ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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次週、いよいよキュアバタフライ登場と聞いて
すでにリタイアしたカバトンが出てきてる理由ですが、ストーリーの性質上、カバトンのほうが都合がよかったので(苦笑

というわけで、バタフライは登場しませんが、一足先にプリキュアオールスターズ大集合ストーリーです
バタフライとの合流は……顔合わせスキットで行いますのでご容赦を
てわけで、本編どうぞ


プリキュア大集合! ヒーローの出番です!!

 世間が大型連休を間近に控えたある休日。

 ソラシド市にあるヨヨ邸宅の大広間に、『スカイランド』と呼ばれる異世界から迷い込んだ赤ん坊エルと、ヒーローを目指す少女ソラ。いつか大空へはばたく夢を持っている、プニバード族と呼ばれる種族の少年つばさ。

 ヨヨの孫でソラと同棲している中学生ましろ。ましろの幼馴染で最強の保育士を目指して勉強中のあげはが、連休の計画を練っていた。

 

「うーん……車を出せばもう少し遠くまでいけるし、せっかくだからソラシド市から少し離れた場所に行ってみない?」

「そういえば、ソラシド市の外にはわたしもあまり行ったことがないかも」

「わたしも、ソラシド市の外には出たことがないので、楽しみです!!」

「僕も楽しみです!」

「エーウ!」

「なら決まりだね!」

 

 満場一致で、ソラたちはソラシド市の外へ出かけることが決まった。

 さらに、どうせ連休ならばと、五人は泊りがけで横浜市のみなとみらいへと向かうことを決め、そこから旅行計画を練り始める。

 横浜という、日本でも人気の観光スポットへ向かうということもあり、ましろとあげはは異世界人であるソラとつばさ、エルの三人に特に見せたいスポットをピックアップし、宿泊する場所や予算など、次々と決めていった。

 ソラやつばさも、ましろとあげはが取り上げた場所について、ある程度の説明を聞き、実際に目で見てみることが楽しみで仕方ないという様子だ。

 そうして迎えた、横浜への旅行当日だったのが。

 

「カモン! ランボーグ!!」

 

 なぜかエルを狙うアンダーク帝国からの刺客カバトンが現れ、遊びに来ていたちびっ子が持っていた怪獣のソフビ人形を巨大なランボーグへと変えてしまった。

 

「あぁもうっ!! なんであなたがここにいるんですかっ??!!」

「プリンセス・エルのいるところ、カバトン様あり! なのネン!!」

「うっわ、なんというか……」

「完全に追っかけというか、ストーカーというか」

「もはや犯罪者ですね……」

「うっさいのネン!!」

 

 狙ったお宝は必ず盗み出す。世界で最も有名な怪盗の三代目を逮捕せんと日夜追いかける国際警察(I.C.P.O)の日本人刑事ではないが、彼女たちが現れるところに必ずといっていいほど現れる。

 その行動はもはやストーカーであり犯罪行為と言っても過言ではないのだが、本人は呼ばわりされることが気に入らないらしく。

 

「さっさとプリンセスを渡せば、ランボーグは暴れさせないでおいてやるのネン! それとも、ほかのモブキャラたちがどうなってもいいのねん?」

 

 早速、ランボーグを暴れさせようとしていた。

 いままでも未確認飛行物体(U.F.O)や列車、重機といったものをランボーグへと変えて町を攻撃してきたが、今回使用しているものは怪獣のソフビ人形。

 その元ネタとなった怪獣を模してか、それともカバトンがそれほどのエネルギーを注いでいるからか、今回のランボーグはみなとみらいのシンボルともいえる観覧車の直径と同等の大きさになっている。

 そんなサイズのものが暴れたりしたら、みなとみらいへの被害は計り知れない。

 だが、だからといってエルを渡すという選択肢は、ソラたちにはなかった。

 

「あげはちゃん、エルちゃんをお願い!」

「わかった。三人とも、気を付けてよ」

 

 ましろに言われるまでもなく、あげははエルを抱き上げ、急いでその場から離れていく。

 二人が離れていく様子を背中越しに見守り、ソラはスカートのウェストから下げているペンに手を伸ばす。

 

「みなさん!」

「えぇっ!!」

「はいっ!!」

「ヒーローの出番です!!」

 

 ソラの合図で全員がペンを取り出す。

 ペンの羽が二つに割れ、その中から光の球が出てくると、ソラたちはそれをつかむ。

 

「「「「スカイミラージュ! トーンコネクト!!」」」」

「スカイ!!」

「きらめきホップ!」

「さわやかステップ!!」

「晴れ晴れジャンプ!!!」

「無限に広がる、青い空! キュアスカイ!!」

「ふわり広がる、優しい光! キュアプリズム!!」

「天高く広がる勇気! キュアウィング!!」

「Ready……Go!!」

「「「ひろがるスカイ! プリキュア!!」」」

 

 スカイミラージュとスカイストーンが放った光の中で、ソラたちは青、白、(オレンジ)を基調としたそれぞれの衣装(コスチューム)へと変身する。

 変身が終わると同時に。

 

「あくまでも抵抗するってんなら……やっちまうのネン! ランボーグ!!」

「ランボーグっ!!」

 

 カバトンが怪獣のランボーグに命令すると、特撮に登場する怪獣のように、ランボーグは口から火球を吐き出す。

 火球は当然、スカイたちに狙いを定めていたのだが、そうやすやすと命中してやるほど、スカイたちは優しくない。

 地面を蹴って跳びあがって火球を回避すると、ウィングはそのまま上空へと舞い上がっていく。

 

「ひろがる! ウィングアタック!!」

 

 そのまま怪獣ランボーグに向かって上空から急降下し、体当たりを仕掛ける。

 だが、スカイストーンの力をもってしても体格の差を埋めることはできなかったようで、ランボーグはあまりダメージを受けていないようだ。

 

「ヒーローガール! スカイパーンチッ!!」

「ヒーローガール! プリズムショット!!」

 

 プリズムとスカイも追撃を行うが、自分たちの十倍以上ある体格のランボーグには通用していなかった。

 その様子に、カバトンは目じりに涙を受けべながら爆笑する。

 

「ダーッハハハハハ!! そんな小さな攻撃じゃ、このランボーグは倒せないのネン! さぁ、やっちまえ、ランボーグ!!」

「ランボーグ!!」

 

 ランボーグが咆哮をあげて暴れ始める。

 少し歩くだけで、少し身動きをするだけで、ランボーグは建物を、町を破壊し、人々に恐怖の悲鳴をあげさせる。

 

「諦めてプリンセスを渡せば、こいつを引っ込めてやっても……」

「まだです!」

 

 降伏勧告を行おうとするカバトンの言葉を遮り、スカイは毅然とした態度を向ける。

 スカイだけではない。

 プリズムもウィングも、まだ諦めていない。まだ戦える。

 その強い意思がこもった瞳を、ランボーグとカバトンに向けていた。

 

「どんなに絶望的でも、決して諦めない! それが――」

 

 ヒーローです!

 

 その言葉が響くと、ランボーグの足元から虹色の光の柱が上る。

 

「「デュアル・オーロラウェーブッ!!」

 

 光の柱の中から、二人の女の子の声が響く。

 突然出現したその柱にひるみ、怪獣は半歩、後ろへと下がる。

 その瞬間を狙ったのか、それともタイミングが重なっただけか。柱から爆風が巻き起こり、その中から、黒い衣装を身にまとった明るい茶髪の少女と、白い衣装を身にまとった黒髪の少女が姿を見せ。

 

「光の使者! キュアブラック!!」

「光の使者! キュアホワイト!!」

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

 ポーズを決めて、自らを『プリキュア』と名乗った。

 

「闇の力のしもべたちよ!」

「とっととおうちに、帰りなさい!!」

 

 ビシッ、とランボーグとカバトンを指さし、決め台詞を口にするが。

 

「「「な……」」」

「な……」

『なんですってーーーーーっ?!/なんだとーーーーーっ?!』

 

 おそらく、ここ数日で一番の衝撃から出た叫びにかき消された。

 

「プ、プリキュアって……」

「わたしたち以外にも……」

「いたんですか?!」

「こんなところで予想外の増援?! インチキもいい加減にしてほしいのネン!!」

 

 スカイたちからすれば自分たち以外にプリキュアがいたという事実。カバトンからすれば突然の増援。

 それぞれに違いはあるものの、その衝撃に思わず叫びをあげてしまっていた。

 だが、その声にブラックとホワイトは驚く様子もなく。

 

「まだまだ!」

「わたしたちの――スカイたちの仲間は!」

 

います/いるっしゅ/いるぞ!!

 

 上空から声が響き、カバトンとランボーグ、そしてスカイたちも上空を見上げる。

 ビルの屋上、観覧車のゴンドラの上。街灯のランプや電信柱の上に、様々の色の衣装に身を包んだ少女たちの姿がそこにはあった。

 

「な……な……なんだってんだよ、お前らぁっ!!」

 

 うろたえるカバトンに答えるように。

 

「「集合!!」」

 

 ブラックと薄桃色の髪を両サイドでお団子にしている、チアリーディングを思わせるへその出た衣装をまとう少女が号令をかける。

 その号令に合わせ。

 

『プリキュアオールスターズ!!』

 

 その場にいた少女たちが同時にそう名乗る。

 総勢七十四名。

 ひそかに迫ってくる闇の勢力から、地球を、人々を守るために戦う少女たちがいま再び、この場に集合した瞬間だった。




~おまけ~

 一方、少し離れた場所では、怪獣ランボーグの火球が燃え広がっていた。
 ある程度の知性はあっても、ランボーグは周囲の被害などお構いなしに攻撃してくる。
 そのため、周辺にも被害が出るわけだが、ランボーグで手いっぱいのプリキュアたちは対処できない――のだが。

水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)! アクリア・ユグドフォルテウェーブ!!」
「うぉらぁぁっ!!」
「はぁぁぁぁっ!!」

 不思議な文様が描かれた白い外套をまとう青年と白銀の鎧をまとった青年、そして銃士隊のようなつばの広い帽子をまとった青年が向かってくる炎に光弾や光の矢、朱色の槍を向け、破壊する。

「てか、でかいな……」
「いつぞやのフュージョンみたいだな……いや、あれよりもでかいか?」
「デリシャスフィールドで戦った方が周囲の被害は少ないんだが……ないものねだりだな」
「あぁ……けど」
「だからといって」
「俺たちに退却って選択肢はない!」

 プリキュアたちとあまり変わらない年齢の青年たちもまた、巨大な敵へと向かっていく。
 その姿を見ていたものは、残念ながらこの場にはいなかったが。

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