ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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よっしゃ200話到達!
というわけで200話目でやりたかったネタです
ぶっちゃけ、Hugっと!本編ですけども
まだまだこっから頑張りますよ~

まぁ、私の意思表明はこれくらいにして、本編どうぞ
あ、あとがき代わりはありませんのでご了承を


集合!プリキュアオールスターズ!!

イチゴ坂。

そこはいちかたち、ア・ラ・モード組が守った町であり、彼女たちの故郷である。

この日、それぞれの道を歩み、別れ別れになった彼女たちが再び集まっていた。

和気藹々と、楽しい時間を過ごすはずだったその時。

 

「ごきげんよう、プリキュアの諸君」

 

シルクハットを被り、片眼鏡(モノクル)をつけた一人の壮年の男が突如、宇宙服のようなスーツとともに出現した。

彼こそは、いちかたちの後輩プリキュアであるはなたち、Hugっと!組が戦っているクライアス社の技術顧問、Dr.トラウム。

彼は、先日、はなたちと交戦した際、あるアイデアが閃き、それを実行するためのアイテム、自称「びっくり!ドンドンメカ」を開発し、その試運転にやってきたのだ。

 

「せっかく集まったところ、申し訳ないが、君たちにはここで消えてもらうよ」

 

これ以上ないほどはっきりとした敵対宣言を受け、いちかたちは身構えた。

それが、Dr.トラウムが開発したメカと全プリキュア(プリキュアオールスターズ)の戦いの幕開けとなった。

 

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一方、こちらはわれらがハートキャッチ組が住まう希望ヶ花市。

そこにある植物園の温室では、四百年前、地球侵略を目論んで侵攻してきた砂漠の使徒と戦い、勝利した伝説の戦士たち『ハートキャッチ・プリキュア(つぼみ、えりか、いつき、ゆり)』と、彼女たちの最大の助っ人であり心の大樹を守護する騎士『ユグドセイバー()』が優雅なティータイムを楽しんでいた。

 

「にしても、ここ最近、平和っしゅねぇ~……砂漠の使徒たちとの戦いが嘘みたいっしゅ」

「いいことじゃないですか」

「わたしたちが戦っていたのは、この平和を守るためなんだから」

 

すっかりだらけているえりかに、つぼみといつきが苦言を呈した。

もっとも、親友二人からのその言葉はあまり堪えないらしく、えりかは相変わらず。にへらにへらとしていた。

 

「……ほんとにそうなら、いいんだけどな」

「あら?どういうこと??」

「平和とは、次の戦いに備えるための準備期間である……って、誰かが言ってた」

「……事実だけれど、そう考えると少しだけ不安ね」

 

中学生三人組の目の前に位置する場所に座ってた菖は、えりかの言葉を受けて、そんな反応を示した。

事実、人間の歴史は戦争の歴史である、と多くの学者が評しているように、国の内外を問わず、世界のどこかで必ず戦争が起きている。

考え方によっては、自分たちがかつて参加した砂漠の使徒との戦いもまた、侵略されるのが国ではなく、地球である、という規模の違いこそあるが、戦争であったことに間違いはない。

 

そして、菖の言葉を証明するように、最近でも幻影帝国と呼ばれる帝国が世界征服を目論み、動きを見せていた。

もっとも、こちらは後輩チームであるハピネスチャージ組の活躍でその野望は打ち砕かれたのだが。

 

「けどまぁ、もし何かあってもあたしらがいる限り大丈夫っしょ!それに、プリキュアはここにいるあたしたちだけじゃないんだしね♪」

 

お気楽なえりかは、相変わらずへらへらとした顔でそう話していた。

実際、これまで菖たちは何度となく、危険な局面に立ち会ってきた。

 

憎悪や悪意が宇宙で融合した究極の闇"ブラックホール"、友達となってくれた女の子の願いを叶えるために暴走した"フュージョン"、妖精の世界に伝わる禁断の宝珠"影水晶"、自分の子どもを寂しさから救うために暴走したバクの妖精マームが生み出した"アクム"。

そして、世界を無に帰そうとした闇の魔獣"トラウーマ"。

 

だが、それらはすべて、世界を守護する伝説の戦士"プリキュア"たちの手によって葬られてきた。

むろん、そこには菖の姿もあった。

ハートキャッチ組(自分たち)だけではとても太刀打ちできる相手ではなかった。

けれど、仲間たちがいたから、こうしてピンチを乗り越えることができたのだ。

それはたしかに間違いではない。

だが。

 

「その想いが隙を生むんだg……」

 

菖がそうつぶやいた瞬間。

植物園の、いや、希望が花市が突如、静寂に包まれた。

まるで、時間が止まってしまったかのように。

そして、それを知覚できたものは、その場には誰一人としていなかった。

 

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何が起きたのか、今どうなっているのか。

菖もゆりも、コロンたち妖精でさえもわからなかった。

意識はあるのだが、何も見えない、何も聞こえない。

それが、Dr.トラウムによる時間停止の結果であるということなど、当然、菖たちが知る由もない。

 

体が動かない……いったい、何があった……?

 

体を動かすことも、声を出すこともできないこの状況に、さすがの菖とゆりも打つ手がなく、あきらめかけたその時だった。

 

――……レ……キュ……フレ……キュア……

 

心に響く、小さな声が聞こえてきた。

 

――……フレフレ!……リキュア!……レフレ!プリ……!!

 

声はだんだん、大きくなってきた。

同時に、胸の奥に暖かい何かが、ゆっくりと広がっていく感覚があった。

菖たちはその感覚に覚えがあった。

砂漠の使徒、ブラックホール、影水晶、トラウーマ。数々の強敵との戦いの中で、絶望の淵に立たされ、諦めかけたとき、いつも、妖精たちが、友達が、そして、名も知らない多くの人々が、自分たちに声援を送ってくれていた。

 

――……そうだ、まだ……

――……まだ、終わりじゃありません!

――まだ……こんなところで

――終われるわけが、ないっしゅ!!

――わたしたちに送られてくる、この想いに応えるまで!

 

そう心に思った瞬間、菖たちの体を、柔らかい光が包み込んだ。

 

――わたしたちは!

――俺は!

 

『フレッフレッ!プリキュアーっ!!』

 

――プリキュアだから!!

――あいつらの守護騎士だから!

 

心がそう叫んだ瞬間、体を包んでいた光がはじけた。

 

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はぐたんの、いや、はぐたんだけではない。

ハリーやタルト、長老にペコリン、モフルンが一斉に、プリキュアに声援(エール)を送り続けた。

すると、その声に応えるように、トラウムが生み出したトゲパワワのドームから、光があふれだした。

 

その光の中から、ハリーがサポートしているプリキュアチーム「Hugっと!プリキュア」と、長老とペコリンがサポートしたプリキュアチーム「キラキラ!プリキュア!ア・ラ・モード」、モフルンがサポートしていたプリキュアチーム「魔法使いプリキュア」。

そして、「プリキュア5」のリーダー、キュアドリームと「フレッシュプリキュア」のリーダー、キュアピーチ。さらには、プリキュアオールスターズの原点にして頂点である三人、「ふたりはプリキュアMax Heart」チームが姿を現した。

 

だが、同時に大量のオシマイダーも出現した。

オシマイダーたちは、敵意をむき出しにしたまま、一斉にプリキュアたちの方へと走ってきた。

さすがの数の多さに、ひるみそうになったが。

 

「……大丈夫。わたしたちは、一人じゃない!!」

 

エールが身震いを抑えながら、天に向かって声を上げた。

 

「フレッフレッ!わたし!フレッフレッ!」

 

プリキュア!!

 

エールの声援が響き渡ると、上空から、いくつもの光が降り注いだ。

すると、大量にいたオシマイダーが浄化されていった。

浄化されたオシマイダーの群衆の中を見ると、おとぎ話のお姫様(プリンセス)のように、スカートの裾をつまみ、お辞儀をする四人のプリキュアがいた。

 

「冷たい時に閉ざされた夢!返していただきますわ!お覚悟は、よろしくて?」

 

花がデザインされているティアラを身につけたプリキュアが、オシマイダーにそう問いかけた。

その姿を、ミラクルとマジカル、そしてフェリーチェは知っていた。

 

「「「キュアフローラ!」」」

「わたしだけじゃないよ!」

 

フローラがそう言うと、今度は上空から凛とした声が響いてきた。

 

「ラブリービーム!!」

 

その瞬間、一筋の光線がオシマイダーたちを貫き、一掃した。

見上げればそこには、ぴかりが丘で幻影帝国と戦ったチーム「ハピネスチャージプリキュア」がいた。

いや、彼女たちだけではない。

周囲を見れば、歴代のプリキュアたちが姿を現していた。

さらには、時間を止められてしまっていたドリームの仲間たちとピーチの仲間たちも姿を見せていた。

圧巻とも言える、いや、そうとしか言いようのないその光景に、ハリーは啞然としながら。

 

「まさか、これもはぐたんが?」

「いや!これは、プリキュアみんなの奇跡や!!」

 

アスパワワと呼ばれる力を使い、数々の奇跡を起こしてきたはぐたんが何かしたのか、疑ったハリーだったが、それをタルトが否定した。

奇跡を起こすのは、はぐたんや妖精だけではない。

強い想いと覚悟があれば、誰でも奇跡は起こせる。

その奇跡を起こした女の子たち。

 

「「集合!」」

『プリキュア!オールスターズ!!』

 

総勢五十五人のプリキュアと、彼女たちと同じ力を持つ、一人の騎士がここに集結した。


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