ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
タイトルの通り、Hugっと!の未来編です
いやぁ、はなのことを「はな」と呼ばず「ママ」と呼び続けていたから、なんとなぁく、そうなんじゃないかなぁとは思ってましたけど……(-▽-;
なんというか、設定がはかどるね!(執筆ははかどらないけど!
まぁ、それはどうでもいい
本編へどうぞ
あ、ちなみにちょぉっとだけ、本作のネタバレしてます
え、ネタバレヤダ!って人はブラウザバックしてどうぞ
……まぁ、あんまり影響しないと思うけども
西暦2043年。
アカルイアス社のカリスマ社長、野々はなの愛娘、はぐみが生まれてから13年の時が経った。
はぐみは周りの人々に見守られながら、元気に健やかに成長した。
その元気のよさは、まさに13歳のはなそのものであり、家族だけでなく、はなの「友達」のみんなから、あの頃のお母さんと同じ、とよく言われていた。
だが、はぐみは基本的にお母さんもお父さんも、おじいちゃんもおばあちゃんもひいおばあちゃんも小鳥おばさんも大好きなので、むしろ喜んでいた。
そんなはぐみが、今日も元気に学校へむかっていたその時だった。
ふと、一人のコートを着た男の人とすれ違った。
はぐみはそのコートと見覚えのある髪の色に引かれ。
「……あれ?もしかして、菖おじさん?」
「……おじっ?!……って、なんだ、はぐみか。久しぶりだな」
思わず、声をかけてしまった。
するとすれ違った人物は、はぐみの「おじさん」という一言にショックを受けたような反応を示したあと、気を取り直したのか、振り返り、はぐみの顔を見ると破顔した。
おじさん、とは言われ、普段ならばかなり長い時間、不機嫌になっているところだったが、まさに姪のような存在にそれもあっさりと許していた。
「おじさん、これから仕事?」
「あぁ。これから、特別講師をすることになっててな」
ちなみに、菖は大学を卒業してからは大学院へと進み、そのまま大学教授として研究棟と講義の毎日を過ごしているが、時折、こうしてプリキュアが住んでいた町に特別講師として招かれることがある。
なお、余談であるが、菖は幻影帝国討伐に協力した時の功績が認められ、ブルースカイ王国の名誉貴族としての称号と身分を得ており、高校生の頃に好意を寄せられていたプリキュアたち全員を生涯のパートナーとして迎え入れたのだが、それはまた別の話。
「あれ?おじさんがここにいるってことは、もしかして今日の歴史の授業って!!」
「ん?あぁ、そういやラヴェニール学園の中等部で歴史の特別講師の依頼があったな」
なお、菖はフィールドワーク中心の講師であるため、フットワークが軽く、両親と同様、世界各国の大学や時には高校や中学で教鞭を取ることが多い。
なお、高校や中学での特別講師に関しては、卒業生である大物作家や演奏家、俳優、アイドル、有名医師、あるいは総理大臣の強い意向があった、ということがないわけではないのだが。
「やっぱりそうなんだ!もしかしたら、おじさんの講義、受けられるのかな?!」
「んなの知ったこっちゃないよ……つか、早くしないと、本格的に遅刻するぞ?はぐみ」
「へ?……めちょっく!!おじさん、あとでね!!」
母親譲りの口癖を口にしたその一瞬後、はぐみは全速力でラヴェニール学園へと向かっていった。
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「というわけで、今日一日、特別講師として呼ばれました。春川菖です。よろしく!」
三十路を迎えたとはいえ、端正な顔つきは健在であり、そのさわやかな笑みに、教室の女子達は黄色い悲鳴を上げた。
だが、その笑みに唯一なびかなかった生徒が。
「みんな!先生がイケメンなのはわかったけど、静かにしないと、先生困ってるよ!」
と、教室全体に響くような元気な声をあげた。
その声の主がはぐみであることに気づいた菖は、申し訳なさそうに微笑んでいた。
だが、その微笑みは一瞬で消え、まるでスイッチを入れ替えたかのように真剣な表情へと変わると、菖の特別授業が始まった。
菖の授業は時代区分こそ、現在、ラヴェニール学園の教師に教えてもらっている範囲だったが、学校の先生よりもわかりやすく、当時のエピソードや小話を交えての話し方に惹かれ、自然と集中できるものだった。
そうこうしていると、授業でやる予定だった内容全てが終わり。
「さて、みんなが勉強熱心だからか、俺が用意した資料が尽きてしまったな。少し早いが、授業は終わりにして、ちょっとだけ、聞いてほしい話がある」
授業そのものは終わった。だが、まだ授業時間が残っているためか、菖は授業とはあまり関係のない話をしようとしているらしい。
自習にならなかったことを残念がる声がちらほらしたが、それでもこの先生の個人的な話に興味があるらしく、ざわめきは収まった。
教室のざわめきが収まると、菖は教室を見回し、口を開いた。
「みんなは勉強熱心な子たちが多いから、あんまり心配はしてない。けど、いつかはこう思う日が来るはずだ。『なぜ、過去を学ぶ必要がのか』って」
それは、菖がこうして特別講師としての仕事を受けるとき、必ず最初にいうことだった。
だが、これは生徒たちだけに向けた言葉ではない。
いつの間にか、学校関係者の名札を下げて教室の後ろで見学をしていた四人の女性と、一人の少女にも向けている言葉だった。
「たしかに、生きていくうえで必要なのは今を考えることと未来を見る目だ。過去を振り返っても、無意味かもしれない。けれど、忘れないでほしい」
それは、菖が考古学の師として敬愛する一人の男が、その師から受け継いだ言葉。
たとえ、学校という場所がなくとも、机といすが、何かを教えてくれる先生がいなくとも、忘れないでほしいという願いから生まれた言葉。
「歴史を学ぶことは、過去を振り返ることじゃない。過去を学び、未来を、今の人類を乗り越えて進化するための力を身につけること。だからこそ、『学ぶ』ということを忘れないでほしい!これは、俺が、おそらく生涯、一番お世話になった先生の恩師の言葉だが……」
向上心を忘れ、学ぶことを放棄すれば、それは敵国の思うつぼ。だからこそ学び、殺し合い、憎しみあう、愚かしい人間の性を乗り越え、新たな文明を築くべきである。
その言葉に、プロフェッサー・キートンはこう続けた。
殺し合い、憎しみあうことが人間の性ならば、それを乗り越えることが、人間の使命といえるのではないか。
菖自身、愛する妻たちを守るために隣で戦い続けた。
だが、生来の優しさからか、それとも、両親の学友であるキートン氏の言葉からか、憎しみあうことを乗り越え、戦わず、血を流さずにすむ方法を見つけたいと、思うようになっていた。
そのヒントを求め、好奇心からではなく、使命を果たすため、考古学を本格的に学ぶようになたのだが、それはいまはどうでもいい。
だが、これからさらに国際化が進み、違う価値観、思想、生活文化や風習がぶつかり合い、問題となることが目に見えているこの世の中で、大量の血が流されることを回避する方法を見出すためにも、目の前にいる、輝く未来が待っている生徒たちにこそ、学んでほしいと切に願っているのだ。
「これは、俺の個人的な後輩のお子さんにも向ける言葉だが……これから先、君たちの前にはいろんな問題が立ちふさがるだろう。けれど、どうか、愚かな行為に至らないでほしい。そのためにも学び、憎しみあい、傷つけあう、人間の性を乗り越える、その使命を忘れないでほしい……以上をもって、俺の特別授業を終わりにしたい」
そう語った瞬間、授業終了を告げる鐘が鳴り響いた。
それと同時に、生徒たちだけでなく、教室の後ろに並んでいた保護者四人と見学者の少女、そして、母親と彼女の二人の親友から愛され、見守られてきたはぐみは、盛大な拍手を菖に送っていた。
あとがき代わりのその後の話
~いつのまにかプチ同窓会~
ルールー、はぐみ以外『菖さん!ご無沙汰しております/しているのです!』
菖「おぅ!みんな、久ぶり。元気に……なんて、無粋な問いかけだな」
えみる「はい!」
はな「もっちろん!今日もめちゃはぐ元気ですよ!!」(>▽<
はぐみ「だからって、いきなり娘の授業参観に来ないでほしいよ……すっごく緊張した」(-□-;
はな「めちょっく!はぐみがいつの間にか反抗期に……」( □ lll
ほまれ「いやいや」
さあや「ちょっと違うんじゃないかなぁ?」
菖「……なんというか、変わらないな、お前ら」