ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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秋といえばスポーツの秋って人もいらっしゃるのでは?
ちなみにわたしは読書と食欲と芸術だったりします。
まぁ、遊びはスポーツなりやと思いますが、オールスターズ全員でできることったらこんなもんしか思いつかんかったんで。
今回は三部構成にしようかと。少なくとも、11月中には全話投稿できるように頑張ります。

あ、今回のスキットは日付が日付なので、特別編にさせてもらっています。


スポーツの秋?高校生&小学生組vs中学生組でかくれんぼ、ですかっ??!!Ep.1

それは、めぐみの突然の提案で始まった。

「スポーツの秋っ!ってことで、先輩プリキュアのみんなと菖さんも巻きこんで『大逃走』やろう!!」

『……えっ?!』

当然、その場にいたハピネスチャージ組の面々はその提案に面喰ってしまった。

だが、その提案に乗っからない三人(ひめとゆうことまりあ)ではなかった。

そのため、三人の反応は。

「「「面白そう/ね!!」」」

であった。

さすがに三人ならまだしも、敬愛する姉を相手に止める自信はいおなと、経験上、こうなっためぐみは止まめることができないと知っている誠司にはなく、ため息をついて成り行きに任せることにするのだった。

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それから数日後の三連休の初日。

つぼみたちハートキャッチ組と菖はめぐみからSNSで指定された場所へとやってきた。

むろん、そこにはすでに到着している他のメンバーもいたため、久方ぶりの再会に和気あいあいとしていた。

そんな中で、ゆりは持参した文庫本を開き、読書の秋としゃれこみ、菖は近くにあったベンチに腰かけ、哀愁を漂わせながら空を見上げていた。

そんな菖を心配してか、あきらが声をかけてきた。

「だ、大丈夫?菖くん」

「……あぁ、ひとまずは……」

だが、あきらの声に菖は哀愁を漂わせたまま、返してきた。

いったい、何があったのか。

あきらはそれを聞こうとゆりの方へ視線を向けると、ゆりは文庫本に視線を向けたまま、呆れた、といわんばかりのため息をついて返してきた。

「三連休で遺跡の研究に没頭できると思ったのに、めぐみの突然の呼び出しでこっちに来ざるをえなくなってショック受けてるのよ」

「へ、へぇ……」

その説明だけでなんとなくわかってしまったあきらは、菖のあいかわらずの研究への情熱というか、遺跡バカ具合というかに苦笑を浮かべていた。

とはいえ、いつまでも引きずるほど、菖もお子様ではない。

そっとため息をつくと、気持ちを切り替えたらしく、その表情から哀愁が消え去った。

「……立ち直るのも早いのね」

「どうしようもないことをぐだぐだ考えている暇があったら一歩でも前に進む選択をする。それが菖だから」

「なるほどなぁ……その心意気はわたしたちも見習わないとかな?」

「だからといって、考えなしというのはダメだと思うのだけれど」

そう言いながら、ゆかりの視線はピンクチームの代表である、なぎさ、咲、のぞみ、ラブの四人へとむいていた。

もっとも、彼女たちはゆかりからの視線に気づかなかったようで、今も和気あいあいと花市を続けていた。

そうこうしていると。

「みなさーんっ!そろそろ始めるんで、集合してくださーい!!」

という、メガホンで拡声されためぐみの声が聞こえてきた。

その指示に従って、ゆりとゆかり、あきらの三人は菖と一緒に指定された場所へ集合するのだった。

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SNSの上では、めぐみから簡単な説明がされたが、ここでもう一度、細かいルールの説明を受けることとなった。

ルールは某人気テレビ企画『逃○中』とほぼ同じ、数名のハンター()に対し、制限時間が過ぎるまで逃げ切るという、至ってシンプルなものだった。

なお、企画者がめぐみ(中学生)であり、あくまで、みんなでわいわい楽しみたい、という目的の下で行われる企画であるため、賞金は存在しない。

しないのだが、そこは四葉財閥のご令嬢であるありすの協力により、勝利したチームに四葉が新規オープンを予定しているホテルの記念パーティーへの招待券が授与されることとなっている。

なお、海藤グループのご令嬢であるみなみは、みんなで楽しむのなら、ということで今回の大会の舞台となるホテルの貸切を許可してもらった。

とはいえ、自分のわがままであまりグループに迷惑をかけたくないというみなみの思いから、スタッフは、万が一に備えての救命士と警備員のみだった。

だが、そこで力を発揮したのがアコとひめ、そしてトワの王女としての立ち場だった。

王城のコックを使う、ということはなかったが、コック見習いたちに修行の場を提供するということで、それなりの腕のコック見習いたちに来てもらっていた。

なぜかプリキュアとしてではなく、一個人としての連携もたくましくなってきたのではないか、と諸事情を聞いた菖はそんな感想を抱いたのであった。

閑話休題(まぁ、それはともかく)

めぐみの口から説明されたルールは、次の通りとだった。

 

・制限時間は三時間、時間までに鬼チームが逃走チームを全員捕まえられれば、鬼チームの勝利。逃走チームが一人でも捕まらなければ逃走チームの勝利

・範囲はホテルの建物内部のみ。ただし、関係者以外立ち入り禁止の場所およびキッチンは範囲外とする。なお、窓や入り口から一歩でも出た場合、失格とする

・捕まった人はロビーの待合場所で待機すること。なお、復活権など特殊なルールは切りがなくなるのでなし

・当然ながら、変身、特殊能力(魔法を含める)や不思議アイテムの使用は不可。なお、ワイヤーフックなどの道具の使用も不可とする

 

むろん、危険な場所への立ち入りは禁止であるが、仮に迷ってしまった場合に備え、そういった場所へ近づいてしまった場合、携帯警報器から警告アラームが出るようになっていることが追加された。

なお、携帯警報器は危険な場所への立ち入りを警告するためだけでなく、近くに鬼がいる場合、それを知らせるための役割も果たしているとのことだ。

「それじゃ、ルールも説明し終わったところで!チーム分けを発表しま~すっ!!」

ある程度、詳しくルールを説明し終わっためぐみがみんなが気になっているチーム分けの発表を開始した。

そのチーム分けは次のようになっていた。

 

<逃げる側>

なぎさ、ほのか、ひかり、咲、舞、のぞみ、りん、うらら、こまち、かれん、くるみ、ラブ、美希、祈里、せつな、つぼみ、えりか、いつき、響、奏、エレン、みゆき、あかね、やよい、なお、れいか、あゆみ、マナ、六花、ありす、真琴、めぐみ、ひめ、ゆうこ、いおな、はるか、みなみ、きらら、トワ、みらい、リコ、ことは、いちか、ひまり、あおい、シエル

 

<追いかける側>

ゆり、菖、アコ、亜久里、誠司、まりあ、ゆかり、あきら

 

見事に、中学生と高校生&小学生で別れていた。

「……あれ?なんで、誠司がこっちなんだ?」

「あぁ、たぶん、体力的な問題じゃないかと」

ここに来て初めてチーム分けについて聞かされたらしい誠司は、頭痛に耐えるように顔をしかめながらそう返してきた。

「……てか、あいつら……」

「企画者なのに参加者に回ってんのね」

「まぁ、めぐみらしいといえばらしいけれども」

「ちゃっかりしていますわね……」

「けど、それじゃあ審判は誰が……」

本来、企画者は審判や大会運営に関係する仕事をしなければならないため、参加はできないはず。

しかし、めぐみもひめも、今回はちゃっかり、追いかける側として参加しているのである。

となると、審判は誰が行うのか。あきらの疑問はそこにあった。

だが、それもすぐに解決されることとなる。

「審判は僕たちがやることになってるんだ」

「そういうわけだ。よろしく頼む」

声がした方へ視線を向けると、そこにはのぞみたち5GoGo組のたまり場であるナッツハウスの主人である(ナッツ)と、のぞみの学校に赴任している臨時講師の小々田(ココ)だった。

「……なるほど、妖精たちに審判を任せるわけだ」

「けれど、よく承諾したわね。あなたたちだって一緒に遊びたいでしょうに」

菖とゆりがそう問いかけると、確かにそうなんだけど、と苦笑しながら小々田は返した。

「あぁ。君たちにはいつも助けてもらっているからね。これくらいはさせてくれ」

「それに、俺たちやシローやくるみはともかく、他の妖精はいつも遊んでいるようなもんだろ。たまにはいい薬だ」

夏は皮肉をこめてそういうが、実際のところ、遊んでばかりいるわけでもない妖精がちらほらいたりする。

もっとも、彼らを抜きにしても、基本的にプリキュアのパートナーである妖精たちは、遊んでいるようなものなので、否定はできないらしい。

そんな様子の妖精たちを傍目に、夏はプリキュア(選手)たちに視線を向けた。

「それでは、作戦会議を含めての準備時間を三十分間だけ設ける。時間が経過したら、(ハンター)チームは端末に出てきた場所へむかってくれ」

以上、解散。

夏のその一言で、その場にいたメンバーはそれぞれのチームに別れ、作戦会議へと入っていった。

はたして、この勝負の行方はどうなるのか。勝利の女神はどちらに微笑むのか。

それを知るのは、神のみであった。




あとがき代わりのスキット(特別編)

~キラっと、映画公開ですっ!!~
いちか「いよいよ!」
シエル「わたしたち、ア・ラ・モード組の……」
ア・ラ・モード組『映画公開ですっ!/だぜっ!/よ/だよ』
つぼみ「舞台は、ファッションとスイーツの都、パリ!」
ゆり「わたしたちも訪れたことがある場所ね」
えりか「いやぁ、まさかかぶるとはねぇ……」
いつき「ははは……」
菖「えりか、それを言っちゃあおしまい(おしめぇ)だぜ?」
えりか「……面目ないっしゅ」
ゆり「それで?斗真は見に行く予定は……」
斗真「……ないな。金も暇も」
全員『……えぇ~……』
菖「まぁ、一人で女児向けの映画見に行くのは、勇気いるもんなぁ……寄席ならともかく」
斗真「それだけじゃなくてな、地元に映画館がない代わりに市民ホールで上映することになるんだが……いつ上映されるのかまったくわからんのさ」
ひまり「それならしかたない、のでしょうか?」
ゆかり「なら、レンタルをするしかないわね」
斗真「そうなるなぁ……まぁ、しばらくは人気すぎて借りれないだろうから、必然的に来年とか、次のプリキュアが出てきた頃ってことになるんだろうけど」
全員『……あぁ……』

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