ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
まぁ、題名の通り、完全にifの話なので気にせず読んでいただければと。
某国。
そこに一軒の、まるでおとぎ話に出てくるようなかわいらしいパティスリーがあった。
パティスリーの扉が開き、中からパティシエが出てくると、元気な声で、パティスリー開店を告げた。
「キラパティへようこそ!!」
そのパティシエこそ、かつてイチゴ坂を舞台にみんなの「大好き」を守るために戦った伝説のパティシエ、プリキュアとなった少女の一人。
宇佐美いちかだった。
自分のやりたいことをようやく見つけたいちかは、中学生卒業後、パティシエの資格を取得し、こうしてキラパティを手に、世界各地を旅しながらスイーツを振る舞っていた。
そんなある日。
キラパティの前に、一人の青年が倒れていた。
それを見つけたいちかは、当然。
「ちょっ??!!だ、大丈夫ですか??!!」
困惑しながら、どうしたらいいのかわからず、慌てふためいていた。
が、それも青年の一言ですぐに落ち付いた。
「……腹、減ったぁ……いちか、なんでもいいから、食べさせてくれぇ……」
「は、はい!!……って、なんでわたしの名前……」
いちかは、青年が自分の名前を知っていたことに驚愕した。
だが、そこで終わりではなかった。
いちかは、青年の顔を見た瞬間、さらに驚愕の声を上げた。
「しょ、菖さん~~~~~~~っ????!!!!」
倒れていた青年は、先輩プリキュアであるハートキャッチ組とともに戦った、プリキュアと同等の力を持つ戦士である
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「いやぁ、助かった助かった。ありがとな」
「それにしても、驚きましたよ。まさか菖さんが行き倒れてるなんて」
いちか特製のカレーを食べ、菖はどうにか生き返ったらしい。
すっかり元気を取り戻した様子で、いちかに礼を言うと、いちかのほうはまだ驚きが覚めないらしい。
「あぁ、このあたりの遺跡調査にね……そういや、ここに」
菖は何かを思い出したかのように、そう口にした瞬間、キラパティの入り口が開いた。
「あ、いらっしゃいませ!」
「いちかちゃん!久しぶり!!」
「あぁ!みらいちゃん!!」
扉の向こうにいたのは、同じく先輩プリキュアである魔法使い、朝日奈みらいだった。
久しぶりの再会に、いちかとみらいは花のような笑みを浮かべ、喜びあった。
その様子に、菖は温かな笑みを浮かべながら。
「噂をすればってやつかな」
とつぶやいていた。
なお、みらいは菖がこの国にいることを知っていたため、再会を喜ぶことはしなかった。
しなかったが、頼れるお兄さんである菖に会えたことはやっぱりうれしいらしく。
「菖さん!昨日振りです!!」
と満面の笑みを浮かべて挨拶していた。
「あぁ、そうだな。どうだ?仕事の方は」
「良くもなく悪くもなく、って感じです。あ、でもでもいろんな面白いもの見られて、すっごくワクワクもんですよ!!」
「そりゃよかった」
みらいの好奇心旺盛ぶりに、菖は安堵したような笑みを浮かべた。
高校を卒業し、戦いから身を引いて数年。
それぞれの道を選び、オールスターズメンバーとは一部を除き、疎遠になりはじめていたため、あの頃から何かしらの変化があるのではないか、と少しばかり不安になっていた。
だが、それはいらぬ心配だったらしい。
その証拠に。
「でね、でね!」
「な、なんですとっ?!」
和気あいあいと、二輪の花の笑顔が咲き誇っているのだから。