ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
菖「……?どしたのさ」
斗真「干し柿、レッツ・ラ・クッキング!!」
菖「……クッキング、なのかなぁ、あれ」
実は住んでるとこの裏手に渋柿が何本がありまして。
大家さんに確認したら干し柿にしちゃって大丈夫とのことでしたので、実のところ、毎年楽しみにしていたりいなかったり。
来年は柿の葉茶でもチャレンジしてみようかな?
~前回までのあらすじ~
めぐみの発案で突如、開催が決定したオールスターズ対抗かくれんぼ大会。
高校生組と小学生組、誠司が鬼側、中学生組が逃げる側となり、貸しきりにしてもらった海藤グループ所有のホテルを会場にして、四葉財閥が新たにオープンすることとなったホテルのオープニングパーティーの招待券を賭けて、熾烈な争いが開幕した。
開幕して十分足らず、のぞみ、ラブ、いちかの三名は隠れる場所に迷い、あえなく脱落。
その後、接近を知らせる警報器のアラームに驚き、ひかり、祈里、やよい、つぼみ、ひめが脱落。
残る人数は三十四人。残り時間はあと、二時間十分となっていた。
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そして現在。
菖はことはと追いかけっこをしていた。
「はーっ!!たっのし~~~~っ!!」
「くっそ!箒も魔法も使ってないのに、このスピードって反則だろ!!」
一応、菖もそれなりの運動能力を持っているが、ことははそのスピードをはるかに上回る速度で廊下を走っているのだ。
もっとも、ことはは元々妖精であるため、人間の常識が通用するとは限らないので、本当に反則をしているのかどうかはわからないのだが。
「……けどま、逃げられてもまったく問題ないんだけど」
「……え?」
菖がニヤリと笑いながらそうつぶやくと、ことはの目の前に突然、シーツが現れた。
「はーっ??!!」
あまりに突然のことになすすべなく、ことははシーツにくるまれそのままこけてしまった。
もぞもぞと、どうにか抜け出ようとすることはの目の前に、アコが歩み寄ってくると、菖の方へ視線を向けて満面の笑みを浮かべながらサムズアップを向けた。
「勝利」
「作戦成功!」
「はーっ……負けちゃったぁ……隠れる場所変えようとしたのがだめだったかな~……」
ま、楽しかったからいいや、と言いながら、もぞもぞとシーツから出てきたことはは、苦笑を浮かべつつ、自分で警報器につけられたボタンを押した。
「あ、自分で押したんだ?」
「うん?だって、わたし、捕まったんだよ??」
だからといって、素直に警報器のボタンを押すとは限らない。そんなことができる潔さを持っているのは、直球勝負が口癖のなおや武道家であるいつきといおな、素直さが自慢の咲やのぞみ、ラブ、みゆき、マナ、そして変に生真面目な亜久里とせつなくらいなものだろう。
もちろん、オールスターズのメンバー全員が狡いわけではないのだが、足掻くくらいのことはするだろう、と菖は予想しているため、ことはのその純真さについ感動の涙を流していた。
「……ことは、お前はその純真な心のまま、まっすぐに育ってくれ……」
「……うん??」
「……兄さん、泣きすぎ……」
その様子に、ことはは疑問符を浮かべながら首をかしげ、アコは冷や汗を伝わせていた。
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その後も、ゆりやゆかり、誠司にまりあ、あきらと亜久里の活躍もあり、れいか、あゆみ、六花、真琴、トワ、シエルが脱落した。
彼女たちは、ことは同様、アラームに気づき、隠れる場所を変えるために移動している最中に捕まってしまったというのだから、運がない。
だが、かと言って場所を変えないでいるというのも問題があるようだ。
実際、あきらと亜久里の目の前には、とあることわざを連想させるような状態で隠れている子がいた。
二人の目の前にあるのは、カーテンの端っこから飛び出ている、コロネのような巻き方をしている髪の毛だった。
「……亜久里ちゃん、こういうことわざ、知ってる?」
「……もしかして、頭隠して尻隠さず、でしょうか?」
「うん。けどこれは……」
「そうですわね……」
あきらと亜久里は顔を見合わせて、同時に今の状態にぴったりな言い回しを口にした。
「「体隠して髪隠さず、だね/ですわ」」
「えっ?!えぇっ??!!ど、どこが出てるの??!!完璧に隠れてるはずなのに??!!」
「見苦しいですわ、みゆき。というわけで、確保ですわ」
みゆきの疑問など知ったことではない、という態度で、亜久里はみゆきの警報器のボタンを押し、腕をつかんでカーテンから引っ張りだした。
むろん、捕まったみゆきは。
「……はっぷっぷ~……」
頬を膨らませ、むくれながら、いつもの口癖をつぶやいていた。
そんな様子のみゆきに、あきらは困ったような顔をしながら苦笑し、亜久里は呆れたといいたそうにため息をついていた。
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一方、誠司はまりあと合流し、他のメンバーを探していた。
だが。
「……見つからないわねぇ」
「そうですね……」
「……ところで、誠司くん」
「はい?」
隣を歩くまりあに問いかけられ、誠司は首を傾げ、立ち止まり、まりあの方へ視線を向けた。
その顔は、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。
「めぐみちゃんと、どこまでいったのかしら?」
「っ??!!い、いいいいいいいいいきなりなにを言ってくるんですか??!!」
「いやぁ、だっていおなの話だと、ここ最近、二人ともいい雰囲気だっていうし?お姉さん、少し気になるなぁ」
いきなりそんなことを聞かれて、誠司は顔を真っ赤にして動揺すると、まりあはにやにやと笑みを浮かべたまま、ぐいぐいと問い詰めてきた。
「ほらほら、話しちゃった方が楽になるんじゃない?」
「だ、だからまだなにも……」
「ふ~ん?まだ、ねぇ……ということはこれからなにかすることも……」
「いやいやいや!というか、まりあさん、近くないですか?!」
誠司はまりあに詰め寄られながら悲鳴を上げた。
壁まで追いこまれた誠司は、どうにか逃げようとしたが、進行方向をまりあの腕によって阻まれ、動くに動けなくなってしまった。
いわゆる、逆壁ドン、というやつである。
いおなが見たら半狂乱しそうな光景だよな、とどこか冷静な部分が残っていた誠司はそんなことを思っていると。
「「まりあさん/お姉ちゃん!だめーーーーーーっ!!」」
廊下の向こうから、めぐみといおなの悲鳴が聞こえてきた。
と思うと、めぐみは誠司に、いおなはまりあに飛びついてきた。
中でもいおながまりあに飛びついた勢いは強く、まりあは壁から手を放し、誠司を解放せざるをえないほどだった。
「誠司!まりあさんに変なこと、されてない?!大丈夫??!!」
「へ、変なことってなんだよ!てか、めぐみも近いって!!」
意中の相手に近距離まで迫られて赤面しない人間はいない。
めぐみの顔がアップで視界に入っていることで、誠司は顔を真っ赤にしていた。
そんな様子を楽しそうに微笑みながら見守りつつ、まりあは迫ってきたいおなに寝技を決め、警報器のスイッチを押した。
スイッチが押されたことに気づいたいおなは、ここまでの一連の流れがまりあの策略だということに気づき。
「め、めぐみ!!逃げて、罠よ!!」
「誠司くん、いまよ!!」
「へ?」
「は、はい!!」
まりあからの突然の合図に、誠司は一瞬、困惑したが、めぐみの警報器のスイッチを押した。
当然、めぐみがそれに気づくことはなく。
「……あ」
スイッチを押されて、ようやく気づいたのだった。
もちろん、油断していた自分が悪いということはわかっているのだが、やり方に納得がいかないめぐみは。
「やり直しを要求します!!」
と若干涙目になりながら反論してきた。
だが、ルールはルールなので、それ以上、強く言えず、結局、おとなしく待機所へ向かうのだった。
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その後も、中学生組とハンター組の攻防は続いた。
が、三人以上ではさみ討ちされたり、時には逃げているところを確保されたり、あるいは自分ではうまく隠れていたつもりだったが、服の一部が出ていたり、うまく隠れられていなかったりしていたために見つかってしまい、あえなく脱落してしまった。
そして、残り時間は一時間。
現在残っているのは、なぎさをはじめとした体育会系チームのみ。
菖やアコが「体力お化け」とからかっているメンバーが相手となる。
あとがき代わりのその後の話(スキット風)
~めぐみの場合~
めぐみ「うえ~ん、あんな手にひっかかるなんてぇ……」
ひめ「でもよかったんじゃないの?」
めぐみ「なにが?」
ひめ「誠司と急接近できたし、まりあさんに取られるのを阻止できたし」
めぐみ「そ……それは……」Σ(///□///
いおな「そもそも、あなた、相楽くんとなかなか進展がないって悩んでなかった?」
つぼみ「そ、そのお話!!」
ひかり「詳しく聞かせてください!!」
えりか「もっとえぐりこむように、ぐぐぐいっと!!」
めぐみ「へっ??!!……の、ノーコメント!!ノーコメントでお願いします!!!」
~みゆきの場合~
みゆき「はっぷっぷ~……うまく隠れたと思ったのにぃ……」lll-3-)
やよい「あははは……」
あゆみ「わたしも似たようなものだから、落ち込まないで」(^^;
みゆき「え?あゆみちゃんもなの?」
やよい「どこが隠れ切れてなかったの??」
あゆみ「ブレスレットが窓に映ってたんだって……うかつだったなぁ……」(-▽-;
みゆき「……ちなみに、誰に見つかったの?」
あゆみ「……菖さんとアコちゃん」
やよい「……時々思うけど、菖さんって本当に何者なんだろ?目が良すぎるというか、なんというか」
みゆき「まるで探偵さんみたいだよね~」
あゆみ「……スーツを着て、帽子をかぶるハードボイルド探偵?」
えりか「いやぁ、菖さんは探偵ってより……」
つぼみ「……お人よしの探索者?」
やよい「……SAN値がピンチになりそうでげそ……」