼び出されてしまったのだ。

基本的にやよいは七色が丘から外に出ることはないため、横浜での一件以来、ゆりとの接点はない。

かといって、ストレス解消に誰かをいじめるようなことをする性格ではないことは、菖が説明してくれていた。

そのため、なぜ自分が呼ばれたのかまったくわからなかった。

わからないから、何をされるか不安でたまらないのだ。

だが、呼び出されるときに菖とつぼみが一緒にいることを聞いていたので、何かあればフォローしてくれるのではないかという淡い期待もあり、ひとまず、やよいはゆりに呼び出された場所へと向かっていった。

 

--------------

 

呼び出された場所、植物園に到着すると、出迎えてくれたのは菖だった。

いきなりゆりと対面しなかったことに安心したやよいだったが、これから何をされるのかわからないため、かなりびくついていた。

 

「……大丈夫か?」

「ひゃひっ??!!だ、だだだだだだ、だいだいだい、大丈夫、です」

「いや、そうは見えないんだけど……まぁ、この間のこと気にしてるなら、大丈夫だぞ?」

「……へ?」

「あいつ、あのあと『すこし言い過ぎたかしら』って落ち込んでたしな」

 

菖の口から出てきた意外な事実に、やよいの目は点になっていた。

 

「誤解してるみたいだけど、ゆりは優しいやつだぞ?つぼみほどじゃないが、植物たちの心もわかるみたいだし」

「へぇ……」

「っと、ここだな」

 

話しながら歩いていると、二人は植物園の裏手にある丘に着いた。

そこは、希望ヶ花市を一望できる高台で、隠れた穴場スポットだった。

その絶景に、やよいは目を奪われていると、少し離れたところから声をかけられた。

 

「やよいさ~ん!こっちです~!!」

 

声がした方を見ると、そこにはレジャーシートを敷き、お弁当を広げて座っているつぼみとえりか、いつき、そしてゆりの姿があった。

ゆりを見つけてしまったやよいは、一瞬、びくり、と震えたが、ゆりがまとっている雰囲気が怒っているものではないことに疑問を抱き、恐る恐る、近づいていった。

 

「よく来たわね」

「え、あ、はい……」

「この間はごめんなさいね。わたしも言い過ぎたわ」

「え?あ、い、いえ、そんな……」

 

突然のゆりの謝罪に、やよいは少し困惑した様子で返していた。

あまりに困惑してしまい、菖のほうに視線を向けると、菖はただ黙って、ゆりの隣に座るよう、手で促すだけで、何も返してくれなかった。

 

「今日はゆりさん、やよいちゃんのためにお弁当作ってきたんだよ?」

「え?そ、そうなんですか?!」

「えぇ。いつも頑張っているみたいだからね」

「あたしは頑張っても全然こんなことしてもらったことないっしゅ!」

「えりかは優しいお義兄さんにいろいろしてもらってるだろ?主にお菓子とかスイーツとか作ってもらったり、勉強教えてもらったり……」

「うっ……ま、まぁ、明義兄ぃならあんましお返しとか気にしないで甘えていいかなぁ、と……」

 

明義兄ぃとは、いわずもがな、えりかの姉ももかと絶賛熱烈恋愛中の御剣明のことだ。

やたらとイケメンでハイスペックであり、『みんな振り向くあん畜生』とまで呼ばれる男である。

ナイスガイであり、頼れる兄貴分であり、紳士である反面、戦闘狂で超がつく甘党であることが玉に瑕である。

そんな明だから、お返しなどあまり気にしなくてもいいだろうが、それでも受けた恩は何かの形で返すのが人間としての在り方だ。

今までのお返しというかお礼をしていないことに、菖もゆりも白い目を向けてきたので、えりかはひそかに、今度何かお返ししよう、と心に誓うのだった。

 

「さ、そんなことより、早く食べちゃいましょ?」

「それもそうだな」

「あ、は、はい!それじゃ、お言葉に甘えて……」

 

ゆりの言葉と、それに同意する菖の言葉に、やよいはようやくレジャーシートに座った。

その後、つぼみといつきが紙皿と割りばしを、菖がお茶を注いだ紙コップを全員に配ると、誰からとなく手を合わせて、いただきます、の大合唱となった。

やよいは、菖とつぼみの勧めでゆりが持ってきた弁当箱に入っていたおかずをもらい、恐る恐る食べてみた。

 

「…………」

「どう?」

「おいしいです!すっごくおいしいです!!」

 

ゆりの問いかけに、やよいは目をキラキラとさせながら返してきた。

返ってきたその答えに、ゆりは心なしか安堵したような表情を浮かべていた。

それに気づいた菖だったが、特には何も言わず、ゆりが持ってきたもの以外のおかずに手を伸ばすのだった。




おまけ

~数日後~
あかね「や、やよい、どないやったん?!」
なお「やよいちゃん、ゆりさんに呼ばれたって聞いただけど、何かされなかった?!」
やよい「大丈夫だよ?菖さんもいたし、ゆりお姉ちゃんも優しかったし」
あかね、なお「「よかったぁ……って、ゆり『お姉ちゃん』?!」」

--------------

菖「そーいや、この間やよいを呼んだ時、ずいぶん懐かれたな」(-▽-
ゆり「な、なによ?」(/// ///
菖「別に~?」

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